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経済の話

TVタックルで提案されていた経済対策を“通貨循環モデル”で説明してみる

 テレビ朝日系列で、月曜の21時から放送されている「ビートたけしのTVタックル」というテレビ番組があります。

 これは政治経済の討論番組で、有益な情報を得る事ができる場合もあるので、僕は早く帰って来れた日にはできる限り観ているのですが、ある日、その中で二つの経済政策が提案されていました。

 それは、元官僚(国の体制に反発をして民間人となった)の古賀茂明さんと、(経済)評論家の三橋貴明さんというお二方からそれぞれ提案されたものでした。が、その説明を聞いている他の出演者達は、「理解できない」といった顔をしているように僕には思えました。

 もちろんそれは、飽くまで印象に過ぎません。ただ、どうしてその方法で経済が活性できると考えられるのか、そのお二方は充分に説明していなかったようにも思うのです。これでは、視聴者にもその意味が充分に伝わっていないのじゃないでしょうか。

 一般の人達が経済問題に対して無関心である原因には、こういった点もあるのでしょう。つまり、詳しい人とそうでない人の間に、大きな溝ができてしまっている。そして、詳しい人はあまりそれを分かり易く説明しようとはしない(三橋さんに関しては、本を出してそれをやっているようですが、その内容には賛否両論あります)。

 そこで僕は、今回、自分が提案している“通貨循環モデル”というものを使って、それを説明してみてみる事にしたのです。


 まず、断っておきますが、僕はお二方が経済対策を述べた時のTVタックルを録画していません。その為、記憶に頼って書く事になります。なので、実際に放送で説明された内容と、多少の差異がある可能性もありますので、その点はご了承ください。


 TVタックルの中で、経済対策の提案を求められたお二方は、それぞれこのように説明しました。

 古賀茂明さんは、

 「規制緩和により、民間の投資を促進し、再生可能エネルギーなどの新分野の成長を促す」

 これに対し三橋貴明さんは、

 「公共事業を行い、経済を刺激する」

 もちろん、二人とも経済成長をする為の方法を述べています。手段や発想は大きく異なりますが、二つとも同じものを目指している点は変わりありません。

 さて。

 お二人の方法でどうして、経済成長できるのか、その理由が分かりますか? なんとなくなら、ある程度はイメージできるかもしれませんが、この時点で明確にイメージできる人は凄いと思います。経済成長とは何であるかを理解していなければ、無理だからですね。

 なので、もしかしたら、分かっている人もいるかもしれませんが、まずはその“経済成長”とは何であるのかといった点から説明してみたいと思います。数字を出して難しく説明しても頭が混乱するだけでしょうから、とても簡単に説明します。


 労働者が、何かしら生産物を生産しているとしましょう。ここに生産効率の上昇が起こったとします。例えばハイテクの工場が建設されるなどといった事ですね。

 すると、労働力が余ってしまいます。この余った労働力を放っておけば、失業者となって不景気の原因となります。が、この余った労働力を用いて、何かしら新たに生産物を生産し始めたなら(もちろん、それを誰かが買わないと駄目ですが)、当然の事ながら、総生産量が増大します。ここで通貨の循環を考えると、循環量が増えています。これが経済成長です。

 早い話が、労働力が余っているのなら、その労働力を利用して何かを作れば、経済は成長するっていうことです。

 さて、この考えを、先のお二人の経済対策に当て嵌めてみましょうか。

 古賀茂明さんの提案は

 「規制緩和により、民間の投資を促進し、再生可能エネルギーなどの新分野の成長を促す」

 でした。

 これは、つまりは、余っている労働力を用いて太陽電池、風力発電などを造ろう、という事です。日本は規制により、こういった分野が成長し難くなっているので、その規制を緩和しなければならない、と主張しているのですね(因みに、官僚の利権維持の為に、規制は緩和されていないと言われています)。

 理に適った主張だと思います。

 次に三橋貴明さんの提案は、

 「公共事業を行い、経済を刺激する」

 でした。

 これは、余っている労働力を用いて、道路や橋などを造ろう、という事です。ただし、造るのは民間ではなく国です。借金に頼る事になるだろう点もほぼ確かでしょう。

 この方法は、二つとも“労働力を使う”という点では同じです(まぁ、そもそも、それが経済成長なので当たり前ですが)。ただし、“つくるもの”と“手段”が違います。そして、そうなれば、メリットとデメリットに違いが出てくるのです。それを説明しましょう。


 まず、古賀さんの主張から考えましょうか。

 古賀さんの主張は、規制が緩和されれば新分野に進出する企業があるだろう点から、ある程度は確実に効果があるでしょう(これはメリットです)。ですが、民間の自発的な行動に左右されるので、それで充分な効果が得られるかどうかは未知数ですし、投資が失敗する可能性もあります(デメリットですね)。

 また、造るものが、太陽電池や風力発電、地熱発電などの再生可能エネルギーである点も注目に値します。

 これら再生可能エネルギーには、維持費が安価という特性があります。そして、今後、長期的視野に立てば、資源エネルギーの枯渇や労働力不足、または円安などによって、電力コストが上昇する事はほぼ確実だと予想できるでしょう。

 今のうちに造っておけば、将来、電力コストが上がった時の利回りが大変に良くなります。

 (何故か、再生可能エネルギーのコスト計算には、物価変動が考慮されていないケースが多いので注意してください。更に太陽電池の場合は、国が発表している数字には土地代が含まれていて、実際のコストよりも高くなっています。

 因みに、今のように物価が安い時期に設備投資をするというのは、経営ならば常識です)

 つまり、今の内にできるだけ再生可能エネルギーの為の設備を造っておけば、電力コストが高くなった時に、非常に助かるのです。もちろん、少子化で苦しむだろう今後の日本を大きく助けてくれるでしょう。

 更に追記すると、再生可能エネルギーの普及によって、エネルギー自給率が上昇すれば、原油や天然ガス、ウランといった資源エネルギーの外国からの輸入が減ります。その減った分は、そのまま日本の利益となります。

 簡単に言うと、外国からエネルギーを買って外に出て行っていたお金が、国内に回り、節約できるって事ですね。

 仮に経済成長に成功し、人件費が上がった場合、日本は国際競争力を下げる訳ですが、その節約で得られた利益でコストが浮くのなら、その分である程度は穴埋めができ、競争力維持に貢献できます(もちろん、その為の法整備は必要になってくるでしょうが)。


 次に三橋さんの主張を考えてみましょう。

 三橋さんの方法の場合、国が行う公共事業によって、労働力を使う訳ですから、確実に効果を得られます(これはメリットです)。しかし、公共事業とは、言わば国による投資であるため、失敗する可能性もあります。その場合その失敗は、日本国民全体の負担によって補われます。そして、今までの国が行った投資の実績は悲惨なもので、近年は成功したケースを探す方が難しいほどです。だからこそ、日本は今、こんな状態になっているのですがね(これはデメリットです)。

 国はこれまで、“誰も使わない道路”や、“船のない港”、“使う用途のない建物”などの無駄なものを造って来たのです。

 公共事業に期待する効果は、需要を刺激する事ですが、単にお金をばら撒くだけでは、需要が喚起できない事は、既に歴史が証明しているのですね。新分野を開拓をしなければ、意味がありません。

 まとめると、三橋さんの提案した方法は、短期間では確実に効果がありますが、長期間ではかなり不安がある、という事になります。

 国が公共事業に失敗をし続ければ、経済成長を伴わない物価上昇が起こり、実質的に国民の資産は減ってしまいます(因みに、物価上昇が起これば、国の借金は実質的に減ります。ただし、国の金利が急激に上がれば、その限りではありません)。

 これは、増税によって徴収したお金で、無駄な公共事業を行うのととてもよく似ています。

 もっと簡単に言うと、あなたのお金を勝手に国が使って、まったく欲しくもないものを造る、という事です。もちろん、金持ちであればあるほど損をします。

 三橋さんは、この状態を何故か問題視していないようですが、普通に考えて国民の資産が減るのだから、大問題なはずです。更に、金融経済の混乱を呼び、日本どころか世界中に迷惑をかける危険性すらあります。

 また、人件費の問題もあります。

 仮に成功して、労働賃金が上がったとしましょう。再生可能エネルギーの場合は、輸入が減ることで、節約できるお金が出てきますが、(今までと同じ)公共事業の場合はそれがありません。人件費の上昇を他の何かで補えなければ、当然、日本は国際競争力を下げるでしょう。

 つまり、国外との競争で不利になり、また景気の悪化を招く恐れがあるのです。

 更に維持費の問題もあります。

 先にも述べましたが、将来的には少子化による労働力不足が起こるだろうと考えられるので、維持費、または廃棄にコストがかかる製造物を生産するのは利口ではありません。

 維持や廃棄の為の労働力を確保できず、廃墟と化した危険地帯を各地に発生させてしまう恐れがあります。

 因みに、同様の理由で原子力発電所は、不適切です。核廃棄処理にコストがかかり過ぎるので、労働力を確保し難いからですね。

 つまり、このまま原子力発電所を稼働させ続けると、労働力不足の時代に、何も生産しない核廃棄処理に労働力を割かなければらない、ということです。正直、将来が今から不安です。高レベル放射能が、野放しなんて事態も考えられます(そもそも、廃棄の為の、候補地すら見つかっていないのですが)。海外に核廃棄物を引き受けてもらう場合は、そこでまた貿易赤字が増えますしね。

 正直、三橋さんの提案は、短期的な効果が確実である点以外は、僕にはメリットが見えません。

 もっとも、国に新分野を開拓する適切な公共事業を行う事ができさえすれば、期待できるのでしょうが……。


 さて。

 それぞれの提案内容を説明しました。

 今(2013年2月8日現在)、アベノミクスと呼ばれる自民党の経済政策が実行されようとしています。

 これが、今回の古賀さんの提案と、三橋さんの提案、どちらをやろうとしているものか分かりますか?

 ま、実は両方ともやろうとしているのですが(もちろん、それだけじゃありません)。

 ただし、三橋さんが提案した方法が、今のところメインである点は否めません。それどころか、古賀さんが提案した方法… 規制緩和は充分になされないのではないか、という懸念すらあるのです。

 このアベノミクス。ネットを見てみると、賛否両論あって、中には全否定しているような人もいますが、僕は上手くいくかどうかは賭けであると考えています。

 恐らく、理想的な流れは、物価上昇を警戒して、人々が消費意欲を高め、それが実質的な経済成長に結びつく、というものでしょう。

 ただし、今という時代が、消費需要が飽和状態ならば、この期待はあまりできません。先にも説明しましたが、新分野を開拓しない公共事業では、やはり消費需要を喚起できず、失敗する可能性が濃厚です。

 ですが、もちろん、失敗は回避しなくてはならない。

 アベノミクスに賛成しようが反対しようが、実行されてしまうのが確実ならば、それに乗っかるしか手はないでしょう。ならば、なんとか努力して成功に導かなければならない。その為には、もちろん、新分野の開拓を促す以外ありません。

 そして、個人で貢献できる新分野の開拓といったら、太陽電池しかないようにも思うのです。だから買える立場にいる人は、物価上昇する前に、買っておくべきだと僕は提案したいのですが。

 今後、電力会社の問題などで、アベノミクスが成功しても失敗しても、物価上昇、電力料金が上昇する可能性が大きいです。これを考えるのなら、物価が安い内に太陽電池を買っておけば、利回りが良くなると予想できるので、消費者自身にとってもメリットがあります(もっとも、今までもアベノミクスと似たような事を行い、それでも物価が上昇しなかったという実績があるので、やはり物価下落傾向が続く可能性がある点はご了承ください。日銀が明確に、物価上昇を目標とした点は違いますが。

 また、太陽電池は販売店によって、価格が大きく異なるようなので、慎重に考えることをお勧めします)。

 多くの人が、太陽電池を買えば、それにより経済成長が起こり、アベノミクスは成功するでしょう。


 最後に、いつも書いているこの提案を。

 僕は国が特別料金(税金でも良い)を徴収し、太陽電池等を買うべきだと考えています。ただし、最初の一回だけは、通貨増刷によりその料金を賄います。通貨需要が増えた分だけ、通貨供給を行うので、これなら悪性のインフレに陥る可能性は低くなります。経済成長を伴う、健全なインフレが起こるはずです。

 労働力を国内でほとんど賄う前提ですが、その通貨は国民の間を巡り、支出と同時に収入も増える、という事が起こるのですね。

 つまり、“通貨の循環”が増え、その分、経済成長が起こります。

 労働需要が増えるので、労働賃金も上昇する事になります。

 これなら、ほぼ確実に経済成長を起こせます。

 以前に、太陽電池を買うのは、2、3年後くらいが狙い目じゃないか?とか書きましたが、状況が変化しましたんで、修正します。

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― 新着の感想 ―
[一言] 太陽電池、買います。 日本という国があと何年持つか分からないのですが、家庭の事情で日本がまだ数十年は持つ方にかけざるを得ないようなので…。 東電の電気をできるだけ買いたくないというのが大きい…
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