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603 偵察

すいません、前回の後書きに入れようと思っていた内容を入れ忘れていたので、先ほど入れなおしました。ちょっとした設定の紹介になります。

「はい、できましたよ御主人様」


 朝食前に、俺の顔を剃ってくれたサミューの声に目を覆っていたタオルを取る。


「ありがとうサミュー、さっぱりした」


 髭剃りは俺一人でも出来るんだけど、サミューにやって貰った方がしっかり剃れるんだよね。


 いつも思うけど、なんでこの世界の髭剃りは床屋の顔そり用みたいなガチのカミソリしかないかな、電気シェーバーは無理だとしても、T字の安全カミソリくらいなら『勇者』が持ち込んでても良いはずなのに。


 あれか、みんなメイドさんを用意して髭剃りして貰ってるのか、ついでに別なお世話までして貰ってるのか、だから自分一人で出来る安全カミソリを持ち込もうとしなかったのか。


 とは言え、メイドさんって言っても技術があって信用が出来る相手じゃないと無理だろうな、俺もムルズの王都に居た時は自分で頑張って髭剃りをやってたし。


 最初の頃は王国から俺の所に派遣されてたメイドさんがいて、やるって言ってくれてたけど『鑑定』したら、隠蔽されてたスキルや職に『暗殺』とか『喉斬』、『密偵』なんかがあって、絶対に身の回りには置けないって思ったよな。


 後半はカミヤさんが派遣してくれたヤッカがやってくれてたけど、あの子が剃刀を当てると二回に一回は『超再生』が発動してたっけ。


(それにしてもあの密偵侍女のスキルは、上手く隠されておったのう。儂の熟練度の高い『鑑定』に『看破』の効果のあったお主の髪止めがあったからこそ、相乗効果で何とか隠蔽されていたスキルが見えたが、あそこまで厳重に『隠蔽』や『偽装』がかけられておっては普通は見つけられぬのう)


 ああ、あれってそういう事だったんだ。


 俺の『無食長命の髪留め』には『鑑定』と『看破』の効果も追加で付けてあったもんな。


 しかも、この髪留めの本来の効果『無食長命』のおかげで、牢屋に入れられて食事がほとんどなくても衰弱しなくて済んだんだよな。みんなの髪飾りにもそれぞれの効果を付けてあったっけ。


「ふふ、御主人様、こうして宿に入るのも久々ですから、このまま耳掃除もしましょうか」


 上から覗き込んでくるサミューが、優しく両手で俺の顔を挟んで横を向かせる。


 こっちの方がやりやすいって言うから、絨毯の上で膝枕をしてもらいながら髭を剃ってもらってたんだけど、横を向くと後頭部じゃなく頬にサミューの太ももが、スカート越しとはいえ、柔らかい感触が……


「ああ、この位置だと耳掃除がしにくかったですね、失礼します」


 そっか今は剃りやすいようにって、サミューに頭頂部を向けるような形だったけど、耳掃除をするなら普通はサミューに後頭部とか顔を向けるようなって。


「はい、これで大丈夫ですね」


 サミューが俺の顔を持ち上げて、手早く座る位置を変えたけど、俺がサミューの方を向くような姿勢に、やばいすっごくいい匂いがしてきた。なんでだろう、においだけでエロく感じるのはどうしてだ。


「ふー、それじゃあ始めますね」


 耳元に息が吹きかけられるだけでもう、もう……








「いくら身支度をしていたとはいえ、サミューが貴方を起こしに行ってからずいぶんと掛かって居ますけれど、どうしたのかしら。まさかとは思いますけれど、朝っぱらからサミューに対して不埒なマネなどしては居ませんわね」


「そ、そんな旦那様、そのような事でしたらわたくしも御呼び下されば、喜んでどのような奉仕でもいたしますのに」


 身だしなみだけじゃなく、装備も整えて俺がサミューと一緒に宿の食堂に行くと、少しイライラしたような表情のハルが羽を震わせてて嫌味を言ってくる。その横でトーウがなんか言ってるけど……


「やましい()()何もしていない」


 うん、耳かきとかでドキドキして、やましい想像は思わずしちゃったけど、ヤバイ行動は一切していないからな。俺には『禁欲』があるんだから、寝起きで起こしに来たメイドさんとなんて、そんなエロハーレム小説の主人公みたいな、羨ましい事はできないんだからな。


「『事は』ですのね。ま、まあ、いいですわ、貴方が侍女相手にどのような非常識で破廉恥なマネをしていましょうと、わ、わたくしには関係ありませんわ」


 なんかハルの機嫌が悪いな、やっぱり地元に来た上に、昨日のテトビの話のせいでナーバスになってるのかな。


「リャーおはよう、ご飯もう来てるよ」


「あ、あの、ちゅ、注文をしておきました、しょ、精進物、です」


 大人しくテーブルについていたアラが手を振ってくれる横で、ミーシアが俺の食事が並んでいる席の椅子を引いてくれる。


「おはようアラ、ありがとうミーシア、とりあえず今日は浅い層に潜って、今の魔物の傾向や俺たちの取れる戦法を確認しようと思う」


 俺とアラで潜った時から日数が経ってるから、中で犠牲者が出て魔物が増えてたりするかもしれないし、サミューたちは初めての『迷宮』だから慣れて貰った方が良いだろうから、今回は魔物だけじゃなく他のパーティーとも戦闘になるかもしれないから、ある程度慎重になった方が良いだろうし。


(そうじゃのう、昨晩アラとハルに教えた魔法の慣らしや練習も必要じゃろうしの、それにこの娘達と合流してからの戦闘は『火炎砦』の時だけじゃが、あの際にはマコトや『剣狂老人』が居ったからのう、この者らがどの程度成長しておるのか、今のお主との連携が上手く行くのかも試した方がよかろうて)


 ああ、そうか、それもあったな。そう言えば、テトビが今日の夜も来るって言ってたから、それに遅れない程度の時間で戻らないとな。








「え、えええい、サ、サミューさん」


「ギュピーーーー」


 ちょっとした子牛くらいありそうな芋虫の魔物をミーシアが抱え上げて動きを止めると、『焼灼の利剣』を抜いたサミューが血が出ないように気を付けて、一撃で急所を刺しトドメを刺す。


「サミュー様、こちらもお願いいたします」


 寝技みたいな感じで、魔物を抑え込んでるトーウの方にもサミューが小走りで走っていきトドメを刺す。


 ミーシアは重装備だから魔物が多少暴れても怪我しないけど、トーウは大丈夫なのかな。


 いやよく見たらいつもの鉤爪を付けてない、素手の指先から毒液が垂れてるから、あれを魔物の口とかから吸わせて、動きを鈍くして抑えこんでるのか。


「これでは、わたくしやアラの出る幕がありませんわね。せっかく新魔法の練習ができると思ってましたのに」


 近接攻撃で相手の体液を出さずに倒したり動きを止める手段がないから、俺が後衛に入ってハルの護衛をしてるんだけど、この位置だとハルのボヤキがはっきり聞こえるな。


「まあ、魔力の消費を抑えられると思って置こう、魔物が多いと俺の指輪なんかは直ぐに空になるからな。それに、一度に相手にする魔物が多い時は、二人が抑えてサミューが仕留めるあのやり方だと間に合わないだろうから、そうなったらハルとアラの魔法に期待するさ」


 これなら、継戦能力も上がるかな、少ない魔物ならミーシアたち前衛で、数が多い時は後衛の魔法でって、戦い方を使い分ければ、体力と魔力の温存が出来るな、戦わずに休んでおけば回復もするだろうし。


「それはそうですけれど、わたくし達が覚えた新魔法の慣らしという目的もあったはずですけれど、これではあまり意味がありませんわね」


 ああ、そうだったな、ハルにもアラにもここの魔物に向けた魔法を何個か伝えたから、それの練習や熟練度上げもしなきゃならないんだよな。


 なのにさっきから、出てくる魔物は、多くても四匹、たいていは一、二匹ずつしかエンカウントしないから、ミーシア達だけで仕留められちゃうんだよね。


 これはアレかな、浅い階層って言うのもあるけど、潜ってる冒険者とかが多いから、魔物が湧いたそばから狩られちゃってるなんて事もあるのかな。


(そうじゃろうの、それに深い階層は『青毒百足』を始めとした、危険な大型魔蟲が徘徊しておるようじゃからのう。それらを恐れて、深い階層には踏み出せず、中層域や浅層域におる冒険者が多いのかもしれぬのう)


 つまりは狩る獲物の競争率が高いのか、だからと言っていきなり深い所に行くのは怖い気がするから、何日かは、効率が悪くても俺達もあまり奥にはいかないようにした方が良いよな。


「仕方ありませんわね、あら、丁度良く魔物の群れが来たみたいですわね」


 確かに俺たちの居る部屋の先にある通路から大きな物音と鳴き声が、これは確かに数匹が出せるような音じゃないな、かなりの数が居そうな感じだけど、あれ、なんか金属音とか悲鳴も聞こえるような気がするな。


「旦那様、これはもしや、冒険者が魔物を引き連れているのでは……」


 まさかトレインかよ、これが狙って魔物を狩場に誘い込んでるのか、それともどうしようもない状態で、ともかく命懸けで逃げてるのか、どっちだ。


 どっちでもゲームじゃ迷惑行為扱いされる奴だったと思うけど、前者だった場合、そいつらの集めた魔物を俺達が倒しちゃうと、獲物を横取りしたとか難癖付けられないかな。逆に後者なら俺達が巻き込まれたって事で相手に文句を付けたり恩を売れるか。


(どちらでもよかろうて、人の少ない不人気『迷宮』などであればともかく、此処のように多くのものが入っている場で、巻き狩りや釣り野伏のような、広範囲を使い他者を巻き込みかねぬ狩りをやるのならば、解りやすい目印を立てるなり、要所に見張りを置いて警告させるなりするのが、混乱や争いを避けるための作法のようなものじゃ。それをしておらぬ時点で、例え故意に集めておろうと、奪われても文句は言えぬじゃろう)


 そんなものなのか。


(文句を言ってきたのであらば、おぬしの悪名で突っぱねればよかろう。『青毒百足』を恐れてこのような階層に居るものにとって『百足殺し』の二つ名は恐ろしかろうて。そうでなくとも、このような場所で作法を守らずに魔物を集めておる時点で、他の冒険者などに知られれば、やった者の評判が悪くなるだけじゃ、文句を言うのならば大勢の場で白黒をつけると言ってやればよい、お主の名もそれなりに広まっておるから、周りも聞き入れやすかろうて)


 要はこっちでもトレインは迷惑行為って事か、あれ、そういえば俺も今まで似たような事してなかたっけ。


(おぬしがそういった事をしてきた『迷宮』は不人気であったり、立ち入りが制限されている場所ばかりじゃったろうて、そういった他者が事故にあう恐れの低い場合は、それほど気にせずとも問題はないのう)


 そっか、それなら。


「せっかくの好機ですもの、どんどん試しますわよ、このあたりでしたら、これから来る群れ以外には魔物はあまり居ないでしょうから、体液をまき散らしたとしても、集まってくる魔物はたかが知れてますわね」


 ハルのこれはアレか、そういう魔法も使っていくって事なんだろうか。ああ、そうか『高速重石弾』は他の魔物が近づいてこないような硬い大物用の魔法だから、柔い雑魚に使うとまき散らしちゃうか。でも練習しないわけにはいかないから、丁度良いタイミングかな。


「ミーシア達は下がれ、後衛の魔法で片づけるから、サミューとミーシアは俺と一緒に直前で壁を頼む、トーウは俺に代わって後方から魔物が来ないか警戒、アラとハルは、狙える位置に魔物が来たら好きに撃て、ただ冒険者には当てないようにしろ」


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