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552 ある兎の所感

「いやはや、今夜も随分と派手に燃やしやしたねえ旦那」


 離れた所で上がる三つの火柱に、いつも通りのふざけた口調で感想を述べると、少し離れた所で同じ光景を見られていた勇者様が、呆れ交じりの声を漏らされる。


「しかたないだろう、目標が多すぎるんだ。お前が持ってきたリストの量を見た時は、調べが甘いのか何かの間違い。でなければ、お前が追加調査の費用をせしめるためのブラフかと思ったんだが、まさ本当に全部の建物にクスリが積んであるとはな」


「へへ、あっしは頂いた分の金貨に見合う働きはキッチリしやすぜ。お客が値切られるのでしたら、それに見合った情報しか出しやせんし、欲しい情報に見合う追加料金を頂くこともありやすが、伯爵様は事前にたんまり下さってやすから、こういった上客に見放される様な真似はしやせんって」


 そもそも、今回の御役目は猊下直々の御下命によるもの、万が一にも手違いなどあってはならぬ事。


 しかし、勇者様も言われているが、このクスリの量は想定以上であった。ピロホン会戦の敗報が伝わってより一気にクスリの備蓄量が増えたが、主戦派貴族達は本気で王都での決戦を、更にはそれに向け王都住民の大半にクスリを使うつもりだったのであろうな。


 臣下の身でありながらそのような事を考えるとは。


 此度の戦争には中立の立場を取っていた王の御膝元である王都を戦禍に晒し、王の臣民を許しも無く戦力とするなど、越権行為どころではない、普通であれば王権を軽視する行為とされ御家断絶となってもおかしくない蛮行であろうに。


 だがクスリを備蓄している貴族が王宮から調査を受けた様子は全くない。これは王家が主戦派貴族の行動を黙認しているという事か、それとも王都での無法を理由として主戦派貴族を処断する狙いなのか。


 もしかすると、情勢に合わせてどちらの選択も取れるようにしているのやもしれぬ。


「居たぞ、あそこだ、であえ、であえ」


「王都を騒がす火付け犯め、覚悟しろ、呼子を吹け、兵を集めよ」


 私達を見つけたのか、周囲から叫び声や笛の音が響きだす。


「おやおや、旦那見つかっちまったみてえですぜ、どうしやすんで」


 このような場所で見つかるとは、勇者様とは思えない油断だが、いかなる事であろうか。


「顔を隠しているって言っても、捕まれば色々と不味い事になるから、逃げるぞ」


 今の私と勇者様は覆面を被り、両目以外を隠しているため、遠目で髪の色や耳の形などの特徴を見られる事はなく、装備や衣類も普段とは変えているが、それでも何らかの手違いが起こり、勇者様がクスリを焼いて回っている事が貴族達に知られれば、今まで勇者様がこの地で積み重ねてきた一切が崩れかねない。


 どうする、私がその気になればこの場に居る兵や騎士を全て斬り捨てる事も出来ようが、そうなれば勇者様の疑念を誘う事になろうし、賊や明確な敵勢力の兵ならばともかく、ただ役目を果たしている警邏の者を殺める事を勇者様が望まれるかどうか。


 ならば、私が何かしくじったように見せて囮になるべきか。


 その時は、捕まるより前に髪を焼き顔を潰しておかねばな。


 普段の姿の私が勇者様と共に行動しており、開戦時には共に捕らわれていたのは多くの者が知る事実、私の面相から勇者様に辿り着くような事が無いようにせねば。


 今のこの国は戦争や連続した活性化の影響で回復薬が不足し、回復魔法の使い手も戦場に送られたり、貴族が抱え込んでいると聞く。ならば捕えた罪人の顔を確認するために治療するような余裕はないはず。


 待てよ、もしや勇者様の事だから、こうして発見されたのは何かお考えが有っての事なのか。いや、この御方は時折、信じられないようなポカをされる事もあるゆえ、どちらなのかはっきりせぬな。


 身軽に民家の屋根の上へと跳び上がる勇者様を追って、私も跳ぶと、それまでいた場所を矢やスキルが通り過ぎていく。


「東へ回れ、水路に逃げるやも知れぬ、舟と騎馬も呼び集めろ。これ以上、賊の跳梁跋扈(ちょうりょうばっこ)を許すではない、今日こそ王都を騒がすあの者を捕え、陛下の御心を安んじて差し上げるのだ。生死は問わぬ容赦するな」


「いやはや、物騒なことを叫んでやすねえ、おっかねえ」


 ただでさえ戦況の悪化で人心が乱れているうえムルズ湖が制圧されて王都の喉元が抑えられているのだ。そこに連日連夜に渡って放火が続いていれば、警邏の者どもが殺気立つのも当然であろうが。


「まあ、江戸時代とかなら、放火は死刑ものだったか、それならあの叫びも解るか」


 勇者様の小さな呟きが耳に届くが、向こうの世界でも火付けは重罪という事なのだろう。


「で、旦那は、これからどうなさるんで、巻き添えで牢に入るのは一度で十分、二度目は御免ですぜ」


「解ってる、とりあえず今の借家に連中を連れて戻るわけにはいかないだろう、適当な方向に逃げて撒くぞ」


「へい」


 屋根から屋根へと飛び移る間も、後方や側面からスキルが飛んでくる。現状では街中ゆえか家屋を破壊しかねぬ魔法や高威力の範囲スキルは今のところ使っていないが、痺れを切らせばそのうち……


「貴族家の邸宅が巻き込まれぬのならば構わん、取り逃がすくらいならば殺す気でスキルを撃て」


 思ったよりも、指揮官の気が短かったか、このままでは不味いか。


「くらえ『三連速飛斬』」「賊め『小斬散飛』」「行くぞ『火弾』」


 命令と同時にスキルを放ちだしたか、このまま遮蔽物の無い屋根の上を進むよりは、路地に隠れた方がいいか。ならば勇者様を誘導せねば。


「旦那、このまんまじゃ……」


「『刀群烈風』」


 無数の小さな刃を含んだ風が私たちを取り巻く。この魔法は不味い、致命傷や行動に支障が出るような威力はないが、小さな刃が全身に斬りかかるこの魔法は、脆い装備品、特に衣類などにとっては。


「よし、覆面を剥いだ、一人は黒髪、もう一人の小柄な方はくすんだ赤髪、目立った耳はない人族、顔立ちはこの距離ではわから無いか、距離を詰めろ、賊の面相を確認せよ」


 く、髪色を確認された、おおよその体格と、黒髪と赤髪の二人と言うだけでも、勇者様を疑う理由になりかねない。


 出来得る限り勇者様の御意向通りに事を進めるように言われ行動していたが。やはり猊下の御言葉に逆らってでも、私一人で王都のクスリを処理すべきであったか。


 そうではない、悔やむのは事が済んでからだ、今はこの場を乗り切り、勇者様が主戦派から疑われないように手配せねば。


「旦那、面が割れねえ様にしやせんと、いや今のままでもヤベエですぜ」


「構わない、考えがある、ともかく逃げきれ、先に行け斜め右方向、あっちの塔の方へ向かえ」


 考え、一体どうなさると言うのか。


 おそらくは武具の効果で捕り手の配置を確認されて、手薄な方を指示されているが、このままでは逃げ切れたとしても。


「くたばれ『炎連弾』」


「ぐう」


 指示された通りに私が先行した直後に、捕り手の放った火弾が数発、勇者様に直撃する。


「旦那、大丈夫ですかい」


「問題ない、行くぞ」


 大丈夫と言われてはいるが、今の勇者様は外見で身元が分からないよう、普段の装備ではなく殆ど防御力の無い黒ずくめの衣服のみでは……


「問題ないって、旦那、腕が千切れ掛けてやすぜ」


 背中は広い範囲で火傷を負い、左腕は肘と肩の間で爆発したのか、上腕が半ば千切れ、折れた骨がむき出しとなり、多少の肉と皮で辛うじて繋がっているような状況ではないか。


「すぐに治る、それよりも、攻撃を当てて、向こうはこっちの足が止まると思ってるだろうから、その油断に合わせて一気に引き離すぞ」


「仕留めたか」


「いやまだだ、だがあの深手だ、じきに動けなくなって落ちて来るだろう、そこを捕える、奴らの下を固めろ」


 お言葉の通り、武具『長命の魔法輪』の『超再生』が働き、みるみる間に腕が繋がってゆく。


「回復した、奴は回復職か、いや魔法を使ったようには見えなかった、ならば高位の魔法薬を持っていたか」


 勇者様の言われた通り敵が油断し、更に短時間の回復の驚きで足が止まったのか、追っ手の声が徐々に遠ざかる。


「よし、このまま一気に撒くぞ」


 家屋の密集する裏通りの路地に跳び下りた勇者様が、『魔道具』の『換装のベルト』を使われて、それまでの黒装束から兜付きの重装備へと装備を代えられる。


 なるほど、こうすればさっきまで逃げていた火付け犯と同一人物とは思われない、これだけの装備を纏うには、通常ならばそれなりの時間がかかる。


 普通に考えるのならば隠れている短時間で『アイテムボックス』から取り出して換装したとは思われないだろう。それにこの装備なら兜で毛髪を隠していてもおかしくはない。


 変身に合わせて装備を代えられる『獣人用アイテムボックス』なら似たような事も出来るが、先ほど髪を見られた時の事を考えれば、追っ手は二人とも人族だと判断しているであろうから、それを疑う事も無いだろう。


「おまえはどうするんだ」


「旦那は、あっしの二つ名をお忘れですかい」


 荷物から、切り落としてある耳と回復薬を取り出して、耳を頭頂部の傷跡に当て回復薬を呷る。すぐに耳が欠けている時とは明らかに違う、より明瞭な音が聞き取れるようになる。


「こうすりゃ、あっしの事を知らない連中に取っちゃ、さっきまで逃げてた人族とは別の、たまたま髪の色が似た兎の獣人って事になりやす」


 こちらへと向かってくる複数の足音を迎える様に勇者様と私が路地から通りへ出ると、すぐさま誰何の声が掛けられる。


「曲者、そこを動くな」


「よく見ろ、別人だ」


「む、冒険者か、貴様らここで怪しい者を見なかったか」


 私達を取り囲んだ兵達が、追いついて来た騎士の言葉に合わせて此方へ向けていた槍を立てながら聞いてくる言葉に、勇者様が直ぐに答える。


「いや、特には見ていないな、何か騒がしいようだが」


「賊が逃げているだけだ、この地区で捕り物を行う。用が無いのであらば早々に立ちされ。包囲網を乱して穴が開かぬように注意し、徐々に狭めるのだ、賊をこの地区の外に出すな」


 ゆっくりと兵士達の間を抜けて、包囲網の外に出ると、勇者様が屋敷の方へと足を向けられる。


「あーあー、一度くっつけると、また切り落とすのが痛えんであんまりやりたくねかったんですけどねえ」


「便利な物だな、見た目だけでも二つの種族を使い分けられるのなら、こうやっていざという時に別人に変われるって訳か」


「まあ、そう言う事でさあ、まあその手の筋の方々にゃ『耳無し兎』って通り名が広がり過ぎちまってんで通じやせんが、堅気の方々や真っ当な騎士様方は、あっしみてえなケチな小物の事なんざ御存知ねえでしょうから。ですが旦那、この後はどうすんですかい。この場は乗り切れやしたが、旦那とあっしの姿を遠目に見られてる以上は、明日からは旦那も容疑者ですぜ。あっしはいざとなりゃ、この姿で別人として王都の外に出られやすが、旦那はそうはいかねえでしょう」


「その点は大丈夫だろ、考えがあると言っただろう」


「本当ですかい」






「使節官殿、急な面会要請を承諾して頂き感謝いたします」


「いえお気になさらず、ムルズ王国の方々にはこうして新しい宿舎まで手配して頂いていますし、そもそもライワ家からムルズ王国への使者とういう立場である以上、王宮からの来客を迎え入れるのは当然の事、それでそちらの方々は、どなたでしょうか」


 朝になるとすぐにクローニ子爵達が、勇者様の下を訪ねてきたが、やはりこうなったか。


 子爵と共に来ている者達は、王都で警邏ら治安維持に関する官職に付いている男爵や騎士達、後はクスリを管理していたであろう主戦派貴族家の家臣か、音を聞く分では、兵等が宿舎の周りを取り囲んでいるようだな。


「そうそうたる御歴々が、このような朝早くに来られるとは、何かライワ家に変事でもあったと急報が入りましたか」


 クローニ子爵が同行者を紹介し終えると同時に勇者様が訊ねられる。


「使節官殿も御存知かもしれませんが、最近王都を騒がしている賊がおりまして」


「ああ、噂は聴いています、何でも放火が頻発しているとか」


「ええ、昨夜も火付けが有りまして、実はその際に王都警邏に当たっている者共が、下手人の人相とまではいきませぬが、遠目に髪を確認したとの事でして。申し上げにくいのですが、それが黒髪と小柄な赤髪の人族の二人組という事でして、そのような二人組など幾らでも居ますし、貴殿を疑う訳ではないのですが、それでも一応該当する方には例外なく確認するよう言い遣っておりまして。失礼ですが、昨夜はどちらに」


 まあ、そうであろうな、髪色を見られていれば勇者様を疑うのは当然、何しろあのクスリをどうにかしたいと考えるのは、神殿側の人間の筈であり、ムルズ王国の者達にとって勇者様は、ライワ家だけでなくライフェル神殿にも所属しているのですから。


「昨日は、ずっとこちらの屋敷にいましたが」


「それを証明する事は出来ますか」


「昨日は来客は有りませんでしたが、この屋敷に居る当家の者達とは共にいましたが」


 勇者様達の世界で言うところの現場不在証明アリバイとするには身内のみの証言では。いや……


「ライワ家御家中の方以外に、それを証明できる方は」


「ああ、そうだ、この屋敷の周りには監視、いえ警護の為に多くの兵士が詰めていましたね。彼らに確認して頂ければ、わたくしどもが屋敷から出入りしていない事は証明できるのでは」


 確かに、勇者様とわたしが暗躍する際には、この屋敷を監視している者達の目を掻い潜っていたから、記録上は出入りは無かった事になっているであろうが、それはあくまでも出たことが確認できていないというだけで、中に居るのを直接確認した分けではないから、証拠としては弱い。


「ふん、そんな物は幾らでも誤魔化しが利くであろう。子爵殿、ライフェルの似非坊主如きにそのように時間を掛けずとも、このまま縛り上げて取り調べればよいだけではありませぬか」


「控えられよトッコウ男爵、使節官殿はライワ家家臣、無礼は外交問題となりかねませぬぞ」


「何を言われるか、この者が咎人と確定すればライワ家とて謝罪し賠償を行う事でしょう。ならば逃亡の余地を与えぬよう即断即決で事を進めればよいだけの事ではありませぬか、いっその事この場で切り捨て、死体を調べれば抵抗も誤魔化しも出来なくなりましょうぞ」


 随分と過激な事を言う者だが、それに賛同している者も少なくない。クローニ子爵もよくあのような者達を同行させたな、いや派閥などの関係で連れて来ざるを得なかったというところか。


 だが、実際のところ、ただ髪色を確認したというだけでここまで強気になれる物なのか。


「無礼な我らが伯爵閣下の任命された、ライワ家の使節官殿を咎人と言われるとは、如何なる理由があっての事か、事の是非によっては我らも退くに退けぬ事となりましょうぞ」


 トマホーク卿が声を荒げられるが、ライワ家の報復を匂わせる言動に、向こうの勢いもやや弱まったか、その程度の覚悟ならば大言壮語など口にせねば良い物を。


「使節官殿の無実を私は信じておりますが、それを証明するためにもご協力いただきたいのです」


「クローニ子爵、協力と言われましても、まさかまた牢獄に入って取り調べを受けろとでも言われるのでしょうか」


「いえいえ、実は昨夜の捕り物の際、警邏の兵の放った魔法で賊は深手を負ったとの事でして、その為、王都に居る回復術師の所在や魔法薬を所有している貴族家などの保有状況を確認しているのです」


 回復手段、そうか、それで……


「なるほど、それで私の所に有るライワ家の秘薬を確認したいと、確かにあの薬なら深手の傷も瞬時に直るでしょうから、盗みに入られている恐れもありますか」


「盗まれたなどと、今のうちに言い逃れか、貴様が昨夜使ったのであろう。火炎魔法の直撃を受けた賊が瞬時に傷を治したのを多くの兵が見ておる。あのような効果の魔法薬がそうそうある物か、一つでも数が足りなければ解っておろうな」


 確かにあれほどの効果であれば『聖馬の不苦無痛丸』を使ったと考えるのが普通か、ムルズの者達は『長命の魔法輪』の存在を知らないのだから。


 だからこそ勇者様は昨夜……


「あの薬はすべてこの箱にしまって有ります。間違いの無いよう、一つづつ並べてしまってあるので数を確認するのも簡単でしょう」


 勇者様が平らな木箱の蓋を開けてその中身を見せるように差し出す。


「配下の者に『鑑定』させてもよろしいでしょうか」


「もちろん、間違いの無いよう、とくと御確認下さい」


「13、14、15、間違いありません、全て本物で15個揃っております」


「な、何だと、何かの間違いではないのか」


 指示を受けて『鑑定』を行っていた男にトッコウ男爵が確認するが、それに対して勇者様が口を開かれる。


「間違いと言われるが、本来伯爵閣下から19個御預かりしていた秘薬が、16個になってしまった不始末やシェイク伯爵家との一件で1つ使用した事等は、私よりもそちらの方がよくご存じの事かと思いますが。クローニ子爵が各家より回収してくださった事は、公文書にも残っていますし、伯爵家からの謝罪の書状もあります」


「貴様、何処に隠し持っていた」


「そのような事はないというのは、ムルズの方々が保証してくださるのでは、私が王都に連行された時は最低限の衣類以外の持ち物を没収され調べられました。それどころか伯爵閣下の派遣してくだされた彼ら護衛の者達が到着した時や、直訴を受けて『迷宮』に向かった際の王都の出入りでも、『アイテムボックス』の中まで全て調べられたというのに、どうやって我々が何かを隠し持っていたというのですか。それ以外にも屋敷の出入りや、用件が有って神殿に赴いた際の出入りなどでも、事あるごとに荷物を調べているというのに」


 実際の所は、『勇者の武具』を始めとした幾つかの『魔道具』を『埋没の飾り紐』で隠しておられるが、それを知られていない以上、ムルズの者達が勇者様に反論する事は出来ないであろうな。


「ぐ、ぐ、」


「さて、根拠は到底言えないような言いがかりで、私達ライワ家を罪人扱いした件については、納得のいく説明を頂けるのでしょうか。今日来られた御歴々を見るに、これは皆様方の御家がライワ家に対して先ほどのような見解を持っていたという訳ではなく、皆様方の勤められているムルズ王都の治安当局がライワ家に嫌疑を持っていたと判断すべきと思うのですが」


「そ、それは、先ほども言いましたが、私は貴殿の無罪を信じていましたぞ」


「クローニ子爵は、そうでしょうが、他の方々はどうだったのか、何よりこのような時間にこれほどの人数を派遣された、王宮のお考えは、一体どうなのでしょうか」


 これを狙って、昨夜はあえて見つかり、攻撃を受けられていたのか。


 この件でこれまでのように何かの権益を得られるかは解らぬが、一度こうした失態を犯してしまった以上、今後、我らが何かの間違いでクスリの排除に関しての証拠を残してしまったとしても、ムルズ側は、今回の一件のようになるのではと考え、よほどの事が無ければ動けなくなる。


R5年6月21日 薬の数について修正しました。

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― 新着の感想 ―
[気になる点] 正しい薬の数は16じゃなくて15にするべきではないでしょうか? 「498 足りない薬」で19個あった薬が使用されて、16個になっていたことが判明。ムルズ側も認識。 「513 握手」で…
[良い点] 胡散臭そうな情報キャラこんなに清楚わけがない。ふざけた口調だけど、本音は真面目で可愛い・・・きっと後に仲間になる、リャーには"女性"扱いされたいはず。うさぎちゃんかわいいよテトビ。 [気に…
[一言] 上手いことやりますね。 薬も焼かれ、供給も絶たれたら、後はどうなってしまうのか……。 良い方にも悪い方にも転がりかねない、今後の展開が楽しみです。
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