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君がいてよかった  作者: どらさん


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19/24

ヘヴィーメタルもなかなか良い

店長を追ってライブハウスVISIONにやってきた。

調べたところこのライブハウスは5年ほど前に出来たばかりらしい。

ライブ始まってるみたいだけど当日券で入れるのだろうか?


「すいません、当日券ってありますか?」

「はい、ありますよ」

「それじゃ、1枚」

「ありがとうございます」


中に入るとかなりの爆音が鳴り響いている。

November Rainはジャンルでいうとヘヴィーメタルでかなり激しめのバンドだ。

ヘヴィーメタルは時代遅れと言われているが、海外では人気のジャンルで、日本でも根強いファンがいることで知られている。

彼らのライブはかなり盛り上がってそうだ。


それにしても店長はどこだ?

結構人がいるから見つけるの無理かな?

せっかく来たからまずはライブ楽しむか。


ツインギターでドラムはツーバス。

ボーカリストはハイトーン。

典型的な80年代ヘヴィーメタルバンドのスタイル。

激しめのサウンドだが明確なメロディーがあってキャッチーだ。

演奏技術も高いように思える。

各自のソロも自分の魅せるポイントを分かってる感じがする。

彼らも何れはデビューするのだろうか?

そもそもデビューってどうやってするんだ?

スカウトか?コンテストか?

他に何があるんだろ?

どうでもいいこと考えてたらどうやら最後の曲らしい。


「それじゃ最後の曲です。“Paradise”」


サビの部分がファンとシンガロングできる曲で、初めて聴いた僕でも一緒に歌うことが出来た、

こういう曲はライブに必要だよなぁ。

盛り上がること必至だし。

ヘヴィーメタルもなかなか良いな。


客電が点いてファンが帰ろうとしたときに端の方にいた店長を見つけた。

早足で駆け寄った。


「店長!」

「松本くん、来てたの?奇遇だね」

「店長に会いに来たんですよ」

「ん?何か用事だった?」

「いや、ここに来たことで用はなくなったんですけどね」

「どういうこと?」

「近々ZONEで誰かライブやらないかなと思って店長に聞きに行ったんです」

「あ、ここでライブ観たから用済みだと」

「そういうことです(笑)」

「このバンド、君の目から見てどう?」

「魅せ方を分かってるバンドですよね」

「確かにそうだね。他には?」

「ヘヴィーメタルなのに曲はキャッチーだと思いました」

「そうだね。最近この手のジャンルはあまり見ないから逆に新鮮だよね」

「いろいろと刺激受けました。来てよかった」

「そりゃよかった。そういやBase Areaに加入したんだって?おめでとう」

「ありがとうございます」

「人気バンドだからこれから大変だよ」

「それは勿論理解してます。これから5人で新しいサウンド作っていきたいです」

「変化を好まないファンもいるから、その辺上手くやってかないとね」

「…頑張ります」


店長の言うことももっともだ。

インディーズとはいえ、それなりに固定ファンがいるバンドに加入したのだ。

しかも、つい最近までド素人同然のやつがキーボードプレイヤーとして。

これまでもキーボードが入ってる曲はあったが、パーマネントなメンバーが入ることで曲における役割も変わってくる。

これまでの路線に上手く溶け込むことが出来れば最良だが、現時点ではどうなるかまだ見えない。

今行われている曲作りによって今後の方向性が決まるかもしれない。

浅倉が空気読んでくれるかどうか…。


店長とはそのままライブハウスで別れた。

またZONEでライブしたいよね。

ん?ウツさんからメールきてた。

ライブ中だったから気付かなかった。


「こんばんは。新曲の曲作りだけど、余裕があれば1曲書いてくれない?アイデアだけでもいいと言ったけど、ナオが今取り掛かってる曲で手一杯らしいからちょっと厳しいんだよね。出来ればでいいけど、出来ると信じてるから」


それは大丈夫です。

アイデアだけではなく丸々1曲作って持ってくつもりですから。

にしても、ウツさんはやっぱり曲書かないんだな。


「お疲れ様です。曲の件了解しました。今あるアイデアをまとめてちゃんとした1曲に仕上げたいと思います」


これでよし。


ん?浅倉からもメールきてた。


「しばらく山に籠もります。探さないでください」


ん?どういうことだ?

浅倉も手一杯ってこと?

曲作りってそんなに難しいのかー。


翌日、学校にて。


あ、浅倉来てるし。

山籠りはどうした?

プチ家出で終わったのか?

あ、こっちに気付いた。

浅倉は周りを気にしながら廊下まで出てきた。


「山籠りはどうした?」

「下山してきました」

「何合目まで行った?」

「…七合目くらいかな」

「煮詰まってるとか?」

「いや、逆にアイデアが多すぎて」

「まとめるのに苦労してると?」

「まぁ、そんな感じですね」

「アイデア枯れたかと思った」

「豊作で腐るくらいですよ」

「腐らせたらダメでしょ」

「熟れてるギリギリのところが美味なんてすよ」

「心配して損したよ」


♪キーンコーンカーンコーン


「それじゃ引き続き頑張って」

「分かりました」


冗談言い合えるくらいだから大丈夫だろ。

出来上がるまで待つだけだ。
















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