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君がいてよかった  作者: 龍田まや


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バイト初日

今日はバイト初日。

しばらくは平日の学校終わりの夕方から3時間ほどの勤務にしてもらった。

店長以外の人とはまだ顔を合わせてないので若干緊張している。

まあ、なるようになれだ。


「お疲れ様でーす」

「おっ、今日からだね。制服用意してあるから早速裏で着替えてきてよ。ロッカーに名札貼ってあるから」


言われるがままに裏に行ったら、他の店員さんが着替えていた。

見た感じ大学生くらいか?

随分背が高いな。


「お疲れ様です。今日からお世話になります松本です。よろしくお願いします」

「俺、北島。先に行くね」


そう言うと彼は着替えてさっさと行ってしまった。

あれ?もしかして今忙しいのか?

まあいいや。着替えよう。


「着替えてきましたー。って店長いない!」

店内見回してもどこにもいない。

どこか出かけたのか?


「あのー、北島さん。店長はどこかに行かれたんですか?」

「店長ならもう帰ったけど」

「え?」

「今、店には俺と君しかいないから」

「え?(いきなり放置プレイ?)」

「とりあえず品出ししてもらおうかな」

「あ、はい。やります」


てっきり店長から手取り足取り仕事を教えてもらえるもんだと思ってたら、すでに帰ってるとは。

親にもバイトすることは伝えているが、初日は仕事の説明だけで実際に作業するのは2回目からだよ、と聞いてて、ああそうなんだとバイト経験ない僕はそれを信じていたのだが、初日から飛ばす飛ばす。

北島さんはあまり具体的な説明がなく、あれやってこれやってしか言わないから、頭で考えずに体を動かして覚えるストロングスタイルなのか?

慣れないことばかりだから疲れるし、夕方だと学校帰りの学生がけっこう来るな。

北島さんはレジで忙しいし、とにかく今は言われたことを黙々とやるだけ。


そして、客の流れが一段落した頃、店内には僕と北島さんだけになった。

ここでようやく北島さんから仕事のこと以外で声を掛けてもらえた。


「松本くんはバイト経験あるの?」

「いえ、ここが初めてのバイトです」

「お小遣い稼ぎでバイト始めたの?」

「まぁ、そんなところです。大きな買い物したから金欠で」

「何買ったの?」

「楽器です。バンドやってるもんで」

「へぇ~、そんな風に見えないね」

「始めたばかりなんで」

「そりゃ金かかる趣味だわ」

「北島さんはこのバイト長いんですか?」

「俺は1年くらいかな?まだまだペーペーだよ」

「でも、1人で店回してるしスゴイです」

「職歴だけはあるからね」

「え?そんなにバイト経験してるんですか?」

「いくつだろうねぇ?大学卒業して就職して、そこを1年足らずで辞めてからバイトを転々としてる」

「失礼ですけどお幾つですか?」

「俺?今年で35歳」

「え?(そんなに歳いってたのか)」

「35にもなってフリーターかよって思うよね。未だにやりたいことが見つからないんだよね」


やりたいことが見つからないから収入が不安定なことを承知でフリーターをやっているのだろうか?

なぜ、最初からやりたいことをやらないのだろうか?

やりたいことなど、そう簡単に見つからないものだろうか?

僕のやりたいことって何だ?

バンドなのか?

そのバンドで将来のことまで考えているのか?

いろんな疑念が頭の中を駆け巡った。


「まぁ、生きてりゃそのうち何とかなるだろうって思ってるから」 


そういう考えに行き着いたのか。

こういう大人にはなりたくないと僕は思った。

でも、バイトをしていく中では彼は先輩にあたるから、そこはしっかりとわきまえて一緒に頑張っていこうと思った。

悪い人ではなさそうだし、その考え自体は否定しない。

上手く人間関係を構築して、お金を稼ぐ。

それに特化しよう。


「しばらくは俺が教育係になってと店長からも言われたからさ、少しずつやれること増やしていこう」

「はい、よろしくお願いします」

「奥で休憩してきてよ。その間は俺が見てるからさ」


そう言うと彼は缶コーヒーを一本手渡してくれた。

僕はお言葉に甘えて休憩に入った。

缶コーヒーはブラックだった。

苦くて飲めねぇ。


休憩を終えると北島さんから手招きされた。

何かミスったのだろうか?

まったく心当たりないのだが。


「あそこで立ち読みしてる女の人、めっちゃ美人じゃない?」


そう言われて視線をそこに向けると確かに美人がいる。

どこかで見たことある顔だが。

数ヶ月前に見たんだけど誰だっけな?

チラチラこっち見てる気もするが。

ん…?って浅倉!?

浅倉だ!

初めて会った時の浅倉だ。

黒髪のロングヘア。

今の丸眼鏡姿に見慣れててすっかり忘れてたが、最初に会った時の浅倉は美人さんだった。

あのときの姿で現れた。

変装?ってことでもないのだろうが、何故いつもと違うスタイルで来たの?

ひょっとしてお忍びで来たのか?

あ、立ち読み止めた。

え?え?そのままこっちに…来ない。

帰って行った。

何?冷やかしなの?


「立ち読みだけかな?」

「どうやらそうみたいですね」


せっかく来たんだから何か買ってくか、声くらい掛けてくれればいいのに。

ここでも人見知り発動かよ。














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