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12 ワンちゃんの飼い主

「おや?あーね。あなたが~。さてはイヴに何かされた?私の元ワンちゃんなんて欲しがって」


 光が止んですぐ、さっきまで女神像があった場所にはイヴリンと似通った顔の女性が浮遊していた。


 確かに神っぽい登場はしたけど……ミニスカと長袖に、上着を腰に巻いてる人が神には思えない。あれはバイブス上がってる人?


 でも……今、イヴって言った。これがもしイヴリンの事なら……姉を見つけたかもしれない。

 見つけても意味ないけど。


「ワンちゃんだけ貰えますか?」

「いいよー。管理めんどくさかったし。あなたならなんとなく信頼できるかもー」


 適当……ここまで必死に逃げて来たワンちゃんの気持ちにもなってあげてよ。

 この人は自分が管理していたワンちゃんを大事に思っているの?


「私はセイリン。よろしくねー。いやーまさか本物出会えるとは。びっくりしたはー」

「自分がどういう人か知られているイヴリンの手先に迂闊に接触していいんですか?」

「何が言いたいの?」


 やばー思ったこと言っちゃった。セイリンさんの表情曇ってるし。

 気まずい……。ここは上手く誤魔化さないと。


「そんな~言葉そのままの意味ですよ。イヴリンはあなたにあまりいい印象は持っていないようだから」


 曇った表情をしていたセイリンさんは少し悲しみの混ざったような笑顔を見せる。

 それが何を意味しているかは分からない。でもきっとこれから話してくれると思った。



「そう。イヴは申し訳ないね。じゃ。私はこれから4限だから。帰るね」


 話してくれない。気になるのに……。

 恐れ多いけど……。


「どうしてこの世界を捨てて、人間界で普通の暮らしをしてるんですか?4限って授業ですよね?」


 今まさに帰ろうとしていたセイリンさんが足を止める。


「世界を捨てたのは単純に面倒臭いから。普通の生活をしているのは憧れたからかな」

「何も思わなかったんですか?」

「そうねースッキリしたかな。身体が軽くなった。あーそうそう。人間っていいね」


 ちょっと何言ってるか分かんない???

 今は胸の内に秘めた感情を漏らすところじゃないの?何?軽くなったって。


 そんな私の前でセイリンは犬をゆっくりと撫でまわしている。


「よしよーし犬。これからはあの人について行くんだよー。悪いけど私はお前を育てられない。お前はこの世界の所有物。だから管理権限を外された私には育てられない。元気でいて」


 ワンちゃんは悲しそうな地面に座り込む。


 結果的にワンちゃんはまだ前の飼い主の事を引きずってたって事かな。

 そんなのワンちゃんにとってはとても可愛い層。ハチ公化現象が起こったらどうするの。


「じゃあ私もう帰るは。んじゃバイバイ。そういえば小悪魔リリさんだっけ?あなたとはまたどこかで会える気がするわ~」


 セイリンさんはそう言い残して姿を消した。


 不思議な人。陽キャ系統に入るはずなのに喋りにくくは無かったかも。

 イヴリンと違って落ち着いている人だし。でも……自然と憎たらしくなってくる。


「リリ様。ご無事ですか?」

「リリ!良かったわ。捕まえたのね」


 心配そうな面持ちのパルン隊長とレクシィが走ってくる。


 私は彼女らと合流する前にワンちゃんを抱きかかえてゆっくり撫でる。


「ごめんね……飼い主、いなくなっちゃったね……」

「クゥン……」

 ワンちゃんは抵抗することもなく、ただ垂れている。


「あんた何したの?元気だった犬がなんか老けて見えるわよ?」


 レクシィが不思議な顔で犬を見つめてくる。


「何も……なかった!!」

「そう。そんなに思い詰めているなら深くは聞かないわ」


 異世界人にはこのネタ通用しないか~。共有できる人いないの悲しいよ~。


「そんなに老けて見えますか?元からこんな感じだったかと」


 パルン隊長が悲しそうなワンちゃんと近くで見つめあう。


「あんた……少しの表情の違いも見抜けないなんて……良くそれで亜兵隊いけたわね」

「実技試験しかなかったので。心理や知力は……苦手です」

「だから賭けに勝てないんじゃないの?」

「喧嘩売ってますか?あぁん?」


 二人とも醜い争いを。今のところはこのワンちゃんのためにもここを離れよう。


「二人とも!とにかく任務は終わったから早く帰ろう。報告しないと」

「そんな……お宝は無しですか?」

「無しだ猫耳。残念だったな」


 目の前の廊下から聞き覚えのある声が響く。

 嘘……もうこの場所を見つけたの?さすが亜兵隊。恐ろしい。


「また私のお宝探しを邪魔するんですか?」

「違う。ここは神霊都市だ。神に認められていないものは勝手に持ち出せない」


 パルン隊長が膝から崩れ落ちてから、ようやくエルミアの姿が見えた。


「リリ、よくやった。報酬は予定通り払おう…さあ!早く撤退するぞ。神霊都市は長い事いると私たちを排除しようと動き出す。そのワンちゃんを持って逃げるんだ」

「「「はい!」」」


 私たちはエルミアさんと一緒に神霊都市を出た。神霊都市の外側にはパルン隊長の多くの部下が待ち構えていた。


 その人達のおかげでくたくたの私たちは街まで安全に運んで貰えた。

 落ち込むワンちゃんを抱えて。


 街に戻った後、私たち3人は早速、エルミアさんの執務室に呼ばれる。


「3人とも今回の件。ご苦労だった。猫耳とレクシィには金貨を10枚ずつ。リリには予定していた願いを何でも聞いてやろう」


 二人とも嬉しそうに金貨を受け取った (特にパルン隊長)。

 しかし、私はその中で誰よりも嬉しかった。何故なら願いが叶ったから。


「何にするんだ?早く決めてくれ」

「それじゃあ、私と一緒に配信をしましょう!エルミアさん!」


イヴリン 「姉ちゃん......」


読んでいただきありがとうございました。最近、小説が上手く書けていない気がしてもがいています。

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