表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
80/694

80 鬼族との決戦

今回は丸々バトル回です。


「プテックゆくぞ『狂化』ガアアアアアア」


 言葉と同時にミムズの目が大きく見開かれて槍を構える腕やプテックの体を締め付ける両足に力が籠っていく。


(完全に『狂化』を使ったようじゃな、こうなると考えなしに戦う戦闘狂となってしまうがどうするつもりなのやら)


 まじっすか、てことは作戦も無しでガチンコ勝負って事かよ。


「グラガアアア」


 目の前まで来ていた一頭のオーガの振り落としをかわすと同時に飛び上がり『切り裂きの短剣』で首筋の頸動脈を切断する、よし予定通りだ『軽速』と『切り裂き』の組み合わせならオーガ相手でもなんとか戦える。


 首筋から大量の血を噴き出すオーガが出血多量で絶命し崩れ落ちるのを横目に、あれ。


「フンガアアア」


 おいおい噴水みたいだった出血が完全に止まったぞ、どうなってるんだよこれ。


(短剣の傷は細いからの、おそらくは強靭な筋肉を収縮させて無理やり傷口を塞いだのじゃろう)


 なんだよそのバトルマンガで出てきそうな脳筋能力は。


「ウラガアアアア」


 ほとんどダメージがなさそうなオーガが再び腕を振るって攻撃してくるのを後ろに下がって避ける。


 ゴブリンの時みたいに血管を攻撃して倒すのはムリか、それなら直接内臓や急所を破壊してやる。


 大ぶりの一撃をかわしてバランスを崩したところで背後に回り、背中から心臓をめがけて短剣を深々と突き刺す。


 ふう、雑魚モンスター風情が手間取らせやがって、おや。


「レンガアアアア」


 おいおい、ぴんぴんしてるんだけどこれ、場所間違えてないよね人型なんだから心臓の位置は一緒だよね。


 背中をかくように回された爪を飛び上がって避けて一度距離を取るけど、どうなってるんだよこれ。


(ふむ、おそらくは胸や背中周りの筋肉が厚すぎて刃先が心臓まで届いてないのかもしれぬの)


 また脳筋かーーー


 ふざけるな筋肉だけで何でもかんでも解決してんじゃねーよ。


「こうなったら、筋肉で守れないところを突き刺してやるよ」


 飽きることなく俺に向かってくるオーガの腕を足場にして肩の上へ飛び乗り、すぐ目の前にある頭のてっぺんから短剣を根元まで突き刺す、これならさすがに。


「エンガアアアア」


 ちょ、短剣抜いた瞬間に何ともなかったみたいに噛み付いて来たんだけど。


 俺を殴ろうとした手を肩から飛び降りて避けたら自分で自分の頭殴って自滅してやがる、うーんグーパンは効いてるっぽいよな、こないだミムズが槍で顎から突き刺した時は倒せてたのに何でだよ。


(そういえば、以前に『勇者』がオーガを倒した際に気付いたのじゃが、オーガは体に比して脳が小さいのじゃ。もしかすると小さな傷では脳自体にうまく当たらない場合が有るかもしれぬの、頭を狙うのならば武器の周辺部分も破壊できるようなスキルを使う必要が有りそうじゃの)


 なにそれ、また脳筋的な理由かよ、そんな理由でこっちの考えた戦法を尽く無効化するってどういう事。


(しかしこうなると、お主では『金的』か『目潰し』くらいしか効果が望めんのう、それも難しいかもしれぬし)


(難しいってのはどういうことだ、小さな傷でも積み重ねれば効果が有るんじゃないか)


(お主、『鑑定』を見ておらぬだろう、オーガの群れの奥の方へ目を凝らしてみよ)


 ん、奥の方だってまた高レベルとかいたりするのかな。


ポイズンオーガ LV14

技能スキル 格闘

戦闘スキル 毒手 毒爪

身体スキル 腕力上昇 速度上昇 毒生成 毒耐性


オーガ・メイジ LV11

技能スキル 火魔法 土魔法 吠声詠唱

戦闘スキル 火弾 土弾 火矢 土矢 土筍 火拳

身体スキル 腕力上昇 火耐性 


 げ、なんだよこれ毒に魔法って脳筋らしくない能力だろ、ずるいぞ腕力も有って硬くてさらに特殊能力や魔法なんてさ。


(そ奴らでは無い更に奥じゃ)


 まだいるってのかよ。

 

オーガ・ヒーラー LV18

技能スキル 回復魔法 戦闘指揮

戦闘スキル 創傷回復の指 癒しの手 解毒の爪

身体スキル 腕力上昇 食肉回復(MP) 知力上昇


 回復ってことはせっかくダメージを蓄積させたり戦闘不能にしても奴に回復されるかも知れないってことか、しかも『戦闘指揮』までもってやがるし。


(こうなると、回復される前に止めを刺すか、回復不能な大きさの傷を与えるしかないじゃろうな)


 となると俺がアタッカーってのは厳しいかな、俺が足止めしてアラやミムズに止めを刺させるって感じか。


 まあでも目潰しでも回復させるまでは効果が有るし、大量に潰せば回復の順番待ちが出来るしヒーラーのMP切れを狙えるか。


 問題はアラの魔力やミムズの体力がどこまで持つかだよな、飯もまともに喰ってないし疲れも有るこの状態でどれだけ戦えるかだな。


「持つかどうかは考えても仕方ないか、今は効率よく潰す事と万が一そうなったときの対処法だけ考えれば」


 理想はヒーラーを優先的に撃破する事だけど、向こうも自分で解ってるのか左右にポイズンとメイジを置き、更に周りを数体のオーガに囲ませてる。


 オーガの間を飛び回ってそれを確認しながらチビチビと傷を負わせたり、可能なら目潰しをしたり、攻撃を誘ってオーガの同士討ちを誘ったりしてるけど、俺一人じゃ絶対勝てなかったなこれ。


「一体だけなら『青毒百足』の時みたいにできるんだけど」


「リャー『三段撃』『風槍』」


 俺が足止めした二体のオーガの胸にアラのスキルと魔法がそれぞれ突き刺さる。


(剣の腕もさることながら弓の腕も見事じゃのう)


 まあ確かにな、一発じゃ心臓まで刺さらないからって二発目三発目の矢を一発目の尻に当てて押し込むとか、無茶苦茶じゃね、うん、アラなら船の上の扇も余裕で撃ち落とせそうだな。


(とはいえ弓も魔法も威力の高い物を使っておる。消耗には気を付けよ)


 解ってるってそんなのは、ミムズ達の方は大丈夫かな。


「オオオ『強撃刺突』」


 プテックの上に跨ったミムズの槍が一撃でオーガの胸に大穴を開けると、すぐさまプテックが巨体に似合わない素早さでオーガたちの間を飛び跳ねて距離を取る。


「ゆくぞおおお」


 騎乗したままで槍を構えなおしたミムズを載せたままプテックが跳躍し、一体のオーガの目の前に着地する。


「はああ『貫通槍撃』」


 また一撃で倒しちゃったよ、このあいだとは全然違うじゃねえかよ、そりゃ自信満々で突っ込むわけだわ。


(これはまた息の合った連携じゃのう)


(確かにすごいが、連携なのかこれは)


 絶命して崩れ落ちるオーガから距離を取ろうとしたプテックに三体のオーガが詰め寄るが、鋭い爪と牙で牽制している間にミムズが溜めに入る。


『乱突槍』


 ミムズの近接範囲スキルがプテックに群がっていたオーガを襲った直後にプテックがまた飛び退く、仕留めれはしなかったけどかなりのダメージだから回復しない限り戦闘復帰はムリそうだな。


 数頭のオーガが瀕死の三頭を持ち上げてヒーラーの方へと運んでいく、おお仲間を庇ってるよ、でもこのおかげで前線のオーガは減ったな、そう言えば戦争物であったよな、敵を殺すより重傷にした方がそれを助けようとする人数が必要になるからより多く敵を減らせるって。


(確かに良い連携だな、プテックが牽制してる間にミムズが大技を決めるって事か、消耗したら役割を交代してもいいしな)


(それだけでは無いじゃろうが)


 あれ、違ったのか、じゃあなんだろう。


(プテックの動きとミムズがスキルを放つのをよく見てみよ)


 お、またプテックが仕掛けた。オーガの手前で跳躍して頭上を飛び越える。


『降槍衝』


 プテックの上から身を乗り出したミムズが槍を突き降ろしてオーガの頭を潰す。


(まさか、動きとスキルが連動してるのか)


(その通りじゃ、本来ならば無防備な溜めの時間は距離を取り、ミムズがスキルを放つ瞬間に最も威力の出る場所へプテックが飛び込んでおる、これならば機を計る必要もなく大技を撃ち放題じゃ、両者の息が完全に合っておらねばこう上手くは行かぬぞ、人馬一体という言葉が有るがさてこれは何と呼ぶべきか)


 なんだラクナがべた褒めじゃねえか、まあ確かにすごいけど大技の弱点をカバーして機動力までつけてるってんだから、まあ狭い室内なんかじゃ出来ないだろうけど逆に考えればここみたいな屋外じゃかなり有効って事だもんね。


 これはもしかしたら行けるんじゃないかな、半分までは行かないけど三分の一くらいは仕留めたし、残っているのも何割かは結構なダメージを与えられてる。


(おそらくアラはもうすぐ限界になるぞ)


 確かに今までつかったスキルや魔法の量を考えるとそうだよな、魔法なんかは何発か外してたし、スキルの方は体力が低いからすぐ限界だもんね。


 アラの持ってる薬類は使い切ってるだろうから、一度下がって合流して俺の持ってる分の薬を渡すか。


 オーガはミムズ達の相手で手いっぱいみたいだから短時間なら俺が牽制しなくても大丈夫そうだし。


「俺はいったん下がる、すぐ戻るからそれまで頼む」


「解った」

「リョー殿ここは我々にお任せあれ」


 二人の返事を確認して、アラの下へ一気に走る。


(待て後続の鬼共が動きだしおったぞ)


 まさか俺が動くのを狙ってたってのか。


「グガガガガガア」


「くう」


 オーガ・メイジが叫び声をあげると同時に、プテックの足元の土が盛り上がり地面から突き出してきた土の槍がプテックの腹に突き刺さる。


「プテック大丈夫か」


「まだ、行ける」


 動きの止まったプテック達に三体のオーガが同時に肩から体当たりをし、ミムズとプテックの体が弾き飛ばされる。


「グギャギャガ」


 再度土の槍が倒れたプテックの足を貫き動きを止め、そこへ数頭のオーガと共にポイズンオーガが爪を振りかぶって襲いかかる。


「プテーック」


「あ、姉さま」


 プテックの前に飛び出したミムズがオーガの前に立ちはだかる。槍を振り回して数体の爪を弾くが捌き切れなかった爪が鎧を突き破りミムズの背中から突き出る。


「プテック下がれ俺が助ける」


『風砂』と『雷炎』の指輪を発動させて出せるだけの砂と火を作り『念力』を使う。


 ミムズの近くにいたオーガの顔を火が覆い目を砂が潰す。


「グガアアア」


 顔を押さえて蹲るオーガの間を抜けてミムズを抱え上げてからアラの方へ駆け出す。


「乗って、引く」


 アラの襟を咥えリサを背中に乗せたプテックが俺に並走するとその背中にミムズを押し上げてから飛び乗る。








「ここまでくれば大丈夫だろう、あの魔法じゃ大した効果は無いだろうが、それまで大分ダメージを与えた。直ぐに回復は出来ないだろう」


 気絶したミムズを地面に横たえたプテックが『人態』に戻り自分の手首を噛もうとする。


「よせ、プテックもダメージが有るだろう」


 慌てて腕を掴んで止めるけど、あんまり暴れないでほしいな俺の力だと押さえつけるのは大変だし。


「ダメ、姉さま、治す」


 ただでさえ怪我をしてるのにこれ以上出血したら危険だろう、それにミムズが発情したら俺が困る。


「これを使え」


『アイテムボックス』から『馬のふん(略)』と残っていた回復薬を取り出す、これだけ有ればミムズもプテックも全快するだろ、でもこれで薬品類のストックはゼロか、退却時に追ってきた数体を撃砕するのにアラを回復させてスキルや魔法を使っちゃったし。


「これは」


「俺の奥の手だ、いざって時用だから今使うしかないだろう」


「ありがとう」


 プテックが薬を飲ませると、見る見るうちに傷がふさがりミムズが目を覚ます、うわ魔法薬の回復って傍から見ると結構気持ち悪いもんだな、俺って毎回こんなことやってたんだ。


「ここは、リョー殿、プテック」


「気が付いたか、痛みはどうだ」


「大丈夫だ、負けたのだな自分達は」


 仰向けに寝転んだままミムズが両腕で顔を覆って呟くのにそのまま答える。


「経過はどうでもいいだろう、最終的に目的を達成すれば俺達の勝ちだろう」


 仕事だってそうだよな、途中まで上手く行っても最後の最後で失敗すれば契約は取れないし、最初が上手く行かなくてもその後で失敗を取り戻せれば何とかなる時もある。


「とりあえずは少し休んでこれからどうするか考え……」


「リャー、あれ、あれ見て」


 俺の言葉を遮ったアラの指差す先には集落の方向から上がる大きな炎が有った。


1月14日リサを戦場に放置して逃げてたのでその部分修正しました。誤字修正しました。


H27年7月17日 誤字、句読点修正しました。

H27年7月20日 誤字修正。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ