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341 会談

半端チート再開(仮)になりますが、6話ほどカミヤさんメインの話になります。

また内容はストレスのたまってる時期に書いたのでとてもアレな感じです(エイプリルフールネタとまではいかずとも……)ですので、苦手そうと思われる方は読み飛ばして頂いても。

読み飛ばされた方は351部分の347話『再始動』から始めて頂ければと思います(それまでは可能なら毎日更新の予定ですので2月2日ごろの投稿予定です)。


それとですが、投稿を休止していた期間中に頂いた感想や活動報告へのコメントは全て読ませて頂いておりますが、それらに関する返信は控えさせていただきます。

またこれから先に頂く感想などにつきましても、しばらくの間は全てに返信できかね一部の感想のみの返信になるかと思います。

また、作品のキーワードに『胸糞・鬱展開有り』と追加しました。



「なるほどな、それでこの手紙か」


 フレミラウ・トレンから報告された『四弦万矢』やピリム・カテンという少女騎士についての一件を伝えながら、報告の際に預かったリョー殿からの手紙を渡すと、カミヤは面白そうにその内容を読んでいます。


「それで、貴方はどうするつもりなんですか」


 確かあの手紙には、ピリム・カテンの父親たちへの名誉回復に関してのカテン家からの嘆願について、リョー殿の口添えが書かれているはずですが。


「どうするもこうするも、俺に取っちゃ大した内容じゃないからな、この通りでいいんじゃねえか、まあ、多少条件は付けるつもりだがな」


「おや意外ですね」


 彼の事ですから、もっと苛烈な判断をするのかと思っていましたが。


「ふん、武勲を立てた張本人がこう言っている以上は尊重するしかないだろ、それにカテン家の汚名返上の為に『武勲証書』から名前を抜くって言ったって、ようは名札の付いてた晒し首が名前が分からない晒し首って扱いになるだけだ。名簿の上で名称不明の扱いになるだけで、リョーの奴が盗賊数十人を討ち取ったって事実も、ユニコーンを守るためにそれを行った事を俺が賞した事実も何一つ変わりはない。『寒暑の岩山』であった全てを無かった事にするってんならともかく、この程度の書き換えなら、あの『武勲証書』を発行したユニコーンの保護という目的に関しては、何ら不都合は起こらないだろ」


 なるほど、そう言う事ですか。


「まあ、ランヅ・カテンとかいうのが名の知れた実力者だとか爵位持ちの貴族だったと言うなら、ユニコーンに手を出せばたとえ誰であっても容赦しないという見せしめになったから、そう簡単に名前を消す訳にいかなかったかもしれんが、たかが没落騎士の名前が幾つか名簿から消えたところでな、誰も気が付かんさ」


「ふむ、それでは、ピリム・カテン嬢もおとがめなしと」


「内容が反逆だとか貴族家からウチへの敵対行為や侵略だっていうんならともかく、たかが没落した元騎士の浪人風情、それも特に裏が無いただの盗賊行為の罪に対して『縁坐』を適応する法はうちの領の領法には無いからな。場合によってはリョーを狙った事を、ユニコーン狩りに対する俺の裁決への不満の表明と取る事も出来そうだが、事実を知らされてなかったって事がはっきりしてるんだし、知ったことで手打ちに合意したって以上は、そこを責める訳にはいかねえだろ。手打ちの発効を第三者のミムズ・ラーストの名義で現地の領主に届けてるんだ、今更何か文句をつけても俺が言いがかりを付けてるとしかとられん」


 世の中には、盗賊はおろか、スリなどでも『縁坐』を連用してその親や乳飲み子まで処罰する領地も有ったりはするのですがね。


「まあ、これに関しても相手がピリム・カテンとかいう小娘じゃなく、名の知れた相手だとか貴族領が相手っていうのなら、強引にでも適当な理由を付けてぶっ潰す事でインパクトのある宣伝にできるんだろうが、死んでも噂にすらならないような無名の相手じゃ、殺す手間や殺す理由を用意する方が面倒だ、こちらの手間に比べて得る物が殆ど無い、収支が合わんよ」


 つまりは、損得計算で収支が合わないという事ですか。


「ですが、そう言う意味では『四弦万矢』というのはちょうどいい相手ではないのですか」


 実際のところ、もしもカミヤがそう判断していれば止める所ですが、カミヤとあの弓使いの相性を考えると万が一という事もあり得そうですから。


「『四弦万矢』が当事者だとか直接こっちに危害を加えてきたって言うのなら、実力者でも刃向うなら俺は容赦しないっていう建前を見せるのに丁度良いかもしれんが、向こうはタダの助っ人、俺にしてもリョーの後見ってだけで当事者じゃない。しかも、奴を相手にした場合だと今度は逆に損害が大きすぎる方で収支が合わなくなる。あの手の相手に本気でゲリラ戦をされるとうちの伯爵領の被害がシャレにならん。仕留めれば宣伝には十分以上だろうが、下手をすればそれに伴ってうちが弱体化したという情報も一緒に広がりかねん」


 なるほど、それを聞いて安心できました。


「それに判官びいきってのは日本人だけの物じゃないらしいからな」


「判官びいき、ですか」


 なんでしょうか、聞き覚えの無い言葉ですが。


「要は、そこに至るまでの経緯や、事の善し悪しを無視して、見た目で弱い方、追い込まれている方、あるいは悲劇的な末路を遂げた者に同情的になり味方し、その敵対相手を悪だと思う心理って奴だ」


 弱い方が正しくて、強い方が間違っているですか、あまり実感が無い話ですね。


「例えばだ、旅の騎士が通りがかりに、幼い少女を数人の大男が取り囲んで、互いに武器を構えているのを見たとすればどちらに味方すると思う」


「それは、少女の方でしょうね」


 おそらくは、多くの者がそう判断する事でしょう。


「だが、少女の方がリョーの所のアラみたいな規格外で、しかも男達を狙った暗殺者だって可能性もあり得るだろ。どちらが加害者でどちらが被害者なのかってのは、前後の状況を見ておかないと解らないもんだ」


「確かに、それはあり得る事ではありますね」


「そう言う事だ、人ってのはパッと見の強弱が大きすぎると、ただそれだけで善悪を図ってしまう事があるって事だ、そう言った意味では『四弦万矢』のカン・キテシュなんかは極端だが良い例だろう。多分ヤツはピリム・カテンが正しいから味方してるんじゃない、『迷宮踏破者』であるリョーより明らかに弱く、そのままだと死にかねないから味方したんだろうし、相手がリョーから俺になったからこそ、なおさら見捨てられなくなったんだろうさ」


 確かに、彼に関する過去の報告を考えるとそれは有りそうですね。そういう人物でなければ、負けるのが解りきっているような陣営に与して戦争などしないでしょうから。


「そして伯爵家領主である俺と、没落騎士の小娘ではその差が圧倒的過ぎる。もしも、俺がこの手打ちに文句をつけ、親の盗賊行為の罪を問うという形でピリム・カテンに対して何らかの報復をした場合、俺が動いたって話が広まったとしても、周囲から侮られないために力を見せて脅しつけるなんて効果は全くなく、ただ単に弱い者を嬲ったとしか世間はとらねえだろう。下手をすれば俺は何を理由に処断してくるかわからない領主だと、行商人や冒険者がうちの領地を敬遠しかねん。民衆に対する刑罰ってのは緩すぎず厳しすぎず、適度が必要って事だ」


 畏れられるのは良くとも、恐れられてはならないという事ですか。彼らしいと言えば、彼らしい言葉ですね。


「まあ、そう言った訳で、今回の件に関しちゃ、向こうの要求を呑むつもりだ、もちろんタダでとは言わんがな。せっかく『四弦万矢』みたいな大物にデカイ貸しを作るチャンスなんだ、せいぜいたっぷりタダ働きして貰うさ」


 いやな笑い方ですね、これは本気でカン・キテシュを使い潰す気かも知れませんが。


「気をつけてくださいね、やり過ぎてしまって、彼と対立なんて事になればあなたでもただでは済まないでしょうから」


 いくらカミヤとは言え、あの『四弦万矢』が相手では分が悪いでしょう。あの認識不可能な遠距離からの狙撃であれば、一度しかない『守護騎士の延命札』の効果を使ってしまう事になりかねません。


 もちろん一度撃たれて敵の場所さえ解ってしまえば、いくら『四弦万矢』相手であってもカミヤならば正面から向かってくる矢をあの重剣で弾きながら距離を詰められるので、一対一で後れを取るとは思えませんが、もう一人腕利きの前衛が敵の方にいればどんな結果になるか解りませんから。


「解っている、こういうのは生かさず殺さずってな感じで、ギリギリのところでやるのがコツだからな」


「解りました、ですがくれぐれもお気を付けて下さいね。損得ではなく、個人の感情や主観で動く人間というのは、何時どう動くか分からない物ですから」


「ふん、完全な客観的判断で動ける人間なんていないだろうさ」


「そう言う物ですか、そう言えば話は変わりますが、リョー殿の現状をどう見ますか、あの方はこのまま、こちらの世界に残ってくださるようお心変わりしたでしょうか」


 先日お会いした分の様子ではまだ判断が付きませんが、こう言った事は同じ日本人であるカミヤの方が解る事があるかもしれないですから。


「現状では何とも言えんな、見た感じだと日本に強い未練を残してきたようには思えねえが、かと言って、こちらにそれだけの執着が出来たって訳でもなさそうだ、何かハマる物でもあればいいんだが、こちらでなければできない何かを見つけた訳でもなさそうだからな」


 かの方が入れ込む何かですか、ですがそう言う意味で言えば、かつての『勇者』達の多くが入れ込んできたのは……


女性にょしょうはいかがでしょうか、彼の元には数名の女奴隷達が居りますが、それらのいずれかに彼がほれ込むという事は」


 どの奴隷も見目麗しくありますので十分可能性があると思うのですが。


「『禁欲』さえなければ、そうなった可能性は強かったんだが、現状ではな」


「そうですか」


 やはり『禁欲』が問題なのですか。


「一度でもヤッちまっていれば、ああ言う手合いは『責任を取る』なんて感じで、この世界に女だけを残していきにくくなる。そうでなくても『この女は俺の物だ』くらいの独占欲でも出してくれりゃあ、手放さないためにも残るってのもあり得たんだがな」


 確かにそれらに類したような言葉を発して、この世界に残る事を決めた『勇者』たちは幾らでもいますからね。ですが、今のままではそうもいかないという事ですか。


「現状のままだとあいつの場合、女達の為になるのならば自分が身を引くなんて事も言い出しかねねえ」


 女性たちの為ですか、そうなると確かに難しいかもしれませんね。ハル、トーウの両名はしっかりとした実家がありますし、アラ、サミューにしても、色々と事情があるにせよ、リョー殿がそれ等の内容を知られれば、場合によっては彼女達を手放すといった事態も十分あり得ますね。ミーシアにしてもいずれかの者の所で引き取るとなれば。


「まったく、昭和のハードボイルドモドキじゃあるまいし、顔では笑って、腹や背中で泣くなんざはやらねえっての」


 言っている意味はよく解りませんね。


「とりあえず、女性関係で彼を引き留めるというのは、『禁欲』がどうにかなるようなきっかけが無いと難しいという事ですか。ではそれ以外の要因ではどうでしょうか、例えば、リョー殿が日本に戻りにくくなるような何かが……」


 積極的にこちらに残りたいというのではなく、帰る訳にはいかない、そう言う理由でこの世界に残った『勇者』も少なくはないですから、例えばあのヤスエイのように。


「車列護衛での話を聞く分では、そちらに関しての方がもしかするとあり得るかもしれんと俺も思ったのだが、今回のこの件での対応を見るとな、まだ、何ともいえんな」


 そう言って、カミヤが先ほどまで読んでいた手紙を軽く振りますが、この件というのはピリム・カテンとの一件という事でしょうか。


「この世界に慣れ過ぎれば、特に『勇者』として強力な力を持って過ごしていけば、日本に戻る事はどんどん難しくなる、いや戻る事は問題ないだろうが、向こうでまともに生きていけなくなると言った方が良いか。だが、それに関しても今の奴の状況ではなりにくい」


「どういう事ですかそれは」


 そんな話は聞いたことが、いいえわたくし達では、向こうの世界に戻ってしまった『勇者』のその後を知る事は出来ませんから何とも言えませんが、それに関してはカミヤも同じはず。


「殺人が当たり前の事だと思っちまったら、それまでって事だよ」



H30年2月18日 誤字修正しました。

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