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1-3 出発準備

朝食を終え、指定通りにギルド裏へ行くと

予想もしない人と面会することになった。


「あら、予想以上に早く来て下たのですね」


薄紫色の短髪に、細い糸のような目つき。

もう、若いと言える年齢ではないので

少々、豊齢線が浮かび出ている。


ギルドに雇われている清掃員かと勘違いしそうにもなるが

この彼女こそ、センターベースギルドの代表者。

村長とも言える人物【シイナ・アカネ】であった


昔は、戦略家で様々な苦難を前線支えたのだとか


なにより、男性を多くこの世に誕生させた偉大な方らしい。

これが大きな決め手となり今の地位を授かったとか。

それだけで地位を授けられるのだから

この世界はやっぱりどうにかしていると私は思うけど。


「全く、冒険者ってのは嫌になるね。

毎日毎日どうしたら一晩でこんなになるのかね…」


早くから掃除をしていたのであろう

額に汗を滲ませながら、木の箒で地面をはいている。


横目でアンリを見ると口笛を吹いて何かを誤魔化していた。


こいつ酔っ払いの常習犯だもんなぁ…。


「まだ、出発までに時間がありますし少しお手伝いしましょうか?」


悲しいかな、

この世界でも社畜精神は抜けきれていないようで。

もちろん、建前である


「うぇ、まじかよぉ…」


社会にまだ馴染めていない人もいるみたいだけど。


無言でチョップを喰らわす


「うへっ!?…っつぅうう…お前!マジでやめろよそれ!?

馬鹿力に相まって篭手も付けてるからむちゃくそ痛ぇんだからな!?」


「馬鹿力って失礼ですね。

全然、力入れてないんですけど?

防御力足りてないんですか?

あっ、足りてないのはオツムでしたね。

すいませんでした、謝罪致します」


「よし、その喧嘩勝った!

以前は負けたかもしれないが

今日こそは、ボコボコにしてその無表情な顔を歪ませてやるからな?」


「やめなさい!まったく…貴方方は喧嘩しにここに来たのですか?

掃除は私の仕事なのでお構いなく。

それに、これから重要な任務に行って頂くのに疲れさせては悪いですからね」


殴りかかってくるアンリの攻撃を適当にいなし

少し力を込めて再度脳天にチョップを喰らわす。

地面で「あぁあああああぁぁ」と蠢いている姿は滑稽であった。


笑顔で「失礼しました」と一言。


「はぁ…依頼書を読んで頂けたと思うので詳細は省きます。

何か質問とかありますか?」


「その…答えられればでいいんですけど…。

その本っていうのは魔術書か何かなんですか?」


「依頼物の内容を詮索をするのは関心しませんね、

いろいろ思うことがあるのでしょうけども。

そうですね“私には理解できない物”とだけ言っておきますかね。

ですから、ここより人口の多い都市に書物を移動させようとそれだけのことですよ。」


元戦略家でも、理解できない内容の書物か…

気にならないと言うと嘘ではないが…


いや、ダメダメ!

余計なコトに手を突っ込むと絶対にろくな目に合わない。

うんうん、平和、平和が一番!!


「そうですか、わかりました。」


「あなたみたいな、理解ある傭兵が増えてくれれば仕事の斡旋も楽になりそうでいいですね。」


「はいはぁい!ギルド長!お願いがあります!」


急に立ち上がり、今度はギルド長に、両手を上げて存在感を目一杯出すアンリ


「前報酬でいくらか払っては頂けないでしょうか!?」


「それは出来ません」


「そ、そこをなんとか!?」


「依頼書のルールを変えることは出来ないので」


「本当に少しでいいので!!」


「ちょっと、アンリしつこいですよ」


「だって、その1泊するんだろ…手持ちないし…」


「そのことなら、ご心配なく。ギルド側で準備しております」


「そうじゃなくて…そのぅ……」


当然と言うと当然だけど、

流石のアンリでもギルド長には強く行けないみたいで。

盗賊のお頭だった頃の迫力はどこかに置いてきてしまったようだ。


でも、そんな急にお金を使う用なんてあったっけか?


装備、道具は(私が)事前準備しているし……


あぁ…そうか!?


こいつ…そう言うことか……


苦笑いしつつ口を開く

「港町での分は私が持ちますよ。

報酬から引きますけどそれでいいですか?」


「あぁ!大丈夫だ!流石相棒頼りになるぅっ!」


ぱぁっと、笑顔になり手を掴まれると上下にブンブンと動かす。


恐らくだけど、彼女は今あの割引チケットを

活用して遊ぶことで頭がいっぱいなのであろう。

今頃、彼女の頭の中では今ごと、春一番の心地よい風が流れていることだろう。

まぁ、自分の巻いた種でもあるので致し方ない


「相変わらず、仲が良いんだか悪いんだかわからない人達ですね…。

だからこそ、上手くやれてるのかもしれませんが

まぁ、荷台に荷物をまとめて置いているので。

準備ができ次第声をかけて頂ければと思います」


そう言うと、彼女はヘソの辺りで逆三角形を作りペコリとお辞儀する。


これ、慣れないんだよなぁ…。

まぁ、そういう風習だから仕方ないか…。


同じ動作をすると、真似してアンリも続ける。


いろいろ不安ではあるけど

私も隣の港町は初めてなので楽しみではある。

海産物が名物らしいので


少しはコイツみたいに能天気になったほうがいいのかぁ…。


何事も無いことを祈り出発の最終チェックをするのであった。

ここまで読んで頂きありがとうございました。

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