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第45話 子供でもできるんだから

 モフモフたちの力も借りながら、ダンジョンをどんどん拡張していく。

 もちろんそれに並行し、外から魔物を誘き寄せて倒しながらポイントも稼いでいった。


 強化済みのモフモフたちを増やしたので、以前より魔物を討伐しやすくなっている。

 わざわざアズのところまで誘導しなくても、要所要所に配置した彼らが倒してくれるのだ。


「むしろもうアズがいなくても問題ないな。何の役にも立ってないし、迷宮神とやらにリコールできないのか?」

「ちょっと!?」


 第一この眷属、ここ最近はずっとリビングのソファでくつろいでやがるだけだ。

 ……当初の情熱は一体どこに行ってしまったのか。


「だって他にすることないんだから仕方ないでしょ!」

「穴掘りやれよ。子供でもできるんだから」

「そんな地味な作業は嫌! もちろん収穫作業も!」

「ほんと我儘だな……」


 きっと魔界にいた頃もこんな感じだったのだろう。

 どういう魔族だったのか知らないが。


 誘き寄せ討伐作戦を継続していると、段々と地上にいる魔物が少なくなるらしく、少しずつ効率が落ちていく。

 そのため出入口を増やしたり場所を変えたりもしている。


 なお、子供たちには主に作物の収穫作業をやってもらっているのだが、穴掘りの手伝いもしてくれている。

 誰かさんと違って働き者だ。


 以前一度あったように、土の中に棲息している魔物と遭遇する危険性もあるので、念のためモフモフたちと組ませ、また生活拠点の周辺で作業させている。

 現在はまだ地下三階までしかないが、元々これをもっと深くする予定だったしな。


 と、そんな感じで順調にダンジョンを成長させているときだった。


『警告。別のダンジョンと連結されました』


 システムからの警告。

 しかも今までに聞いたことのないパターンだった。


「別のダンジョンと連結された?」

『はい。他のダンジョンマスターが運営するダンジョンと繋がりました。この場合、主な対処法は以下の二つです。その一、敵ダンジョンに攻め込み、ダンジョンコアを破壊して敵ダンジョンを自ダンジョンに取り込む。その二、結合部を埋め直し、ダンジョン戦を回避する』


 どうやらダンジョンとダンジョンがぶつかってしまったとき、戦闘になる場合があるようだ。

 相手のダンジョンコアを見つけ出し、それを破壊することで敵ダンジョンを自分のダンジョンに取り込めるのなら、ダンジョンを大きく発展させられるチャンスということになる。


『警告。敵ダンジョンから自ダンジョンへ、魔物が侵入してきました』


 マップを見てみると、複数の魔物が侵入してきているのが確認できた。

 それほど数は多くないので、偵察部隊だろうか。


「敵ダンジョンに戦闘の意思があると、当然ながら二番目は成立しづらくなります」


 好戦的な相手だった場合、仮にこちらが結合部を埋め直したところで、また向こうが繋げてくる可能性があるわけだな。


「アズ、出番だぞ、起きろ」

「……ほにぇ?」


 俺は暢気にソファで涎を垂らして寝ていたアズを叩き起こす。


「他のダンジョンと繋がってしまったらしい。魔物が攻めてきている」

「え、やばいじゃないのよ!」

「とりあえず連結部まで急ぐぞ」

「って、あんためちゃくちゃ速くない!?」


 俺が駆け出すと、後ろからアズの悲鳴が響いた。


「そんなに速く走ってるつもりじゃないけどな?」

「ていうか、そもそもこんなに早く他のダンジョンと繋がるなんて……っ!」


 幸い魔物が侵入してきている場所は、かなり離れている。

 つまりそれだけ遠くまで掘り進めたということだ。


「あんたどう考えても掘り過ぎでしょ!?」

「それでポイントが入ってくるんだから当然だろ」


 マップを見ていても、敵の魔物の進む速度はあまり速くない。

 慎重に進んできているようで、この様子だと生活拠点に辿り着くのに三時間はかかりそうだ。


 一方、俺は途中でアズを引き離して、もう半分近くを走破している。


 ――スキル〈高速穴移動〉が進化し、〈穴韋駄天〉になりました。


「「「にゃあ!」」」

「チンチライオンたちだ」


 このルートを掘っていたモフモフたちが向こうから駆けてきた。

 ダンジョンと繋がって敵の魔物が入ってきたので、逃げてきたのだろう。


「とりあえずどの程度の強さの魔物がいるのか、確かめないとな」


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生ま捨て8巻
7月12日発売!!!
― 新着の感想 ―
[一言] どこにでもいる冒険者:最近魔物が減って討伐依頼が少ないなぁ、仕方がない別の町へ移籍しよう。 そして魔物討伐に飽きた主人公のせいでスタンビートが起こり慌てて止めようとして英雄になるんですね解…
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