表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/694

9 小鬼の穴

やっと、プロローグの後に戻って来れました、ゴブリンはもうお腹いっぱいです。

(目が覚めたかの)


「うん、ああ寝てたのかMPは回復したか」


  隠れてるとはいえ、こんな岩の間でよく寝れたな。


(充分回復しとる、じゃが攻撃魔法には気を付けよ、さっきの火炎呪文、ただ斬られた時より回復時の消費MPが多かったぞ)


 まあ、全身火傷だったしなー


(それと休んでいても、寝てはならぬと教えはしなかったかの)


 いや、三日も寝てないんだよ、『闘気術』が有るからって流石に辛いよこれ。


(寝ている間に魔物に見つかっておればどうなっていたことか)


 確かにそうだけど。


「他の勇者はいったいどうしてたんだ、ずっとこんな事を続けてたのか」


 それなら、本当に尊敬できるよ。


(そんな訳はなかろう、大抵の勇者は1日、早い者なら半日でこのような迷宮は踏破しておるわ)


 んな、馬鹿な、俺がこんなに苦労してるのに。


(言ったであろう、最長記録じゃと、お主は隠れてMP回復に時間を使いすぎじゃ)


 どうせ俺は、弱小勇者だよ。


(それに今までの勇者の場合、大抵は神殿から各国に打診して、勇者の特性に合わせたパーティーを用意してきたしのう)


 マジか、じゃあもう少し頑張れば、楽になるのか。


(まあ、お主は例外として自力で探すことになるんじゃがの)


 はあ、何でだよ、歴代勇者の中で俺ほど仲間を必要にしてる奴が居たか、居ないだろ、チートならボッチだって大丈夫だろうけど、俺の場合は命がかかってんだよ。


「なあそれって、おかしくないか、逆だろふつう」


(仕方あるまい、各国から来るのは、選び抜かれた一流ばかりじゃぞ)


 そう、そういうのが必要なんだよ、俺の代わりに魔物を蹴散らしてくれるような、強力な仲間が。


(優秀な者はえてして我が強く癖もある、そういった者達を、圧倒的な力で強引に従えてきたのが歴代勇者達じゃ、お主にその真似ができるかの)


 う、難しいだろうなー


(中には勇者を試すと、初対面で切りかかってきた者も居るぞ)


 ごめんなさい、そんな事になったら、ひとたまりも無いので無理です。


(それに、勇者が弱いと各国に知られるわけにはいかぬしな、下手をすれば大量の刺客が送られてくるのじゃ)


 マジっすか、勇者ってそんなに嫌われてるの。


(まあ、そんな事よりも、これからどうするか考えるべきじゃな、この程度の迷宮、今日中に踏破してもらわねば、食料も少ないのであろう)


 う、確かに、神殿で貰った食料は、もう結構減ってるよな。


 アイテムボックスを取り出して中身を確認すると、確かに残り少ない。


 これもファンタジーでよくあるアイテムだけど微妙な使い勝手だよな~


 武器や防具なんかの装備品は何種類も入るけど、同じ名称の物は三個まで。


 薬なんかのアイテムも各五個まで、それ以外の道具類は各一個、食料品は大雑把に『生鮮食』『保存食』『調味料』の分類でしか入らなくて、フルに入れても全部で一週間分程度。


 装備品やアイテム以外の宝石、貴金属、大型の物品、衣類、布類、美術品、装飾品、嗜好品は一切入らない。


 例外なのは、現金、書物、後はモンスターの死骸や生成物、未加工の薬草などだけって。


 これが神殿で用意できる一番いいボックスってか、なんだろこの微妙さ。今は良いけどこれから大変そう。


「これで幾ら位するんだ」


(買い足そうというのならやめておくのじゃな、ボックスは一人一つしか持てん)


 うえ、てことは、いざとなったら買換えか~


(それよりも良いボックスはそうそうないぞ)


 ええ~、なんか悪意を感じるなこれ、普通なら無条件で幾らでも入るだろ~


 はあ、なんかな~、とりあえず現状確認だな。


 ボックスに入ってるのは、金貨が二百枚うんこれは大金だ。僧兵用の装備がそれぞれ一個づつ、薬品類が十数種類、ロープなどの道具類がいくつか、食料が入るだけ、以上。


 現金のぞけば初心者セットじゃねえか。


 ゴブリンドロップの銅剣LV9(レベルアップしました~)が一番強力っておかしくないですか。


(いつまでこうしているつもりじゃ、ゴブリンばかりでは飽きてくるわ)


 まあ確かに、この一か月ゴブリンばっか相手にしてるしな~オスメスの区別も解るようになったし、同じレベルでもメスの方が弱いんだよね。





 周囲に注意して迷宮の中を進むんだけど、微妙に壁が光ってるのがありがたいよな~でなきゃ松明にゴブリンが寄ってきそうだし。


(ふむ、おかしいのう)


「なにがだ、つまらないことなら無視するぞ」


(ここに来て急にゴブリンが居なくなったのでな)


「平和でいいことじゃないか」

 

 エンカウントせずにクリアーなら最高じゃね。


(ここはすでに最下層じゃ、本来ならもっとも魔物が多いはずなんじゃが)


 おお、ここに来て運が回ってきた、この世界に来てからろくな事なかったからな~その分の反動かも、ん、この匂いはここ最近で嗅ぎ慣れた。


(ゴブリンじゃな、その角の先あたりかのう)


 臭いでわかるって、どんだけゴブリン慣れしてるんだろ俺、とりあえずちょっと覗いてみて作戦考えなきゃな~ってええ~


(全滅しておるの)


「ああ、どうなってるんだ、仲間割れか」


 俺の見つめる先には、大量のゴブリンの死骸、とんでもない量だな。


 これだけの数を一度に相手にしたら、何回『超再生』をしてたかな、確実にMPは無くなるだろうな~


(ふむ、どうやら大規模討伐でもあったようじゃな)


 ああ、なんかよく聞く単語が出てきたよ、一応確認しとくか。


「なんだそれは」


(大人数での迷宮攻略じゃ、名目は活性化した迷宮の鎮静化じゃが、一過性の事業として迷宮深層部での収集の場合が多いの)


「なるほどな」


 誰がやったか知らないけど感謝感謝、おっ爪を回収せずに放置してるじゃん、これ素材として売れるんだよな、ラッキーこれだけの量有ればそれなりの額に。


(ええい勇者ともあろうものが、せこい真似をするでない、とはいえ『子鬼の迷宮』では大した稼ぎにならん、こ奴らは鎮静化が目的じゃろ)


 て事は、このまま何もしなくても、ミッションクリアできるんじゃない。


(何を考えているかは予想がつくが、お主が直接鎮静化せねば『社核』は功績と認めぬし、魔力回路の書き直しもできぬぞ)


 それってやばくない、急がないと。


『軽速の足環』を発動させて先を急ぐ、所々にゴブリンの死体と、全身鎧の死体が、装備回収したいけど後回しかな。


(まて、一度止まるのじゃ)


「どうした」


 急停止して、周囲を見回すが特に変わったことはない、一体なんだってんだ。


(この先がボス部屋じゃ、心して進め)


 一度深呼吸をして、ゆっくりと進む、前方に意識を向けるが特に大きな物音はしないよな。


「静かだな」


(もう戦闘は終わっておるようじゃな、我らより先に攻略されてしまったか、あるいは)


「全滅したかだな」


 どっちもいやだな、先を越されたらここ数日の苦労が水の泡だけど、全滅してたら、これだけの戦力を撃退するようなボスの相手なんてしたくないよ。


 俺一人で何とかなるのかよ、でも待てよ、さっきまで戦闘してたボスがノーダメージってことは無いよな、て事は漁夫の利いけるんじゃね。


「さて、鬼が出るか蛇が出るか」


(鬼しかおらんぞ)


 ああ、なんかこのやり取りもお約束な気がするな~


 ゆっくりと部屋の中に入っていくと、奥にそれはいた。分厚く筋肉の盛り上がった両腕、割れた腹筋、筋肉でパンパンのズボン、右手には肉厚の長剣、金属製の胸当てに兜、籠手までしてやがる、明らかに今までのゴブリンとは雰囲気が違うな、これがボスの貫録ってやつか。


ゴブリン・キング LV11

技能スキル 長剣 剣術

身体スキル 腕力上昇

戦闘スキル 強斬撃 三連続斬


 俺とキングの間には鎧の死体が四体、予想通りダメージはあるみたいだな、キングの体には所々傷があり、それを他のゴブリンが手当てしている。さすがはキングだな、ん、よく見るとこの部屋にいるキング以外のゴブリン全部メスじゃね。


 さすが王様、ハーレムですか、けっ。なんか奴の顔が男前に見えてきたし、ああ、もういいやさっさと殺っちまおう。なんか一気にやる気が出てきたな。


 奴が剣をつかんで立ち上がる。


「シャー、クアー」


 訳のわからない叫びをあげるキングに向けて剣を構え、『闘気術』と『軽速』を同時発動させて一気に距離を詰める。


「先手必勝―」


 直前で『軽速』のみ解除し、銅剣を振るう。


 防がれた、加速し背後に回り込む。


「食らえ」


 無防備な首筋貰った~


「シャラーーー」


 げ、反応しやがった、防ぐかあれ。


 もう一度だ、兜で視野が狭いはず死角に入れば。


 その腹筋をぶった切ってやる。


 長剣が光り、銅剣が弾き飛ばされる。


(素手になってしまったのう)


 落ち着いて解説してんじゃねー、『軽速』で後退し剣を回収して回り込む。


 このまま攪乱してやる。


 高速で奴の周りを移動し続ける。


 これで分身とかできてたらカッコいいんだけどな~


 このタイミングなら。


「もらった」


「キアーーーー」


 大きな音があたりに響く。


 剣を振りぬいた姿勢で俺は固まっていた。


「うそだろ」


 俺の腕の延長線上に銅剣の切っ先はなかった。


 半ばあたりで折られた先端部はそのまま弾き飛ばされて、俺の背後に落ちる。


(ええい、お主はすぐ呆けるその癖を何とかせい、反撃が来るぞ)


 アドバイス遅ええ、もう目の前に長剣があああ。


 胸元をざっくりと切られると同時に吹き飛ばされる。


 ぐっ、てええええ、痛え、クソ。


 仰向けに倒れた俺に奴がゆっくりと歩いてくる。


「ケハーーー」


 ちょっと、そんな思いっきり剣を振りかぶってどうする気ですか、まさかトドメを、やめましょここは平和に話し合いは、無理かな。


「なあ、あれ食らっても『超再生』で大丈夫だよな」


(一度や二度ならともかく、何回も繰り返し斬られれば、MPが尽きるじゃろうな)


 クソ来るな、こっち来るな。


 近づいてくるゴブリン・キングの口元がゆがむ、この野郎笑ってやがる。


 くそ、王様で、ハーレムで、男前で強いってか、どこのイケメンだこのリア充が、リア充ゴブリンが、お前なんてもげてしまえ、腐り落ちてしまえ。


「ん、まてよ」


 視線を転じる、そこには声援を送るメスゴブリン。


 視線を戻す、ゆっくりと向かってくるオスゴブリン(キング)。


(早く起き上がらぬか、やられてしまうぞ)


 ちょっと黙っててくれよ、考え中だから。人型だよな、でもってオスメスがあるんだよな。


「クラーーー」


 奴は俺の上にまたがり、頭上に掲げられた長剣が鈍く光る。


 再び大きな音が響く。


「クア、クアア」


 振りかぶられた剣がゆっくりと手の中から零れ落ちていく。


 苦悶の表情を浮かべちゃってもう、イケメンが台無しだよ。


 まあそりゃあ『闘気術』使って思いっきり蹴り上げたからなー


 俺の睨む先では、つま先が狙い通り食い込んでいる。



 奴の、股間に。


「カ、カ、カ」


 とりあえず人型モンスターには金的が効きそうだな、まだ立ってるかもう一回。


「フガアアア」


 両手で押さえていたその上に靴底をたたき込む、これは潰れちゃったかなー


 お、崩れ落ちた、メスゴブリンが必死に腰トントンしてるよー


 もう一発、さてと。


 俺は、落ちていた長剣を拾う。


 ゴブリンズソード LV2


 このレベルで、俺の銅剣折ったのかよ、結構いい武器なのかな。


 ゆっくりと近づいていく、蹴られないように注意しないとね。


 開脚で座ったまま、片手を股間に、もう片方の手をこっちに伸ばして嫌々って、女の子がやればそそるけど、ガチムキのゴブリンがやっても不気味なだけだよな。


「なーに、何回も蹴り上げて去勢するようなことはしない、さくっと経験値になってもらうだけだ、安心しろ、周りのメスもすぐに送ってやる」


(どちらが鬼かわからなくなるような言いぐさじゃな)


次はいよいよ女の子が出てきます。

次の更新はおそらく明後日かひあさってになると思います。


H26年4月8日一部台詞、誤字句読点修正しました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ