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53 二つの薬

お気に入りが200を超えました、これからも皆さんに楽しんでいただけるよう頑張って行きます。

それと今回はちょっとアレなネタだったりします……

 伯爵領に戻って来てからもう数日、いつもの様にカミヤさんに呼び出されたんだけど。


 しかしどうしたんだろ、いつもなら応接室とか執務室なんかに呼び出されるのに、今日は会議室それも一番奥の小会議室って。


「悪いな、こんなはずれの部屋に呼び出して。執務室を除けばここが一番機密性が高いからな」


 機密性、盗聴対策のジャミングでもされてるってのかな。いやそれは無いか、多分壁が厚くて音が漏れないって事だろうな。


「いえ、それは別に気にしないでください、今は居候みたいなもんですから。それでどうしたんですか」


「ああ、薬が出来た。まだ一回分だが数日中に残りの分も取れるらしい」


 やっと薬が出来たか、これでやっとユニコーン達の問題は解決のめどが立ったな。


 カミヤさんと一緒に長老がお盆に乗せて持ってきた薬を確認する。


 これが、ユニコーンの作る万能薬か。お盆の上には茶色をしたピンポン玉より少し小さいくらいの球体と、小さな小瓶に入った透明の液体。


「これが万能薬か、ご苦労だったなヤッカ、とはいえ念のためを考えるなら、これだけでなくもう何回分かをリョーに預けて置きたい、残りの分も頼むぞ」


「あ、ああ、わかってます」


 なんだろ、疲れてそうだな、顔も赤いし熱でもあるのか。いやそうじゃないか、これの正体を予想すればそりゃなー


「さて、これの『効果』はどうなんだろうな。リョーは確か『鑑定』スキルを持っていたな。これを『鑑定』できるか」


 え、そんなことここで言っちゃっていいのか、いや、『鑑定』スキル自体は珍しくても特別じゃないんだよな。別に俺が持ってても変ではないのか。


「ほう、採取系を得意とする冒険者には持っている者もいると聞いていたが、リョー殿もか」


 うん、長老も納得しているし、問題なさそうだな。


「たまたまですよ」


 さて、それじゃあ、『鑑定』してみるか。


「な、なんだって」


 なんだ、ヤッカがまた騒いでるけど、まあそれは後回しだな、長老とカミヤさんが早くしろと視線で催促してるし。


 まずは、球体からにするか。


聖馬の不苦無痛丸 LV1

効果 HP/MP全回復及び最大値微上昇 死亡・自然病以外の全異常状態回復 毒・石化・麻痺・呪い・ステータスダウン・魅了・混乱の一定時間防止


 何だこのチートアイテムは、名前はエリクサーとかでもういいんじゃねえの。

 

 それにしても、せいばのふくむつうがん、略して『馬のふん』か、こんなふうに考えちゃうのはやっぱり、製造過程を知っているからかな……


「丸薬の方は『聖馬の不苦無痛丸』というみたいです。効果は目的通りですね『瀕死』や『異常状態』からの完全回復、更に一定時間『異常状態』を防止と、多少のHP上昇。これが有れば目的は達せられるでしょう」


「そうか、これで何とかなる。しかし完全回復とは予想以上の効果だっていうのに、さらに『追加効果』に『予防効果』とは、これは予想よりも高値で取引されるかもしれないな」


 腕を組んだままのカミヤさんが、テーブルの上に乗せられた丸薬をまじまじと眺めている。


「うーん、これがなー、俺も長いこと冒険者をしていたがここまでの効果となると、そうそうあるものじゃないぞ。後はせいぜい上級ドラゴンの肝とか不死鳥の卵くらいしか思い浮かばないな」


 それって、よっぽどだよな、ドラゴンとか不死鳥とか普通の冒険者が手を出せるとは思えないもんな。


「そ、それでもう一つの、液体の方はどうなのだリョー殿」


 長老にしても予想以上の効果だったのかな、かなりテンパってるよ、ていうか長老なのに知らなかったのか。


「む、恥ずかしい話だが、我らがここまで高濃度の『濃縮』をするのは、数十年ぶりでな。『寒暑の岩山』では薬草自体が貴重なため多少効果が高い程度の低濃度な物しか作っていなかったのだ」


 なるほどね、まあこれからは、カミヤさんが薬草用意するんだろうし。なんかカミヤさんだったら栽培しててもおかしく無さそうだし、他から買い集めてもいいんだし。


 と、それよりも『鑑定』だよな『鑑定』。


保質のガラス瓶 LV3

付加効果 内容物の劣化遅延


 おお、こんな小瓶でもこういう効果が有るとはさすがファンタジー世界、いや、そうじゃない。


(ラクナこれはどういうことだ)


(見ての通りの物じゃのう、一応『魔道具』に入るが人の手でも作れるので貴重な薬品の保管などには使われるのう。まあ値はそれなりにするがの)


 いやそうじゃなくてね、てかこの首飾りさん解っててボケるよね、ワザとだよね。


(そうじゃ無くてだな、入れ物の『鑑定』が出来ても仕方ないだろうが)


(それはそうじゃな、蓋を開けるか少し垂らしてみるとよい)


 ああ、そうか直接視界に入ってないとダメなんだっけ、ガラス越しって言うのは扱い的には物陰に隠れてるのと一緒なのかもな。


 とりあえず一滴分を掌の上に落としてみる。


「てっ、手に取るだって。そんな、そんな」


 なんだヤッカが変な反応してるな。


 とりあえずは、無色透明だよな、これもたぶん薬なんだよな、匂いも特になさそうだな。


「に、匂いなんて嗅ぐなー、バカヤロー」


 あれヤッカがいきなりダッシュで部屋の外に走ってったけど、どうしたんだ。真っ赤な顔してたけどそんな暑くないよな。


(お主、それの正体に思い浮かばないのかの)


 正体って、これは『濃縮』された薬だろう。それより鑑定鑑定。


聖馬の浄化水 LV1

効果 毒・呪いで汚染された土地・物品・液体の浄化 不死者に対して防御無効化・ダメージ強化 下級不死者浄化 闇属性効果軽減 光属性効果増強


「ククク、それで、ウプ、『鑑定』は出来たのか」


 なんだろうカミヤさんが必死に笑いを堪えているけどどうしたんだ。長老も肩が震えてるし。


「ああはい、名前は『聖馬の浄化水』汚染された土地や物の浄化と、不死者や闇属性に対して効果が有るみたいです」


「それはまた、これも金になりそうだな。汚染された土地を浄化できるなら開拓だけでなく、『迷宮活性化』後の復興事業などでも使えるし。不死者に効果があるなら、上級冒険者や軍隊からの需要が有るだろう。『迷宮』によっては吸血鬼やリッチなんかが出てくるが、『魔道具』や魔法使いが無ければ戦えないうえに、威力が弱ければ無効化されるからな」


 吸血鬼か、これがあるならもっかい『蝙蝠の館』に挑戦してみようかな。


「それにしても『聖馬の浄化水』か。効果といい名前と言いまんまだな」


 ずいぶん楽しそうだなー、どうしたんだろう。まんまって、まあ効果的にはゲームとかの聖水みたいな感じか、で名前が『聖馬の浄化水』だから略せば聖水か。


 うん、あれ、聖水か、なんか嫌な予感がしてきたな。


 さっき、ラクナがこれの正体って言ってたよな。これは『聖馬の不苦無痛丸』と一緒に出来たんだよなたぶん。


 略称『馬のふん』と一緒に出来てきた液体……でもって略称『聖水』まさか、まさか、これは……


 そう言った趣味の方々が隠語として使う聖水、あれ、あれなのか、てことは俺は……


(女子の排泄物を本人の目の前で手に取り、あまつさえ匂いまで嗅いだ変態じゃな)


「あああああああああ」


 頭を抱えてその場に崩れ落ちる俺の後頭部を、カミヤさんの笑い声が叩き続ける。


「ひぃ、と、とりあえずは、ぷ、いくつかできるまで、はは、ま、待ってもらおう、くく、もしかすると、ぷは、毒にやられたのは、うひ、一人じゃないかもしれん」


 なんだこれ、文節ごとに笑い声が混じるってのは、ちょっと殺意を感じるんだけど。まあそれは抑え込まないとな。


「そういえば、この薬を届けなければならない王族ってのはどんな人なんですか」


 今更気づいたけど、リューンとかいう国の王族で、お家騒動で有利になる為の箔付けでワイバーン狙ったら、返り討ちで毒を食らったくらいしか知らないんだよな。あ、ワイバーンは倒せたんだっけ。


 てか、このおっさんはいつまで爆笑してるんだろう。なんかもう敬語使うのが嫌になってきた、いやいやこの世界じゃ貴重な人脈なんだし、金づるなんだから大事にしないとダメか。


「はあ、はあ、そういえば言って無かったか、レイドの街にいるのはリューン王国の第一王位継承者アクラス王女と、その双子の姉で継承順位第二位のパルス王女。あとは側近として幼馴染の上級騎士が一人、おそらく毒を受けたのはこの三人の誰かだろうな。その他は護衛として騎士が数名に、従士や兵士が二、三十人、後は子飼いの冒険者がいくらかと言ったところだろう」


 お姫様来たー、お姫様、やっぱりファンタジーの王道だよね、そう来なくっちゃ。じゃなくてそのお姫様達のせいでユニコーン達が面倒なことになってるのか、まったくお城の中で大人しくしてればいい物を。


「その程度の人数ですか、王位継承権のある相手の護衛なら何百人いてもいい気がしますが」


 ファンタジー小説なら少人数の護衛で襲われて、そこを『勇者』が救うってのがお約束だけどさ。そんなのは男の夢でしかないだろう、普通に考えれば、護衛専門の部隊が何百人もいたっておかしくない気がするけど。


「数を揃えれば、ドラゴンを倒したって個人の武勇にならないだろ、それに他国の領内をうろつくなら、兵士が多すぎると外交問題になる」


「それだと、数十人は多いのではないですか」


 俺らのパーティーなんて五人、大抵のパーティーは多くて十人ちょっとくらいだもんな。


「ワイバーンに仕掛けるならそれでも少ないくらいだ。例外が有るなら『勇者』のパーティーか、『剣聖』や『剣魔』、『大魔導師』みたいな最上級冒険者が居るようなパーティー位だ、普通は大規模討伐並みに戦力を揃える。この人数で倒したなら半分死んでいても大金星だ」


 ああ、そうか、でもさそこまで危険を冒さなきゃならないのかな。第一王位継承権があるなら、多少の不利は覆せるんじゃないのかな。てか、長老もここに居るのにさらっと『勇者』とか言うって、この人はもう。まあカミヤさんが『元勇者』ってのは有名らしいから大丈夫だろうけど。


「そんなに、王女たちは不利なんですか」


「若すぎるんだ、間違いなければ御年11歳」


 11、ロリッ子かよ、幼女お姫様かー、まあうちのアラの方が絶対可愛いだろうけどね。


 でも、それじゃあ成人の対抗相手がいれば不利かもなー


「それは間違いないんですか」


 そこまで幼いとなると、自分の意思かどうかも微妙だなー、誰かが後ろで糸ひいてたりするのかな。お約束なら大臣とか叔父とかの傀儡って感じかな。


「ああ、11年前に大々的に双子の誕生を発表したからな、政略結婚で産まれた子らしいから、両国のつながりを宣伝したかったんだろ」


 あれ、そういえば、これちょっと変だな。


「双子の姉妹なのに、姉より妹の方が王位継承順位が上なんですか」


 普通は生まれた順だよな。


「ああ、政略結婚だと言っただろ、二人のお姫様は人族との混血でな、どうやら姉の方が人族の特徴が強いらしくて妹が優先されたそうだ」


「という事はリューンというのは人の国じゃないんですか」


 今の言い方だと間違いないよな、獣人とかかな。


「ああ、エルフ族だ」


 は、エルフで11って、確か人間で言えば2つか3つくらいじゃないのか。


もうちょっとで、もうちょっとで新ヒロインが書ける、多分今月中には……


H27年2月16日 誤字、句読点、一部台詞修正しました。『聖水』の効果に下級不死者浄化を追加しました。

H27年4月14日 誤字修正しました。

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