表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
85/694

85 捕食者

久しぶりの更新です、なのに説明会……

「本当に美味しゅうございますね、このスープは」


「そうであろう、自分はここに来るまで毎食飲んでいたが飽きぬ」


「うん、美味」


「ほんとに美味しいですね、サーレンにお代わりをください」


 なんだろ予想以上に好評だな、この連中一応は王族の側近だよな、でもってこれは有り合わせのスープを何回も温めなおしたようなもんなのに、そこまで旨いのか。


「今戻りましたけれどこれは」


 偵察に出てた冒険者のカルトさんが戻ってきたので、スープと一緒にディフィーさんの作った料理を差し出す。


 この人は盗賊職で潜入や偵察系のスキルを持ってる上に『鑑定』まであるから、オーガたちを偵察してきて貰った。


 俺に『鑑定』が有るのは秘密だからそれを前提とした作戦は今まで立てられなかったんだけど、この人の『鑑定結果』を前提にすれば敵一体一体の適性に作戦を合わせられるからね。これでヒーラーやメイジを先に潰せるように話を持って行けるな。


「いやすみませんね、いただきます」


 カルトさんが料理を食べながらスープを一口すする。


「このスープは温まりますな、河の水で冷えた体にはありがたい、しかしこの料理も実に旨いですな野戦料理とは思えませぬ」


 やっぱりそうだよな、普通なら料理の方が上手そうだよな、俺用の肉抜きも旨いし、アラも美味しそうに食べてるから。


「おいしーねリャー」


 あーあ、ソースがほっぺたに付いちゃってもう、かわいいったらないな。


「これ、いつもと同じ味がするー」


 スープを飲んだアラが俺の方を向いて、にっこり笑ってくる。まあサミューに教わった分量はきちんと守ったからな。


 ひょっとすると、王宮なんかで贅沢な食べ物に慣れてるから、こういう素朴なのが逆に珍しくて美味しく感じたりするのかな。


 まあいいや、今のうちにこっちの戦力を把握しておくか、おっダメ元でやったけど『隠蔽』がかかってない、どれどれ。


サーレン

侍女 LV16 剣術兵 LV28 魔術士 LV22


技能スキル 剣術 大剣法 火炎魔術 暴風魔術 

戦闘スキル 強斬撃 剛剣 二重横斬波 斬殺圏 火炎弾 風圧弾 火槍 風槍 火炎嵐 竜巻 噛裂(獣態時) 食千切(獣態時) 遠吠え(獣態時)

身体スキル 嗅覚上昇 腕力上昇 速度上昇

生活スキル 掃除 洗濯 茶 着替え


 剣術兵か聞き覚えはないけど多分剣士系の職なんだろうな、術ってつくんだからそれなりにランクが高い職だろうし、でも意外とスキルの数が無いな、その代わり熟練度がどれも高いからわざとスキルをこれだけに絞って鍛えたって事なのかな。


 戦力的には問題なさそうだな、しかし種族がハーフエルフ&ハーフウルフとはエルフと狼族の混血って事なのかな。


ディフィー

侍女 LV29 魔術戦士 LV27 捕食者 LV25


技能スキル 格闘術 蹴術 尾戦道 水流魔術 隠密行動

戦闘スキル 撲殺拳 破砕蹴 打尾 弾飛尾 振回尾 裂爪 圧水弾 水流波 水矢幕 噛裂(獣態時) 食千切(獣態時) 引きずり込み(獣態時) 死の回旋(獣態時) 瞬動(獣態時)

身体スキル 腕力上昇 泳力 視覚・嗅覚・聴覚上昇 

生活スキル 料理 茶 掃除 


 ほ、捕食者かなんだろかなり危険な匂いのする職業名だな、それになんかスキルも凶暴そうでミーシアみたいだな、しかも種族がハーフエルフ&ハーフクロコダイルって。


(ラクナ、聞き覚えのない職業が出てきたがなんだこれは)


(これは一般職や上級職では無く称号職じゃな)

 

 あーまた聞き覚えの無い情報が入ってきたな。


(そこんとこを詳しく頼む)


 もしかしたらサミュー達のクラスアップにも影響するかもしれないしね。


(そうじゃな、一般職というのは基本的に初めて戦闘職に就くときになれる職業じゃ、まあそれぞれの適性や血筋、職に就く前の経験や保有スキルなどで成れる物と成れない物が有るがの。お主の奴隷達のついている職が代表的な物じゃのう)


 ああ、魔法士とか剣士とか盗賊とか治療士なんかか、あれ鞭剣士もそうなのか。


(上級職とは一般職が一定のレベルに上がるとなる事の出来る職種じゃ。例を上げれば魔法士から始まり、『魔術士』、『魔道士』、『魔導士』、『魔導師』などと上がる、まあこれは『魔導師』まで最短で行った場合じゃがな、途中で経過する職も『士』から『師』になる事が可能じゃし、細々とした中間職もあるがの)


 なるほどねよくあるクラスチェンジか、あれ、なんか引っかかるな。


(また『魔法戦士』などの複合の職は、『魔法士』と『戦士』のそれぞれが一定レベルになる必要がある)


 あれ、それだと、そうだそれだよ俺がおかしいと思ったのは。


(おい、それだと話が合わないぞ、その説明の通りならディフィーには『魔術士』と『戦士』の両方の職が付いて無いとおかしくないか、それに上級職にしてはレベルが高くないぞ)


 普通クラスチェンジしてるなら結構高いレベルになってるもんだよね。


(上級職に就くとなその元となった職は消去されるのじゃ、二つ以上が元となる時は全てを消去するか、一つ以上を消去してどれかを残すかなど選べるがの、そうして新しい職はレベルが1から始まるのじゃが、ステータスやスキルはそのまま引き継がれる)


 あれ、それってひょっとすると。


(もしかするとレベルだけじゃ強さは計れないってことか)


(一応の目安にはなるがお主の言う通りじゃ、同じ『魔術士LV1』でも『魔法士LV30』からの転職と『魔法士LV90』からの転職ではステータスやスキルの量は雲泥の差じゃし、『魔法士』と『魔術士』の間にある『魔法師』や『火魔法士』、『水魔法士』などの特化した物などを経ていれば累積されたステータスは更に高い物になるじゃろう、また『魔法士LV60』や『火魔法士』でしか覚えられぬスキルなども有るのじゃ)


 なるほど、てことは一般職じゃない相手の場合は、職業やレベルだけじゃ強いかどうかわからないって事か、うわひょっとして俺結構やばかった時あるんじゃ、レベル低いし大丈夫だろと思って勝負かけた事が有ったよな。


(まあ最短であっても『魔導師』にまで到達する事が出来ればどのような場でも一目置かれるし、小国の宮廷魔道士隊の長くらいならば簡単に成れるの)


 てことは、一定の目安になるってのは本当みたいだな、でもこれからは気を付けよう、でもそれなら。


(複合の職に就くのは難しくないか、違う二つの職を育てないとダメなんだろ)


 複数の職種に就いてるせいでミーシアは苦労してるのに変じゃないか。


(たいていの場合は剣か魔法かのどちらかの職だけから始め、十分やって行ける強さになってから、もう一つの職を育てだすのが一般的じゃ、そうで無くばどちらも低レベルの間に魔物に殺される危険が有るからの、まあ貴族などで守られながら安全にレベルが上げられるならば同時に進める者もおるがの)


 なるほどね、ミムズ達なんかも若い割に『魔法戦士』とかを持ってるからそうなのかな。


(それなら、ミーシアの職種も減らせるか)


 余計な職を一つにしちゃえばその分レベルアップしやすいだろうし。


(可能じゃが、そこまで成長しておれば、複数職もそれほど不利では無かろうな)


 あ、そうなんだそこまで持ってくのが大変って事ね。


(話がそれたの、三つ目の称号職というのは一定の行動や業績、役職などに付く職種じゃ)


 それだけじゃいまいちピンとこないな。


(役職で付くものは『騎士』や『僧侶』、『王女』、『国王』等じゃが、行動や業績では『英雄』や『剣聖』などもそうじゃな)


 お、なんか中二チックな職種が来ました。


(それで『捕食者』ってのはなんだ)


(行動で付く特殊職ではあまり聞こえの良くない物もあっての『虐殺者』や『凶賊』等がそれじゃ、『捕食者』はそれらほどではないが、魔物や『獣態』時の獣人しか取れぬ職種での、単独で大量に魔獣を狩り肉を食らう事でなれる職で、狩に必要となるステータスやスキルに特化するのう)


 と、とりあえずディフィーさんは怒らせないようにしておこう、うん。


 よし、作戦会議に戻ろう。


「という事は警戒が必要そうな変異種はヒーラー、メイジ、ポイズンの三体だって事だな」


 俺の確認にカルトさんが頷く。


「そうですな、他は全て普通のオーガでしたし、前回も途中までは押していたという事なので何とかなるかと」


 そうだよな、あの時だってプテック達が魔法を食らわなきゃまだ戦えたし、多分あのタイミングでオーガが動き出したのは『知力上昇』のあるヒーラーが指示したんだろうし。


「できればそこらへんは先に倒しておきたいな、特にヒーラーとメイジだ。魔法で牽制されるのは面倒だし、せっかく倒しても回復させられたらたまらないからな」


「確かにそれはリョー殿の言われる通りだろうな」


 俺の言葉に前回の戦闘を思い出したのかミムズが頷く。


「ですが、奴らは河を背にしてこの三体を囲むように半円に布陣しております、敵中を突破せねばたどり着けませぬぞ」


 そうだよな下手に突破しようとして囲まれるのも馬鹿らしいよな。


「それでしたら、わたくしが『獣態』で河から攻めますか、わたくしでしたらその方が確実ですし」


 ディフィーさんがそう言うけど、確かにワニなら河はある意味ホームだもんなあ、でも。


「いやそれは不味い、一人で奇襲し万が一が有っては、お主らに何かあれば両殿下に顔向けできぬ」


「なら、プテックも、行く」


 ああ、そう言えばトラって水辺でも狩をするんだっけ。


「無理は致しません、目的のオーガを仕留めましたらすぐ淵の方へと引きますので、オーガは泳げないそうですのでご心配はいりません。その後は状況に応じて一撃離脱を繰り返せばそれほど危険は無いでしょう」


 確かにそれなら安全そうだな、相手の追って来れないところから反復攻撃とかある意味凶悪だよな、まあ水辺から逃げられたら終わりだけどそこは俺達が追い込むように戦えばいいのかな。


「ふむ、それならば良かろう、だがどちらがどのオーガを狙うのだ、リョー殿はどう思う」


 俺に振って来るかよ、まあその方が作戦を立てやすいからありがたいか。


「水辺は、ディフィーが、確実」


 ああ、やっぱりそうなんだ、でもプテックより上って一体どんなんだろ。


「それならディフィーにヒーラーを、プテックにメイジを倒してもらおうか」


「ならばポイズンは自分が相手をしよう、『毒耐性』が有るのは自分とプテックだけだからな」


 なるほどね『毒耐性』まであるんだ、しかしこいつら何個耐性を持ってるんだろ。


「それは良いが、どうやってオーガの群れを突破してポイズンまで行くんだ、今回はプテックと別行動なんだろ」


 こないだはプテックとセットだったからあれだけ出来たんだよね。


「む、確かに、だがそこは決死の覚悟を決めて……」


「わたくし達は軍馬に乗ってまいりましたので心配ございません」


 ミムズがお決まりの精神論を言いかけたところで、ディフィーさんが突っ込んでくれた、おおひょっとして彼女はミムズを制御できるのか。


「馬鎧や騎士盾はもちろんミムズ様の騎馬用の武具もお持ちしております。これをミムズ様が纏われればオーガごときはたやすく蹴散らせるはずですわ」


 いや、そこで煽ってどうするのさ、ミムズが暴走しちゃうじゃないの。いやでも重装騎兵用の装備か、ミムズは騎士なんだからそれが一番上手く戦えるのかな。


 あれでも、どの馬も鎧着てないよな、いやこの世界には便利アイテムが有るんだった。


「それとこれを、『冒険者用アイテムボックス』に必要な物を一通り入れて参りました、いくらなんでも『軍用アイテムボックス』で少数行動に移られるなど、無謀でございます」


 ディフィーさんが新品の『アイテムボックス』を差し出してくるけど、なんか変な感じだな。


(ラクナ、『軍用アイテムボックス』ってのは)


 さっきの言い方だと軍用より冒険者用の方が性能が良さそうな言い方だけど、普通は軍用の方が上だよね。


(軍隊や騎士団の士官・下士官向けに作られた『アイテムボックス』じゃな、裕福な国などでは兵卒にも持たせておるがの。収容量は武器が五個、防具が八個、薬品類が十個、後は食料がパンとチーズ、干し肉のみ五日分、それと現金が少々じゃな)


 なんだよそれ、しょぼすぎだろサミュー達が持ってる最下級の冒険者用だって種類さえ変えればいくらでも装備やアイテム類が入るってのに。


(量産用だから値段や生産性を優先して性能が二の次になったのか)


 アニメなんかでよくあるよね、量産型とか廉価版なんかが一品ものに比べて性能が低くて、まとめて倒されちゃうなんてパターン。


(確かに、それも有るのじゃが一番の理由は物資や軍資金の持ち出しを防ぐためじゃ)


 は。


(たいていの軍隊では軍需物資や兵糧、会計などは専用の技能奴隷が行う事で横領や横流しを防いでおる)


 まあそれは解るよな、人間だれしも誘惑には弱い物だし。うちの会社だってそう言うのを防ぐために定期的に人事異動したり、何重もチェック体制をしいたりするんだから。そっかこっちの世界なら奴隷に任せれば『隷属の首輪』がそう言った事を防止できるから安全なのか。


(それでも奴隷以外の者もかかわる以上は、腐敗が起こる事が有ろうし前線での略奪も有る、『アイテムボックス』の容量を制限することでそういった物の持ち出しを押さえておるのじゃ)


 ああ、確かに無制限に物が入るんじゃ盗みも略奪も少人数でし放題だもんな、何しろ持ち歩く手間が省略できるんだから容量無制限の『アイテムボックス』が有れば一人で宝物庫を総ざらいだって出来るもんね。泥棒なんかが持ってたらシャレになんないかも、密輸だってし放題だろうし。


(そう言った理由で軍用の『アイテムボックス』は必要最低限しか入らぬのだ)


 なるほどね、ひょっとして冒険者用がいまいち使い勝手が悪いのもそのせいなのかな、貴金属とか嗜好品とか美術品なんかが入らないのは盗難や密輸防止か。魔物の死骸や薬草だって加工したら入らないし。


 でも武器は種類さえ選ばなきゃ大量に持ち運べるんだよな、これだけでもどっかのテログループが聞いたら泣いて喜びそうな機能だよな、ひそかに町中に持ち込んで一斉蜂起とかできそうだし。


(『アイテムボックス』は衣類商や薬剤商などと職業によってそれぞれ専用の物が有るが、どれも勇者の言葉でいう所の『大人の事情』のせいで様々な制限がかけられておる)


 大人の事情って、多分色々と利害関係なんかが有るんだろうけどさ、せっかくのファンタジーなアイテムが色々と台無しになって無いかこれ。


 俺がそんな事を考えている間も他の連中は着々と戦闘準備を進めていた。



お気に入りユーザが御一人いつの間にか退会してました。

彼の書いてた小説は私のよりもお気に入りがいっぱいいたのに……


H27年7月26日 誤字、句読点、改行、鉤カッコ修正しました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ