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178 戦利品

今回は、あまり話が進んでなかったり……

(それでこれからどうするのじゃ)


 ラクナが聞いてくるけど、うーんどうするのがいいのかな。


(とりあえず、戦利品の換金が必要だからな)


 今回は大分多いからな。


(ふむ、ならばアキラの所へ行った方が良いじゃろうて、馬や騎鳥、馬車などは高級品じゃ、そこらの村や小さな町ではあれだけの数は捌けぬじゃろう。ライワの街ならば商人も冒険者も多い上、今ならばユニコーンの護衛の為にも買い入れてくれるやもしれぬ)


 ああ、そっか村の店に持っていったからって、必ず売れるとは限らないもんな。装備品だって冒険者が多いとこじゃないと良い物は売れないだろうし。


(そう言えば、『アイテムボックス』の制限も有るのか)


 確か、相手を倒して奪ったからって『アイテムボックス』の中身を簡単に取り出せないんだよな。『寒暑の岩山』の時はカミヤさんの所で対応してくれたからあんまり気にしてなかったけど。


(そうじゃのう。持ち主が死亡した場合、『アイテムボックス』は役人の使う特殊な魔法無しでは中身を取り出したり、所有者を変えられぬ作りにするよう、定められておるからの)


 ん、今こいつは『定められてる』って言ったよな、てことはワザとそうしてるのか。


(法律なんかでそういうふうに『アイテムボックス』を作ると決まっているのか)


(そうじゃ、そうで無くば盗賊が奪った『アイテムボックス』の中身を自由に使えてしまうじゃろう。それを防ぐためにも罪人などではない事を、役人が確認してから開封することと成っておる。まあ奴隷の書き換えよりは簡単じゃがのう。何しろ『迷宮』や町の外などで全滅したパーティーの装備品を発見すれば、合法的に発見者が私有できるからのう。余程荒稼ぎした者や賞金首などで無くば手続きも形だけの物じゃが)


 ああ、そっか奪っても中身が取れないんじゃ盗賊の実入りは減るもんね。多分レネル達なんかだと疑われる事は少ないんだろうけど。


 でもそれなら、あんまり意味が無いんじゃ。


(それにのう。昔はこう言った機能を付けてなかったため、持ち主が死亡した場合は誰でも中身を取り出す事だけは出来たのじゃが、そうなるとのう、奴隷や貧民などを集め『アイテムボックス』へ荷物を詰めさせた後にその者を殺めることで、一人の冒険者が中身の詰まった『アイテムボックス』を複数個『迷宮』へ持ちこむという手を使う不届き者が増えてのう。治安維持のためにもこう言った規制が必要となったのじゃ。とは言えこういった事を行う者は今もいるが、行った事が判明すれば死罪となっておる)


 ほんとにこの世界は、人命軽視というかなんというか。


 まあ、今考えても仕方がないか。


「とりあえずここを出たら、ライワ伯爵領に行くとしよう」


 ついでに今回の件なんかをカミヤさんに相談したいし、考えてみれば薬の一件をまだ報告してなかったしね。


「そうですわね。ヤッカの事も有るでしょうし」


 う、そ、そう言えば、ユニコーン族の長老が俺にヤッカをくれるって言うのを、なあなあのままにして逃げて来ちゃったんだっけ。


 とは言え、カミヤさんにはこれからも御世話になるんだろうし、その度に逃げ回る訳には行かないだろうし。ヤッカを受け取るにしろ受け取らないにしろハッキリしないとダメだろうな。


「ライワ伯爵領ですか、旦那様と同じ勇者様が治められる地でございますね」


 そう言えばトーウは、カミヤさんの所に行ったことが無いもんな。


「おいしい物がね、いーっぱいあるんだよ」


「まあ、まことでございますか」


「は、はい、や、屋台がたくさんあって、甘いものやお肉が、い、いっぱいあります」


「それは楽しみにございますね」


 アラと大食らいさん達が、買い食いの話をしてるけど、まあ好きなだけ食べさせてあげられるくらいの予算は十分あるし、街に着いたら気分転換もかねて、パーッとやった方が良いかも。


「御主人様、もう少しで出発の準備が出来ます」


 いつの間にかサミューがお茶道具なんかを片付けてくれてたけど、もう直ぐ準備できるって他にやる事があるのかな。


「ミーシアちゃん、大変ですけれどお願いしますね」


「だ、大丈夫です。この位なら、お、おもたくないですから」


『獣態』を取ったミーシアの背中に分解された鎧、ロープで束ねられた剣や槍、重ねて縛られた盾なんかがどんどん積まれていく、あれってひょっとして。


(戦利品じゃな、お主らの『アイテムボックス』はサミューらと合流前に倒した者達の装備品が入っているからのう、『付加』や『付与』が掛かってなければ、同じ材質で似たような形状の装備品は入れられる数が少ないゆえ、こうして運ぶのじゃろうて)


 ああ、そっか、そうだよな『空虚の鎧』の装備品は魔物の一部って事で幾らでも入るのに、普通の装備品は一番入る俺のでも三つまでだもんな。


「ミーシア、重たかったら無理はしなくていいからな。疲れたらすぐに言うように」


 こんな事でミーシアを酷使するのはなんかさ。


「だ、大丈夫です。ぜ、全然重くなくて、最近体が軽く感じてて、こうやって重たい方が、あ、安心します」


 うーん、『成長補正』で急にステータスが上がってるから、感覚が付いて来てないのかな。それならもっと重い装備を用意した方が良いのかも、熊鎧はサイズが合わなくなってたから、買い替えるつもりだしその時に考えておこう。


「ついでですし、帰り道で『アイテムボックス』に入りきらなかった分も回収してしまいますわね。二束三文の安物でも数を揃えればそれなりの額になるでしょうし。魔法石の一つくらいにはなるかもしれませんわ」


 ああ、ハルが張り切ってるな。光り物が好きみたいだから、コインも好きなのかな。


 あれ、そう言えば、これだけ装備が有るのに……


「ハル、これの中身はどうしたんだ」


 よく見ると血痕の付いてる上着を指さしてみたけど、こんなの売れるのか、いや江戸時代なんかだと布は貴重品だったんだっけ。


 機械での紡績が出来るようになるまでは手織りだから生産量も少ないだろうし、汚れててもそこそこの価値があるんだろうな。


 いや、そうじゃなくて今確認しなきゃならないのは、これを着てたはずの冒険者連中の死体がどうなったかだよね。


「身ぐるみを剥いだ後ですべて『溶岩密封』で焼き払いましたわ。『迷宮』の中でアンデッド化する事はありませんけれど、死骸を放置して魔物のエサとなれば、不必要に経験値を与えて魔物を強化する事になりかねませんもの」


 そっか、魔物も食事で経験値を稼げるんだ、まあ普通に考えればそうか、冒険者だって魔物の肉を食べて経験値が稼げるんだし。


(まあ、戦場や『迷宮』での葬送としては一般的な方法の一つじゃのう。『迷宮』外であっても、死亡直後に焼却すれば、肉体が無くなり魔力や生命力も肉体を離れて散る故、アンデッドの基となる『汚れた霊気』も発生しにくいのじゃ)


 ああ、そっか、アンデッド化とか魔物の強化になる事なんかも考えておかなきゃダメなんだ。ん、あれ、なんか嫌な予感が……


(他には、どんな葬送方法があるんだ)


(火葬の他には土葬や水葬等が一般的じゃな、地に埋めたり水に沈めることで、死体から立ち上る『汚れた霊気』が地脈や水脈に流され、分散しながら浄化されてゆく故に一ヶ所に留まらずアンデッド化しにくくなるのじゃ。他には浄化魔法などを死体に掛ける事で済ます場合もあるのう)


 うん、これは、色々と不味いかも。


(俺が、この『迷宮』の外で殺した連中がゾンビになって待ち構えている可能性が有るんじゃないか)


 敵とはいえ薬を使って動きを止めて、一か所に集めたうえで命乞いしてるのに止めを刺して回って、死体をそのまま放置してきたんじゃ、アンデッド化の条件がバッチリそろってるよね。


(それは大丈夫じゃろう。お主は『ゴブリンズソード』で止めを刺していたじゃろう。あの剣には『浄化』の効果が付与されておるからのう。あの剣で倒された者がアンデッド化するのは難しかろう)


 それなら大丈夫って事か、多分今のメンバーじゃ負けることは無いんだろうけどさ、『迷宮』から出て緊張が途切れたところでアンデッドに襲われるとかだと、対応しきれずに被害が出るとかありそうだから。


(まさかとは思うが、アンデッド化を期待していた訳ではあるまいの)


 いや、何を言ってるんだこの首飾りは、何が楽しくてわざわざゾンビなんて出さなきゃならないんだよ。


(いやのう、以前の『勇者』の中には、盗賊を倒して経験値を得て、その後アンデッド化したのを倒して更に経験値が得られるので、『一粒で二度おいしい』と、あえて惨い殺し方をした者が居てのう。すぐに神殿が中止させたがのう、万が一にもアンデッドを取り逃がせば、その周辺地域の治安にとっては深刻な脅威となりかねんからのう)


 いやな考え方だな、まあ異世界トリップのネット小説なんかじゃたまにあるような気もするけど。ゲームと異世界の区別がつかないで、敵や異世界人をモブやNPCみたいな感覚で見てるような言動は。


 多分その『勇者』もそんな感覚なんだろうな。俺も気を付けないとダメだろうな、そんな事に成ったら多分どこかで判断を間違えてしまいそうだし。


「御主人様、どうかされましたか」


「いや、なんでもない、少し考え事をしてただけだ、それじゃあ出発するか」


 とりあえずは、みんなときちんと今まで通り付き合って行けるように頑張っていかないとね。


 俺の事を話したせいで、もしかするとみんなの態度なんかが変化して来るかもしれないけど、それでもそれを受け入れてみんなと頑張って行こう。

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