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309 薬師の目当て

お待たせしました、えっと、今回の話は、あまり気持ちの良い物ではないかもしれない。

 これが本物の『勇者』か、今まで盗賊や魔物を圧倒して来たうちの子達が、全く歯が立たないなんて。


 落ち着け、動揺すれば勝てる戦いも勝てなくなる。まして相手は圧倒的な格上なんだ、油断せずに今のうちにできるだけ分析を。


(ラクナ、奴の『勇者』に付いている『Ⅱ』と言うのは何の事だ)


(やれやれ、お主は新しい職を取ってからまともに自分の『鑑定』をせぬからそんな事を言うようになるのじゃ。『勇者』は新しい職を取り直すたびに、レベルが1に戻る、じゃがステータスなどが減る訳ではなく、上級職に転職した状況に近いのう。まあ、レベルが低くなる事で少ない経験値でレベルが上がるようになり、その分だけ『成長補正』が仲間にかかる機会も多くなる程度の意味しかないがのう。そしてそれを繰り返した分だけ『勇者』の職に数字が付くのじゃ。お主も今は同じように『勇者Ⅱ』となっておるのじゃぞ)


 つまりは、『武具の社』で職を取った回数って事か、それなら『騎士』と『薬師』が奴の職で『薬師の創薬刀』と『騎士の消撃盾』の二つって事か、ここまではカミヤさんに聞いていた情報通りって事だな。


 たしか『騎士の消撃盾』の効果は、盾の表面に触れたスキルや魔法、装備品の効果を消してしまうって奴だったよな、弱点は盾を避けて攻撃されると意味がないって事か、そう言えばハルの『火矢幕』で放った十数本の火の矢も一本ずつ防いでたよな。


 という事は、広範囲を一発で焼き払うような魔法よりも、無数の弾を大量にばら撒くような魔法やスキルを一斉に放って飽和攻撃を仕掛けた方が良いのかも。


 いや、相手はチートステータスの『勇者』だ、生身の強度もそれなりには有るはず、あまりに威力が低すぎる攻撃ではダメか。


 だが、考慮は出来るな、もう一点確認する事は。


(ラクナ、奴が俺を『鑑定』して『勇者』だとバレている可能性は有るか)


(低いじゃろうな、お主自身には儂が『隠蔽』をかけておるからよほど強力な『看破』でもなければ『魔法士』の職しか相手には見えんじゃろうし、儂自身やお主の武具等は、お主がカミヤから受け取った『埋没の飾り紐』の効果で『隠蔽』と『幻影』が掛けられて居るゆえ、見た目などでばれる事は無いじゃろう。また、お主の見た目は日本人の特徴が明らかに出ておるが、『勇者の子孫』などはそれほど珍しくも無いからの)


 という事は、相手の油断を突く事も出来るかもしれないな。『勇者』だと思われればいやでも警戒されるだろうから。


「さてと、次はどいつだ、といっても雑魚なんざ幾らいても変わんねえから、テメエが出てきた方が早えだろうがな、まあ……」


 軽く振ったようにしか見えない一撃でミーシアを弾き飛ばしたヤスエイが、腰に差していた小刀を俺に見せつけるように抜く。


「あんまり抵抗するようなら、めんどくせえからこの剣を使うがよ。俺のシマを荒らすような相手だから、知ってるかもしれねえがコイツの出す毒は特別製だ、最高に気持ちよくイキながら逝けるからな、二重の意味で天国だぜ」


 軽く数回振ってから鞘に戻したけど、あの『薬師の創薬刀』はまだ使うつもりはないって事か。まあ、こっちとしてはありがたいか、カミヤさんの話だとあの小刀には奴が今まで集めてきたヤバい薬や毒が登録されてて、それと同じ物を幾らでも作れるらしいからな。


 だが、とりあえずやる事は……


 拳を握った片手を掲げて『雷炎の指輪』から火球を上空へ四発放つ。


「なんだ、何かの合図か」


 これは、俺達が先行するにあたってクリグ・ムラム達と取り決めた合図だが、火球一発は『敵を発見するが排除済み』、二発は『敵と接触し戦闘中だが俺達のみで対処可能』、三発は『襲撃を受け敵多数のため急ぎ増援を願う』、そして四発は『対処不可能、すぐに進路を変えて逃げろ』。


「そんな、旦那様」


「え、リャー」


 俺が四発の火球を放った時の事はみんなにも言ってある。この合図をしなきゃならないような事態になったら、俺を残して全員が全力で避難しろと。


 俺だけなら『超回復』が有るから何とかなるからな。奴隷の皆にはきちんと言ってあるから聞いてくれるだろうけど、問題はアラが大人しくいう事を聞いてくれるかなんだよな。


「サミュー、トーウ、アラを任せた、ハルはミーシアの様子を確認してそのまま一緒に引け」


「承知いたしました、さあアラ様、まいりましょう」


「アラちゃん、いきますよ」


「めーなの、リャーが危ないのに……」


 蹴り飛ばされたアラに駆け寄ったサミューとトーウが、小さな体を起こして連れて行こうとするけど、やっぱりアラは嫌がるか、だけどこのままだと。


「あ、逃がす訳がねえだろうがよ、とりあえず一匹ぐらい見せしめに潰しとけば逃げようとしても無駄だって分かるか、それならくそうるせえガキを潰すか」


 コイツ、平然となんてこと考えてやがる。そんな事させるか。


「いや、ガキが良いってヒヒジジイの客も多いらしいしダークエルフってだけでも高く売れるか、そっちの金髪は味見しときてえし、もう一人の方も具合がよさそうだ、仕方ねえ、麻痺させておくか」


 ヤスエイがサミュー達の方へ歩く前に『軽速』を使って跳び出し、進路を塞ぐ。


「間違うな、俺が相手だ」


 アラが全くかなわなかった相手だ、俺なんかじゃまともに戦ってどうにか出来るとは思えないが、今までも格上を相手に小狡い手で何とか乗り切ってきたんだ、時間稼ぎ位ならなんとか。


「は、まあいいぜ、相手をしてやらあ」


 一瞬でヤスエイが目の前に、く、速すぎるぞ。


「おら、『右だ』」


 言葉と同時に放たれた右からの拳を何とかかわして、距離を取ろうとするが、付いて来やがる。


「次は『下から蹴り上げるぞ』」


「くそ」


 とっさにバクテンをして、爪先が顎に掠るすれすれで何とか奴の蹴りをかわす。


 どっちも危なかった、奴が先に宣言してなかったら『軽速』を使っていてもかわしきれなかった。だがなんだ、今のやり取りに何か違和感が……


「ふーん、やっぱりか」


 なんだ、今まで以上にニヤついてやがる。


「がっ」


 何も言わずに距離を詰めたヤスエイがいきなり膝に前蹴りを放つ、く、足がいてえ、くそ、完全に折れておかしな方向に曲がってやがる。今の一撃で両ひざを砕いたのか、早く、早く治れ、早くしないと、このままじゃ。


「テメエ、今の二発に反応した感じだと日本語が解ってやがるな」


 崩れ落ちた俺の肩に足をかけて体重を乗せ、片方づつ砕き、こ、こいつ、いま、なんて……


「な、ぐがああ……」


 落ち着け呼吸を整えろ、痛みに流されるな。


 そうだ、とっさの事で思わず反応したし、ラクナの翻訳に慣れてたせいで、あまり違和感を感じなかったけど、確かにさっきの二回の宣言は日本語で発せられていた。まさか、今のやり取りで俺が『勇者』かどうか試したのか。落ち着け、落ち着け、焦るな考えろ。


(そうじゃ動揺するでないぞ、『勇者の子孫』ならば、家系で言葉を伝え続けている家も少なくない、それに『勇者』に取り入るために子弟へ日本語を教える貴族家も稀にある事じゃ、これだけで確証は取れぬ。まだお主を甘く見ている今のうちに勝機を探すのじゃ)


「まあ、テメエが『勇者』ならこんなによええはずはねえから、直系の子孫ってところだろうが、それならテメエの先祖の『勇者』があっちの世界から持ち込んだ物を家宝にしてたりはしねえか。そいつとカミヤのとこの『万能薬』を差しだしゃあテメエらを見逃してやってもいいぜ」


 なにを言っているんだ、日本から持ち込んだものだと、確かにこの世界なら『勇者』にまつわる物はありがたいんだろうが、なんでこいつがそんな物を欲しがる。クソ、奴が何度も踏み直すせいでまだ手も足も治らない、痛みのせいで考えがまとまらない。


「プラスチック、ビニール、発泡スチロール、化学繊維、なんだったら電化製品でもいい、でなきゃペットボトルくらいあるんじゃねえか、おっとこんな名前を言っても解る訳ねえか。なんでもいい、用意できるなら見逃してやる、出来ねえならここで死ね。簡単な話だろ」


 一体コイツは、なにを狙ってやがる。


「まあ、他にもほしい物が有るがよ、ん」


 奴が何かに気が付いたように視線を向けるが、そっちの方にはミーシアとハルが……


「ほらミーシア、これをお飲みなさいすぐに動けるようになるはずですわ」


「は、はい、ご、ごめんなさ……」


 ハルが懐から取り出してミーシアに飲ませようとしているのは『馬の糞』か、あの軽そうな一撃でミーシアがそこまでのダメージを受けてたって事かよ。


「こりゃあ、丁度いい、手間が省けたな」


「な、なにを……」


 いつの間にかハルの背後に移動していたヤスエイが、ハルの手首をつかみ上げ、その手に持たれていた『馬の糞』を取り上げる。


(いかん、なんとしてでも『聖馬の不苦無痛丸』を取り返すなり焼き払うなりするのじゃ、あ奴の剣にあの薬が登録されては目も当てられぬ。幸い登録はすぐにできる物ではない、最低でも半日、あれほどの薬ならば数日かかってもおかしくない筈じゃ、今ならば間に合う、じゃがここで逃せば、あ奴はお主以上の、それこそ無限に近い回復力を得る事となるぞ)


 クソ、そんな事を言ってもこんな状況じゃ、どうしろっていうんだよ。完全に見誤っていた、カミヤさんとの試合で一本を取れたくらいで『勇者』相手でも戦い方次第でなんとでもなると、舐めてた。


 あの試合だってあの人は全く本気じゃなかったって言うのに。


 どうする、どうすればこの化け物を倒せる、いや、倒すのは無理でもあの薬を何とかしてこの場を無事に乗り切れれば……


 俺の『勇者』としての能力なんて何の役にも立たない半端な能力……


 いや、ほんとにそうか、何も出来ない役立たず、ではない、だが、それなら、いや、悩むな、もう、ここまで来た以上は覚悟を決めろ。


 この状況ではまだ無理だが、手足が元に戻り、タイミングが来たら……


「そういやあ、まださっきの答えを聞いてなかったな、薬は貰ったから後は『勇者』の持ち物か、まあ女どもを多少痛めつけりゃあその気になるか、さてともったいねえが一番絵になりそうなのは、こいつか」


 いつの間にかヤスエイがサミューの前に。


「SMってのは、あんまり趣味じゃねえが、まあたまにやる分なら悪くねえからなボインのパツ金なんざ、洋物のスナッフみてえで丁度いいだろ」


「トーウさん、ありがとう、アラちゃんを連れて下がってて、出来るだけ時間を稼ぎますから、ハルさん達や御主人様と一緒に……」


 トーウの薬を使ったのか、いつの間にか麻痺状態になっているアラを抱いたトーウをかばうように、サミューがヤスエイの前に立つ。


「良い度胸だ、だがいつまで持つのかな、いま出してる毒は、さっきとは違う意味で特別製だ。ちょっとかすっただけで激痛に苛まれて、もだえ苦しみながらのたうち回る。うちの店の娯楽ショーで人気の逸品だからな」


 クソ、このままじゃサミューが、だが、この距離じゃ、手足もまだ治ってない、どうする。チャンスは一度しかないぞ、奴が少しでもサミューから離れた瞬間を狙って……


「ただでは、ただでは死にません、せめて一矢だけでも」


 両手に鞭と剣を構えたサミューがヤスエイに仕掛けるが、まるで遊んでるかのようにギリギリでかわしやがる。


「ああ、いいからそういうの、面倒だから、とっとと悲鳴を聞かせろよ」


 こともなげにヤスエイが『薬師の創薬刀』を抜きサミューの腹を刺す。


「サミューーーーー」


 ゆっくりと、サミューが足元へと崩れ落ちて……


「さてと、そこでこの女が悶えるのをよーく見てろ、この女が死んだら次はどいつにしようか、ん、ムぐ……」


 え、何が起こった、ヤスエイが倒れたサミューから視線を上げて周囲を見回した直後にサミューが立ち上がって、ヤスエイの唇に自分の唇を……


「ぐ、き、貴様、なんで立てるんだ、い、いやそれよりも、何を飲ませやがった」


 慌てたようにサミューを突き飛ばしたヤスエイが叫んでるけど、飲ませたって、そう言えばサミューの舌がヤスエイの口の中に入っていたような。


「ふふ、男性の口を奪うのも、それで相手を蕩けさせるのも得意なんですよ。まだ御主人様ですら味わった事の無い私の口づけ、気持ちよかったですか」


 艶然とした笑みを浮かべたサミューが、なんてこともなさそうにメイド服の埃を叩いているけど、本当に大丈夫なのか、腹の辺りは血で赤くなってるのに。


「この程度の劇毒や痛みなんて、とっくの昔に慣れっこになってますから、あんな浅く刺された程度じゃ何ともなりませんよ」


(そうは言うて居るが、あのヤスエイの調合した毒じゃぞ、それを耐えるとは、お主の『成長補正』でスキルが高まっておるのじゃろうが、ここまでと成るのは元のスキルの熟練度がかなり高かったという事じゃのう)


 そうなのか、サミューは大丈夫なのか、ホントは我慢しているだけなんじゃ。


「そんなこたあどうでもいい、とっとと答えろ、俺に飲ませたのは何だ」


「こういう状況で女が男の人に飲ませる物なんて決まってるじゃないですか、天国にいけるオ・ク・ス・リですよ。なんでしたっけ、『最高に気持ちよくイキながら逝ける』でしたか。この先が気持ちよく逝けるのかはわかりませんが、先ほどの口づけは最高に気持ちよかったんじゃないですか」


 自分の血が付いた指先でサミューが自分の唇を横に撫でると、まるで鮮やかな口紅を差したかのように赤が引かれる。


「くそ、毒かよ、なんの毒か解らねえんじゃ、上手く解毒しきれるかどうか、回復魔法が使える駒も近くには……いや、これが有ったか」


 自分の手に握っていた『馬の糞』に気が付いたヤスエイが一息にそれを飲み込んでから、何かにいらだったかのように、何度も地面をけりつける。


「このくそ女、テメエのせいで、余計な手間を、こんな事やらかしといて覚悟は出来てるんだろうな、ただじゃおかねえ、薬が効かねえってんなら、手足をねじ切って達磨にしたうえで中毒者共の中に投げ入れて、何日も休みなしでマワさせてやる。泣いて謝ろうがゆるさねえ」


「そんな事でしたら、とっくの昔に経験済みです。女としては今までしたことのない経験をさせてもらいたいものですが、まあ独創性の無い方では無理でしょうね」


「殺す、殺す、ぶっ殺す」


 マズイ、完全に切れてやがる、このままだとサミューが。


「ヤスエイ、こっちを見やがれ」


「ああん、何呼び捨てにしてやがんだクソガキが、あん、何で立ってやがる」


 こちらへ視線を向けたヤスエイに見せつけるように『馬の糞』によく似た安物の薬を取り出す。


「お前はこの薬が欲しいんじゃないのか、今使っちまったからな、これが最後の一個だ」


「御主人様、なぜ、お逃げください」


 サミューに手を振りながら、奴の意識が完全にこっちに向いたのに合わせて薬を口に放り込み、飴玉のように転がす。


「ほら、早く取りに来ないと飲み込んじまうぞ」


「上等だ、飲み込んでみろテメエの腹掻っ捌いて取り出してやらあ」


 俺の方に体を向けたヤスエイがサミューから離れて此方へとゆっくり歩いて来る。


 もう少し、もう少しだけサミューと奴が離れれば、仕掛けれる。


 奴を仕留める『魔法』が使える。


 俺は魔法が『使えない』訳じゃない、『魔力回路』が容量を超える魔法を使えば、魔力が暴走して回復魔法や薬が効かないケガを負うから『使わない』だけの事だ。


 実際サミュー達を仲間にしたばかりの時には、何度か魔法を使っているしな。


 魔法の反動さえ考慮しなければ、俺はこの世界で最強の魔法だって使えるんだ。もっと早くこの事を思い出していれば……


「何を余裕ぶってやがるんだ雑魚がよ、女の前だからってイキがってんじゃねえぞ」


 あと少し、あと少しだ、もう『複数同時照準』は奴やその周囲にある木々をロックオンしてる。後は放つだけ、『瞬衝熱波』は高温高圧を内に閉じ込めた球体を作り出して一瞬で解放する魔法だ、そうすれば数千度の熱を持った衝撃波が音速を超える速度で周囲数十メートルに有る物全てを焼きながらなぎ倒す。


 それを『聖者の救世手』の効果を使って、奴の周囲の木々数十本を対象に一気に発動させる。全方位から高速で襲い掛かる熱と衝撃波だ、数発は防げても全部を防ぎ切れるものか、仮にも『魔法特化の勇者』が全力で使う魔法だ。一発でも当たれば奴を仕留めるくらいの威力は有る。


 同時に『二重無詠唱』を使って対魔法防御で最高位の『鎮魔領域』を、みんなを対象にして発動させれば巻き込む事は無い。


(お主、解っておるのか、そのような魔法を二つも同時に使えば、反動でお主の全身がバラバラに千切れかねぬぞ、『超回復』も『聖馬の不苦無痛丸』も効かぬ傷をそれほど大きく負えば、間違いなく命はないぞ)


(ラクナ、責任者っていうのはな、いざという時に責任を取るからそう呼ばれるんだよ)


 俺はこのパーティーのリーダーで、アラの保護者で、奴隷である皆の主だ。これだけ揃っていれば俺が責任者なのは間違いがない。


 会社であれその他の組織であれ、責任者のやる事は部下を指示・監督して、取り返し可能なミスならフォローし、取り返し不可能なミスが起こらないように誘導して行く事。そして万が一取り返し不可能な事になった時は、自分が真っ先に責任を取って事態を収拾させる事だ。


 だからこそ普段から部下に対して威張っていられるんだからな。状況を投げ出して真っ先に逃げ出すような責任者に誰が付いて来るってんだ。


 俺は、俺だけはこの事態を予測していても良かった、それだけの情報をカミヤさんや神官長から貰ってたんだから。


 だからこそ、事前にもっと対策を立てておくべきだったんだ。


 それを怠ってこんな事になった以上、俺が責任を持って幕引きをするべきだ。


 あと一歩あと一歩奴が前に出れば、サミューを中心に展開した『鎮魔領域』の影響範囲外に奴が出る。


(本当に良いのじゃな)


(ああ、こうなった以上は奇跡でも起こらない限りは、他にどうしようもないだろう)


 そして、この世界に神が居ないと断言された以上、奇跡なんて期待しても仕方ないだろう。


 だから、おれがやってやる。ん、あれ、あそこにいるのは……


「なんじゃ、なんじゃ、多少寄り道をして来てみれば、ずいぶんとつまらなそうな事になって居るのう」


 これは、奇跡なのか、それとも今以上に状況が悪くなる前ぶれなのか。


 いつの間にかアラを抱えたトーウの横に立っているのは、最強と呼ばれる老人だった。



き、キス位ならNTRにはならないですよね、ね。

ついでに言えば、リョー君の魔法が使えない設定の内容を私自身忘れてましたが、自爆覚悟なら魔法を使えるんですよね。


それと、来月上旬もかなり仕事が、が、が、が……



H29年2月22日 誤字修正しました。

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