スニーカー
「私たちは、もう行かなくちゃ」
彼女は地面を見つめながらつぶやいた。
目の前に光っている彼女の分身は、先ほどまでとは打って変わって微動だにせず静かにたたずんでいる。
「悩んでたんじゃなかったの......」
そういってもどうしようもならないことぐらいわかっていた。
でも、その行動が空を切るとしても、あきらめたくなかった。
「それとこれとは別なんだ。時期は決まっていた。そうなる運命だった」
振り返りながらはっきりという彼女には、もう初めて会った頃の面影は残されていなかった。
「そっか......」
ここであきらめるの? 頭の中で問う声が響く。違うよ。あきらめてなんかないよ。ただ、何をしたらいいのかわかんない。どうしたらいいのか。私に何ができるのか......。
「あのね。楽しかったよ。この数年間。ほんとに、夢みたいだった」
そんなこと言わないでよ。私のことなんて無視して、颯爽と姿を消してよ。
そうしてくれないと、私、どうしたらいいのかわかんなくなるよ......。
「生きててよかったって、思えたの。ほんとだよ?」
地面を見つめた。徐々に風が強くなっているのを肌で感じた。
「ずるい」
「はは.....。そうだよね。私って、ずるいんだー。ま、だからこそ返されるんだけど。ごめんね」
白く、ほとんど汚れていないスニーカーの先が視界に入った。砂を踏みしめる音。服がこすれる音。
やめてよ。思い出しちゃうじゃん。
「長引かせられないんだ。じゃあ、いくね」
瞬きをしたらスニーカーはもうなかった。
「待って」
いない。
さっきまでいたはずの彼女の偽物も、本体も、いなくなっていた。
心がきゅっとした。言葉にして、解放されたい。でも、代弁してくれる言葉はこの世界には存在しない。
いなくなっちゃったんだなー。最後は、顔を見てお別れしたかった......な。
「私のスニーカーも、選んでよ」
結のみ。自分自身をAIだと思い込むことによって内容のない文章が生成されました。




