表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
602/695

2023年エイプリルフール回 帰る場所 〇〇〇編

ここ最近の活動報告などで、予想されてた方もいるでしょうが、去年のエイプリルフール回で、日本に帰る前夜のリョーのもとに来たのが、もしもハルでなく〇〇〇だったら、という内容です。

「もうこんな時間か、みんなと話し込んじゃったからな」


 いつの間にかかなり短くなってしまった蝋燭を交換してベットに座る。


「いきなりの話だったもんな、そりゃ皆だって驚くし、どうしていいか分からずに混乱するのも当然だよな」


 やっと『迷宮』から戻って来たみんなと合流できたばかりだっていうのに、いきなり俺があんな話を切り出したりしたから。


 マコトさんがくれた魔道具『成就の宝玉』は、何でも一つ願いをかなえてくれる効果があるらしいから。


 これが有れば、俺は力を取り戻さなくても安全に日本に帰る事が出来るそうだけど。


「明日か」


 地脈や暦の関係で、明日儀式をしないと次に『成就の宝玉』を使えるのが、何時になるか分からないって話なんだよな。もしかすれば半年くらいでまた機会があるかもしれないけど、過去には十年以上条件が揃わなくて、儀式が出来なかったなんて事も有ったらしいから。


 あまりに急すぎる話だけど、これを逃して次に儀式をしようと思ったら、もう機会が無いなんて事もあり得るって事だから。


 だから、皆に明日日本へ帰る事を説明したんだけど。いきなりだから、アラやトーウは泣いちゃうし、ミーシアは混乱するしで落ち着かせて説明するのが大変だったな。


 みんなの今後の事は神官長さんが面倒を見てくれるって話だから心配はいらないって事だし、大丈夫だよな。


「いや、考えるのは後だ、とりあえずそろそろ寝ないと、寝不足で儀式に失敗したなんてなったら笑えないからな」














「眠れない、何だってんだ」


 たぶん明日の、いや、この時間ならもう今日だな、今日の儀式の事を考えて緊張しちゃってるんだろうけど。


「まさか、俺がこんな事で寝れなくなるなんてな。やっと日本に、文明社会に帰れるっていうのに情けない」


 いや、多分眠れない理由は、俺が本当は……


 いや、変な事は考えるな、これが一番いい流れなはずなんだだから。


「たのもう」


「ん、誰だ、こんな時間に」


 ドアの向こうからかけられた野太い声にドアを開ける。そこにいたのはツルツルに剃り上げられた頭からはえる、毛のないケモミミ……


「コンナ、どうしたんだこんな時間に」


 というかコイツこの神殿にいたのか。


「お久しゅうございますな。師叔が、いえ勇者殿が明日みょうにち元の世界へと帰還なさると耳にし、お祝いの御言葉を述べようと思いまして、またお伺いしたき事があり、こうしてお邪魔させていただき申した」


 コンナはそのまま部屋の中に入って来て席に付くけど、夜中の個室で二人っきりになっても色っぽい事にはならない自信があるのは、なんだよな。


「それで聞きたい事っていうのはなんだ」


「実は、勇者殿たちの世界についてお聞きしたく思うており申したが、拙僧が話を聞くことのできる勇者様は師叔しかおりませんでしたので」


 なんだ、そんな事か。


「別に構わないけど、一体何が聞きたいんだ」


 まあ、考えてみればこの世界の住人にとっては、日本というか地球は文字通り異世界だし、スキルや魔法を除いた技術的な面で言えば未来も同然だからな。


 俺だって数百年後のスぺオペとかロボットSFみたいな未来から来たなんて人が居たら、そこがどんな社会なのか聞きたくなるだろうから。


「勇者殿の世界には、スキルもステータスも魔法もないとお聞きしましたが、真でありましょうか」


「そうだな、俺に限らず『勇者』がこっちに来て驚くのは、逆に魔法やステータスとかがある事だと思うぞ、魔物を倒し続けるだけで、力や素早さが上がっていって、しかもスキルや魔法なんて普通じゃできないことまで出来るようになるっていうのは、向こうじゃ考えられないからな」


「では、いくさは、戦いはどうなるのでありましょうか、スキルも使えず、ステータスもない、そのような貧弱な状態でいかにして命がけの場で生き残るのでしょうか」


「それを俺に聞くのは、商人、いや商家の丁稚やただの店員に騎士団の迷宮攻略の仕方を聞くようなもんなんだがな」


 俺なんて、そこそこ程度のゼネコンに勤める営業主任でしかないんだから。


「それであっても、町人が酒場で武人本人から武勇伝を聞くように、あるいは吟遊詩人の英雄譚を聞くように、何かしら耳にされることもあるでしょう。それこそが武芸を高める一助となるやもしれませぬ。かの『乙女戦技』やフレミラウ法師の『点穴』なども、過去の勇者様方の御言葉を基に編み出された物でありますので」


 そうは言うけど。


 まあ、TVなんかで見る上っ面の情報で良いのなら……


「そうだな、戦争なんかは、武器というか兵器があるからな、あれはこっちでいう強力な魔法やスキルみたいなものだろうから」


「そう言えば、ライワ伯爵家、御家来衆のトマホーク卿の御家は、あちらの技術を再現されようとなされているのでしたか。しかし武器の性能で戦が決まるというのは、金があればそれだけで勝てるという事ですか」


 ある意味それはありそうだけど……


「確かに、強国っていうのは経済力があるイメージだけど、強力な兵器ほど使いこなすのに知識や技術が居るから、長期間の訓練が必要らしいな」


 軍隊だって、入隊後は何か月もきついトレーニングするらしいし、パイロットとか特殊部隊とかだと成るのに何年もかかるらしいから。


「鍛錬ですか、ですがステータスが上がるわけでも、スキルを覚える訳でもないのでしょう。でありながら鍛錬を積まれると」


「スキルは確かに覚えないが、同じ動作を繰り返すことで、コツが掴めたりより効率よく動けるようになったりするし、知識を付ければより上手くいく方法を考えられるようになったりする。それに体を動かして鍛えていけば、ステータスみたいに数字ではっきり判ったり、目に見えてみるみる上りはしないが、筋肉が発達して、少しずつだが、運動能力は上がっていく。まあ限界もあるけどな」


「つまり、勇者殿の世界では強力な武器の他は、自らの技量と肉体の力のみを頼りに戦うという事ですな」


「まあ、そうなるか、格闘技なんかは実際そうだろうし」


「格闘技ですか、それは乙女戦技などのように無手での戦闘法という事ですかな」


「本来はそういう意味なのかもしれんが、向こうでは一般的に、いくつかの種類に細分化されてそれぞれに決められたルールで戦い、試合をしてそれを客たちが見て楽しむって感じかな」


「なんと……」


 コンナが絶句してるけど、あれか殺し合いを日常にしている僧兵連中からしたら、ルールのある試合は生ぬるいとか、戦いを見世物にするのはけしからんとかそういう事だったりするんだろうか。


「それは、なんと、なんと素晴らしい。素晴らしい世界でありましょうか、ステータスに底上げされた力に頼るのでもなく、放てばそれだけで勝負がついてしまいかねないスキルに頼るのでもなく、ただ自らの技量と膂力のみを頼りとしての戦いとは、しかもそれを以て民草に喜びを与えるとは」


 え、あれ、怒ってないな、これは感激してるのか。


「この世界であれば、五年修練に明け暮れ技を修めた武芸者よりも、同じ期間ただ与えられた瀕死の魔物を殺し続けてレベルを上げ、多くの職を取りスキルを集めたただけの者の方が上回る事も多いですが、あちらの世界ではレベルなどに頼らないと」


 ああパワーレベリングとか養殖みたいな事はこっちでもあるんだよな。


「そうなるか、まあ努力よりも才能がなんてこともあるし、同じトレーニングでもよりよい環境を用意できる金のあるやつの方が効率がいいなんてこともあるがな」


「いえ、そうでありましてもそのような世界であれば一切の修練をせねば、才に薄くとも、効率が悪くとも、繰り返すことでひとかどの者にはなれるかと。なにより、ただステータスだけスキルだけのごり押しでない戦いの世界というものに感激いたしましてな」


 コンナの言う一角がどのくらいかはわからないから、なんとも回答しにくいところだけど。というかゴリ押しが嫌って、こっちの世界はそういうものじゃないのか。


「今の拙僧では例え寿命まで修練と苦行、戦闘を繰り返しレベルを上げ続けたとしても、ステータスやスキルでは『勇者』はおろかその子や孫にも及びません。ですが師父やかの『剣狂老人』、魔族諸国の『剣魔』達などは、拙僧とそれほど変わらぬステータスであっても、『勇者』を倒せる実力を有しております」


 そう言えば、そんな話を聞いた事がある様な、『剣魔』に暗殺された『勇者』はそれなりにいるらしいし、あの変態爺さんじゃない『剣狂老人』は『勇者』じゃ戦ってもつまらないなんて言ってたし。


「であるからこそ、拙僧もより強さを求めるのであらば、スキルやステータスに頼らず技量のみで戦えるすべをと思っておりました」


「そうなのか、悪いな、俺は向こうにいた頃は戦闘に関しては素人だから、格闘技なんかに関して詳しい事を教えられないんだ」


 せいぜい年末の特番とかボクシングのタイトルマッチなんかを見たりするくらいだからな。


「でありますか、とはいえ道が見え申した。今後は過去の勇者様方の御言葉を残した記録や、新たに召喚された勇者様などから、何か手掛かりがないか調べて見せましょう。ありがとうございまする、目指すべき道が見えた気がいたしまする。では、拙僧はこれにて」


 そう言って飛び出していったけど、相変わらずインパクトの強いやつだよな。


「まあ、異世界最後の日なんだし、こんな後で思い出して笑えるような感じがちょうどいいかもな」










「それでは、儀式を始めます、先ほども言った通りここからはもう中止は出来ません、宜しいですね」


 魔方陣の真ん中に立つ俺に向かって、神官長さんが聞いて来るのに、頷く。儀式の関係上で、ここには俺と神官長さんしかいないけど、この部屋が広いせいか寂しく感じるな。


「本当に宜しいのですね」


「ええ、もちろんです。こうして帰るために今までやって来たんですから」


 この人からすれば不本意なのかもしれないけど、この一年ちょっとで、そこそこの数の『迷宮』を『鎮静化』してノルマ以上の事はしてきたし、俺の職を神殿とライワ家の『職業石』に登録もしたから、十分に神殿は得をしてるだろうからね。


「もうこちらに思い残している事はないのでしょうか」


「そうですね、パーティーの皆の事も何とかしていただけるという事ですから、そうであれば大丈夫です。向こうには私の家族が居ますし、しなければならない役割や責任がありますから、帰らない訳には行かないですし」


 あのままだと俺は事故死って事になるんだろうから、田舎の両親が悲しむだろうしさ。今抱えてる案件の契約が取れないと、俺だけじゃなく、部署全体の評価が不味い事になりそうだし、そうなると部下や後輩たちが困る事になるだろうから。


「残念ですが解りました、では儀式を開始します。私が行う事は通常と同じ『勇者送還』ですので、『勇者』様はそれに合わせて向こうで死なずに済む方法を願ってください」


 なるほど、そう言う事か、俺が向こうに帰るのに『勇者』の力が必要だったのは、あの時の鉄骨で死なずに済むためだけど、『成就の宝玉』に願う事でそれをやって貰うって訳か。


「貴方の功績と活躍に深い感謝を、勇者リョー様、どうか向こうでもお幸せに」


 その言葉と同時に目の前の光景が一瞬で変わり、以前は毎週のように見ていた首都高の光景が目の前に広がり、シートベルトに固定されたスーツ姿の俺の耳に、ラジオの戸が流れ込む。


『緊急地震速報、震度4、20秒前19、18、……』


 あの時と全く同じ状況に、なぜかハンドルから放している左手に握られていた宝玉に意識を向ける。


「目の前の鉄骨は完全に固定されている、地震でも崩れはしない」


 呟くように口にすると同時に右手の感触が無くなり、宝玉が解けるように姿を消す。直ぐに地震で車内が揺れ始めるけど、目の前のトラックに乗せられた鉄骨はビクともする様子は無く、そのまま何事もなく地震が終わった。


「ああ、帰って来た、本当に帰って来たんだ」


 ゆっくりと進む前のトラックに合わせて、車をゆっくりと進めながら、深呼吸する。


「営業に行くか」














「坂木主任、こちらの書類なんですけど」


「ん、ああ、これかそれならこっちで確認して片付けとくから置いておいて」


「坂木君、例の案件はどうなっているかな」


「課長それでしたら、来週の月曜に先方から回答を頂く予定ですが、今までの状況を考えれば、契約が取れそうです」


「坂木さん、〇×スーパー真田様から、新店舗建設の件でお電話です」


「わかった、転送してくれ」


 ああ、今日も仕事が忙しい、まあ忙しいって事はそれだけ商売が回ってるって事だし、業績が上がれば、評価査定に繋がって賞与ボーナスだって増えてくれるよな。


 でも疲れたな。


「もうあれから三か月か、いや、もしかしたら白昼夢でも見てたのかもな」


 異世界に行って帰ってきましたって言っても、なにも証拠が無いし、持ち帰った物も無ければ、ステータスやスキルなんかも戻ってきて数日で消えるって話の通りだったから。


 もう俺の記憶しかあの事を証明する物はない、だからあれが夢だったとしても、それを否定する材料なんてどこにも。


「ホント、夢としか思えないような、ドタバタして、危なっかしくて、でもとんでもなく楽しい日々だったな」


 せわしないけど、それでもなぜかのんびりできたように感じるあの非現実的な日々が懐かしく感じるな。


「いやいや、帰らないなんて選択は無かっただろ、今のこの忙しさを考えればわかるだろうに」


 うちの営業二課はタダでさえ人手不足だっていうのに、ノルマが結構高いし、うちの会社の現状だと実績が悪ければ、というか今年度の業績やら株価がこれ以上下がれば、ガチでリストラって事になりかねないもんな。


 そうなると、うちの課の連中はかなり不味いだろうから、幾らかでも取引先にツテのある俺が頑張って二課の成績を上げないと……


 今日も残業だなこりゃ、とりあえず週末だからこれだけ終わらせたら、帰って飲もう。録り貯めしてるアニメが有るから、それでも見ながら缶チューハイと揚げ物でもやるか。









「あー疲れた、今週もお仕事頑張りましたっと」


 スーパーで買った酒や惣菜の袋をぶら下げながら、マンションの鍵を開け……


 ん、あれ鍵がかかってない、掛け忘れたか、いやそんなはずはないな。まさか空き巣に入られたか、いやこんな中古の賃貸マンションに泥棒が入る物か、とはいえ念のため何があってもいいように心構えはしておこう。


 よし、開けるぞ。


 ドアを開ける、部屋を見回して、いたアレか、アレ……


「おお、戻られましたか師叔」


 よし、このまますぐにドアを閉めよう。


「どうなされました、そう言えば、初めてお会いした時も同じようにすぐ戸を閉められておりましたが、それがこちらでの礼節なのでしょうか」


 ドアが閉まりきる前に、ごっつい指がドアの端を押さえそれ以上閉められないように止める。


「いや、あまりに予想外でな。なんでお前がここに居るんだコンナ」


「武者修行に参りました」


 は、何言ってるんだ、鍛えすぎて、頭の中まで筋肉になっちまったのかこの禿げミミは、って耳が人の物になってる。


「以前に申しましたが、拙僧はレベルを上げステータスとスキルを蓄える形での修練に限界を感じておりました。あのままでは拙僧はいつまでたっても、師父の立たれている領域には届きませぬ。ゆえにスキルもステータスも魔法もないこの世界で技を磨き、肉体を研ぎ澄まし、自らの力のみで武の頂を見るための道標を得ようかと思いまして。『成就の宝玉』にてスキルとステータスを封じこちらに転移してまいった次第」


「そ、そんなのアリなのか」


 確かにマンガなんかでも異世界からこっちに来るなんて話はあるけどさ、普通はヒロインとかじゃないのかな、なんでコンナみたいな見た目は世紀末覇者な漢女が来るかな。


「さて師叔、一体どうすればこの世の猛者達と戦えるのですかな」


 ま、まあ、今後は退屈する事だけはないかな……










「さてと、今ならぎりぎり間に合うはずだけど、渋滞なんかにつかまるとちょっと拙いかもしれないな」


 取引先との話し合いを終えて、車に乗り込み目的地へと向かっていると、道路わきの歩道にリュックや紙袋などの荷物を抱えた歩行者の姿がちらほらと見える。


 アレは……


「コ〇ケ帰りか、年末の有明だもんな、そりゃいるか。俺だって一昨年までは普通に参加してたし、今年だって仕事が無きゃ……」


 若干の渋滞にまかれながらも、何とか目的地に着き関係者用パスを出して専用駐車場へと車を回す。


「坂木さん、遅いですよもう始まっちゃってますよ」


 無線機を持ったスタッフが慌てて駆け寄ってくるけど、こっちだって仕事をしてきたんだから、仕方ないだろ。


「もう始まってるって、イベント自体はそうだがメインの試合だから、まだ始まってないだろ」


「そりゃそうですけど、関係者というか、プロモーターの一人なんですから、最初というかもっと早い時間から居てくれませんと」


「そうは言うけど、年明け以降の興行の話を纏めてきたんだから仕方ないだろ。2月にはベガスで試合だし、その後だって、あの戦闘狂を満足させるだけの試合を組みつつ、稼ぎを上げるのは一苦労なんだよ」


 あれからコンナは俺の営業先のツテで複数の競技種目の道場に入り、それぞれで段やライセンスを取り、瞬く間に全国大会で優勝し、国際大会にまでコマを進めて、何個かの競技ではメダルまで取りやがったからな。


 それに飽き足らず、総合格闘技、それもどんな間違いが起こったのか分からないけど、なぜか男の格闘家に交じって戦うようになって、気が付けば連戦連勝の人気選手に……


 それに巻き込まれた俺は、なぜか会社を辞めてコンナのマネージャーをしながらイベント会社を興して、格闘技イベントを主催するまでになちゃって、まあ稼げてるからいいんだけど。


「さあああああ、今日のメ~~~ンイベント、青コーナー……」


「お、始まったか」


 関係者控室の椅子に座って、モニターから流れる試合のアナウンスを聞き流しながら書類に目を通していると、やっとアイツの試合の番が来たか。


「そして、赤コーナー、コイツを語るのに余計な言葉はいらない、ただ三文字、コイツの名前を言うだけでいい、コ・ン・ナアアアアア」


『コンナ、コンナ、コンナ』


 司会の紹介に続くようにテレビから、観客のコンナコールが……


 それに合わせるように入場してくるコンナは、女子レスリングみたいなシンプルなツナギの服を着ているけど、浮かび上がってる筋肉の量がまた増えてやがる。ウェイト制限のある試合もあるっていうのに、まったく。


「か、勝てますかねコンナ、負けたりなんてしたら」


「下手すりゃ、この先の興行予定が丸っとなくなるかもな、無敗のチャンピオンって売りで営業をかけてるんだし」


 誰がベルトを奪うかってので、海外のブックメーカーが賭けを企画する予定にもなってるらしいけど、ここで負けたらその話も飛びそうだな。


 俺も関係者じゃなけりゃ一口と言わず、結構な額を賭けてといてたんだが、ほとんど銀行レースみたいなものだし。


「な、何を落ち着いて言ってるんですか、そんな事になったら、コンナが負けたら、俺達の仕事もなくなるって事じゃないですか、相手は別団体でのチャンピオンですよ」


「大丈夫だろ、あの対戦相手が素手でオーガやトロルを殴り殺せると思うか」


「坂木さん、マンガやアニメの見過ぎですか、そんなの現実に居ないでしょうに」


 あ、やべ、思わず向こうの感覚で言ってしまった。


「仮にいるとしてだ、できると思うか」


「そんなの無理に決まってるじゃないですか、要はヒグマやトラみたいなものでしょう、格闘マンガじゃあるまいし出来るわけないでしょう」


「それならあの相手でも、今日は問題なく勝つんだろうさ。しかしアイツ、武者修行って言ってたけど、一体いつまでこっちにいるつもりなんだろうな」


 というかアイツ、いつまで俺の部屋に居座るつもりなんだろう。何年たってもこっちでの住み方がわからないとか言って、せっかく一括購入で引っ越した高級マンションにまで付いてきやがって


 半分以上がトレーニング機材とサンドバックで埋められた部屋を思い出しながら、帰ってからの祝勝会は何を出そうかと、考えることにした。


という事で、今年のエイプリルはコンナになります。


え、アンケートですか、参考にするとは言いましたけど、アンケートに従うなんて言ってませんから。

私は書きたいものを書くんです!!

アンケート結果なんて知ったものか~~~~~~

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 最高でした(`・ ω・´)ゞビシッ!!、本当に書いてくれてありがとうございます(*・ω・)*_ _)ペコリ
[良い点] コ・ン・ナ!コ・ン・ナ! [気になる点] 向こうの世界でコンナはリョーの世界に行く権利をどうやって勝ち取ったのか [一言] 無敗かあ…今までに何回くらい苦戦したんやろか
[一言] 作者はわがままで良い
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ