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君がいてよかった  作者: 龍田まや


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ナオの提案

「いらっしゃいませー」

「ホラあそこ。ホントにいた」

「(また来たのか?)」

「あのー、すいません。Base Areaの松本くんですよね?サインお願いしていいですか?」

「あ、ごめんなさい。僕まだサインとかなくて…」

「それなら一緒に写真撮ってもらっていいですか?」

「それなら大丈夫です」

「やったー!ありがとうございます」

彼女たちは僕と写真を撮り、飲み物を買って店を出ていった。

「ありがとうございましたー」

北島さんはお客さんを見送ったあとに半笑いで僕の顔を見た。


「まーた君目当てのお客さん来たね」

「すいません、北島さん」

「まぁ、店の売り上げに貢献してるから文句は言わないけどね」

「ハハハ…」


先日のイベントの動画が拡散されてBase Areaの名が少しは広まったようだ。

その影響もあるのか、その後に行ったホームでもあるZONEでのライブも盛況で、新メンバーとして加入した僕の顔と名前も知られるようになった。

バイト先にもさっきのようなファンがたまにやってきてサインや握手を求めてきたりする。

浮かれているわけではないが、ちょっとした有名人になったみたいで困惑している。


「バンドマンはモテるって言うけど、君みたいな子でも人気出るんだね」

これは皮肉ではなく、本当に見た目は普通で、どこにでもいるような存在だから、悪気はなく言ったのは理解している。

見た目に関しては北島さんのほうが良いくらいだし。

「ホント、何で僕がこんなに騒がれるのか。ウチのギターやボーカルに比べたら全然大したことないです」

ベースとドラムスには勝ってると聞こえそうな言い方だが、決してそうではないことだけ付け加えておく。

「こんだけモテるってことは彼女いるんでしょ?」

「いやいや、そんなのいないですって!」

「こないだここに来た子は彼女じゃないの?」

久保のことを言ってるようだが、残念ながらまだそこまでの関係性ではない。

「彼女はその…友達です」

「そうなんだ。仲良さそうにしてたからてっきりそうだと思ってた」

「そんなふうに見えましたか?」

「君がだいぶ必死なのは伝わった(笑)」

バレバレかよ…(笑)

「さぁ、さっさと仕事してよ。君の自慢話はもうたくさんだから」

「わっかりました」


久保とは良い関係性を続けている。

バンドもライブを重ねて自分の立ち位置的なものも掴み始めている。

とっても充実した日々だ。

浅倉はイベントの動画を観て以降、創作モードに入っており、数曲の自信作を完成させてるそうだ。

近いうちに彼女の自宅に行って聴かせてもらう予定になっている。

自宅に呼んでくれること自体が数ヶ月前には考えられなかったことで、彼女自身が人見知りが激しいこともあり、知り合ってそこそこ時間が経つ僕でさえ仲良くしていると自信を持って言えない関係性だけに、この進歩は目を見張るものだ。

そういや、この間見舞いに行ったときは部屋に何もなかったのだが、別室で作業してるのだろうか?

大きな家だったもんな。

それも含めて行くのが楽しみだ。


「それじゃお先に失礼します」

「はい、お疲れさま」


このあと、ナオさん宅に集まってバンド練習がある。

ここんところかなりの頻度で練習を行っている。

ウツさんいわく、今バンドとして一つにまとまりつつあるので、とにかく練習練習また練習をして、四六時中バンドのことを考える体作りをしたいらしい。

言ってる意味はよく解らないが、言わんとしてることは何となく伝わる。

経験の少ない僕にとっては1人で練習するより、バンドで集まって練習する時間が何よりも貴重なのだ。


「みんな集まったね。それじゃセトリのメモ書き渡すからそれを通しでやっていこうか」


メモ書きには10曲並んでおり、それをノンストップで本番さながら演奏する。

誰かがミスをしても途中で止めてやり直しはしない。

楽器陣も大変だが、もっとも大変なのはボーカルだ。

何せ10曲を休憩なしでぶっ通しで歌うのだから、喉への負担はかなりのものだし、通常のライブでも3曲続けてやるのが関の山だ。

間奏中に水分補給などは出来るが、それでも相当キツイと思う。

練習でこれだけキツイことをやれれぱ本番を余裕で乗り切れるからという理由でやってるのだが、ちょっとスパルタ過ぎる。 

おっと、とにかく今は自分のことに集中せねば。

3曲目くらいでウツさんの声が若干上ずり始めた。

しかし、そこは技術と経験でカバーしている。さすが百戦錬磨のボーカリストだ。

ギターソロの直前に1弦が切れた。

しかし、アドリブでいつもとは違うソロを弾いた。これも咄嗟の判断が素晴らしい。

ライブにはこういった想定外のハプニングやトラブルが付きものだが、想定外も経験しておけば想定内になる。

経験しておけば慌てることも少ない。

何とか10曲を演奏しきった。


「ふぅ、さすがに10曲連続はキツイよね」

「誰だよ、こんなムチャやろうって言い出したのは?」

「誰だ誰だ?」

「オマエだよ(笑)」

「手が痙攣してきたよ」

「俺も指が動かねぇわ」

「鍵盤はところどころ休ませてもらいました」

「ずっりー!パート交換しようぜ」

「僕ギターは弾けないですし」

「ベースやドラムでもいいのよ」

「歌代わってよ」

「みなさん落ち着いてください(笑)」

「冗談はさておき、みんなに相談があるんだけど。相談というかお願いなんだけどさ」

「何?改まって」

「コンテスト受けてみないか?」

「コンテスト?!」
















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