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1-14 港街アクアヴェール④


カウンターの裏には厨房があり、

更に奥の扉を抜けたところにようやく階段があった。


一歩一歩上がると共に、ギギギギと異音を奏でて

重装備の重さで耐えられられなく抜けるのではないかと

ヒヤヒヤしたけど無事に部屋に辿り着いたのであった。


このギルド様子から寝泊まりする部屋も相当汚いんだろうなと想像していたが

そんなコトはなく、むしろ綺麗に掃除されていた。


室内は木材で出来た机と椅子とランタンが机の上にちょこんと置いてあった。

最低限の日用品とチェストも完備しているみたいだ。

大きなダブルベッドが部屋の半分は締めているのが少し気になる。

窓はあるけど、緑の植物で埋め尽くせれ外は見えない。


贅沢にも大きな部屋ではないけど野宿ではないだけでも感謝しないと。


防具はもう邪魔なので脱いでチェストに納品し動きやすい洋服に着替えていると

ニヤニヤと「エ イ ミ さ~ん?」と近づいてくる輩がいた。


「なんですか?」


「あのぉ…金貸して欲しいんですけどぉ?」


「はぁ…どれくらい渡せばいいんですか…。」


「えぇと…10金貨ぐらい?」


「銀貨でなく金貨ですか!?そういう店ってそんなに高いの!?」


「馬鹿野郎!!当たり前だろ!!!!なんだと思ってるんだ!!!!」


そういうものなのか…そう言えば、有名店なんだっけ。

だとすると、良心的な価格なのかも知れないけど…

そんな高額払ってまで行きたいものなのか?


私にはわからない


「ちゃんと返して下さいよ…。」


白い視線を向けつつ金貨の入った袋をチェストから2つ取り渡す。


「わかってる、わかってるってぇ~。今回の報酬からあたしの分は引いていいからぁ。うひひひ。んじゃあ、また後でぇ!」


「って!ちょっと待った!!このあと今後のこと決めるんじゃないんですか!?」


「任されたのはお前だろぉ?それに、あたしがいてもいなくても結果は変わらないっしょ!

あ、行く前にエル君に衛生魔法かけて貰わなきゃ!男の子だし基本魔術だから使えるよね!?水浴びしたけど汚いのは嫌われるからちゃんとして行かないと☆」


脱兎の如く、部屋から飛び出る変態。

どうやら、隣室のエルフ部屋に突撃しに言ったらしい。


あいつ……。

逃げやがったな…。


しばらくすると「え!?何!?なんなのよ!?……はぁ?…いらないわよ!?……わかった!!わかったからもう出てって頂戴!?」

怒涛のクラムの叫びが聞こえてくる。


ダダダダダと慌ただしい廊下を走る音の後に

入れ替わるようどんよりしてエルフの2人が入ってくる。


「なんなのアイツ!?衛生魔法必要って何処に行ったのよ!?全く…。」


「す、すこし、こ、こわかった…。」


「あの馬鹿はもうほっといていいです…。」


「というか、アイツ一人でこの街ウロウロさせてあんたも大丈夫なの!?聖騎士団が管理してる街で仮にも犯罪者のだったんでしょ?」


「あぁ…それなら大丈夫です。詳しいことを話すと長くなるので割愛しますが、その件は表面では解決しているんで。」


「そうなのね」と一言、部屋を見渡しベットに腰掛け

ポンポンとベットを軽く叩き弟に隣に座らせるよう促す。


「んで、あんたは私達をどうするつもりなの?」


「そうですね…私なりにいろいろ考えましたので、今からあなた達にいくつか今後の提案を出そうかと思います。」


本当はもっと時間をかけて考えたかったのだけど、

明日にはセンターベースに戻らないといけないのでそうも言ってられない


「て、提案です、か…?」


「はい、まず1つ目、今日あった出来事を踏まえてエルフの村に帰ること。

2つ目、私と聖騎士団に向かい人魔平和共存促進委員会に助けを求めること。」


「な、なによそれ…私がどうこう言える立場じゃないってのは承知だけどそれってあんまりじゃないの!?」


まぁ、そういう反応になるよね。


「落ち着いて話は最後まで聞いて下さい。3つ目、2人で表世界で生き抜くこと。この場合は最低限の初期支援は致します。」

そして、最後に私達が拠点としているセンターベースに来てそこで生活すること。注意として、人間と共存になるということは踏まえて下さい。

この場合、エルフの村の惨劇が繰り返されないように対策は私ができる限り致します。以上になりますが何か質問があれば。」


「そんなの決まってるじゃない、あなたと…」


「ちょっと待って下さい。私が世間からなんて呼ばれているか知ってますよね?

それを踏まえて、答えを急がないで2人でちゃんと話し合い返答は明日の出発までにお願い致します。」


言葉を遮ってしまったけど。

私にも心の準備とか必要なのである。

即答は勘弁して頂きたい。


「…それもそうね、わかったわ。」


姉の言葉を同調するかのようにこくこくと頷くエル君


「あと、これも渡して起きますね。」


先程取り出したもう一つの金貨の入った袋を手渡す。


中身を確認するに「大金じゃない!?受け取れないわよ!!」と少し顔が引きつっている。

そうだよなぁ…それが普通の反応だよなぁ…。

あの変態は金銭感覚狂ってそうだから気にしても仕方ないか。


「まぁ、この港街は観光名所も多いですし、少しは外の世界を見て考えるっていうのもどうかなぁと思いまして。

この街には魔族も亜人種も多そうなのでいろいろ聞いてみるのもいいかもですし。

どう使うか、何に使うかは自由にしてください。ちなみに、アンリにも同額渡してます。」


「そういうコトなら助かるけど…。でも、返せないかもしれないわよ?」


「まぁまぁ、細かいことは気にしないで、あ、でも、ここで寝泊まりするのであれば壁薄いみたいなので…今日はそういうのは…ちょっと我慢して下さいね…?それが条件ということでどうですか…?」


「なんのこと?」とわからなかったみたいだが

言葉の意味を理解したみたいでみるみる顔が赤くなっていく。


「や、やらないわよ!!バカ!!!!」


「ははは、では私もこの後にやりたいことあるんで一度解散ということで。」


「ったく…もう…、エル一度部屋に戻りましょう」


「わ、わかった…。」


さっさと出ていく姉に対してぺこりと頭を下げて出ていく弟を部屋から出ていくのを見送りようやく一人の時間になる。


「あぁ…疲れたぁ……まじ無理…しんど……」


地球で何事もない日々を過ごした自分には責任問題が大きすぎて抱えきれないって…。

タダでさえ、アンリの件で慌ただしくなってしまったのにどうしよう…。


異世界転生作品というと、もっとイキイキと主人公が過ごしてる気がしたけど

よくこんな事件の連発にメンタル持つなぁ…私には荷が重すぎる…。


……いや、こんなこと考えてたらダメだ…。

せっかく異世界で要望を通して生かせて貰えたのだから

今後の起きそうな出来ごとを予想して対策取っておかないと。


とりあえず、この街の風景に癒やされつつ教会でも行って情報収集でもするとしよう。

当初の目標の2つ目であった1万PV達成していました。

本当にありがとうございます。プロット通りに進めば1-21辺りで1章は終わると思います。


よろしければ、引続き読んで頂ければ幸いです。

ブクマ、評価、感想などもお待ちしています。

※読み返したら脱字が多かったのですが1章完結後にまとめて修正致します。

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