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241 敵か味方か謎の騎士現る

なんとなく、昭和のアニメみたいなタイトルにしてみました。

「来るぞ、魔物はどいつも遠距離攻撃のスキルが有る、特に大型の二体は角や針を飛ばしてくるようだ注意しろ」


「承知いたした、行くぞ」


 真っ先にコンナがナースホルンの方に向かっていくが、騎乗しているジェネラルが槍斧を構える、この距離で構えたって事は。


「ヒジャエ」


 やっぱり『飛斬』か、大きく振られた刃先から斬撃がコンナの方へと飛んでいく。


「こざかしいわ『強斬』」


 コンナが大きく大刀を振りかぶって、向かってくる『飛斬』に振り落とし相殺する。


「あんな危なっかしい防ぎ方をするだなんて、非常識ですわ」


 ハルが呆れたような声を漏らしてるけどそんなに非常識な事なのかな。


(高速で向かってくるスキルは避けるか盾などで待ち構えて防ぐのが基本じゃ、あのようなスキルをぶつける様な防ぎ方の場合じゃと、早すぎれば当たらずに終わり、遅すぎれば間に合わず無防備な状況でスキルを受ける事となる。まして相殺の為にスキルを使えば、その直後は体が硬直するため避ける事も出来ぬでの)


 つまりは早すぎても遅すぎてもダメで、タイミングを外したら一発アウトなリスクの高い防ぎ方って事か。


 まあ、コンナらしいと言えばらしいけど。


「あ、危ない、です」


「コンナ様、ご用心くださいませ」


 コンナがスキルを振り終わったタイミングを狙ったように、ナースホルンの短い角が額から真っ直ぐに飛び出していく、これが『角発射』のスキルか、いやそれよりもこのタイミングだとスキルを使った直後のコンナじゃ対処できない、まさかこれを狙って時間差攻撃をしてきたのか。


「なんのぉこれしき、鍛えあげられし鋼の肉体を前にすればこの程度の事など」


 刀を手放したコンナがなぜかボディビルダーみたいなポーズ取ってるんだけど、何考えてるんだ、理想の死に方でも追求してるのか。


「ふんぬううう」


「えー、どうなってるの」


「ひ、非常識ですわ、生身で魔物の一撃を耐えるだなんて」


「これは、すごいですね、一気に太く硬くなったようにみえましたから」


 サミューの言い方はアレだけど、確かに俺もコンナの胸筋や上腕筋が一気に膨らんだように見えたな。というか高速で発射された杭みたいな角が薄皮一枚程度しか刺さらずに落ちちゃうって……


(おそらくは『腕力瞬間上昇』のスキルを使ったのじゃろうて、あのスキルはほんのわずかな時間じゃが、力を高める効果があり、その作用の一環として発動中は筋肉が強化される場合があるでのう。そうなれば筋肉の硬さも厚みも増えるじゃろうからの)


 うわあ、もう脳筋としか言いようがないな。


(とは言え、このスキルは負担が大きいゆえ、続けざまには使えぬ、同じ手はこの場では出来ぬと思ったほうが良かろうて)


 流石にあんな無茶は何度も出来ないって事か、まあそれでも。


「今のやり取りで分かったと思うが、相手は乗っている魔物と連携して時間差を付けて攻撃してくるみたいだ、どちらか一方だけに気を取られないよう注意しろ」


 もしかすると、ホルニッセに乗って空を飛んでるほうも、連携してくるのかな。どっちも遠距離スキルが有るから上空から狙い撃ちにされると面倒かもしれないな。


(それにしてもこの『獣頭草原』で雀蜂の魔物とでくわすとは、つくづく虫系の魔物と縁があるのう『虫下し』殿は)


 この野郎、俺自身そうだと思ってても気にしないようにしてた事を指摘しやがって。まあいい、今は目の前の戦闘に集中しないと。


「行くぞ」






「はああ、くっ」


 飛び上がって、ナースホルンの上に居るジェネラルに切りかかろうとしたコンナが、空中で身をひねってホルニッセの牙を大刀で防ぐ。


「いっくよー、きゃう、もー、邪魔しちゃめーなの」


 アラが立ち止まってスキルを放とうとしたところへ、ナースホルンの角が飛ばされたために、スキルを諦めてその場から跳びのく。


「先ほどからこの繰り返しばかりですわ、どうにか致しませんとわたくし達が不利になってしまいますわよ」


 思ったように魔法が放てずにいらついているハルの言う通りだよな。このまま時間を稼がれると身動きが取れなくなってる魔物も戦車の下なんかから抜け出してくるかもしれないもんな。


 そうなったら、敵の戦力が増えるだけだから、ただでさえ今の状態で拮抗してるってのに。


 ナースホルンもホルニッセも防御力が高いから、普通の攻撃や発動を速めて威力の落ちたスキルなんかだとダメージが殆ど与えられないし、かといって遠隔スキルや魔法の威力を上げて放とうとすれば、どうしてもいったん立ち止まって溜める動作がいるけど、相手がそこを狙ってくるせいで必要な溜めが出来ない。


 かと言って、接近して近接スキルを叩きこもうとすると、狙われてない方が牽制してくるから近寄れないし。


 クソ、いままでは溜めの時間とかそこまで気にしなくて済んだのに、こいつ等より強いフロアボスやボスと戦った事もあったけど、どれも単体か雑魚を取り巻きにしてるかだったからな。


 向こうからの遠隔スキルなんかは来ても単発だから誰かが防いでる間に別な誰かが攻撃したり、ミーシアやサミューが相手を崩して隙を作ったりしてくれてたってのに、今回はフロアボスクラスが連携してくるせいで、隙が作れないし、たとえ隙が出来ても他が直ぐにそれをサポートしてくるし。


 特に、ジェネラルとコマンダーは下の魔物に乗ってるだけで自分自身で動いてないから、移動しながら溜めが出来るし、スキル発動後の硬直の時でもすぐさま相手の反撃を避けられるってんだからさ。


 そう言えばミムズもプテックの上に乗って同じような連携をしてたっけ。


「クソ、せめてナースホルンかホルニッセのどちらか片方のみなら、もう少し」


「ならば、某が蜂の方を引き受けよう」


「な、だれだ」


 いきなり背後から声を掛けられると同時に赤い小さな影が目の前に飛び出して駆けていく。


「リョー誰ですのアレは」


「あの方はご主人様のお知り合いですか」


 サミュー達にも心当たりはないのか、もしかしたら別行動してた時の知り合いかとも思ったんだけど。


 となるとあの赤黒いフルプレートアーマーは何者だ、というかあんな重そうな装備にミーシアに負けない位にデカイ剣を背負ってるってのにアラみたいに軽々と走ってるってどういう事だよ。とは言え……


「初めて見るが敵ではないだろう」


「師叔は初見の相手を信用されるのか」


「だ、大丈夫、なんですか」


 まあ、みんなの不安も解るけど、今この時期にこの『迷宮』に居るって事はカミヤさんが狩猟許可を出したか、もしくは配下って事だろうから、能力にしろ立ち位置にしろ、カミヤさんが有る程度保証できる相手って事だからね。


 まあ、逃げ込んだ盗賊だって可能性もちょっとだけあるけど、それなら俺達に助太刀なんてする理由がないし、あの装備であれだけ動けるなら普通に領境を突破できるだろうからココに逃げ込む必要もないだろうしね。


「どちらにしろ、今のままだとジリ貧になるんだ、ここは信じてナースホルンに仕掛けるしかないだろう」


 悔しいが、俺達だけじゃフロアボス四体を同時に相手にするのは荷が重いって事がわかったし、あの装備であれだけ動けるって事はかなりレベルが高いんだろうからさ、まあステータスが『隠蔽』されてるみたいで名前すら解んないんだけどね。とは言え、それだけの隠蔽が使えたり誰かに掛けて貰えるってだけでも相当の実力者って事なんだろうけど。


「わーった、リャーの言う通りにするんだから」


「アラちゃん、一人で前に出ちゃ危ないですよ」


 アラが元気な笑顔で突っ込んで行くのを、サミューとトーウが追いかけて行く。


「仕方ありませんわね、行きますわよミーシア」


「は、はい、行きます」


 盾を構えたミーシアに守られながらハルもナースホルンの方に向かっていくけど、向こうの方はどうだろう。


 ああやってみんなに言った手前、助っ人さんにあっさり負けられたら大変な事になっちゃうんだけど。


「参る」


「キュウア」


 赤黒い鎧が正面からホルニッセに突っ込んで行くと、蜂の尾から無数の針が放たれて、更にその上のコマンダーも矢をどんどん放って来るけど、あれの威力だと下手に当たれば鎧も貫通するんじゃないか。


「なんの『百斬剣舞』」


 マジかよ、あんなデカイ剣を踊るように軽々と振り回しながら針と矢を一つ残らず撃ち落としてるってのに、全く速度を落とさずにそのまま突っ込んで行ってやがる。


「クギャ」


 飛び道具で倒せないと思ったのかホルニッセを地面すれすれの低空で飛ばせながら、コマンダーが弓を剣に持ち替える。


「ハッ」


 ホルニッセの顎と振り下ろされた剣先がふれる直前で赤い鎧が飛び上がりそのまま宙返りをして、逆さまの状態の赤黒い兜とコマンダーの頭がぶつかるギリギリの距離ですれ違う。


「グギャアア」


 なんだ、何が有ったんだ、すれ違った直後にコマンダーが剣を放り投げると狐耳を両手で押えてホルニッセの上から転げ落ちたけどどうしたってんだ一体。


「ムウ、まさか、あれはかの『耳元囁き』だと言うのか、バカな」


 なんだ、コンナが昔の少年漫画みたいなリアクション取ってるけど何かの技だったのかアレは。


(『耳元囁き』とは『乙女戦技』に有る技術でのう、『叫び』や『歌』の様な声によって異常状態や支援効果のあるスキルを対象の耳元に口を寄せて小声で使う技であり、対象以外の者を巻き込む恐れが無く、さらに効果や成功率を大きく高め、複数の効果を複合する事も出来るのじゃ)


 いや、まあ、確かに少女漫画とかであるよね、耳元で印象的なセリフをささやくとかそんなの、だからって戦闘中にやる事か。


(とは言え、これを使うには『乙女戦技』だけではなく、実際に仕掛ける声を使ったスキルそれぞれの熟練度が高くなくば習得できぬ上、戦闘中の敵の耳元に口を寄せる行為自体の難易度も高いでのう、少なくとも速度か技術のどちらかにおいて相手とよほどの差が無くば成功させることは難しいがのう)


 それをあっさり決めるという事は、かなりの実力者って事か、しかも『乙女戦技』を使うって事はライフェル神殿関係の人間、それも女性って事だよね。


 確かに、鎧をよく見ると所々の曲線というか、とくに胸元のなだらかな曲線とか、うん女性ものの装備だわ。


 まあ、鎧の中身の御顔も女性とは限らないだろうけどさ、コンナの例もあるしね。


 いや、そんな事はどうでも良い事だよね。とりあえず神殿関係者って事は味方って事だから。


 ん、着地してそのまま、コマンダーに駆け寄ってくけど、これはトドメを刺すのか、だけど剣はホルニッセを警戒してかそっちの方に向けてるけどどうするつもりだ。


 耳を押えて転げまわってるコマンダーの直ぐ枕元に立って、片足を上げてってまさか。


「グベエ」


 おい、悲鳴を上げてるコマンダーの頭を一息で踏みつぶすとかいくら何でもナイだろ。鎧の色が赤黒いから返り血はほとんど目立たないんだけど、鮮やかなピンク色の欠片が所々にひっついててさ……


 ま、まあおかげで助かったのは確かな話だよね、負担が減ったおかげでみんなも少しづつナースホルンにダメージを入れてるし。


 とりあえず俺らはこっちに集中しないとね。


「アラ、トーウ、サミューは俺と一緒に四方から相手を牽制する、蜂の方は気にしないでサイの方に集中するぞ、ハルは魔法の準備、ミーシアはハルの護衛を、コンナは予備戦力として待機しいつでもスキルを放てるようにしていてくれ」


 今までなら、こういった動きを見せればすぐにホルニッセが背後に回って、針と顎それにコマンダーの弓矢で牽制してきたけど、今はその恐れが無いからな。


 それにナースホルンとジェネラルの攻撃だけなら、溜めや硬直無しで使えるのは飛ばせる短い角二本と斧槍の三連続までだ。四人で囲めば誰か一人は相手から狙われずに済むから、最低でも一撃を入れる事は出来る。


 しかし、こうして考えるとハルの『二連続発動』とかアラの『スキル二連続発動』がどれだけ凄いかわかるよな。


「いきます、くっ」


 サミューが鞭を放とうとしたのを途中で止めて横へ跳び、ナースホルンの角を避ける。


「ここで、お役に立たなければ」


 正面から仕掛けようとしたトーウにもう一本の角が放たれ、両手の爪を交差させて角を防ぎ、更に突っ込んできたナースホルンの突撃を避ける。


「えーい、きゃうん」


 アラが飛び上がって、ジェネラルに切りかかろうとしたけど、ジェネラルが騎乗から斧槍をふるってスキルを放ち、盾で防いだアラがその勢いのままで吹き飛ばされて、離れた所に着地する。


 だけどこれで向こうはいったん打ち止めだ、なら俺が。


『軽速』を発動させたまま一気にナースホルンへ駆け寄り、ブットい足の間を抜けて腹の下に回りそのまま『斬鬼短剣』を下から突き刺す。


 ナースホルンはサイだしデカい分だけ皮も肉も厚そうだから『斬鬼短剣』の長さじゃ太い血管や内臓には届かないだろうけど、それでも痛みはあるはず。


「はあああああ」


 突き刺さったままの『斬鬼短剣』の柄を掴み直し、そのままの勢いで一気に尻尾方向に切り裂きながら駆け抜ける。


「フボオオオ」


 よし、意外と効いてそうだぞ、まあこれで致命傷になるって事は無いだろうが、痛みを与え続ければそれが隙に繋がり行動の制限になるかもしれないからね。


 ついでに言えばここならジェネラルの攻撃は届かないし、ナースホルンの角も大丈夫だ、つまりは四本の足さえ警戒してればいいんだし『感知』が有ればその位の動きなら把握できるし『軽速』を使えば避けながら腹の下に居座るのも難しくない、ここで俺が奴らの気を逸らし続けてればなんとかなるんじゃねえか。


 まあ、一番いいのは足の一本でも潰せればいいんだけど、これだけ肉厚だと筋肉や骨まで短剣の先が届かないんだよね。


 とりあえずはこのままダメージを与え続けてれば、誰かが隙を見つけてついてくれるはず。まあ、頭上から流れてくる血を飲んじゃわないように注意しないとダメだろうけどさ。


 ナースホルンが俺を嫌がってか走り出すけど、この程度の速度で俺を振り切れると思うな。


「フゴ」


 助走をつけたサイが軽く飛び上がって、四本の足がそれぞれ外側に大きく開かれて、おい、お前の関節はそんなに開く構造だったのか、ってそうじゃない、このままだとボディープレスで潰される。


「くそっ」


 慌てて、サイの下から転げ出た所を、騎乗からジェネラルが狙って槍斧を振りかぶる。


「リョー、そのまま走りなさい『火炎弾』『火矢』」


 ハルが、魔法で牽制してくれたおかげで背中に『飛斬』を食らわずに済んだか。


 これでまたやり直しか、何とか決定打に成るような方法を考えないとだめか。



今回もアップしました。


みんな大好きワニメイドことディフィーさんです。残念な事にワニみたいな尻尾がオプションにないので尻尾無しです。上手く爬虫類っぽい雰囲気が出せてればいいのですが。

https://twitter.com/tohru116/status/698797463985999872


リョー君が、食い千切られると思った表情はこちらになります、こんな顔でクパアされたら、わたしだとコロッと行っちゃうかも。

https://twitter.com/tohru116/status/698797722191552512


H28年2月21日 誤字修正しました。

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