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76 話し合い

今回も無事二日連続投稿できました。

そのせいで『奴隷侍女』は止まってますが。

今回はちょっとだけ暗めな会話や説明会です。

 焚き火を囲みながら、リサから村の状況を聞いているけどこれは。


「家は二、三十軒が密集して真ん中に広場と集会所、南と西は畑って事で間違いないな」


「はいそうです」


(畑では見晴らしが良いじゃろうな、そこを進めば村に着く前に見つかって囲まれかねぬ)


 だよね、ただでさえ劣勢なのに正面からってのは無理だよな、となると。


「北側の林はどの位の間隔で木が密集している、東側の丘の傾斜はどの位だ」


 隠れて接近するなら林だけど、もし鬼の見張りがいたりしたら鉢合わせになるリスクが有るよな。丘はおびき寄せて迎撃するなら上を取れる分有利だけど、傾斜が緩きゃ効果は無いし、隠れる所が無きゃ罠も張りにくいだろうな。


「林は家の近くはある程度は木を倒してますけど、五十歩も歩けば村からは見えにくいです」


 潜入にはちょうどいいのかな。


「丘は結構急で、大人の人でも走って登ろうとすると息が上がります」


 それならちょうどいいかもしれないか、まあ実際に見てみないと何とも言えないけど。正確な地図が有ればまた違うんだろうけどこの世界にはク〇〇ルマップもゼン〇ンもないだろうからな。


「解った、ありがとう、疲れているだろう休んでくれ」


 今日は一日中歩いたもんな、戦利品を載せたリヤカーを放棄してまで急いだからペースもかなり早かったもんな。


 頷いたリサが少し離れたところで毛布にくるまると、代わりの様にミムズが寄って来るが、あんまり話はしたくないんだけどな。


「すまないなリョー殿、無理を通してしまい」


「そう思うなら、今すぐ街に戻るんだな」


 いまからでも間に合うと思うんだけど。


「それは出来ない、なにが有ろうともだ」


 でしょうね。


「それで何か話があるのか、できるなら寝たいんだが」


 他に空腹を誤魔化す手段がないもんな、アラも疲れて寝ちゃったけどさっきまで、お腹すいたって連呼してたし。


「リョー殿の意見を聞きたくてな」


「意見」


 なんだ、損得勘定の仕方か、それなら考えを改めるまで徹底的にしてやるぞ。


「自分の戦い方をみてどう思ったのかを聞いてみたいのだ、昨日の戦いでリョー殿は1人で三体のオーガを無力化したが、自分たちは一対一では勝てながら二対三では全く手出しができなかった。リョー殿ならば今までの自分たちの戦いを見て何が原因か解るのではないかと思ってな」


 数が多いと勝てないって自分で解ってて、あえて敵地に飛び込むってどういう精神構造してるんだろう。まあそこは言うだけ無駄だろうからとりあえず助言しておくか。


「オーバーキルが多いな」


「おーばーきる、なんだそれは」


 あ、この世界にはそう言う概念ないんだ、『勇者』とかが持ち込んでそうな気がしたけど。


(まあ、『勇者』自体がオーバーキルばかりしておるからの)


 首飾りさんは知ってるんだ、まあ確かに自分を否定するような言葉はあんまり広めないかもな。


「簡単に言えば『火槍』の魔法で殺せる相手にわざわざ『溶岩密封』を使うようなものだ、ただ戦闘不能にするだけならより威力の低い『火矢』や『火弾』で十分の場合もある」


 ミムズは大技を使いたがる傾向が有るからな、最初のゴブリン撃退の時もさ、止めは後でも出来るからともかく短時間で数を減らせって俺は言ったのに、タメの必要な一撃必殺技を連発してたから。


 低威力だけどもっと短時間で広範囲をカバーできるようなスキルだったら魔法も食らわなかったんじゃないかな。


「それが何か悪い事が有るのか、確実に相手に止めをさせるのならより威力のある攻撃をすべきだろう。低威力のスキルだと予想よりも相手が強い場合や、狙いがずれて急所を外した場合は仕留めそこなうだろう」


 確かにそれは一理あるよな、ギリギリよりも多少余裕を持った方が仕事なんかでも上手く行くし。


「確かにこちらが有利で余力が有るならそれもいいだろうな、だが威力のある魔法なら呪文詠唱に時間がかかるし消費するMPも多い、それはスキルも同じだろう」


「確かにそれはそうであろうが」


「大技を撃とうとして隙だらけになるからそこを他の敵に突かれて結局は発動できない。なら相手が付け込めない小技で確実に削って行ったり安全に大技を発動できるタイミングを待つべきだろ」


 一対一の時は出来てたよね、少数での戦闘に慣れてないって依頼の時に言ってたのは本当だったんだな、多分『迷宮攻略』の時なんかは周りを防御役が囲んでくれてたんだろうな、後は一対一の試合や決闘には慣れてるって事かも。


「だがそれでは時間がかかるのではないか」


「安全確実が第一だ」


 建築現場なんかでもそうだよね、事故が有ると全部の予定が狂うって会社の同期が言ってたし。


「安全だと、自分一人の保身よりもより速く敵を殲滅して味方を守るべきではないか」


「小規模なパーティーではメンバーの一人一人が受け持つ役割が大きい、逆に言えば1人崩れればそれだけで全員が危険にさらされかねない、自分を守る事が仲間を守る事にもなるんだ」


 ロープレとかでもあるよね、前衛が戦闘不能になって復活させようとしてる間にどんどん状況が悪化してったり、回復役がやられて敵と味方どっちが全滅するのが先かの勝負になったり。


「たった一人の欠員でそんな事が有るのか」


「昨日のオーガを思い出せば解るだろう、後から来た四体はお前ら三人相手に互角だったが、俺が一体を引き付けただけであっさり全滅した、その逆もあると思わないか」


 ランカスターの法則だったっけ、戦力は兵力の二乗倍とかって奴、それで考えると四人中一人が減るのはかなりの戦力ダウンだよな。


「むう、確かにそれはそうだが」


「お前が一人で暴走して自滅するのは勝手だが、それに巻き込まれる方はたまったもんじゃないぞ」


 ほんとにね、今回の作戦だってそうだし、まあ言っても聴かないんだろうけど。


「ついでに言えば今回みたいに多数を相手にする場合は体力やMPの残量も気にしないとならない、一人がスキルを使えなくなるとどうなるかは今までの話から分かるよな」


 解ってくれよ、その位の理解力は期待してもいいよね。


「だが、リョー殿はスキル無しで戦っておられるではないか」


 うわ、そう来るかよ。


「俺はスキルが嫌いだからな、それに俺の戦い方はスキル無しでの戦闘に特化させたものだからな」


(クク、スキル嫌いとは言うのう)


 この首飾り今まで黙ってたくせにいきなり突っ込んできやがって、だが嘘は言ってないぞ使えないスキルや魔法の事なんて考えるだけでも嫌になるから、まあどうやって相手のスキルの裏を突くかとか考えるのは好きだけどね。


「ならばそれを自分にも教えて貰えないだろうか」


 なにを無茶苦茶言ってるんだこの熱血女騎士は、俺だってラクナの特殊能力で十数年分の鍛錬をしてきたからなんとかなってるってのに。


「無理だ、それよりももっと相手や状況に合わせた効率のいい戦い方を自分なりに考えるんだな」


「そう言われてもな、どうすればよいのか」


 うーん、こればっかは人それぞれの特性もあるし、今までの積み重ねをリセットして一からって訳にも行かないもんな、取りあえずミムズの欠点はスキル頼みの力押しになりがちな点だよな。


(柔道でも教えてみればどうじゃ)


 柔道か高校の体育でしかやった事ないんだけどな、てか何でこいつが柔道を知ってるんだ。


(以前の『勇者』から教わったのじゃ、何と言ったかのケイ、ケイ、うーんほれお主らの国で巡邏兵の事をなんというたかの)


(警察官の事か)


 それならまあ、柔道が出来るのも解るかな確か警察はみんな有段者なんだよね、昔繁華街で暴れる酔っ払いを取り押さえてるの見たけどすごかったもんな。


(そうそれじゃ、なんでもあ奴は柔道が得意だったらしくての、こちらにいる間に腕が鈍らぬよう儂が対戦相手を務めておったのじゃ)


 なるほどね、あれでもという事はその人は日本に帰ったって事か。


(お前の他に柔道を教わった人間はいるのか)


(当時の仲間などには教えておったが、あ奴は早々に帰ってしまったからの基本的な事までしか習得しておらなかった)


 そんなに急いで日本に帰ったのか。


(なんでも追いかけておるヤマがどうとか言って焦っておったが、お主らの世界では山脈が移動して逃げ回るものなのかの)


 いやそう言う訳じゃないだろ、ヤマってあれだよね刑事ドラマなんかで事件の事なんかを差して言ってるやつ。


(向こうではある種類の仕事内容を差す隠語みたいなものだ)


(なるほどそう言う事であったか、ずれてしもうたな話を戻そう、先ほども言った通り儂は柔道の仕方を以前の『勇者』より教わっておるし他にもプロレスやいくつかの格闘技などもできる、なので儂がお主を指導し、お主がミムズ達に伝えればよかろう)


 確かに毎晩こいつに教われば数日で習得出来そうだけどさ、ミムズに伝えて意味が有るのかな。


(騎士のミムズが使うのは槍と剣だろう、格闘技を教えてどうするんだ)


(別に柔道を実戦で使わせろと言うつもりではない、投げる前に相手の姿勢を崩す過程や、自らの力をほとんど使わぬ投げ技、立ち技から寝技更に別な寝技への移行などを知る事は、戦い方を考える上での良い手引きとなろう)


 なるほどね、でもまあ俺の負担が大きい事はしょうがないのね。


 溜息を一つ吐いてからミムズに向き直る、あ、アラは寝てるよね目の前で溜息つくと怒られちゃうから。


「解った、今すぐは無理だがオーガの件が片付いたらなにか考えておこう」


「すまぬなリョー殿、恩に着よう」


 やっとミムズが休んだか、さて交代の時間まで見張りをするか。


(それにしてもお主も変わったの)


 ん、なんだまだ話が有るのかな、柔道の件は俺が寝てからだろうし。


(変わった、何がだ?)


 特に変な変わりはないよね。


(お主がミムズを止めるかとは思ったが、もしかしたら一も二もなく賛同するやもしれぬとも思っていたのでな)


 そりゃすごい、それならどっちにしても正解できるじゃないか今は昼か夜のどちらかだと言ってるみたいなものだし。


(お主は否定するかもしれんが、今までのお主の行動は他者の為にというものが少なくないからの。ゴブリンに襲われた村を抜けた時しかり、『蝙蝠の館』で戦って来た時しかり、ユニコーンにまつわる一連の件しかり)


 それはたまたまだろう、傍から見たらそう感じるかもしれないけど。


(それらの戦いでお主は自らが傷つくことを全くいとわん、その姿勢は儂も評価しておる)


(『超再生』が有るから、気にせず出来るだけだ)


 何を勘違いしているんだよこの首飾りはさ、そんな事は……


(まあ、そう言う事にしておこう、そういうお主だから捕らわれている者達がいると聞けば助けに行くと思ったのじゃが)


 ああ、もう、ここで説明しとかないとどうせこの首飾りの事だからまた説教じみた事を言うか、変な勘違いをしたままうるさそうだな。


(今までは、ほかに手段や時間がなかったからだ)


 ゴブリンの村の時は、他に戦力の当てはなかったから俺が何とかしなきゃ数時間後には行商の家族がやられてた。


 みんなを連れて『蝙蝠の館』に入った時も俺達だけでどうにかするしかなかったし、俺にはみんなをあそこに連れて行った責任が有った。


 ユニコーンの隠れ里が襲われた時も俺達以外にはヤッカしかいなかったし、さらわれたユニコーン達が『寒暑の岩山』を出たら追跡も襲撃も難しくなっていた。俺にはその程度の力しかなかったからすぐにカミヤさんを頼ったわけだし。


(それだけにまさかお主が、あそこまで冷静に言うとは意外であったわ)


(ミムズにも言ったが、失敗したら誰も助からないんだ、それなら少数の犠牲でも助かる方法が良いと思っただけだ)


 SFや災害もの映画や小説であったよな『方程式もの』とか『沈没船での救命ボートや浮き板の取り合い』、ああ後は討論番組でトロッコにひかれる人がどうとかなんてのも有ったっけ、他にも医療ドラマや戦争物でもあるよね。


 そう考えるとよくあるパターンなのかな。


(それであってもお主が他者の命を区別できるとは思わなかったぞ)


(前に一度やった事だからな)


 こういうのは一度やると二回目は罪悪感が薄くなるってのは本当みたいだし。


(以前に、勇者になる前のはなしかの)


(ユニコーン達がさらわれた時だ、俺はユニコーンの命と冒険者の命を秤にかけて冒険者を皆殺しにする事にしただろう)


(じゃがそれは敵の事じゃろう、相手は人攫いの悪党じゃぞ)


(解らない話だろう、俺は冒険者たちの話を数人からしか聞いていないんだからもしかすればきちんとした理由が有ったかもしれない)


 前も考えたよな、あの中に病気の家族のためとかどうしても金が必要な事情が有った奴がいたかもしれないって、それでも俺は皆殺しにしたんだから。


(どちらにしても人命なのは一緒だ)


(それならばなぜ、『青毒百足』の際はキッシュ達を見逃したのだ、まして金まで与えて)


(あの時はもう勝負はついてた、なにが有ってもあれ以上は俺に危害を加えるおそれがなかったし、実害が有ったのは俺達だけだからな、もしどちらかが違っていたら結果も違っていただろうけど)


 それに、同情の他にも多少の打算も有ったしな。


(あれでお主が軽く見られれば群がってくる敵も多くなるじゃろうに)


 だからってね、見せしめってだけで無抵抗の連中全員の首をはねられるほどメンタルは強くないから。


(やれやれ、結局はお主が甘いという事じゃろうな、なんだかんだと言ってもこうしてミムズに付きおうておるのだしのう、この状況下でも出来るだけ何とかするつもりなのじゃろう)


 この野郎勝手に人の頭の中を読みやがってうるせえんだよ。


(なんであれ俺にとって今はアラが第一だ何かあればアラだけを抱いて逃げ出せばいいだけだ)


(そう言う事にしておこうかの、お主は口で言っている割には考えなしに突っ込んでいくが、結局はその場で臨機応変に事を運ぶゆえの)


今回と前回のリョー君の言動をこんなふうにした私の理由を昨日の活動報告に書いてますのでもしよければそちらも。


次回は久々に奴隷娘たちにするか、それともVSオーガの大決戦にするか悩み中です。


H27年7月5日 誤字修正しました。

H27年7月13日 句読点修正。

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