表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
神として転生したけどなんか違う!  作者: ミスター栗
7/28

第七話

「方法が無い可能性もある」

――だなんて、少し感傷に浸って言ったけど。


実のところ、もう“あたり”はつけてある。


きっかけは、”SP(崇拝ポイント)”の存在だった。


最初は「スキルポイントじゃないんかいっ!」ってツッコんでたけど、その用途を見てゾクリとした。

スキルの取得、付与、外界への干渉、下賜、天啓――どれも「神」って存在じゃなきゃ関われないようなトンデモな代物ばかり。

それだけでも十分すぎるくらい凄いと思ったが、さらに衝撃だったのは、その獲得条件。


“崇拝されること”。


この言葉を見た時、なんていうか……脳の奥で、カチッと何かがハマった。


「ああ、そういうことか」って。


だって逆に考えてみれば、崇拝されなきゃSPは手に入らない。

SPがなけりゃ神らしいことは何一つできない。

で、そのSPは時間制限のあるこの状況で、唯一“減らない”ポイント。


……そうまでされてるってことは、SPを集めることで助かるんじゃないか?


矮小な存在が、多くの人々から信仰されて強大になっていく。

そんな展開、サクセスストーリーじゃ王道中の王道だろ?

ちょっと違うけど、某野菜超人のエナジーボールにも通じるところがあるな。

一人ひとりの力は小さくても、全員の想いが集まればとんでもないパワーになる……あれだ。


つまり、このカウントダウンを止める方法――

それはおそらく、“崇拝されること”。


もとい、SPを稼ぐことなのだろう。


が、そこでぶち当たるのが――最大の問題。


「……崇拝されるって、どうやって……?」


俺は確かに神らしい。

けど、俺を“拝んでくれる”ような存在なんて本当にいるのか?


この小石の中に宿る神の存在に、誰が気づくだろうか。

誰が、こんな何の変哲もない石ころを見て、「ありがたや……」なんて思う?


(……いや、やりようはある。きっと、あるはずだ)


そう信じていないと、やってられない。





あれからしばらく経った

俺は”信仰されるには、どうすればいいか”をずっと考えていた。


その問いに一応の答えを見つけることが出来たのは偶然だ。


きっかけとなったのは、これまたSPの存在だった。

SPの取得条件である”崇拝されることで自然と蓄積される”を再び目にした時、ふと疑問に思った。


「信仰されることでSPが増えるなら……SPが1あるってことは、既に誰かに、信仰されたってことか?」


けれど、その“誰か”に心当たりはなかった。

俺は何もしていない。ただ転生して、のんびりしたかと思えば、白い空間で頭を抱えているだけだ。


それでもSPは1ある。つまり、何かがすでに起きていた。


「逆に考えれば、俺が何もしていないのにSPが入ったってことは……自然発生的に信仰された可能性がある、ってことだよな」


じゃあ、どうすれば“自然に”信仰されるのか。


「……奇跡? 啓示? 恩恵? いや、それらは全部“能動的に与えるもの”だ。つまり、SPを使う」


脳裏にあの神の”お詫び”の言葉がチラつく。

一瞬可能性があると思ったが、思い直した。


お詫びの詳細を教えて貰っていないからと言って、自分の都合の良い出来事を何でも”お詫び”と捉えることは”毒”だと考えたからだ。

今後もこの考えを続ければきっと、自分の努力の結果すらも神様によるお詫び……アフターサービスだと考える。

そしていつしかやる気を失ってしまうだろう。


それに何となく違う気がする。


だから今考えるべきは、SPを使わずに信仰される方法だ。


俺はSPを1しか持っていない。貴重すぎる1点だ。迂闊に使うつもりはない。


「何もしなくても信仰された。それなら、“存在そのもの”が何らかの影響を与えたのか?」


もしかして――どこかの誰かの信仰が偶然”俺の存在”と似ていた”から、信仰ポイントが生まれたのでは?


「つまり……“信仰される”とは、信じられることだけじゃない。“感じ取られる”ことも含まれてるんじゃないか?」


自分では意識していなくても、ふとした瞬間に祈るような気持ちになったり、何かに頼ったり――

そんな“かすかな思い”が、神への信仰の最初の火種になるのだとしたら?


「ならば、俺がやるべきは“存在を感じさせること”だ」


誰かの心に触れる。無意識の奥で何かを感じさせる。


SPを使わずにできる範囲で――ただ“いる”ことを知らせる。


それが、最初の信仰への一歩なのかもしれない。


「……まずは、その方法を探るしかないか」


SP1。

まだ消費には早い。

だが、俺の中で少しだけ希望が灯った。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ