背中
「ありがとう」
父の背中を見て思う
示してくれた正しさに
正してくれた間違いに
気付いてくれた、悲しさに
「ありがとう」
父の背中を見て思う
すべてを教えてくれた、あなたに今は
私がものを教えてる
嬉しいけれど、ほんのすこしだけ悲しいな
育ててくれて
「ありがとう」
父の背中を見て思い
小さくなってくその背中、私は小さく呟いた
◇ ◇ ◇
翌日
「お前、体悪いのか?」
「へ、何で?」
「だってよ、お前が突然感謝するなんて、何かあったとしか考えら──」
「うわぁぁぁぁあああ!!」
私は駆けた、父に二度と見つからない場所を求めて
さすがに、今すぐにとは行かないけれど、いつかその背中に、こんな言葉を投げかけたくて