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311 伝授

今回も爺さんメインだったりします。

 剣狂老人を睨み付けながらヤスエイが去ると、剣狂老人が俺達の方へ振り向いて来たけど、出来ればこの爺さんにもどっかいってほしいんだけどな。


「さてさて、不愉快なまがい物が去ったことであるし、のう嬢ちゃん、少しだけこのじいじと楽しい事をせんか。ほんの少し、ほんの少しで構わん、老い先短いこの老人をほんの少しでも憐れと思うのなら、数少ない楽しみに付き合ってくれても良いと思うのだが」


 老い先短いって、貴方エルフですよね、寿命がかなり長いはずですよね。下手すれば俺よりも長生きするんじゃないですか。


「何、無茶な事は言わん、少しだけ、ほんの少しだけ楽しもうというだけのことよ」


 いつの間にか麻痺が解けて、トーウの隣に立っていたアラが一瞬俺の方へと視線を向けたから軽く頷くと、アラは剣狂老人の方へと向き直る。


「おじいちゃん、リャーの事助けてくれたし、ちょっとだけなら、いいよ」


 まあ、助けてもらった以上は前回みたいに無下も無く断る訳には行かないよね。それにラクナやカミヤさんの話を聞く分じゃアラに危害を加えるって事は無いみたいだしさ、まあこの間の言動を見る分じゃアラの情操教育と言う面でどうかとは思うけど、短時間なら悪影響も少ないだろうから。


「おおう、まさか、このような色よい返事が聞けるとは思ってもいなかったわい、くくく昂って来おった、滾って来おったぞ」


「あ、で、でもね、ちょっとだけなんだよ、ずっとはダメなんだからね。何日もいっしょにいたりはできないからね」


 よし、よく言ったぞアラ、あのヤスエイを見た後だとアラを鍛えて貰えるのはありがたいけど、あんまり長期間一緒に居たり、アラを連れていかれたりすると困っちゃうからね。


「構わん、構わん、確かに以前に試合うた時は某の弟子として、剣の全てを手取り足取り伝授しようかと思っていたが、それでは某とよく似た剣士を育てる事となってしまう。自らと同じ様な判断、同じ様な剣筋では、試合っても次にどんな手が来るか容易に解ってしまい面白みが減る。それよりも、時折助言を与えるだけに留め、独自の経験を積み自らに合った剣技を培って行くに任せれば、あのラッドのように某を驚かせる様な一手を編み出すかも知れないしな。もしも邪道に逸れ強くなる事が出来なくなれば、その時に改めて某の弟子にすればよいしな」


 お、なんか、この少しの期間で考え方を変えたのか、年を取るとなかなか考えを変えるのが難しくなるって聞くけど、何かきっかけでもあったのかな。


「強くなるもん、アラはもっともっと強くなって、リャーを守ってあげるんだもん、だれにも負けないんだもん」


 うん、うれしいけど、ちょっとだけ微妙だな、幾ら俺が弱くてアラが強いと言っても、こんな小さな子に一方的に守られてるっていうのはな。昔は俺がアラをおんぶして戦っていたっていうのに、いつの間にかこんな事になってたもんな……


 だからこそ、さっきみたいな事になったんだろうから、チートが無いなんて言い訳をしないで俺もアラに負けないようにもっと頑張って、ステータスに頼らない戦い方を考えて行かないと。


「よい意気よ、明確な目的はそれが強さと同じ方向にあるのならば、強くなるための良い刺激となる。まあ、目的と強くなる事が同じ方向になければ、それが足かせとなる事も有るが」


 ん、少し寂しそうな表情だな、何か嫌な事でも思い出したのかな。


「まあいい、さあ試合おうぞ、その戦い方を見て今の嬢ちゃんがより強くなるのに丁度いい技を一手か二手伝えてみよう。次に会う時に、それがどうなっているのか、今から楽しみでたまらぬな。さあ始めようぞ、おっとそのまえに、嬢ちゃんはこれをつかうといい、堅さも太さも長さも嬢ちゃんにちょうど良いはずだが」


 そう言って、剣狂老人が自分の『アイテムボックス』から出したのは、銀色の剣が二振りか、いやでも刃が無いな、練習用の模造剣て事なのかな。


「これならば、堅く且つしなやかな作りなので、この間のように折れる恐れは少ない、さらに軽いから嬢ちゃんでも扱いやすいだろう。どのような使い方をしても大丈夫だから、これからは技の練習などはこれを使うと良い」


 なんか、くれるみたいなんだけどさ、『鑑定』の結果を見ると『ミスリルの訓練細剣』なんて書いてある上に『自動修復』なんて言う付加効果も付いてるんだけど。


(なあ、ラクナ、ミスリル製の武器っていうのはあんな風に簡単に人にあげたり、練習用に使ったりする物なのか)


 俺のイメージと言うか、よくあるファンタジーだとかなり高級な装備品だったような気がするんだけどな、まあ大抵の場合はその上にオリハルコンとかヒヒイロカネみたいなもっと強力な金属が有ったりするけど。


(そんな訳が無かろう、ミスリルと言えば金属として考えれば、原石の状態であっても五十倍の体積の金塊と同等の価値があるものじゃ。更には扱うのが難しく職人が少ないゆえ、精錬、加工の過程を経る度に価値が跳ね上がる。細剣としてだけでもあれ一本分で庭付きのかなり大きな屋敷が一つ建てられるぞ、更には付加効果までつくとなると……)


 建てられるって、新築って事かよ、中古物件じゃなく新築で作るってなると、額がとんでもない事になるんじゃないか。そんなもの貰っちゃっても良い物なんだろうか。


「貰っちゃっても、いいの」


「気にすることはない、以前にどこぞの『迷宮核』から出て以来、百年以上も『アイテムボックス』に放り込んでいた物だから、どうせこのまま某が持っていても使わずに数百年放置するだけ、それに比べれば嬢ちゃんの修行の足しになるというのは遥かにマシなことだろうて」


 う、うーん、なんかただで何かを貰うっていうのは後が怖い気がするけど、この爺さんの場合、これからもアラと定期的に試合をしたいって程度だろうから、損得で言えば確実にこっちが得なんだろうから、貰ってもいいのかな。


「わーた、ありがとうねおじいちゃん」


「よいよい、では行くぞ、いざ勝負」


「いっくよー」


 うわ、いきなり始めちゃったよ、しかもアラは最初から全力で行ってるし。それでも爺さんの方は余裕で全部捌いてるのは流石だな、これはあの爺さんが飽きるまで終わらないんじゃ。あ、そうだ……


「ミーシア、トーウ、すまないが急いで戻ってクリグ・ムラム達にもう大丈夫だという事を伝えてきてもらえないか」


 さっき、緊急事態の合図をしちゃってそのままだったから、このままだと本隊が退却しちゃって、そのままどこに移動するか解らなくなっちゃうからね。


 変身したミーシアのスピードと鼻が有れば、退却しようとしている車列の本隊が横道なんかに入ってても、臭いを追って追いつけるだろうからさ。


 とは言え、あがり症のミーシア一人じゃ追いついても説明するのが難しいだろうから、騎士のクリグ・ムラムなんかを相手にしてもきちんと報告できそうなトーウに一緒に行ってもらった方がいいよね。それに車列の連中が追っ手を撒くために偽装工作なんかをしてても、トーウなら騙されないだろうし。


「承知いたしました、この一命に代えましてもかならずや」


「い、いってきます」


 さて、戦闘はどうなるかな、アラが怪我したりしなきゃいいんだけど。







「ふむ、このくらいにしておくかのう」


「はあ、はあ、つ、つかれちゃった」


 うーん、あの二人、二十分くらい斬り合ってたけど、速すぎて何をやってるのか半分くらいしか見えなかったわ。時折アラがスキルを使ってたけど、全部防がれたってのは解ったけど、それ以外の斬り合いがさ、もうねハイレベル過ぎてさ。


「やはり、その年ではまだまだ体力が足りぬか、素早さは相当なものだが力もまだ足りん、まあ仕方ないか『勇者』と共にいれば『成長補正』で伸びてくるだろうし、さて、これから技を幾つか伝えようと思うが、少し休んだ方が良いかのう」


「だ、大丈夫だもん、それにあんまりリャーをまたせちゃめーなんだし」


 サミューの差し出した水を一気に飲んでからアラが元気に答えてるけど、子供は回復が早いな。


「よしよし、ならば嬢ちゃんには、最強じゃが使えぬ技を二手伝えようかのう」


 なんだ、使えない技って、そんなのを教えてどうするつもりなんだろ。


「あの『剣狂老人』が最強と言う技ですって、それはもしかしまして……」


 ん、ハルは何か知ってるのか、という事はかなり有名な技って事かな。


「某の編み出した『仆龍ふりゅう三十六剣』の一手目と二手目を伝えよう」


 編み出したって事は、この爺さんのオリジナル・スキルって事か、それなら確かに強力そうだな。さっきのアラとの戦いでも一度もスキルを使ってなかったって言うのにあの強さだってんだから、それでスキルなんて使ったらどうなるんだろう。


「やっぱり『仆龍ふりゅう三十六剣』ですのね、剣を扱うものでしたら一度は憧れを抱くというあの……」


 なんだ、ハルの反応が凄いんだけど。


(ラクナ、『剣狂老人』が教えようとしているのは、そんなにすごい技なのか)


(儂も実際に見た事は無いが、噂には何度も聞いた事が有るのう。そのどれもが文字通りに龍を倒し死なせるスキルとの事らしいの、ドラゴンやそれに並ぶような巨大な魔獣を一撃で倒したとの話じゃが)


 ドラゴンって、それって普通に考えて無茶苦茶強いはずだよね。それ以外の魔物にしたってさ。


(巨大っていうのは、『青毒百足』とか『巨鬼蜻蜓』みたいなのか)


 あんなのを一撃で倒せるなんて、とんでもない威力だよね。


(あんなものでは、まだ大型魔獣に足を踏み入れた程度じゃ、本当に巨大なものとなれば、それこそ砦や中には城の如き巨体を持つ物もおるからのう。まあ、ドラゴンでそれほどの大きさに達する個体はそうそうおらぬが、大きさに係わらずドラゴンならばあの程度の魔物は餌でしかなかろうて)


 それって、魔獣と言うよりも怪獣ってサイズじゃねえかよ、しかもあれだけ苦労したボスモンスターが餌ってドラゴンってやっぱり怖えな、と言うかそれを一撃で倒せるとかどんだけ強力なスキルなんだよ。


(驚くほどの事ではあるまい、『勇者』が五人いれば一人か二人は、この手の巨大魔獣を倒せるスキルや武具を持っている者がおるじゃろうて。まあ、『勇者』が手にする職や武具、スキル等は千差万別ゆえ、ヤスエイやアキエのように大型の敵と戦うにはあまり適さぬ『勇者』もおるがのう)


 そっか、二人とも毒メインの武具だから、小型の武器なのにどうしても相手に近づいて直接一撃を入れる必要が有るだろうからね。その前に反撃を食らう可能性もあるから、なかなか近づけないだろうし。それにデカい相手だと毒が回るのにも時間がかかるだろうしな。


 その点カミヤさんなら威力重視で、効果を最大限に使えばスキル無しでも攻撃範囲が伸びる武器だし、最悪の場合大爆発で吹き飛ばせるもんな、確かに相性ってのが有るのかも。


(それでゆえば、もしもお主が十全の状態だったならば、相手が大きくとも問題は無かったじゃろうな。広範囲高威力の魔法を複製すれば、どれほどの巨体でもひとたまりも有るまい)


 まあ、確かに使えればそうかもしれないけどね、しかしまあそんな技をいくつも自力で考えるとかやっぱりこの爺さんおかしいわ。


「ふん、仰々しい噂ばかりが独り歩きしたせいで、三十六手あるこの技の一手でも修めれば、百戦百勝などと言われているが、所詮は『屠龍の技』よ、ドラゴンや巨大魔獣と戦う事など、よほどの剣士でも一生のうちに数度あるかどうか程度でしかなく、本来の使い道をする機会が殆どないというのに、それ以外の戦いならばこれほど高威力のスキルを使わずとも、一撃必殺などもっと簡単なスキルで幾らでもできる。更には使用に伴う体力の負担が大きい上、発動の前後に無防備となる為、小回りの利かない大型魔獣と距離を取っているならともかく、熟練の剣士が相手ではこちらがスキルを使う前に相手の攻撃を貰ってしまう。しょせんは何処まで威力が出せるかを試す為に考えた技でしかなく、実戦、それも対人戦や一般的な対魔物戦で使う事を考えれば、使い道の殆ど無い技よ」


 それで最強だけど使えない技なんて言ってたのか、だけどそれならなんでそんな技をアラに教えようとするんだ、この爺さんの目的はアラを強くする事なんだろうから、実戦向けの技を教えそうなものだけど。


「戦いでは役に立たぬが、これらの三十六手には様々なスキルの要素が組み込まれており、鍛え続ければそれに合わせて幾つものスキルの熟練度が上がろう。それに才の有る者ならば組み込まれた要素の幾つかを自分なりに組み合わせて、自らに適したより使いやすいスキルを編み出せよう。嬢ちゃんがどのような技を編み出すのか楽しみでならんのう」


 なるほど、アラに直接強力な技を教える訳じゃなく、これからの為のヒントを与えようって事なのか。


「それに、これらの技は体力への負担が大きいが、その分体力をつけるには丁度良い、上手く発動させる事が出来ようと出来まいと、初めのうちは一日に一、二度、慣れてからは数度ほど型を試すだけでも、毎日たゆまず行えば劇的に体力を向上させる事だろうて」


 なるほど、体力向上の運動がわりでもあるって事か。確かに実戦で使う事は無いだろうけど。これはアラの為にも教わっておいて悪い事は無いな。


「ではまずはスキルの名前から伝えようか、一の技は『飛龍は翼を穿たれ地へ落つる』、二の技は『土龍は頭を圧され地に帰する』」


 な、なんだろう、今まで聞いてきたスキルと比べて、だいぶかけ離れた技名だな。


「随分と長い名前ですわね、それでは発動する時に叫びにくいのではないかしら」


 あ、ハルも俺と同じ事を考えたんだ。


「ふん、技名の発声などは未熟者のする事よ、確かに使う技を言葉に出して発する事で技の形や発動を意識しやすくなり成功率や威力を高める事が出来るが、言い替えればそうしなければ発動させる事も十分な威力も出せないという事。また、対魔物戦ならばともかく、対人戦でスキル名を発するという事は、目の前で戦っている相手に自分の次に行う行為を伝えるという事。相手の攻撃が突きなのか、薙ぎ払いなのか、それとも遠距離攻撃なのか解るだけでも避け方を決められる。強力な一撃が来るのか連続攻撃が来るのかでも防ぎ方が変わる。相手が大技を使うと解れば発動直後に後の先を突ける。格下相手の手加減ならばともかく、手練れ同士の戦いで技名を発するなど愚の骨頂ではないか」


 ああ、なるほどね、確かに知らないスキルや魔法でも、名前を聞いただけで何となくどんな感じなのか解る事も有るから、慣れれば相手の声を聴いてとっさに対処できたりするかも。いやあ、話を聞いてるだけでも参考になるな。


「だからこそ某の編み出した技は全て実戦の場で技名を発する事など無いよう、あえて言いにくい物、あるいは技名を聞いても初見では何が来るか分からぬ物としている。そうすれば自然と技名を呼称する癖も消えよう。それに、こうしておけばたとえ『鑑定』されたとしても本当の意味で手の内が知られる事は無いしな」


 剣狂老人が一瞬俺の方を見てから付け足したけど、自分のオリジナルスキルに『念力』なんて言う解りやすい物を付けちゃった俺って……


「口上はこの程度にしておこう、ではまずは一の剣から行こうか、言葉で教える事はそれほど多くはない。まずは一度見せ、次にゆっくりと型を一度、その後は交互に数回見せる。それで要旨を物に出来るならばそれでよし、出来ぬならばまだそれまでの格に達していないだけの事、また日を改めよう」


 な、なんだろう、職人みたいだな、目で覚えろってか。


「ゆくぞ、これは空を飛ぶ相手を撃ち落とすための技、高速の刺突を連続で上空へ大量に広範囲へと放つ事で相手に避ける隙間を残すことなく撃ち落とす技よ、まあ型の都合上一定の角度の範囲内でしか放てぬのが難点だが」


 うーん感じ的にはAAA(対空砲火)みたいなものかな、個人でやるとか無茶苦茶だけど。


「はあ」


 少ししゃがんだ状態で斜め上を刺す様に剣を構えた剣狂老人が伸びあがると同時に連続で突きを放ってるけど、腕が何十本も有るように見えるんですけど。あ、延長線上を飛んでた鳥の群れが全部一瞬で真っ赤なミンチに変わってるんですけど。


「さて、これだけ繰り返せば、ある程度技の要旨は分かったであろう」


 何度か対空攻撃を繰り返してから、剣狂老人が振り返るけど、空に居た鳥が一羽も残ってないんですけど。


「うん、マネはまだできないけど、やりかたはわかったもん、練習ならできるよ」


「うむうむ、良い返事よの、では次は二の剣、これは地下に居る敵を倒す技で、柄で地面を叩きその衝撃を伝える事で、足元に居る相手を圧し潰し、同時に相手の籠っている地下空間そのものを崩して相手を埋める技よ、よほど能力が無くば地中の敵を一撃で倒すのは難しかろうが、ある程度使えるように成れば地下道などをくずし破壊するなどの場合には十分使えよう、嬢ちゃんがそれなりに慣れれば、岩石で覆われた地下空洞なども破壊できよう」


 おいおい、今度はバンカーバスターかよ、さっきの技と言いこれと言い完全に人間兵器じゃねえかよ、ファンタジーで考えちゃいけないんだろうけどさホント物理法則ってどうなってるの。というかもう『剣』のスキルじゃないよねこれ。


「さあ、よく見ておくがよい、せい」


 軽い感じで剣狂老人がしゃがみ込んで地面に柄を叩き付けたけど、それだけで直下地震みたいな縦揺れがって、揺れてる。


「ふむ、どうやら地下に多少の空洞が有ったようだが、まあ今の一撃でこなれた事だろうし、続けようか」


 あの、この辺りの地面が周囲より少し低くなってるんですけど、繰り返すんですか。おう、また揺れてるよ。


「ふう、久々に繰り返すと、やはり多少は疲れる物よ。まあいい、嬢ちゃんはこちらも覚えれたかのう」


「うーん、やり方は解ったけど、アラに出来るかなあ」


 まあ、確かにかなり力技のように見えるから、アラには厳しいんじゃ。


「さっきも言った通り、使いこなす必要はない、これを修練し何かを得る事とそれにより体力をつける事がこの二つの剣技を伝えた目的だからの。これからは、毎日欠かさず疲れるまで、危険が有るのならば万が一の事態に支障がない範囲でこれらの型をさらうとよい。次に会う時にある程度物になっていればまた別な型を伝えよう。より多くを知っていれば、独自の技をひらめきやすくはなるが、一度に多くを詰め込んでは何一つ物と出来ない恐れもあろうしな」


 な、なんだろう、この爺さん意外としっかり教育方針を考えてるような気がしたぞ。


「ではさらば、次に巡り合う時を楽しみにしておるぞ」



どうしよう、あと34個も大技を考えられるだろうか……


H29年2月23日 誤字修正しました。

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