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王立学園に入った理由



 今日はいよいよ、王立学園の入学式。

 新入生代表は、この国の王子、ルシオン王子。

 

 

 光に反射して眩しい銀色の髪と、透き通るような青い目の持ち主。

 

 

 

(あの方がルシオン王子殿下なのね)

 

  

 茶色くてちょっとクセのある髪がいつもどこか跳ねているように見えるアリカ・アンセリウム男爵令嬢は、この王立学園に入るために、猛勉強してきた。

 

 

 

 それもこれも、あのルシオン王子とお近づきになるため。

 

 というのも、アリカのアンセリウム家は、貴族でも格下の男爵家に加えて、領地は決して豊かとはいえない。

 

 領地を豊かにするための計画を、父と兄のアキレオが立てているが、資金が足りない。

 

 領地と領民を守るために、ルシオン王子の婚約者になって、妃にまで上り詰めよう! とアリカは決意していたのだ。

 

 


****************

 

 

 

「アリカ、同じクラスね」

 

「エルセ、良かった!」

 

 

 


 幼い頃から友達の、同じ男爵家のエルセ・エピデンドが黒い目を輝かせて話しかけてきた。

 

 エルセの美しいストレートの黒髪と輝く神秘的な黒い瞳は、小さい頃からアリカの憧れだった。

 

 

 

 

 

「入学できて良かったわね。アリカ、すごく頑張ったもの」

 

「まあね。エルセにも世話になったわね。勉強教えてもらって」

 

 

 

 

 エルセは小さい頃から賢くて、優秀な王立学園に入って当然の頭脳の持ち主。

 エルセの1つ上の兄、エキーザも、すでにこの王立学園の生徒。

 

 

 そんな二人にアリカは、王立学園入学のために勉強を教えてもらっていた。

  

  

  

 

「エキーザ兄さまも言ってたわよ。あれだけ出来るなら、学園に入っても大丈夫だって」

 

「そうかな、それならいいんだけど。もしもの時はエルセとエキーザ兄さまを頼りにしてるからね」

 

 

「それで? 肝心のルシオン王子とは、クラスが離れちゃったけど? 」

 

「そうなのよね。小説みたいにうまくはいかないわね」

 

 

 

 偶然同じクラスになり、偶然となりの席になり、偶然転びそうになって王子に助けてもらったり…、なんてことは起こらない。

 

 

 

「アリカも、小説みたいな偶然を起こしちゃえばいいじゃない」

 

「まあ、そうなんだけど…」

 

 

 

 

 その時、廊下の向こうでざわついた気配がした。


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