488 獄中の聖者
続きが皆さん気になっていたようなので本当のあの事件の続きを
まあ多くの方が流れを予想していましたが……
たのむ どうか おねがいだ どうか
どうか、無事に、逃げ切ってクレ、そう、すれば、そうしてくれ、さえ、すれば、もう、もう……
もう、それ、で、それ、だけ、で、俺は、も、う……
多少の予定外は有ったが、これで全て上手く行ったから、ほぼ理想的な流れを掴む事が出来る。
「……な、旦那、起きてくだせえ、旦那」
ん、なんだ、人が寝てるっていうのに、ここはかなり寝心地が悪いけど、それでも襲撃される恐れもないし、この先の予定もしばらくは決まってないんだからさ。
サラリーマンにとっての日曜朝みたいなものなんだから、ゆっくり眠らせてほしかったってのに。
「なんだってんだよテトビ」
「食事が来やしたぜ、早く食わねえといけやせんぜ、クズ野菜スープというか茎や根っこ入りのお湯は、冷めたら更に不味くなりやすし、干からびて石みてえに堅てえパンもこのまま置いときゃ、鼠やら油虫やらに食われちまいやすぜ、というかこういう所で寝返りもうたずに長時間ぐっすり寝てやすと、死体と間違われて齧られちまいやすぜ」
何度聞いてもヒデエ話だよな。
「いくら旦那の『簡易魔道具』のおかげで、食わなくても大した問題はないって言いやしても、ここに連れられて来るまで、馬車で移動してた数日が飯抜きだったってのに、何も食わないで居りゃなにか有ると怪しまれやすぜ、腹ペコのふりをしときやせんと」
「それもそうか」
しかし、テトビの言う通り酷い食事内容だな、これ『無食長命』の効果付きのアイテムが無かったらそのうち栄養失調で死んでるんじゃねえか。ん、あれ……
「テ、テトビ、お前が飲んでるそれ」
牢屋の悪臭の中でもはっきりと分るその芳香は……
「コイツですかい、こりゃあ葡萄の蒸留酒でさあ、流石は王都、いい酒が有りやすね」
いや、酒なのはわかってるって、問題なのはなんで今ここで飲めてるのかって事なんだけど、ここは監獄の中で俺達は囚人だよね。
「囚人とは思えねえ位にのんびりされてる旦那に驚かれるのは心外ですが、地獄の沙汰も金次第ってね。この世の中で賄賂の通じねえ場所なんてごく僅かしかありやせん。それはこの重罪牢だって同じでさあ、どの相手に渡すべきかと、どの位の額を渡すべきかってのをキッチリ弁えてれば、大概の事は何とかなりやすって」
賄賂かよ、そりゃ中南米とかだと、麻薬王が高級ホテルみたいな刑務所生活をしてたみたいな話は聞いたことあるけどさ。
「そもそも、その金をどうしたんだ」
ここに入れられるときに『アイテムボックス』や財布、鞄やポケットの中身なんかの持ち物の大半は没収されれてたよね。
俺はカミヤさんに貰った『埋没の飾り紐』のおかげで、『軽速の足環』『長命の魔法輪』『聖者の救世手』『換装のベルト』の四つと、普段している三つの指輪、それにお姉さんが『隠蔽』を付けてくれた『無食長命』の付いたアクセサリ二つ、後はついでにラクナと『換装のベルト』に入れてた予備の防具類が、相手には意識されずに済み、取られなかったけど、それ以外は今着てる下着と服の上下以外、財布を始めとした持ち物全部没収されたっていうのに。
いや、でもこれだけあれば、タイミングさえあれば脱獄できそうな気がするな。まあ、使い慣れた武器二つにメインの防具を取られたままっていうのは悲しいけど、とはいえこのまま行けば、それもそのうち何とかなるだろうから脱走の必要なんてないけどさ。
「入牢の作法さえ知ってりゃ、持ち込みなんて幾らでも出来るもんですし、外から差し入れて貰う事だって出来やす。というか、多少なりとも金を持ち込まにゃ、牢じゃまともに生きて行けやせんぜ、最低限まともな食い物を取るにも賄賂がいりやすし、大部屋に入れられた時は、牢名主に付け届けをしねえと嬲殺しにされちまいやす。まあ、旦那なら逆に牢名主をぶち殺して役を奪っちまえるかもしれやせんが」
牢名主って、そういや時代劇で見た事が有るような、確か牢屋の顔役のヤ〇ザで無茶苦茶偉そうにして、逆らうと殺されるんだっけ。
「しかしまあ、それなりの用意をしてきたあっしだって、熟睡は出来ねえってのに、よくもまああんなのんびり寝てられやすね」
「久々の動かない床だからな、昨日まではボロイ馬車に乗った檻の中で、昼も夜も動きっぱなしな上に、風も雨も吹きっ晒しで、周りの目も有ったが、ここは明り取りや通気の小さな窓以外は全部岩の壁で、入り口も小さな覗き窓の有る厚い鉄の扉だけ。多少寒くても毛布が有るし、少し湿っぽいのを除けば、暗くて寝るには丁度いいだろ」
しかもここじゃ、コイツしかいないから、小さな子達の見本になるように規則正しい生活をなんて考える必要もないから、ついダラダラとね。
「いや、そう言う意味じゃなくてですね、逃げそこなって巻き沿いで掴まったあっしですら、いつ首を切り落とされるんじゃねえかってビクビクしてるってのに、旦那がそうも落ち着いて寝てられるってのに感心してるんでさあ」
あ、コイツ逃げそこなったのか、そう言えば俺がサミュー達に指示したのは、『アラを連れてラッテル領まで逃げろ』なんだから、コイツは忘れられちゃったのかな。
それともアラが俺を置いてくのを嫌がってコイツに気を配る余裕が無かったとか、コイツなら自分で何とかするだろと思われてたとかか。
「そうは言うが、多分俺達が殺される事はないぞ、いや完全にあり得ないとは言えないがその可能性はかなり低いだろうさ」
「へ、そりゃどういう事で」
「流石に、王女の引き渡し直後なんて言う時に、マイン本人が直接あんな真似をしてくるとまでは思わなかったが。俺だって帰り道で何かされるだろうくらいは思ってたし、橋を渡り終えた直後に、向こう岸に展開してた軍勢の連中に斬りかかれるかも位は考えてた、今考えてみるとカミ、いやライワ伯はこうなる事を予想してただろうからな、対策はとっくに出来てるはずだ」
王女を連れてった時に話をした時のカミヤさんの対応、いや、それ以前なんかでもあの人や神官長さんがやってた事とかを考えるとさ、こうなるのも想定内だったんじゃないか、というかこれが本命だっのかもって思っちゃうよな。
というかあの二人の事だから、もしかしたら近衛の中に自分達の手駒を隠しておいて、そいつに俺を刺させる位の仕込み、というかマッチポンプまがいの事はするかもと思ってたんだよな。だって王女に書かせた書類だけで満足するなんて、絶対ありえないもんなあの人達は。
と思って前を気にしてたら、後ろからマインが仕掛けて来るんだもんな。まあ、カミヤさん達に取っちゃ最高のタイミングだったろうし、俺にとってもみんなと別行動中かつみんなからもよく見える場所でってのは、ありがたかったんだけど。
「俺らや、この国の現在の状況、それとこれからの流れを考えるとな。あの場から逃げたうちのパーティーが捕まらない限りは、ムルズ側は俺を殺したくても殺せないだろうさ」
「旦那、本気で、いや正気で言ってんですかい、あんな血塗れで死にかけて、こんな所に放り込まれてるってのに、殺されねえってんですかい」
まあ、そう聞きたい気持ちはわかるけど、言い方が酷くね。
実際に死んでないんだし、というか俺だけなら『超再生』が有るからさ、よっぽどの事が無きゃ死ぬ事なんてないから、ある意味では今回の流れだと、俺の存在って非常に都合がいいんだよね。
まあ、マイン辺りは多少回復能力がある位に思ってるみたいだから、俺が慌てて『馬のふん』を飲んだのかもって考えてるだろうけど。
「俺がマインにやられた時に近衛騎士が話してたんだが、王族に対する犯罪の場合、犯人の持ち物は王宮の取調官が調べるんだろう。という事は、それはこれから始まるって事だろう」
「確かにそうですね、時間を掛け過ぎると、黒幕が逃亡したり証拠隠滅をするんで急ぐ時なんかは例外で急ぎの取調もあるようですが、通常ですと旦那の言われてる通りになりやすね」
テトビが俺の推測を肯定してくれるけど、変な話だよな、捜査が遅れるだけじゃないかよ。
「なにせ王族相手の犯罪となると事が事ですから、証拠にも政治的に下手に漏れるとヤバい物が混じってたり、容疑者候補が大物過ぎたりしてヘタを打てば、犯罪が起こったこと自体が握り潰されたり、捜査に圧力がかかる場合が多いですから。調べる方もそれ相応の御方でねえとならねえし、秘密を守るために人数も限られやす。許可の無い連中が勝手に証拠を調べて、知っちゃならねえ事を知ろうもんなら命はねえでしょうね」
あ、そう言う理由か、刑事物の映画とかで『これは高度に政治的な問題だ……』みたいな感じで、担当部署の捜査官が追い出されるような感じか。
「でもって、そう言った選任取調官ともなりゃ誰に命を狙われてるか分かりやせんから、王都や王宮からはそうそう出て行かねえでしょうから、この王都であっし等や証拠品が付くのを待ってたでしょうね」
それならやっぱり、俺達についての調査は王宮に到着した昨夜から始まったって事だろう。
「ついでにその時に聞こえたんだが、奴らは俺を王女襲撃と国宝盗難の犯人に仕立てることで、ライフェル教に宣戦布告する大義名分にして、ついでにライワ家もこのネタで牽制するつもりらしい。そうなると、奴らの予定じゃ俺を殺すのは証拠を固めて公表した上での公開処刑ってのが一番効果的だろう」
「まあ、そうでしょうね、宣戦布告に合わせて公開処刑っていうのは、開戦に向けた景気付けにゃ丁度いいでしょうから、まさか、あと数日は殺されねえって考えてるだけですかい」
景気付けって、まあいいこっちには都合がいいか、調査が終わるまでは安全だし、調査が終わればさ。
「まさかそんな訳ないだろ、王宮の調査官なら他人の『アイテムボックス』を開けることも出来るんだろうな。そうなれば俺の持ってる書類なんかもすぐに目に入るだろう、そうすればあの指輪が盗んだ物じゃなく、正当な担保だってのはすぐ解るだろうし、場合によってはマインが自分の失態を隠しクレイモア家の賠償を踏み倒す為に、俺をハメたって王宮は考えるかもしれない。それだけで俺は冤罪だって証明される」
多分、というか確実にマインはあの書類の存在を把握してない。
俺が『馬のふん』を毒を受けた兵士に使ってマインに絡まれた時に、王女が指輪の話をしたらマインは驚いてたから、あの書類を作った時の会話はトーウの技のせいで聞き取れてないだろうっていう俺の予想は合ってたんだろうし。王女も指輪を渡す際に書類を作った事をあの時マインに説明してなかった。
となれば、マインの話が元になって俺を掴まえた連中も書類の存在は知らない筈で、実物が出てきて初めて慌てることになるだろ。
「そんなもん、見つけた調査員が都合が悪いと書類を握りつぶしゃそれまででしょうに」
「あの時の書類はラッテル領に行った時にライワ伯爵家で写しを取ってあるし、その旨を示すライワ伯名義の証明書も一緒にしてしまってある。王宮が握り潰したら、ライワ家は握り潰した事も込みで書類の写しを公表するだろうさ、ムルズ王家は部下の不始末だけじゃなく王女の借金までもみ消そうとしたってな。ムルズの王宮もその位の流れは予想するだろうから、握り潰しはできないだろ」
こうして話してると、本当にカミヤさんって抜け目ないよな。たぶん、『渉外担当官』の任期が現任務終了直後までになってるのも、こういう事態になるのを狙った誘いなんだろうな。
この世界、信用が重視されるから、払うべき金を踏み倒すのに罪をでっちあげて相手を処刑したなんて事になったら、ムルズ王国を信用は一気に下がり、この戦時に傭兵を雇うのも、商人なんかから物資を後払いで買うのも難しくなるだろう。
俺を処刑するのはムルズにとっては自分で自分の首を絞めるような、いや爆弾をハンマーで殴るような物か。
「ついでに言えば、俺の荷物には、ライワ家の発行した俺の身分を示す物も有る」
「いや、そいつは今回の依頼達成で失効したから、こういう事になったんじゃねえんですか」
よく知ってるな、まあコイツの事だから、運ばれる最中も聞き耳を立てて周りの会話とかから情報収集してたのかな。
「それとは別な奴だ」
「ああ、そう言えば有るんでしたっけ、あっしが調べても解らなかった、伯爵様から直接書類を渡された御役目が」
今回失効した、ライワ家渉外担当の任命書は、王女達に会う少し前にテトビから渡されたやつだけど、俺にはもう一枚カミヤさん本人からラッテル領を出発する時に渡された『白紙委任状』がある。
あの書類には、『この書状を持つ者、冒険者リョー・サカキへ我がライワ伯爵家に関する以下の権限を貸し与える ライワ伯爵家当主 アキラ・カミヤ・ライワ』って書いてあるだけで、その具体的内容や期間は書かれていない。というか俺が好きに書き込めるようになっている。
極端な話、手続き上ではライワ家を丸ごと好きにする事も出来る書類なんだけど、ここで重要なのはあの書類を持ってるってだけで、俺がカミヤさんからそれほどの権限が与えられるほど重用されているって、相手に推測させる事も、カミヤさんが主張する事も出来きちゃうって事だよね。
それこそアレを持ってるって事は『全権代理人』あつかいって事で、『渉外担当官』どころじゃない権限を貰ってるって事だからさ。
というか、この『白紙委任状』が有れば貴族相手のハッタリには十分すぎるはずなのに、わざわざ別に『渉外担当官』なんて役職を用意したのはやっぱり、さっき考えた通り、誘いだったとしか思えなくなって来たな、一応カミヤさんは委任状をくれた時にすぐには使えない理由を説明してくれたけど、それだって今考えると言い訳じみてるし。
「まあ、簡単に言えば、マインは俺とライワ家の契約が終わり縁が切れて無関係になったのに合わせて仕掛けたつもりだろうが、実際には俺は今もライワ家の庇護下で、それも重臣あつかいを受けられる立場って事になってる。ついでに言えば、ライフェル教からも身分保障を受けてるからな」
「ああ『尚武法師』でしたかい」
コイツ、それも知ってたのかよ。まあいい、これも多分俺がムルズ側に何かされる前提で地位を上げたんじゃないだろうか。
何の役職も無い名目の上級僧侶よりは、形だけとはいえ一応きちんとした役職名が付いてた方が事の重大性が高まるだろうから。
でもってこういう、貴族とかその庇護下に有る相手への問題行為は、『そういう人物だと知らなかった』という逃げが通用しないらしいから、今頃気付いたとしても後の祭りだからな。
「てことは、今の状況はライワ家とライフェル教の二つの勢力の重要人物が一度に冤罪を受けて害されたっていう訳ですかい」
「そう言う訳だ」
ここで重要になるのは、重要人物が『害された』って事だろうな。カミヤさんは俺に依頼する時に『サラエボ事件』を例にして、王女が殺されると不味いって言ってたけど、それってあの状態の俺にも当てはまるんだよな。
そして、ただ襲われて撃退したっていうのならそこまでの話にならないかもしれないし、多少の侮辱程度ならムルズ全体を巻き込むレベルの問題にはできないのかもしれないけど。
実際に攻撃を受けて死にかけるような怪我をした、というか重症だったが偶々運よく死なずに済んだっていう状況は、殺されたのとほぼ同様の対応が出来るんだろうから、死んでもおかしくない派手な怪我をしてもそうそう死なない俺っていうのは、カミヤさん方にとってはやられ役に丁度いいんだよな。
「そんなんじゃ、旦那の持ち物を調べてる担当官は今頃とんでもねえ顔色をしてんじゃねえですかい。この件だけで、ライフェル神殿がムルズを非難して諸国を動員して戦争を始める大義名分も、ライワ家がそれに乗っかる理由も出来ちまいやしたから」
感じ的には大津事件直後の明治政府みたいな感じか、いやあの事件は結局戦争にならなかったし、どっちかっていうと裁判の方が話題になるから、これとは違うか。
「ですがそれだって、ムルズ王国が旦那を今すぐ殺して、証拠品を全部焼いてから『そんな事実はない虫下しは王女を送り届けた後は自分の意思で立ち去った、その後の行方など知らん』ってな感じで突っぱねる事も出来るんじゃねえですかい」
「それも無い、その為にウチのパーティーメンバーを逃げさせたんだ、あの子達が逃げ切れば、それですべてが上手く行くからな」
あんな状況でも、必死に信号を送ったんだから、俺のお願いをみんな聴いてくれてるよね。
「へえ、そいつは一体どういう訳ですかい」
「先日ライワ伯に手続きをして頂いて、アラを俺の相続人に指定してある。俺に何かあればアラが奴隷達への命令権を有する事になってる」
これは今迄みたいに俺を通してアラの言う事を聞くのとは違い、俺が居なくなった時はアラに服従するっていうものだし一応何らかの理由で俺と連絡が取れない時も、これに該当するらしいから。
「アラとうちの奴隷たちが居れば、奴隷の証言が出来る。離れてはいたが俺が武器防具を外した状態で無抵抗のまま背後からマインのスキルで撃たれて重傷を負い捕えられた事や、それまで俺が王女達に危害を加える行為をしていなかったって言うのは証明できるだろう。少なくとも俺の奴隷が全員捕まらないうちは、ムルズ側が俺達に手出しは出来ないだろうさ、今俺達の身に何かあればそれが本当に事故や病気だったとしても、さっきお前が言ったみたいな口封じがされたと周辺諸国には見えるだろう」
あの程度の攻撃で俺が死ぬ訳が無いっていうのはみんな解ってるだろうし、あの時点で俺から指示があったっていうのも証言できるはずだから、生きて捕えられたって証言する事は十分可能だろう。
「そうなりやすと、旦那の捕縛で落ちるだろうムルズ王国の信用が更にヒデエ事になるでしょうね。それに考えてみりゃ、檻付きの馬車で護送されたあっし等を見た人間は相当な数になりやすから、旦那が王都にしょっ引かれたってのを隠す事も出来やせんか。なるほど、確かにこれじゃ旦那の身の安全は保たれそうですねえ。旦那が生きていれば、旦那の命の保証なり引き渡しなりの交渉で、多少なりとも状況を改善できるかもしれやせんが、旦那が死んじまえば状況は悪化の一途って事ですからねえ、おっ、こりゃあ……」
何かに気付いたようにテトビが話を止め、両目をつぶって顔を牢の入り口の方へ向けると、しばらくしてから急いでいるような足音や声が複数聞こえて来る。
「旦那の思惑通りに進んでいるようですが、こりゃ、相当向こうさんは焦ってやすねえ、慌てた声でいろいろ話してくれちゃってやすぜ、まあ、とりあえずはもっと待遇のいい部屋と食事を貰えるようですぜ」
とりあえずリョー君の無事が確認できたところで、これから数話は他者視点になるかと思います。
R2年7月12日 誤字修正しました。




