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74 獣の血

えー今回ちょっとアレな表現が……



 クソ、追加で四体かよ。


(どうするのじゃこのままではアラたちと交戦することになるじゃろうが)


 そんな事は言われなくても解ってるんだ。


 落ち着け問題が発生した時の対処法なんて決まってるんだ、どんな問題だって基本は一緒だ。


 まずは状況の把握と分析、次に優先順位を付けて悪化の防止と状況改善対策。


 よし、まずは状況分析だけどっ。


「グラアアア」


「ガギャアアア」


 ああもう、この二体が邪魔くさくて考えにくい、とはいえ引き付けない訳には行かないし。


(フム、新手は四体いずれもメスなのでお主と相性は悪いの、レベルやスキルは今までの者と変わらんの)


 代わりに『鑑定』して教えてくれたのか、たまには気が利くねえ。


(現状は二体を撃破し二体を無力化、そこへ四体追加じゃから状況は変わっておらぬという事か、先ほどまで四対六で上手く行っておったのじゃ、同じ四対六ならば)


 なわけないだろう、ミムズとプテックは解らないが、アラは疲れが出だしてるだろうしMPも結構使ってる。


 それ以上に四対六って言っても、今までは俺が一対三で向こうは一対一が三つだったのが、今回は三対四しかもこっちは連携が出来るか微妙だってのに。


 とりあえず状況はやや悪くなったってところかな、俺がもう一体か二体を引き寄せれてアラが休めれば元に戻せそうだけど。


(む、追加の情報じゃが、人質がいるようじゃぞ)


(どういう事だよそれは)


 鬼に人質なんて考え方が有るのか。


リサ

村娘 LV2

生活スキル お手伝い 噂話


 HPがだいぶ減ってるな弱っているのか。


(正確には保存食じゃろうな、鬼族の一部には新鮮な肉を好むものがおるし、死せば肉の腐敗が早まる。ゆえに喰いきれぬ分を逃げられぬようにしてから連れ歩く場合が有るのじゃ)


 最悪の理由だな、とはいえ生きているのならまだ、いやこの状況なら。


(それでどうするのじゃ)


(目的はオーガの撃破、それが無理ならメンバーの無事な撤退って所か、全員を助けられない場合の優先順位はアラ、ミムズ達、最後がリサだ、もしアラが危険なら『軽速』や『切り裂き』も使うからな俺にとってはアラの無事が最優先だ)


 いやな考え方だけど、俺だけで全部助けられると思うほどうぬぼれちゃいないから。


(それは仕方ないじゃろうな、とはいえ奥の手を使うのは最後の最後にするのじゃぞ、ミムズ達にお主の手の内を知られるのは得策ではないじゃろう)


 まあ、ミムズ達が何とかしてくれそうな気もするんだけどな。


「ギャラアアアア」


 ああもう、こいつらしつこいな、一体だけでも倒せれば何とかなりそうなんだけど。


 また振り落としかよ、オスが上空から放ってきた拳を左に避けたっていうのに、目の前にメスの足が。


 くそ誘導されたのか、これは俺を踏みつけるつもりかよ俺にそんな趣味は無いぞ。


 剣先を地面に突き刺して斜めに構えるこれで受け流せれば。


(ゴブリンズソードの強度が持てば良いのじゃがの、大丈夫だとは思うが当たり所によっては)


 頼むから持ってくれよ。


「グアアア」


 メスの足裏が剣の刃に当たるけどやっぱり切れる様子は無いか。


 両手で剣の柄を支えて角度をつけて受け流すけど、オスが後ろに。


「グルああああ」


 まだ完全に受け流しきれてない、力がかかってるから剣は動かせないけど、このままだとオスに殴られる。


(ラクナ、剣の切れ味を上げる方法は無いのか)


(あるぞ)


 それを早く言えバカ首飾りが。


(ゴブリンズソードのレベルをもっと上げてから、腕の良い鍛冶師に……)


 このバカ首飾り、今使えないネタを言ってどうするんだ~~


 腰のアイテムボックスを外して口をゴブリンズソードに当てる。


 一瞬で剣が収納され、突然支えを失ったメスがバランスを崩したのに合わせて足元から転がり出す。


「グルウルル」


 俺の背後を狙っていたオスの一撃がメスの腹に入る、やっぱり痛そうだな。


 こっちは時間稼ぎなら何とかなりそうだけど向こうはどうだ。




「これで『凍結』」


 ミムズの魔法が一体の片足を凍らせると、その前でミムズが槍を構える。


「食らえ、豪……」


 スキルの為に構えていたミムズの側面に回った別なオーガが拳を、マズイ今のミムズだと。


「く、おのれ」


 スキルを止めてなんとか避けたか、でもこのあいだに動きを止めたオーガは氷を砕いて自由になっちゃったな。


「これなら、どう」


 プテックが斧を水平に振ってオーガの足を止めようとするけど、別なオーガが斧の腹を叩いて軌道をずらす。


「もう一度」


 斧を構えなおしたプテックが上段から斧を振り回すが横から突き飛ばされて姿勢を崩してねらいを外す。


「これではらちがあかないではないか」


「邪魔ばかり」


 まずいなミムズ達は二対三で空いてるオーガ一体が牽制役になって二人の攻撃がまともに決まってないか。


 そうだ、アラは。


「はあ、はあ、まけないもん『強刺突』」


 疲れが出てきるよ、大丈夫かなアラ。スキルもさっきより消耗しにくいのになってるから威力も少ないし。


(これは不味いのう)


 だよね、今は膠着状態だけど体力差が有るだろうからこのままだとジリ貧かもな、となれば。


「俺がやるしかないか」


(それはそうじゃろうが、どうするつもりじゃまずはお主一人でオーガ二体をどうにかせねばならぬのじゃぞ)


 そんなの解ってるよ、俺じゃ小さな斬り傷しかつかない硬い体に一撃で岩を砕く拳かよ、どう攻めるか。


「グガアア」


 オスの右手を躱したところにメスが両腕で抱きついて来る。


 ベアーハグが狙いか、ミーシアとかからなら嬉しいけどムキムキのメスオーガに抱き着かれて喜ぶ趣味は無い。


(気を付けよ抱き着かれれば、背骨が折れるどころか体が押しつぶされるぞ)


 こえーよ、抱き着かれたらアウトとかさ。


 何とか地面を転がって抱き着きを避けるけどすぐオスが殴りかかってくる、こいつら意外と連携がうまい。


(ふむ、お主のセコイ攻撃もなかなか効果が有る様じゃの)


(どういう事だ)


(オスを見てみよ常に片手で股間を守っておる故に両手が使えぬ)


 そうか、確かにそうだよなオスは片手だからその分は攻撃回数が減ってるのか。


 待てよこれだとバランスもとりにくいから威力も減るんじゃ、ロボットアニメとかであったよなそんな設定、てことはラクナの言うとおり『金的』を警戒させるのは有効かも。


 それとあれか、さっきは偶然だけどあのシチュエーションもマンガなんかであったよな。


「よし、これで行こう」


(何か策を思いついたようじゃな、お主がどうやるのか見物じゃの)


 オスとメスの攻撃を交互に避けながら二体の位置を調節していく、何とかうまくいくようにしないと。


 出来るだけオスの近くから離れずに空振りを連発させ、メスとは少し距離を取ってタイミングをうかがう。


「ガアララララ」


 来た、ここだ。


 十分な助走をつけながら両手を開いてこっちに駆けてくるメスに背を向けてオスへと走る。


(いったいどうするつもりじゃ)


 ゴブリンズソードをしまいながらやや姿勢を高くして走る。


「こうするんだよ」


 向かってきた俺を殴りつけようと、片腕を振りかぶる様子から眼を逸らさずに突っ込む。


「グゴオオオ」


 俺の上体を狙って思いきり突き出された拳をギリギリでかわし、その場で前転しながらオスの股の間を潜る。


 アイテムボックスから一番長い槍を取り出す。


「これでどうだ」


 オスの股の間に槍を通して穂先を前に踏み出した右の足首に、柄を後ろ側に有った左の膝裏に当てる。


「こけろーー」


 石突に全体重をかけて前に押し込む。


「グ、グガガ」


 てこの原理で膝裏を押されたオスがそのまま前方へ数歩たたらを踏む。


「よし狙い通りだ」


 よかったー


「グギャア」


 突進してきたメスとオスの頭が衝突し、オスがメスを押し倒すように倒れる。


 よしこの位置なら。


 ゴブリンズソードを取り出して俺に尻を向けて四つん這いになっているオスに向き直る。


「ガアアアアア」


 剣で思いっきり股間を斬り上げられたオスの悲鳴を無視して巨体を回り込む。


(儂が言うのもなんじゃが、これは惨いのう)


 まあ、蹴っただけでも効果が有るのに剣で思いっきり斬ったんじゃあね、想像しただけで背筋が。


 泡を吹いて気絶するオスに圧し掛かられて身動きの取れないメスの頭側に回って剣を構える。


「ガ、ガ、ガア?」


「悪いな」


 納得の出来て無さそうな表情を浮かべたメスの喉に剣先を当てて、俺は一気に剣を突き落した。





「すまぬなリョー殿のおかげで助かった」


 最初に目を潰したオーガに止めを刺したミムズに手を振りながら水筒の水を飲む。


 疲れたほんと疲れた、『軽速』『切り裂き』無しとかどんな縛りだよほんと。


(いやはや、お主の戦い方はやはり飽きぬのう)


 まあ、あの二体を倒してからは余裕だったからよかったけど、俺が一体を引き受けて、ミムズ達を一対一に持ち込ませれば二人はすぐに勝負を決めてくれたから。後は二人に手伝ってもらって俺とアラが相手をしてたオーガを後ろから倒してもらうだけだったから。


「リャーこっちきて」


 ん、アラが呼んでるな、どうしたんだろう、そうだ村娘。


「はあ、はあ、はあ」


 呼吸が荒いな、やっぱりHPも減ってるし、何より両足が折られてる。


「リャーどうしよう、ミーシャいないし」


 そうだよな、ミーシアがいれば回復魔法が使えるけど俺達はもちろんミムズ達も職業を考えれば回復魔法は使えないだろうな。


(『聖馬の不苦無痛丸』ならばこの程度の傷は治るじゃろうが、お主の持っている他の薬では難しいじゃろうな、最低でも魔法薬程度の効果が無くばな)


 略称『馬のふん』か、だけどあれは今ある最後のストックだ、カミヤさんのとこに行かないと補充は無理だしもしかしたらできないかもしれない。


 今ここで使って、この先もしアラに何かあったらこないだの事も有るし今日だって危なかったかもしれない、でもだからってここでこの子を見捨てるのは。


 どうする、使うかどうか。


「この傷なら手持ちでは無理だな、プテックできるか」


「いいの姉さま」


 プテックが意外そうに聞き返してるけど、何か手が有るのか。


「リョー殿達ならば見られても問題ないだろう」


「それなら、大丈夫」


 なんだプテックがナイフを抜いてどうするつもりだ。


「ん」


(これはなんのつもりなのじゃ)


 プテックが手首を切って血をリサに飲ませてるけど何か意味が有るのか。


「プテックの血には回復と体力上昇の効果が有るのだ、解っていると思うがリョー殿これは……」


「他言無用って言うんだろう、そんな事はしない」


 そんなスキルが有るのかよ。


「であろうな、リョー殿であればそう言うと思ったから我らも秘密を明かしたのだからな」


(ラクナこれはなんてスキルだ)


(儂も聞いた事がないのだ、血で回復などフロアボス級の魔物ではまれにあるが、獣人が持っているなど初めてじゃ)


 てことは相当なレアスキルって事か、まあ俺には使えないけど……


(おそらくは種族的な物では無く、個人で取得、あるいは家系で受け継いできたものじゃろうが、む、これは)


(どうした)


(『鑑定』をみてみよ)


『鑑定』がどうしたってんだよ、あれ。


リサ

村娘 LV3

生活スキル お手伝い 噂話

異常状態 発情


 なんか変な『異常状態』が付いてるな、それにレベルもどうなってるんだ、これは聞いてもいいのかな。


「細かな傷も塞がったし足の骨も繋がったみたいだな、大したスキルだがプテックは大丈夫なのか」


 とりあえず関係ありそうなとこから探ってみるかな。


「問題ない、『自動回復』スキル、ある」


 ほんとだ、もう血が止まってるし傷口も少しずつ小さくなってる。


「このスキルは小さな部位欠損程度までなら治せるが、血を失う分プテックの負担も有るし、何より副作用が有るので戦闘中は使えんがな」


「副作用」


 あ、それってひょっとして。


「かなり強い催淫作用が有るのだ、この者に連れ合いでもおればその者に鎮めさせるのだが」


 やっぱりそっち系か、というか鎮めるってあれか、発散って事ですか。


 おいまさかこっちを見て何を言わせたいんだこの戦闘狂は。


「俺は無理だぞ」


 うん、出来る事なら立候補してみたい気もするけどさ、さすがに薬でってのは気分的に嫌だし、そもそも俺は『禁欲』のせいで出来ないし。


「そんな事は考えていない、そもそもこれにかこつけて無抵抗の婦女子を手籠めにするような外道ならばこの場で手打ちにしていたところだ」


 そう言えばミムズって、そっち系には潔癖だったっけ。


「それじゃあどうするんだ、疼きに耐えられずに襲われるのは困るぞ」


「仕方あるまい、この娘には済まんが治まるまで縛って置くしかないだろうな」




「あ、ふうううん、あん」


 火の番をしている俺の耳がとっても悩ましげな声を捕える。


 いや仕方ないんだよねこれは、薬のせいだもんね。


 リサはミムズ達によってがんじがらめに縛られている。


 よく見る感じの胸のあたりで何重にもロープを回す縛り方だけど、完全に拘束するのが目的じゃないので、手首は縛らないで前に回してある。


 その結果、リサは自由になる手が有る意味丁度いいところに当たるわけで、自分で自分を慰めてるんだけど、仕方ないとはいえこの声は。


「あ、あ、ああ、うん、ああ」


 とっても耳に悪い……


「う、う、あああああ」


(禁欲中のお主にとっては、まさに禁断の声と言ったところかのう)


 うるせえぞばか首飾り、楽しんでるだろお前。


「はあ、はあ、はあ、あうん」


「リョー殿、そろそろ交代の時間だろう代わろう」


 起きてきたミムズが近くに座るけど、今この状態だといろいろマズイよね、焚き火の明りも有るしズボンだし近くに寄られるとね、特にミムズ相手だとシャレにならない。


「おおおああ、うきゃあん」


「もしかしたら昼間倒した他にも魔物がいるかもしれない、少し周囲を見て回ってくる」


 うん、しばらくこの声が聞こえないところに行こう、最悪誰もいない所に行けば自分でなんとか……


「だが、リョー殿一人では危険ではないか」


 いえ、一人が良いんです、しばらく一人にさせてください。


「だ、だめ、もう、もうだめーー」


「大丈夫だ何かあればすぐに魔道具で火を飛ばして合図する」


「それならば自分も」


 やめて、それだけはやめて。


「姉さま、見張り」


「む、それはそうか、リョー殿、気を付けてくれよ」


 ふう、プテックのおかげで助かった、悟ってくれたのかな。


(獣人族は鼻が良いからのう、おそらくはお主の先走……)


(それ以上言うな)


 ああ、なさけない。



うーんノクターン書いてるせいで、毒されたかな?


三日のPVが初めて一万を超えました~~~~

やっぱり年末年始はお休みだから読んでくださる方も多いんでしょうか。


しかも総合評価が1100超えこの間1000になったばかりなのに、もうこんなに。

それもこれもお気に入り登録や評価、さらにはランキングをポチットしてくださった皆さんのおかげです。


チラッ、チラッ。


もっと押してもいいんですよ~~~


ごめんなさい調子に乗りました読んでくださるだけでも十分です。


H27年6月29日 誤字、句読点修正しました。

H27年7月5日 追加で誤字修正しました。

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