1 ゲーム配信&美味しい話
今日もいつも通りの配信が始まる。
14歳の頃に個人vtuber 小悪魔 リリとして活動を始めてから3年。
リリの大体の容姿は、茶色のゆるふわボブ、大きく活き活きしている紫紺の瞳。
白のオフショルダー(たまに制服)に頭にはミニ悪魔の翼カチューシャ。
何とは言わないけど憧れのD
設定は「ゲームに取りつかれた小悪魔が配信してみた」なんだけど......
私は無意識のうちに思わせぶりな発言をするような事は出来ないから。
異世界の方の小悪魔に設定を少し変更したのは内緒。
出て来たばかりの頃は新星配信者として大ブレイク!
視聴者の増加、スポンサー契約依頼多数、他vtuberからのコラボなど。
有名Vtuberの将来 が約束されたようなものだったんだけど......
最近は私以上に個性的なVtuberが出てきたり、配信ネタが減ったりで人気は停滞。
そして今年でもう17歳になる、いまだに再ブレイクを待つ職業Vtuberの引きこもり。
チャンネル登録者は27万。1年前からほぼ変わっていない。
高校にも行かず、外に出ることも案件以外ほぼない。
実家の一部屋を占領するお荷物になるのも申し訳ないと、親公認の一人暮らし。
今はマンションの1LDK【お風呂、トイレ付き】の部屋に私は引きこもっている。
どうでもいいけど、1LDKは快適な広さだよね。
Kはあんまり使っていない気もするけど......。
食事は出前で全然大丈夫。収益きつかったらたまに買い出しに行けばいいし。
洗濯は買い出しついでにクリーニング。
家は親が保証人になっているので特に心配はない。
お金は今でも愛してくれる視聴者がたくさんスパチャを投げてくれるし広告収入もある。
そのおかげで16歳一人暮らしでも何不自由ない生活ができている。
友達だっている。V友だけどね。
何も問題はない。
さて……今日もやっちゃおうかな。
最近は主に新作ゲームなどを配信しているんだけど。グレート・アース。略してグレアスのコラボキャラとして選ばれたみたいで、最近はこのゲームの配信ばかりしている。
足下でごちゃごちゃしている色々な機材の電源を入れる。
毎日のように配信している私からしたら手慣れた作業。
最後にマイクをセットして……これでOK!
サムネは前回のを再利用すればいいし......サムネの再利用!準備OK。
小学校で習うゴミの3Rは意外とサムネでも使えるね~。
さて……準備も出来たし、待機画面にしておこうかな。これ結構好きなんだよね。
このミニキャラの私が歩きながら、『準備中』っていう旗を上げてるやつ。
声大丈夫かな?もうそろそろ待機画面が終わると
《待機晩成》《待機晩成!》《悪魔で待機》《待機中》《またグレアスー?》
コメント欄にいつものように、待機コメントが流れてくる。
私はこの待機晩成って言うの結構、気に入ってるんだよねー。
私がvtuberを始めた頃、機材調整に時間がかかってたせいだけど……
さあ!そろそろかな。
「こんにちわー!皆―来てくれてありがとう。リリね……昨日の深夜配信が終わってから今までずっと寝ちゃってた」
《寝ちゃってたのかぁ》《こんにちは。朝枠一度くらいはやろうね?》
《こんちゃー!サムネが超可愛い♪》《私も今まで寝ちゃってたー》
「朝枠は出来ない!それで皆もお分かりの通り。今日もグレアスをやるよー」
《ホラゲーは?》《またマルチプレイしたいです!》《たしかボス攻略やっけ?》
「ホラゲーとかもやりたいんだけどねー。怖くて眠れなくなるから。今回はソロでボス攻略やっちゃおう。勝てなかったらまた皆の力を借りることになると思うけどね!」
《任せなさいよ♪》《腕が鳴るぜ》《可愛い。昼ごはん代です(^▽^)/》
《倒したいです》《ナイスパ》
「昼ごはん代サンクス♪こういうスパチャ嬉しいな~。よし!準備OK。絶対勝つぞ!」
そのままかれこれ一時間。ボスにやられまくった私は結局、リスナーさん達の力を借りて、各地にいる6体のボスキャラを倒した。
「何とか勝てたー。かなりリスちゃん達に手を借りちゃったけど……本当にありがとうね!結構、楽しかった」
《おつですギルド長です。こちら報酬金です》《ご褒美としてASMRで》
《かなりHP消耗しちゃった》《リリちゃん相当強かった》《淫魔ちゃんさすが》
「ギルド長さん報酬金サンクス!珍しいスパチャが来るね~。ん?ASMRはや絶対にやらない」
私はこのキャラゆえに淫魔としていじられる。別に嫌なわけじゃないんだけど……
こういうのはあえて読んだり読まなかったり調整してる。
なんか疲れたから……最後に皆のスパチャを読んで終わっちゃおうかな♪
「じゃあ。最後に皆のスパチャを読もう」
《もう終わるのかー。悲しい》《今日も楽しかったです》《次回はホラゲーをやろうな》
「ホラゲーはやらないよ♪じゃあ、読みます」
そんなこんなでスパチャを読み終わり配信を終えた。
きっと今日の集計もマネージャーのニャ―コさんがやってくれるから大丈夫っと。
ふぁぁ……疲れた。さすがに一時間ぶっ通しでゲームはきつかったかも。
エゴサでもしようかな。
ふわふわのベッドに飛び込み、スマホを指紋認証で開く。
「あれ……?案件メール?いつもはニャ―コさんの所に行くのに。開いてみよ」
差出人 異世界の管理人
案件 異世界のお仕事案件について。
初めまして。リリちゃん。
とつぜんだけど、お前にお願いがあるのだ
私はいせかいのかんり、の仕事をしているのだけど、お金も少ないし、働きたくないのだ。
だかraお前が、いせかいのぼうけんをげんじつに背信して稼げ。
お前に素晴らしいらしい脳力とVtuberの姿は約束してやろう。
これは偶々見つけたわけではない。運命なんだからな!
へんじ待ってるぞ
うさんくさい。ただでさえグレアスの案件で頭がいっぱいなのに……。
でも……ここは明るく断っとくのがベストなのかな?
何かやけに偉そうだし……あんまりこういう案件は受けたくないかな……
差出人 小悪魔リリ
異世界の管理人様へ
案件のご依頼ありがとうございます♪
この案件は私のマネージャーを通しましたか?
とても良い案件だとは思うんですが……マネージャーを通していない限りはお断りさせてください♪
もし、他に案件のご依頼がある場合は私のマネージャー藍染 ニャ―コ (あおぞめ にゃーこ)さんの方にお願いします!
これでいいや。こういう依頼でも丁寧に対応しないと……試しに来てる人もいるから。
でも……文章がなんというか稚拙と言うか。変。遊ばれてるのかな?
差出人 異世界の管理人
良い案件だろ!興味を、盛ったな!
それじゃあ!早速、きてくれ!
そのめねーじゃーっていうのはよくわからない。
後でつて徳から行こう!
この人……一体、何を言っているの?
私は確かにvtuberの姿になりたいとチャンネル登録者を増やしたいって言う願望はあるけど……こんな危険そうな案件は……ね。
「ピンポーン!」
私の部屋のインターホンが鳴り響く。
嘘……もう家バレ?でも……まだ中の人バレはしていないし。
大体、ロビーは?ここはセキュリティが良いと聞いて入居したのに……。
とにかく外の映像を見てみよう。
恐る恐る一本道の渡り廊下についているインターホンの映像を確認する、
インターホンが真っ暗!?手で覆いかぶされてるの?
やばい……さすがに管理人に通報しないと。
「ピポピポピポピポピポピンポーン!」
何?私を狙うなら鍵が開いてるから入ってくればいいのに。
私をもてあそんでいるの?
そうだ!ドアの丸で見てみよう。
私はドアの前までこそこそと歩き、ドアアイから外をのぞき込む。
あれ?あれれ?周りは一面緑?どうして?フィルターでも貼られてる?
とにかく一旦部屋の中まで戻って危機が去るのを待とう。
警察を呼ぶのも良いかも。気づかれないようにドアチェーンも締めとこ。
良し。これでOK。早く部屋まで戻らないとっ!
突如として一本廊下の目の前の壁に何かの紋様が刻まれる。
今度は何……?もう!早く部屋に戻らないと
私が部屋の前の扉まで駆けていく間に魔法陣はさらに光を増す。
開かないっ!開かない~。本当にあった怖い話~.
私が必死にドアノブを回しても扉は1ミリたりとも動かなかった。
開いてっ!開いて。私の配信者人生~~。
その瞬間、紋様らしき物は台風なんて軽く超えるような突風を放つ。
私はなんとか自分の部屋のドアノブにしがみついてこらえた。
しかし、風は止まるどころか勢いを増す。
もう……ダメ。
私の手はドアノブから少しずつ滑り、とうとうドアノブから離れた。
文章下手だったらすみません。勉強中です。