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ふう、今回もギリギリ嘘つきにならずに済んだか。

 それにしても、『迷宮』に入ってから大分経ったのに全然進まないなー


 一部屋一部屋いちいち確認してるのが問題なのかな、半分くらいは鍵が掛ってるし、罠もあるからミーシアの熟練度上げにはちょうどいいんだけど、どうしても時間が掛っちゃうんだよな。


 まあ、魔物が居たりちょっとしたアイテムが有ったりで経験値や小遣いを稼げてるし良いのかな、別に一気にボスまで行くつもりじゃないし一歩一歩安全確認が出来てるからちょうどいいか。


「あ、開きました」


「よし、入るぞ」


 ドアを開ける、あれ何か軽い抵抗があったな、なんだろ。


 戸の裏側に切れた糸が垂れておりその先には。


仕掛け爆薬 LV1


(罠じゃ、戸の陰で鑑定できなんだか)


「くっ、ミーシア」


 すぐ隣にいたミーシアを弾き飛ばした直後、ドアが吹き飛ぶ。


「あ、あああ、リョ、リョー様」

「りゃー、だいじょぶ」

「ご主人様、ご無事ですか」


「ああ、多少怪我したが、問題ない」


 慌てて心配してくれる奴隷たちに声をかけるが、あれ一つ足りなくないか。


「あれだけの爆発で、それだけですの、非常識ですわ」


 そこに反応ですか、まあそりゃとっさに『闘気術』で肉体強度を上げたからな、間に合ってよかった。それでもやっぱり火傷が痛いけど、この位ならすぐに治るし、我慢我慢。


 しかし『迷宮』シャレんなんねーよ、ビビったほんとにビビりました。まさかラクナで見つけられない罠が有るなんて、視界に入らないとダメってのが欠点か、てことは隠れて待ち伏せとかされると解んないって事だもんな。


「あ、あのリョー様、ご、ごめんなさい、私がドアの向こうを調べなかったせいで、ど、どんな罰でも……カッ、ハッ」


 やばい、首輪が締まりかけてる。


「罰を与えるつもりはないから安心しろ、それよりもなぜ失敗したのかを考えるんだ」


 うん、失敗から学ぶことは大切だよね、きちんと自分を分析して何が苦手なのか把握できればそれに注意できるし、よし首輪も緩んだな。


「そ、それは私がノロマでグズだから……」


「そうじゃなくてだな……」


 自己評価低すぎるだろう、これはもうちょっと自信をつけさせることから始めないとダメかな、急いで分析しても追い込むだけかも。


「私のせいで、リョー様に大怪我……」


「大丈夫だ、このくらいの怪我ならすぐに治る」


「あ、わ、私が治します」


 このくらいの火傷ならわざわざ回復する必要ないんだけど、いや、ここはミーシアにさせた方がいいかな。


「そうだな頼む」


「は、はい……」


 ミーシアの指先が白く光り傷口がふさがっていく。


「ありがとう、助かった」


「はい、ご、ごめんなさい」


 なんでここですぐに謝るんだろ、しかしさっきの罠、似たようなのも今まであった気がするけどミーシアは解除してたよな、疲れて集中力が落ちているのかな。


 確かに『迷宮』に入ってから一度も休んでないもんな、よく見ればハルやサミューも呼吸が乱れてるしアラのMPもほとんど残ってない、指輪のMPも切れてるしな。


 失敗した、自分の体力を基準にしてみんなに無理をさせ過ぎたなあ、もっとこまめに休憩を取らなきゃだめだったか、悪いことしちゃったな。特にミーシアは細かい作業の連続で集中力を使ってただろうし。


 ん、この部屋は食堂か、長テーブルと椅子ねえ、なんかゾンビが出てきそうな、ってそれじゃあゲームか、でもちょうどいいか。


「せっかく椅子が有るんだ、ここで休憩にしよう」


「それでは食事にしませんか、大分歩きましたし」


 サミューがミーシアの方を見ながら提案する、そうだなそれで気分転換になればいいし、空腹のままだとマイナス思考になりやすいって言うもんな。


「そうだな魔物の肉でいいのか、そのあと少し睡眠もとろう」


「解りました、ミーシアちゃん、ハルさん手伝ってくださいね」


「はい……」

「解りましたわ」

「ごあんーごあんー」


 俺の取り出した蝙蝠を捌くサミューの傍らでハルがそれぞれのアイテムボックスから食器類を出し、ミーシアが椅子を幾つか叩き壊していくって何やってるの。


「ご、ごめんなさい、火を……」


 ああ、あの椅子は薪の替わりなのね、うーん、ミーシア落ち込んでるなー、言葉遣いもだけど態度もいつも以上にビクビクしてるし。


「解った」


 あれ、でも。


(おい、床で焚き火して火事にならないのか)


(ここは『迷宮』じゃ、多少の事では壊れたりはせん、焚き火程度では問題はないじゃろ、そもそもあれだけ火炎魔法を放っておいて今更ではないかの)


 あ、そういえばそうだよな。


(なら、椅子なんかは良いのか)


(家具類などは迷宮の付属物、樹木や岩などと同じでの、こういった物は壊れてもしばらくすれば『迷宮』の霊気によって作られて元に戻るのじゃ)


 あれ、それって良い事を聞いたんじゃ。


(ならこれを持ち帰って売ってもいいのか)


(止めておいた方がいいの、家具や美術品の価値は作成した職人や工房の銘で決まるでな、無銘の品はいくら作りがよくとも安物扱いじゃ、気にせず自分で使うなら別じゃが、家具の類はアイテムボックスに入らぬ以上は担いで運び出すしかない、そこまでする価値はあるまいて)


 焚き付け程度の価値しかないってことですか。


(それと、ここで休憩するのなら暫らくはこの部屋を拠点にレベル上げをしてはどうじゃ、『迷宮』の階層を進めればそれに応じて魔物も強くなる、先の階層の敵を考えればもう少し強くなってからがよいじゃろ)


「あ」


 物音と小さな声に振り向くと、ハルの足元に食器が散らばっている。珍しいな、ハルがこんなミスするなんて、やっぱり疲れているのかな。


「怪我は無いか」


「ええ、ですけれど」


 ああ、皿とカップが割れてるな、ミーシアが選んだのは丈夫な木製だし俺のは金属製だけど、ハルだけは陶器を選んでたんだよな、とりあえず拾うか。


 あちゃー完全に壊れてるな、これじゃあ使うのは無理だな、この部屋に代わりになりそうなものは無いか。


 俺の背後ではサミューが手早く肉を炒めながらお茶も入れている、ハルは口を堅く結びながら黙って食器のかけらを拾ってるし、うーん仕方ないか。


「ハル、俺の食器を使え」


「な、何を言っておりますの」


 なーんでそんなに意外そうな顔をするかな。


「俺は肉を食わないし、代わりに果物を取れば茶も必要ないからな、ほとんど使ってないし、しっかり洗っているから安心しろ」


「作りの脆い高級品を買って『迷宮』で困る事になっても知らないんじゃなかったかしら」


 このお嬢様は素直にありがとうって言えないのかね。


「こんな所でへばられても困るからな、これに懲りたら少しは贅沢を控えるんだな」


 ああ、俺もついついきつい口調になっちゃったよ。


「ふん、そこまで言うのなら使ってあげますわ」


 ああ、なんか話をしてるだけで疲れてきた、あれ。


「ん、何か物音がしなかったか」


 うん、確かに聞こえたような気がするな。


「気のせいじゃありませんの」


 う、そういわれるとちょっと自信が。


「あ、あの、私も聞こえました、変なにおいもします、き、金属のにおい」


 金属、血の匂いとかか、それとも武器、いや蝙蝠とネズミだもんな、無いよな。


(まさかの、まだ二階じゃし出てくるとは思えぬが、それとも数が増えて活動範囲を広げておるのかの)


 なんだ、何か心当たりがあるみたいだけど、あ、また音がした。


「わたしも聞こえました、廊下からですね」


「俺が様子を見てくる、休んでてくれ」


 廊下の先にそれはいた、一歩ずつゆっくりと歩いてくるたびに金属の擦れる音が響く。


空虚の鎧 LV7

身体スキル 霊体特性


 霊体、アンデッドってことか、いやーな予感がするな。


(これに通常攻撃は効くのか)


(普通ならば『光』や『神聖』属性、もしくは『浄化』効果のある魔法や武器を使うのじゃが)


 どっちもないな、こんな事なら『浄炎』あたりをハルに伝えとくんだったな。


(こやつは鎧に憑依する事でやっと動ける低級霊じゃ、鎧を完膚なきまで破壊すれば現世にとどまれず消滅するじゃろう)


 おい、薄いとはいえ鉄製の鎧だぞ、俺等の攻撃で壊せる気がしないんだが。


(そんなのが簡単にできるのか)


(一般的な戦士でレベルが七ほどあれば一体程度は何とかなるであろうな)


(『闘気術』を使う魔法士LV9ならどうだ)


(前例がないゆえ、やってみねば解らぬの)


 そうだよな、『闘気術』を使う『魔法士』って時点でおかしいんだし。


(鎧の隙間から攻撃したり他の系統の魔法でダメージは取れないか)


(刃先がすり抜けるだけじゃの、魔法も属性を付けるぐらいなら直接魔力をぶつける『純魔法』のほうが幾分よいの)


 ハルもアラも『純魔法』は使えない、俺等にとっちゃ鬼門みたいな相手だな、逃げるか、だけどここで逃げても『迷宮』にいる以上は何処かで会うだけか、ええいゴブリンズソードもレベルが上がってるし『闘気術』の熟練度も溜まってるんだ、やってやる。


 いつも通り、『軽速』と『闘気術』を使い鎧の手前で飛び上がる。


 逆さまに天井を蹴ると同時に『軽速』を解除。


 脚力と重力で勢いをつければこんな鎧。


 闘気を込めた両手を振りかぶる。


「食らえ」


 あ、技名とか叫んだ方が良いのかな、いやいや。


 硬い物同士がぶつかる音が響く。


「どうだ」


 くそ、両手が痺れてる。


(ふむ、多少凹んだようじゃな)


 それだけかよ。


「今の音はなんですの」


 慌てたように飛び出してきた仲間達に指示を飛ばす。


「ハル、加熱と冷却の魔法を交互にぶつけろ」


 こうすると、金属は脆くなるって漫画で見た気がする、間違ってないといいけど。


「サミュー、アラをつれて距離を取れ、ミーシアは三人を守れ」


 さっきの攻撃でダメなら徐々に凹ませてやる。


 闘気を込めた剣を連続で振るう。


 右から腰へ。


 そのまま振り上げて斜め上から肩へ。


 すぐに距離を取る。


『熱蒸弾』


 ハルの魔法に合わせ勢いをつけて腹を突く。


 上段から再度肩へ。


(一度下がるのじゃ、これまでの攻撃で二度『超再生』が発動しておる、衝撃で手の骨が砕けておるのじゃ)


 くそ、逃げれるか、追撃されたらアラ達も攻撃されないか。


 判断を迷う俺の耳を複数の音が叩く。


 前方からの幾つかの金属音と、後方からの無数の羽音。


 挟まれたのか、引き際を誤った。


「逃げるぞ、俺が鎧を引き付ける、ミーシアを先頭に後ろを突破しろ」


 前方から姿を現した数体の鎧と後方から押し寄せる数十体の蝙蝠を鑑定しながら俺は指示を飛ばした。



分かる範囲で、今までの分の誤字脱字を分かる範囲で修正しました、他にも若干文面を直しましたが、ストーリーに影響はないはず……

もし他に誤字とかがあれば教えてくださると助かります。


H26年12月14日誤字修正しました。


H26年4月13日 句読点、段落、一部台詞とモノローグ、爆発の痛み表現、修正しました。

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