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413 襲撃者と救援者

一応念の為にこの作品には以前から『胸糞・鬱展開あり』のタグが有ります、その点をご了承の上これから先の十数話をお読みください。


「ミーシア、ディフィー、いつでも『獣態』に変身できるようにしておいてくれ」


 一昨日トロルを壊滅させた館の残骸を後にして、みんなとの合流予定地点までもう少しって所まで来たんだけど、装備品の効果の幾つかになんか結構な人数の反応が有るんだよね。


「どうされましたか、リョー殿、敵ですか」


「多分、とは言えまだ敵なのかどうか確定ではないから此方から先に手は出さないように注意してくれ、相手の出方を伺う」


『範囲内探知』で見る分だといかにも冒険者らしい武装した集団だけど、それ自体はおかしくはないよな。


 ここは『迷宮』の中、それも『活性化』直後の『迷宮』なんだから、いつ魔物とエンカウントするか分からない以上は武装も警戒もしてて当然だし、狩の最中で魔物を待ち構えているっていうのなら、全員が隠れているっていうのも別に変じゃない。


 ただ問題は、その待ち構えている場所が俺達の通り道と思いっきりかぶっているってのが、ただの偶然なのか、それとも俺達の戦利品が狙いの盗賊なのか微妙そうだって事だよな。


「確定ではないという事は、相手は魔物ではなく人かもしれないと言う事でしょうか」


 うーん、ディフィーさんは話が早くて助かるな。確かにまあ見つけたのが魔物だっていうのなら、迷う必要ないもんね。


「ああ、この道の先の左右に50人程度が埋伏している。問題は狙いが魔物なのかどうかだが」


「そうですね、先日まで同行していた情報屋等、先行偵察として『鬼軍荘園』の調査をしていた者達の情報では、この辺りには『魔道具』も希少な魔物もいない筈ですが。これほど早く『迷宮』に入れた集団がそのような事すら知らない筈はないでしょうし、であれば横取りを狙っている可能性が有りますね。もちろん何らかの形でわたくし達の知らないような情報を独占できたので、あそこに陣取っているという可能性も有り得はしますが」


 現状だけだと、はっきりはしないって事か。


(まあどちらにしろ、あの地点は避けるべきじゃろうな。魔物を狙っておるのならばお主等が通るのは邪魔となるじゃろうし、冒険者の襲撃を狙っているのならばわざわざ罠に飛び込むまでも有るまい)


 それもそうだな、俺達がルートを変えても相手がそのままだったら、あいつ等はこっちと無関係。俺達の動きに合わせて、向こうが陣形を変えて来たりしたら、あいつ等は敵だと予想できるし。


 あ、やっぱり敵だわ多分、隠れてる連中の見た目を『範囲内探知』で一人ずつ確認してたら、なんか見覚えのある金髪貴族の姿がさ。


 この『活性化』騒動の容疑者候補であるあいつがここに居てろくな事をするとは思えないもんな。


 レネルの仇って事で俺を狙ってる可能性も有るし、誰でもいいから人を殺したいって可能性も有るからな。


「とりあえず、敵かどうかわからない相手の居る所に飛び込む必要はない、道を変えて合流地点を目指す。ただ相手が盗賊でこちらの存在に気付いていた場合、向こうも移動を始めて仕掛けてくる恐れがある十分に警戒してくれ」


「わーった、がんばるね」


「は、はい、ま、周りに、ちゅ、注意します」


「承知いたしました、しかしこの距離で隠れている集団を見つけられるとは、リョー殿の索敵能力には目を見張ります」


 うん、アラもミーシアも索敵能力が高いからね。俺が万一見落としてても気が付いてくれるよね。まあ、ディフィーさんはワニだから感覚的な物はどうなんだろ。


「それと皆解っているだろうが、ここは合流地点に近いし、時間を考えればもう誰かが到着している可能性も、こっちに向かっている別なチームが襲撃を受ける可能性も有る。戦闘になる事を予想して、なるべく早く他のチームと合流することを優先するが、近くで戦闘が発生しているのが解れば、他のチームが襲撃を受けていないかを確認して行動する」


 とりあえず多勢に無勢だから、少しでも戦力を回復させておきたいよね。


「リョー殿、どうやらその方針では難しくなったようでございます。こちらが向こうの待ち伏せに気付いたという事を、あちらも察したようですね」


「リャー、あっちからオジサンたちがお馬さんと一緒にいっぱい来るよ」


 ディフィーさんとアラの声に視線を向けると、うん確かに馬に乗ってこっちに突撃してきてるわ。


 失敗したな、向こうが待ち伏せているちょっと手前で、いきなり俺達が立ち止まって話し込んでたら、そりゃ気付いてますって言ってるような物か。


 うん、でもこれで向こうの狙いが俺達の襲撃だっていうのがはっきりしたな。こうして出てきたって事は、俺達が逃げる前に囲んじゃおうって狙いだろうし。


「ディフィー、ミーシア、変身してアラを挟む形で守ってくれ、アラは魔法と弓で相手をけん制」


 向こうとの距離や馬の速度を考えれば、ミーシアに乗って逃げ切るにはちょっと時間が足りなさそうだからな。かと言ってこの面子で積極的に前に出るのは難しいか。


 ディフィーさんだと騎馬相手にはスピードが足りないから相手の攻撃に合わせるしかないだろうし、かと言ってミーシアを前に出しちゃうとアラの守りがね。


 このままだとハルやサミューがいないから、支援射撃無しで真正面から敵集団に突っ込むってことになるけど、戦車みたいなミーシアはともかく軽装のアラだと接敵前に馬の足で距離を取られて遠距離から狙い撃ちにされたら危なそうなんだよね。


 これでまだ敵の編成が偏ってたりすればミーシアにアラを乗せてとかでもいいんだけど、見た感じ近接だけじゃなく、ダーツみたいな投擲武器も持ってそうな感じなんだよねあの騎馬集団、平地で機動力と遠距離持ちの敵ってシャレにならないだろ。


 とりあえず、守りを固めるしかないか、獣人の二人は変身すれば硬さも攻撃も申し分ないからよっぽどの攻撃でもなければ壁役でも大丈夫だろうし、アラには例のパンツをはいて貰ってるから流れ弾程度なら『効果波及』が効いて服でも防げるよね、アラの服はかなり丈夫な生地だったし。


 機動力のある集団相手に下手に打って出ると、誘い出されて分断されて連携を崩されたり、距離をとられたまま遠隔攻撃で削られてピンチになりそうだもんな。撃ち合いをするにしても、あまりにも手数が違うし……


 こっちがフルメンバーならまた違うんだろうけどさ、とりあえずは高い防御力をもつ二人の『獣態』を当てにして守りを固めて、アラが壁役二人の内側から魔法と弓で敵を削るのと、再生力が有るけど壁には向いてない俺が単独で飛び出して敵を攪乱って感じで持久戦をするのが無難そうだよな。


 そうしてる間に、他のチームが戦闘に気付いて支援してくれれば一気に片が付けられそうだしね。


 例えば『四弦万矢』が来てくれれば、こんな見通しが良い場所なら遠距離から一方的にやれるだろうし、ミムズ達がくればサミュー達もいるからいつも通りの戦い方が出来る。それに機動力のある獣人のプテックとサーレンさんの二人が増えるのは騎馬隊相手には丁度いいからさ。フレミラウとミカミでも戦力アップにはなるしね。


「取りあえず守りを固めて、相手を抑えこむぞ」


 他の連中に気付いて貰えるように上空へ数発魔法を放ってから、ミーシアの横から飛び出し相手と距離を詰めながら向こうの動きを確認するけどこれは投擲、いや……


「『魔骨弾』だ魔法が来るぞ、注意しろ」


 あれは電撃か、マズイ奴ら『蝙蝠の館』の時と同じ真似をする気か、アラはあの下着が有るから喰らわないだろうし俺はすぐ回復するけど、ミーシアとディフィーさんが喰らったら身動きが取れなくなる。


「やらせるか」


 騎馬の先頭に向かって指輪を向けて魔法を放ち数騎を吹き飛ばすけど、『魔骨弾』を持った連中全部を止めきれない。


「喰らえや、虫下し」


 一気に距離を詰めて来た騎兵達が一斉に『魔骨弾』とマキビシみたいな棘だらけの物を投げつけて来る。


 クソ、俺だけじゃ抑えられなかったか。


「あ、アラ様、そ、そっちを」


 ミーシアがまるで壁になるかのように後ろ足で立ち上がり、同時にアラがディフィーさんの鱗まみれな背中に飛び乗る。なにをするつもりなんだ一体。


「は、後ろの仲間を庇ったつもりかクマ公、甘えよこれだけの数を投げたんだテメエだけで防げるもんか、それにテメエが雷撃で止めれりゃあ、あ、あああん、どうなってやがる」


 周囲で雷撃が走り出すと同時に、全身に激痛が走り、俺と同じ様にミーシアを紫電が包み、同時にディフィーさんの方にも……


「いや、雷撃が逸れた、そうか『避雷』の効果か」


 そうかアレは雷を防ぐんじゃなくて、装備者の周りの雷撃を別な方向に逸らすんだからアラの周りに居いれば、一緒に守られるのか。いやでもこのままじゃミーシアが。


「クソそっちのクマ公と『虫下し』に畳みかけろ、今のそいつらは身動きの出来ねえでくの坊だ、槍で一気に仕留めろ、そいつらだけでも仕留められれば」


 言葉通りに槍を構えてミーシアの方へ数騎が一気に突っ込んで行くが、やらせるか。


 雷撃の痺れが『超再生』で回復するのと同時に『軽速』で飛び上がり、ミーシアに向かう馬の上に乗り目の前の首を一気に斬り裂き、別な馬の上に飛び移る。


「ぐが、なん、で」


「野郎、雷撃が効かねえのか、くそ毒だ毒を食らわせろ。それとオメエ等はそっちのクマ公を鎖で縛りあげて、毒でガキも仕留めとけ。クマ公の雷撃の効果が切れる前に縛って串刺しにして片を付けろ」


 マズイ、ミーシア達の方に更に数騎が向かって行きやがった、アラとディフィーさんは『鬼の下着』の効果で雷撃を防げてたけどミーシアはもろに電撃を喰らってる、『蝙蝠の館』でやられた時も動けなくなって捕まってたから、このままじゃ。


「わ、私だって、い、いっぱい練習、したんだから。こ、このくらい、な、なれてるもん。わあああああ」


 ミーシアが『威圧の雄叫び』を使い、馬が竦んで動けなくなったところに飛び込み馬ごと敵を弾き飛ばす。


「ど、どうなってるんだ一体、ミーシアには……」


 雷撃に対する対抗策は無かったよな、『人態』でも『獣態』でも装備に対魔法効果が多少ある有る程度の筈なのに……


(お主の言う通り『電撃耐性』を持っておらぬはずじゃし、実際に今『鑑定』してもないのう。じゃが何らかの形で電撃に対する抵抗力を付けて居る様じゃのう。普段よりも多少動きが鈍いゆえ完全に耐えた訳では無かろうが、もしかすればそのうち『耐性』を取るかもしれぬのう。なんにせよ、今は都合のよい事ではないか)


 まあ確かに、これでアラに守られたディフィーさんと同様ミーシアも雷撃が効かないって事だし、相手の策を防げたってのは良い事か。


「クソ、なんでどいつもこいつもピンピンしてやがるんだ、あれだけの雷撃を食らってるってのに、ふざけやがって」


 しかもこっちの不利が無くなるってだけじゃなく、奥の手だったらしい『魔骨弾』が効かなかったことで相手の精神的な動揺を誘えてるみたいだからね。


「ふう、馬肉は生でも美味しいと言いますが、確かにこれはなかなか」


 騎手を乗せたままの馬の腹を一口で食い千切ったディフィーさんが、ドン引きする周りを尻尾で牽制しながら咀嚼してるけどさ。馬を潰されて落馬した冒険者の膝から下が千切れてるように見えるんですけど、もしかして一緒に食い千切っちゃったんじゃ。


「御返しなんだから『雷乱域』」


 ディフィーさんの陰から顔を出したアラが近くに居る冒険者達を狙って魔法を放つけど、あの恰好って……


「クソったれ、投擲だ、投擲であのガキを仕留めろ、これ以上魔法を撃たせるんじゃねえ、『虫下し』の方もだ、そいつさえ何とかすりゃ『隷属の首輪』が効いて奴隷は止まる」


 指示の直後に、またマキビシみたいなのを投げつけられるけどこんな小さな物でどうにかなるとでも、ん、刺さった場所が痺れて、まさか毒が塗ってあるのか。


(慌てる必要はあるまい、お主ならばこの程度の毒、瞬く間に回復し居るし、この程度の棘ならばミーシアの毛皮や、ディフィーの鱗は貫けぬ。アラにしても見たであろう)


 確かにアラはいつの間にか、雨カッパ代わりにしてるフード付きのマントを着て全身すっぽり覆って、しかもハンカチをマスク代わりにして顔も隠してるから『鬼の下着』の効果で、あのくらいの棘なら幾ら投げつけられても大丈夫なのか。


 あれ、この状況ってもしかして、俺達だけでもこいつ等に勝てるんじゃないか。


 相手の遠距離攻撃はあの小さな毒マキビシやダーツだけでこっちには効かないんだし、近接はタダの槍や剣で大半がそれなり程度のレベルやステータスだから、俺でも何とか対処できそうだからさ。


 と言うかミーシアやディフィーさんはいつも通りに暴れてるし、アラは小さな体を活かして、騎馬の足元とか間をすり抜けながら剣と魔法、それに片手でも時折撃てるようになった弓まで使って、遠近両用で相手を翻弄しながら戦いまわってるしさ。


 うん、防御主体でって指示したはずなのにいつの間にか積極攻勢に移ってるな。


 敵の馬はミーシアの『威圧の雄叫び』が効いてるみたいで、大半が立ちっぱなしになってるから、機動力でディフィーさん辺りが翻弄される恐れもなさそうだな。


「なんでだ、なんで、こうなってるんだよ、俺の計画が、ふざけるな、こんなの、おかしいだろ」


 そこに居たかマイラス、ならここがチャンスかこいつを仕留めさえすれば。


 間に居る十数人を何とか切り抜けて、一撃を入れれば。いやまて、あいつの両耳に付いてるのは、サミューから奪って行った『魔道具』か。


命の耳飾り LV86

付加効果 強再生(大) 瞬時回復(大) 即死防御 欠損部位再生 飢餓耐性(大) 脱水耐性(大) 病回復 無呼吸耐性(大) 狂耐性


魔力泉の耳飾り LV72

付加効果 MP大幅回復 食時回復(MP) MP消費軽減(大) ダメージMP化


 どうなってやがる、あのレベル、追加されてるあの効果、まさかアイツあの『魔道具』を……


(どうやら、よほどの使い方をしてきたようじゃのう。じゃがあれでは短時間で仕留めるというのは難しいかもしれぬの。多少の攻撃ならば短時間で回復しおるし、部位欠損や一撃で死ぬような攻撃にもある程度対処可能、しかも回復で消費するMPもそうそう無くならぬ。あれではよほどの攻撃をかなりの回数繰り返さねば、倒すのは。いや先にあの二つの耳飾りを何とかすればよいかのう)


 クソ、簡単には倒せないってか、ならともかくあいつ一人に集中できるように、他の連中を削るしかないか。戦力的にここに居る敵を倒しきるのは可能そうだけど、今のままだと時間がかかりすぎる、その間に奴に逃げられたら……


「リョー殿御無事か、貴様ら何処の慮外者だ、このミムズ・ラーストがリョー殿に助太刀いたす。な、貴殿はラマイ子爵、まさかこの襲撃の首謀者は貴殿か」


 よし増援が来た。


次回の更新は20日を予定しています。

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