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君がいてよかった  作者: どらさん


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23/25

イマドキ女子

朝から妙にソワソワしている。


昨日作詞について悩んでると久保に打ち明けたところ、アドバイスやトンデモ歌詞のアイデアまでもらい、そのまま既読スルーして眠りについたが、そこからさらに続きがあって、学校終わってから家に来て手伝ってくれるとのこと。


久保が家に来る?!


夢じゃないかとスマホの画面を2度見3度見した。

そして見られたらマズいものを一旦押し入れにしまい込んで学校に来た。


いつか自宅に呼べたらいいなぁと思ってはいたが、こんなに早くそういうことになるとは。

今日はとてもじゃないがマトモに授業など受けてらんない。


そして放課後。

教室を出ると久保が待っていた。


「お疲れ、それじゃ行こっか」

イマドキの女子はこんなに積極的なのか?


僕の家は両親が共働きで、母親が帰ってくるのは18時過ぎだ。

別にやましいことはしないので親に見られても構わないのだが、冷やかしが入ると面倒なので、久保と一緒にいれる時間は18時まで。

それまでに帰ってもらおう。

本音はもっと長居してもらいたいのだが、父親にまで見られるとさらに厄介なことになるから、今日のところは、ということで。


「さぁ、着きましたよ」

「このマンションなんだ」


誰もいないことを確認して玄関をそーっと開ける。

よし、いない!


「それじゃ上がってよ」

「おじゃましまーす」


「へぇ~、結構キレイにしてるね」

「そりゃ几帳面ですから」

「あっ、キーボードある!なんか弾いてよ」

「それじゃあ、ちょこっとだけ」


このキーボードも最近購入したもので、いつまでもエレクトーンではマズいだろうと思い、思い切って買った。

貯めていたお年玉を全て叩いてしまった。

これのおかげで今、久保と仲良くなれてるきっかけにもなったのだから安いと考えるべきだろう。


「まぁ、こんな感じ」

「本物みたいだね」

「一応本物ですから」

「そうでした(笑)」

「新曲はまだ聴かせられないからゴメンね」

「いいよ、ライブで聴くの楽しみに待ってるから」


そう、新曲に関しては完成してないこともあるが、外部に漏らしてはならないと口を酸っぱくして言われている。

アマチュアなのにそこまでやるんだ?と思ったが、プロを目指してるからこその厳しさなんだと思い直した。


「それじゃ、作詞ノートみたいなやつ?ある?見せてよ」

「え?いきなり?」

「そう、いきなり」

「それじゃあ、はい」

「何これ真っ白じゃん」

「心のキレイな人には見えるんだよ」

「いやいや、そんなのいらないです」

「すいません、書けてません!」

「それじゃあ、スキスキ光線サラサラ〜っと」

「いや、それは却下だから」

「スキスキ光線ダメなの?」

「光線もビームもレーザーもダメ」


とまあ、ひとしきり遊んだので本格的に取り組むことにした。


「メールでも話したけどラブソングは?」

「いや、そんな経験ないから書けないよ」

「別に経験なくても書けなくない?」

「例えばどういうの?」

「好きだけど叶わなかった恋とか」

「うーん、小学生の頃ならそういうのもあったかも」

「今は誰か好きな人とかいないの?」

「えっ?…今?」

「今イマNOW」

「黙秘権使います」

「いるってことね(笑)」

「何故にそうなる?(笑)」

「まぁ、それについては深く聞くのはやめるね」

「そっちはどうなのさ?ナオさんのこと好きじゃないの?」

「好きというよりは憧れかな。Base Areaの曲の全てを作ってるし、ギターも上手いし、トークも面白いし。憧れの大人って感じ」


それを聞いて内心ホッとした。

てっきりナオさんに気があるのではと思っていたから。

でも、憧れから好きになるってこともあるから僕も頑張らないと。


せっかく作詞を手伝いに来てもらったのに全然関係ない話で盛り上がってる。

でも、好きな女の子と一緒にいるってこういうことなんだと、楽しんでいる自分がいる。

あー、もう作詞なんかどうでもよくなってきた。


♪ピンポ~ン


ん?誰か来た?

母親が帰ってきたのか?

でも、インターホン鳴らさないよな?

誰だろう。

ガチャッ


「あ…こんにちは」

「浅倉…?」


僕の目の前には浅倉がいた。

どうしてここに?


「作詞で悩んでそうだからアイデア持って来たんですけど」


確かにそうだけどこのタイミングでか?

でも、どうして僕の家分かったんだ?


「あ、自宅は山田先生に聞いて。で、近くまで用事があったからついでに」


なるほど、そういうことね。


「うん、ありがとう。今取り込んでるから明日また聞こうかな」

「忙しかったですか?」

「うん…ちょっとね」

「松本くーん、おトイレ借りるね」

「あ…」

「あれ?浅倉さん?浅倉さんだよね?同じクラスの」

「久保さん…」

「あれ?松本くんと浅倉さん知り合いなの?」

「うん、昔一緒のエレクトーン教室通ってて、高校で偶然再会したんだけど」

「へぇ~そうなんだ。浅倉さんも上がっていったら?」

「え、いや、私ちょっと寄っただけなので、あの、その…帰りますね」

「え?来たばっかなのに帰るの?」

「うん、それじゃ。松本くんまた今度」

「ああ、それじゃまた」


ガチャッ


やましいことなど何一つなかったのたが、浅倉は気を遣ってくれたのだろうか?













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