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君がいてよかった  作者: 龍田まや


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3人での打ち上げ

イベントでのライブが終わり、お世話になったスタッフさんたちへの挨拶も済ませて、僕は浅倉の見舞いに行くことにした。

メンバーから軽く打ち上げやるからと誘われたが、急用が出来たと断りを入れた。

事情を察した久保も一緒についてきてくれると申し出てくれた。

僕たちは青果店でフルーツ盛り合わせを買って、浅倉の自宅に向かった。


「ここだな、浅倉の家は。結構大きいな」

浅倉は一度引っ越しをして、再びこの街に戻ってきたが、引っ越しする前の家は知らない。

なので、比べる対象がないのだが、初めて見るお宅でも大きいという感想が最初に出た。

「私、こんな大きな家入ったことないよ」

「右に同じ。とにかくインターホン鳴らそう」


♪ピンポ~ン


「はい、浅倉です」 

「あの、えっと、僕は加里さんの高校の同級生の松本と申します。お見舞いに来たんですけど、よろしかったでしょうか?」

「加里ちゃんのお友達?少々お待ちになってね」

すると白髪のお婆さんが出てきた。

お婆さんと言っても見た目はキレイにしてて、いいところのお祖母様って感じだ。

「ようこそいらっしゃいませ。わざわざすいませんね」

「こちらこそ突然押しかけてすいません。浅倉、いや、加里ちゃんの容体はどうですか?」

「そんなに大したことないですよ。今は部屋でゆっくりしてると思います。さぁ、入ってください」

「お邪魔します」


中に入ると2階へ案内してくれた。

「加里ちゃん、お友達来てくれたわよ」

「浅倉!お見舞いに来たよ」

「私も来たよ」

その間、数秒ほど間が空いた。

「は、入って」

そう言われてドアを開けた。

彼女は上半身を起こしてベッドの中にいた。

「よっ!体調は良くなった?」

「だいぶマシになったかな」

「顔色も良さそうだね」

「どうして…来てくれたの?」

「そりゃ友達だし」

「ライブ後に打ち上げとかあったんじゃないの?」

「あったけど、これから何度もライブすることになれば打ち上げなんて何度でもすることになるから」

「何ならここで3人で打ち上げしよっか?」

「私はライブ観てないし…」

「大丈夫。ここにダイハードなバンギャがいるから、観てきたこと全て伝えることができるし」

「擬音多めだけどいいかな?(笑)」

「ありがとう。でも雑音は少なめでお願い」

身体が弱っててもツッコミは忘れてないいつもの浅倉だ。

久保は浅倉のツッコミは何のそのって感じで今日のライブの模様をライブ配信さながらの実況をしてみせた。

僕は演奏に手一杯だったので、客席からどのように見られていたのか非常に気になっていたが、久保の実況はその場の空気を思い出させてくれるくらい鮮明だった。

このようなファンがいるとありがたい。


「それじゃ、ライブは成功したってことだね」

「新曲も非常に盛り上がってたと思うよ」

「ライブ向けで良かったよ」

「今後の予定は決まってるの?」

「いや、具体的なことはまだ。多分今日の打ち上げで話してるのかも。あとから聞くけどさ」

「次こそは体調整えて観に行くから」

「うん、待ってるよ」

「私も最前列の隣を確保しておくから」

浅倉はニコッと笑った。

最初の頃に比べると随分表情が柔らかくなったと思う。

「あ、これお見舞いのフルーツ。よかったら食べて」

「私リンゴが食べたい」

「それじゃ包丁借りてくるから。私が皮剥いてあげる」

久保は部屋を出てお婆さんに包丁を借りに行った。

そして部屋には僕と浅倉の2人っきりになった。


「わざわざ来てくれなくてもよかったのに」

「そんなわけにはいかないでしょ」

「でも…ありがとう」

「そんなこといいって」

「体調良くなったら新曲作らなきゃだね」

「しばらくはナオさんの新曲もあるし、そんなすぐにアルバム作りに入ることないと思うよ。ゆっくりで大丈夫」

「いいの、私が好きでやりたいことだから」 

「そっか。ストック作ってあるほうが、いざという時に慌てなくて済むからね」

「やっぱりライブ観たかったな…」 

「お待たせ。包丁借りてきたよ」

「僕も他のフルーツ食べたくなってきた」

「切るのは任せといて」

久保は手際よく皮を剥いて適度な大きさにカットした。

うん、甘くて美味しい。


「ん?何してんの?」

フルーツをカットし終えて久保はスマホを取り出し、何やら検索していた。

「今日のライブがさ、誰か動画に撮って上げてないかな〜?と思って探してるの」

「ファン以外でそんな人いるかな?」 

「こういうのは逆にファン以外が上げたりしてるのよ」

「そんなもんなの?」 

「そんなもんなの。ウ~ン、なかなか見つからないな。検索ワード変えてみるか」

探すこと10数分。

僕と浅倉はカットされたフルーツを食べ続けていたその時。

「あった!見つかった!これこれ!」

するとスマホの音量を最大にして浅倉に手渡した。

「あっ…。ホントだ。みんな映ってる」

「ホントだ。よく見つけたな」

「Baseballで検索したら引っかかった」

「Baseしか合致してないやんw」

浅倉からのツッコミはなく、彼女は嬉々としてその動画を観ていた。

良かったな、浅倉。

彼女がその動画を保存したのは言うまでもない。






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