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66 エルフっ子達と貴公子達の事情

前回のままだとせっかくの新ヒロインたちが嫌われそうなので、こんな感じにしてみました。

~アクラス~


「う、ううう」


 熱い、体が熱い、全身が焼けるようだ。


「ぐううう」


 光が眩しい、誰か蝋燭を消してくれ、目が焼けそうだ。


「はあ、はあ、はあ、はあ」


 息が、できな……


「もう、こんなに。待っていてね直ぐ……」


 口の中に冷たく滑らかな物が差し込まれ、余は必死にそれに舌を這わせ先端から滴り落ちる滴を飲み干す。


「う、ああ」


「アクラス、落ち着いたかしら」


 口から指が抜き取られ、代わりに同じ手が水を差し出してくる。


「ああ、世話をかけるなパルス」


「気にしないで、それより薬を飲まないと。毒を消すことは出来ないけれど、発作の間隔を延ばすことは出来るのだから」


「情けない話だな、『HP自動回復』と『毒耐性』は熟練度を上げていたつもりなのだが、たった一撃とは」


 流石はワイバーンというべきか、それとも余の熟練度がその程度だったという事か。


「やっぱり、毒を受けたのはワザとだったのですね」


 双子の姉の声に余の手が止まるが、それだけで彼女は確信したであろうな。


「気付いておったのか」


「私だけではなくて、ミムズやプテックも気付いています」


「そうであろうな」


 なにしろ我らは、同じ目的を共有しているのだから。


「アクラス、こう見えても私は怒っているんですよ。そうまでしたい気持ちはよく解りますけど、貴方の命をかけるなんて。貴方一人の命ではないのですよ」


「解っておる、だが他に手は無いであろう。これが最後の機会なのだ、この機を逃せば自由に国外を回るなど二度とできなくなる」


 王太子である余が国に戻れば家臣共はもう余を外には出さないであろう。かと言って出国の名目であるワイバーン狩りが終わった以上国に帰らない訳には行かぬ。


「そうは言っても」


「パルスお前は良いのか、このまま見つける事が出来ず、もう二度と……」


 余は嫌だ、そんなのは絶対に嫌だ、たとえどんな事が有ろうとも必ず見つけて取り戻す。


「そんな事は……」


「そうであろう、ミムズもプテックも思いは同じはずであろう」


 我らはそのためにこれまで耐えてきたのだから。


「それでも」


 パルスが余の頭に両手を伸ばして、胸元へ抱き寄せてくる。


「私達は貴方を失う事は出来ないのです。ミムズとプテックは私達二人を、私は貴方を守るって誓ったんですから」


「そう、だな、余も誓ったのだ主君としてお前たちを守ると。だが、それでも……」


 それでも、あきらめることは出来ない。


「私達4人の気持ちは一緒です。あの日々を思い出さない日はありませんし。何としても取り戻したいと思っています。でもそのために貴方やミムズ、プテックが犠牲になるのは耐えられないの。だって私達は……」


「だが、だが」


「今は身体を治す事だけを考えてちょうだい。国元には私から手紙を書いておきます。ラリンゲ殿やネーザル殿は怒られるでしょうが、バープ卿が何とかしてくれるでしょう」


「あ奴らは口うるさいからな」


 小言を叩く宰相と近衛騎士団長の姿を思い浮かべたのだろうか、パルスが口元に手を当てて笑っている。


「殿下、吉報です。例の件で情報が入りました」


「ブリーズ待て、許しもなく殿下の寝室に入るバカがどこに」


 突然寝室の扉が開かれ、豹人のブリーズと鷲人のエアが入ってくる。他の者であったなら無礼を咎める所だが、この者達ではな。


 ミムズとプテックの配下にいる4人の獣人達は幼い頃より我らに仕えており、余らにとっては実の兄弟に次ぐ存在だからな。それに……


「よいエア、それよりもブリーズ詳しく申せ、間違いはないのであろうな」


 今は、一刻も早く情報を聞かねば。


「は、数か月前に近隣の街にて売りに出されていたとのことです」


「そうか、そうか、それで……」


 もし金を積むだけで帰ってくるのなら、たとえ数万枚を払ったとしても惜しくは無い。


「それが、すでに売られてしまったとのことで」


「なんだと、それで誰が買ったのだ、買い戻せ何としてでも」


 たとえどのような事をしてでも取り戻して見せる。余の、いや私たちのもとに。


「冒険者らしき者が買ったようなのですがそれ以上は。店の者の口が異様に堅いらしく、これらの情報も周辺の店からやっと集めたほどでして」


「ええいならば余が直々に問いただす、その店の者をここへ引っ立てて参れ。いや余をそこへ連れて行け、馬を引け兵と冒険者を全て呼び戻せ今直ぐにだ」


 兵力を背景に問い質せば、商人など直ぐに口を割るはずだ。


「いけませんアクラス他国の領内で商家を襲うなんて、そのような行動をすれば、外交問題いえ戦争になりかねませんよ」


「だが。今を逃せばもう2度と取り返せぬかもしれぬのだぞ」


 なぜ、パルスは落ち着いているのだ、ええいミムズとプテックはどうしたのだ。


「解ってます、だからエア、ブリーズ、貴方たちはすぐに手の回る冒険者をすべて使って、近郊の迷宮とその周辺の監視をさせて下さい。それと信用のおける斡旋業者にも手配をお願い。相手が冒険者でしたら一つの『迷宮』を狩場にしてそれほど移動してないかもしれませんから」


「は」


 二人がすぐに部屋から出ていく。そうか、確かに無暗に探すよりはその方が良いのかもしれぬ。


「アクラス、私達はこの場で報告を待ちましょう、どこにいるのか解らないのですから、間違って逆方向に移動しても仕方ないでしょう」


 そうだな、仕方ないだろうな。


「アクラス殿下、入ってもよろしいでしょうか」


「ミムズか何処に行っておったのだ、お前のいない間に新しい情報が入ったのだぞ」


 扉から入ってきたミムズの顔が喜びに変わるが、すぐさま引き締められる。どうしたと言うのだ、ミムズは嬉しくないのか。


「それは、素晴らしい事です。ですが先にこちらを試してはいただけないでしょうか」


 そう言って、ミムズが差し出したのは茶色のやや大きめな球体、これは薬か。


「ミムズ、これは何だ」


「とある迷宮踏破者の持って参った、薬にございます。『鑑定』させましたところこれは『聖馬の不苦無痛丸』と言いかなりの効果が期待できるとの事、これならば必ずや殿下の毒を消せるはずと『鑑定』したものも申しておりました」


 なんだと、なぜこの時期にそんな物が入ってくるのだ、いま毒が治ってしまえばもうこの地に留まる理由が無くなってしまう。やっと、やっと見つけた微かな手がかりなのだぞ。


「食欲がない、薬は後日にせよ」


「殿下それは一体」

「殿下」

「アクラス貴方」


 余の言葉にミムズとプテックが怪訝な顔をしているが、パルスは余の意図を察したのか笑顔の中に怒りを込めておる。


「アクラス、貴方はそんな我儘を、貴方一人の体ではないと何度言えば分るの」


「解っておる、解っておるが、頼む数日、あと数日でよい余に時間をくれぬか」


「アクラス殿下、パルス殿下いったい何があったのですか」


 不思議そうにミムズが問うてくるのに向き合う、理由を言えばミムズも解ってくれるはず。


「見つかったのだ、いや見つかりそうなのだ。数か月前近郊で売られたというのだ、探せば見つかるかもしれぬ、いやきっと見つかる。だが今を逃してしまえばもう見つからぬかもしれぬ」


「それは……」


「ミムズ解るであろう、いやお前が一番欲しているのではないのか」


 余の言葉に、ミムズが顔を俯かせるが、しばらくすると強い目つきで見つめ返してくるどうしたと言うのだ。


「あえて殿下に申しあげます。どうか薬を御服用くださいますよう。自分にとってお二人よりも優先すべき事はありません。ミムズの剣と忠誠はお二人に捧げる。はは様にミムズはそう誓いました」


 ミムズがこういえばもう譲ることは無いだろうが、余も譲るわけにはいかぬのだ。


「プテックお前はどうなのだ、もしもこのまま帰ってこなければ、お前とて」


「プテックは姉さまの従者、姉さまの言うとおりにする」


「く、飲まぬぞ、なにが有っても飲まぬ、ここで諦める訳には行かぬのだ」


 余の為にも、何よりパルスやミムズ、プテックの為にも。


「ならば、アクラス殿下、ご無礼を」


 ミムズが口に丸薬を含み、余の顔を両手で押さえつけてくる。


「ミムズ、何を」


 余の口にミムズの口が押し付けられて、温かい舌が唇を割ってくる。


「ん、んぐぐ」


 細かく噛み砕かれミムズの唾液と混ぜ合わされた薬が流し込まれて喉を通ってゆく。


「ぐ、ミムズ何をする」


「ご無礼を致しました。ですが自分には殿下が苦しむ顔をこれ以上見るのは耐えられませぬ。自分の一番の願いは両殿下とプテックさらには、国元に居られる姫様方の幸せ、それだけにございます」


「余計な事を、たった半年早く生まれただけで、姉気取りか」


 ミムズを睨みつける余の前にパルスが割り込んでくる。


「アクラスたとえ半年でも、数刻でも姉は姉、妹は妹よ」


 後ろの方ではプテックも頷いている、三対一では勝ち目は薄いか。


「あら、アクラス顔色が、それに汗も」


 パルスの言葉に気付いたが、確かに体の火照りも痛みも消えているし呼吸もかなり楽になっている。


「どうやら薬が効いたようですな。安心いたしました」


「そのようだな」


 これでもう、この街にいることは出来ぬか。


「こうしては居られませんね、王太子全快の報を騎士達や本国へ伝えませんと。皆さん心配しているでしょうから」


「な、パルスそれは」


「それと、リョー様にお礼を言いませんと、『迷宮踏破者』という事はあの方なのでしょう」


「御意、ではすぐにでも」


 ミムズが礼をして寝室を出ていく。余計な事をしてくれた冒険者か、この目で見て文句を言ってやらねば気が済まんな。





~パルス~


「なんなのだあの男は、冒険者風情が無礼な」


 リョー様が出ていかれた扉を睨みつけながらアクラスが叫んでいますけれど、これは。


「アクラス、リョー様は貴方の恩人ですよ、そんな物言いは」


「パルス、そもそも貴様、本当に知っていたのか、知っていてユニコーン達を殺させたのか」


 これ以上の口論を騎士達に聞かせる訳には行かないでしょうね。


「貴方たちは下がりなさい」


 言葉と共に手を振るだけで、騎士達は一礼して退出していきますが。


「エア、貴方たちもお願い」


「は」


 これで残るのはミムズとプテック、身内だけになりましたね。


「先ほども言った通り知っていました。それよりも貴方こそ自分の口にしている物が何なのか解らなかったの。もし毒を盛られていたらどうするの」


「誤魔化すな、パルスお前のせいでユニコーンが無辜の民が死んだのだぞ」


 怒っていますね、その義憤は人としては美徳かもしれませんが、君主としては抑えなければだめでしょうね。


「それがどうしました、リョー様にも言いましたが、貴方の為ならたとえ数人が百人、いえ千人でも、私が直接兵を率いてでも角を取ってきました。アクラス貴方は王なのです、貴方を失えばより多くの民の命が失われるのですよ」


「だが、その為に他者の命を奪うなどと」


 解ってないのですね、このままでは。


「アクラス、国元に帰り正式に即位すれば、百人の民を救うために十人の民を見捨てる事が有るかもしれません。百の兵を惜しんだために千の兵を失うかもしれません。君主なら感情に流されず、より良い判断をしなければならないのですよ」


「正義無くして国が建つか」


 アクラスはまだ正義感と私情を混同しているの、時間とともに自然に気づくと思ったのですけど。


「正義ですか、君主たるものが自分の都合と私情を優先して、わざと毒を受けて騎士や国の民に不安を感じさせることのどこに正義が有るのですか」


「それは」


「そもそもユニコーンの件にしても貴方が無事ならば起こらなかったことです」


 少なくともこの件では、私達リューン人には正義はありません、正義が有るのならそれはリョー様でしょう。


「余は命じておらぬ」


「リョー様も言われていたでしょう、君主の何気ない一言や行動は本人だけの事では無く、周囲の者達やあるいは国全体に影響を及ぼすのですよ」


「だが、それでも余は」


 アクラスの気持ちはよく解ります、いいえ今この部屋にいる中で解らない人なんていないのですから。それでも……


「それでも貴方は君主として王として振るわなければいけないのです。国の為ならば私達も切り捨てなければいけない日が来るかもしれないのですよ」


 なにが有っても貴方を支え続けると私達は誓ったんですから。その為なら私は何でもするのですから。


「パルスそんな」


 そんなに悲しそうな顔をしないでください、今はまだ例えの話なんですから。


「大丈夫です、今はその時ではないですから、ですからそんな日が来ない様に、貴方は立派な王になってください」


 ですから今は。


「パルスの言いたいことは解る、このまますぐに国元に帰れと言うのだろう、だが」


 やはり嫌ですよね、ですけれど。


「いや、忘れてくれ、とはいえ直ぐにこの街を出立する訳には行かぬだろう。最低でもユニコーン達の保護はせねばならぬ、国の名において約束したのだからな。それに集まっている冒険者もどうにかせねば町の治安にも響こう。それが済み次第、済み次第すぐに本国へ戻ろう」


 解ってくれましたか、でも手を握り締めていますね。


「アクラス殿下、パルス殿下、お二人の話に口を挟む無礼をお許しください」


「どうしましたミムズ」


「お二人のもとを離れて単独行動する許可を頂けないでしょうか」

 

 どう言う事かしら、ミムズが私達から離れるだなんて生まれてから数えるほどしか、それも数日の事でしかなかったのに。


「この地に残りたいアクラス様の御気持ちも、ご自身の本心を押し殺して公を優先させるパルス様の思いも解ります。ですので自分が残って捜索を続けます、自分でしたらお二人の名代として冒険者たちに指示を出すことも出来ましょう」


 気持ちは嬉しいけれど、ミムズと離れるなんてそんな事考えた事も。


「いえ、お二人のせいにしてはいけませんね。自分自身がこの地に残って探したいのです。幸い自分は国の騎士では無く、お二人の専属、これは国王陛下直々の勅命による物ですので。お二人の御許可さえいただければ誰も文句は言えませぬ」


「それはそうだけれど」


 確かにミムズは私達が生まれてすぐに、お父様から任じられたはずですから。


「それに、これを機に自分を鍛えてみたいのです。自分は今まで軍や騎士団に交じって戦ってまいりましたが、その為に多数での戦い方しか知りませぬ。もしこの四人しかいないときになにか事が有れば、お二人を守り切れる自信が有りませぬ。自分はこの旅でそれを実感いたしました」


 もしかするとミムズは、アクラスを庇えなかった事を悔やんでいるのでしょうか。


「だが、もしもミムズ、お前に何かが有れば。それにお前がいなくて余等はどうすれば」


「姉さまにはプテックが付いて行きます」


 そんなプテックまで。


「プテック、お主」


「ダメ、姉さまは殿下の専属だけど、プテックは姉さまの直属だからずっと一緒」


「そうか、解った。殿下、お二人の元には精鋭の騎士がそろって居りますし、何よりエア達四人がおりますれば身の回りは問題ないかと、本国に戻ればテック卿もおりますゆえ、我ら二名がおらずとも」


 近衛副団長ですか、確かに彼なら問題は無いですが。


「ですが、危なくは無いですか、貴方の言葉を借りれば二人での旅は初めてでしょう」


「ご安心を、すぐに二人で行動は致しませぬ、初めのうちは優秀な冒険者を雇い教えを乞いながら冒険に潜りますゆえ。もちろん捜索を続けながらですが」


 仕方ないでしょうね、私自身も諦める事が出来ないのですから、ミムズの言葉にほっとしている以上止めることは出来ないでしょう。それはきっとアクラスも。


「よいだろう、ミムズ何としても見つけて参れ。ただしお前たち二人も無事に帰ってくるのだぞ」


「は、必ずや」





~冒険者~


「くそ、薬の買い取りが中止とはどういう事だ」


 オーオー、チビ野郎が騒いでるよ、まあ口が裂けても言えねえけど、黒こげになるのはごめんだからよ。


「どこかの冒険者が持ち込んだ薬で、殿下が完治したらしいです。とはいえ今いる冒険者に対しては保証の為に少し安くなりますが買い取りをするらしいです。特にユニコーンの角はほぼ今まで通りの値段で買うとの達しです」


 赤毛の坊ちゃんの言葉にチビがあからさまにホッとした顔をしてやがる、まあこいつは金の為にユニコーン狩りしてたんだからな。


 まあ俺も、角が売れなきゃ追加報酬がおじゃんだからありがたいんだがよ。


「そ、そうかなら我らも早いところ売りに行かねばな。それでいつ行くのだ」


「シルマ殿にお任せしますよ。私とマイラスはこの件から手を引きます。殿下が治った以上、薬を持って行っても繋がりは出来ないでしょうし、他にやる事も出来ましたので。報酬は私達で三等分の予定でしたがシルマ殿に半分をお渡ししましょう」


「いいのか」


 あーあ、目の色変えちゃってまあ。


「もちろんです、シルマ殿にはお世話になりましたから。お嫌ですか」


「いや、ぜひ、ぜひそうして貰おう」


 自分から言い出したか、ハメられたとも知らずに。街の噂じゃユニコーンの角の値段が落ちてねえのは、王子様がユニコーン族に角を返してワビを入れる為らしいし。こんな時に持ってっちまえば、繋がりどころか悪党として目を付けられるのがオチだからな。


 何でも、ここに生きたユニコーンを連れ込もうとした連中は、騎馬隊に囲まれて無理やり奪われたらしいしな。俺もこのチビの仲間だと思われねえようにしねえと。


「くそ、あの男が」


 金髪のあんちゃんが荒れてるな、高級テーブルを蹴り上げちゃってもったいねえな。


 こりゃ今晩も女奴隷を潰すな、残ってたのは二人だったか三人だったか、奴隷が生きようと死のうと別に気になんねえが、残骸をバレずに捨てる方の身にもなってもらいてえもんだ。


 まあ奴隷で満足してる間は良いがな、村娘を攫うのは役人を黙らすのが面倒だし、手駒の女冒険者を潰されりゃ俺の信用が無くなっちまうからな。明日にでも隣町で奴隷を仕入れさせるか。


「マイラスおちつけ」


 赤毛の坊ちゃんを無視して出ていきやがった、ありゃ一人じゃ済まねえな、奴隷だけで済んでくれりゃあ良いんだが。


「ノイツ男爵、ラマイ子爵はどうなされたのだ」


「冒険者に先を越されて、苛立っているのですよ」


「ほう、ユニコーンの角でも治せなかった毒を消すとはいったいどんな冒険者なのだ」


 まあそりゃ興味が有るよな、貴族様としちゃ強い冒険者を出来るだけ抱えこみてえだろうし。ましてシルマ家は落ち目だからな、そのうちでかい事をやりたいんだろうし。


「ご存じないので、例の冒険者ですよ『寒暑の岩山』にいた」


「あの無礼者か」


 ああ、そういや『迷宮』でもめてたよな、理由は知らねえけど。


「ええ、そう言えばあの冒険者は金貨八百枚の報奨を貰ったとか、それとは別に素材の売却で千枚近く稼いだらしいですし」


「なんだと、それだけあれば」


 こりゃ、欲に目がくらんでるな、幾ら大金がかかってても『青毒百足』を二人でやっちまうような化け物に仕掛けるのは俺なら御免だけどな。


 しかし、赤毛の坊ちゃんはこのチビを煽って何をしてえんだろうな。


「まあ、彼は『迷宮踏破者』ですから、相当強いのでしょうが」


「ふん、策などいくらでもある」


 こりゃ、時機を見て契約解除した方が良いかもしれねえな、とはいえ下手にこっちから切り出しゃあ俺の信用が下がるし、災難を避けられても仕事が来なくなるんじゃしゃーねーし。


 なんとかなんねえかな。


おかしいな初期設定だと、パルスがメインヒロイン、ミムズがサブヒロインのはずだったのに、それもこれも今のメインヒロイン達、特にサミューが悪いんだ彼女たちが目立ちすぎるから、新ヒロインたちの出番が遅れて影が薄く……


H27年6月7日誤字、句読点修正しました。

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