第1章 プロローグ ~教会にての日課~
小説初投稿になります。
性癖を打ち込めるよう頑張っていきます。
2022/10/23 追記
世界観を知りたい人は先に、「世界観補足日記及びメモ」に目を通し頂けると幸いです。
教会でひざまずき祈りを捧げる女性がいる。
大きく透き通る水色の瞳、整った顔に
背丈は高く可憐で異性問わず誰もが目を引く美貌である。
シルクのような細くて長い金色の髪は
教会へ注ぎ込む眩しい朝日の日差しに
負けないほど艷やかである。
その容姿からは似合わない
傷だらけではあるけども味深い銀色の甲冑を身にまとい
一振りでどんなものもで粉砕出来そうな
彼女の背丈程はあるであろう大剣を身に着けている。
首には1等級傭兵の証である
六芒星のドックタグがぶら下がっていた。
見た目こそとても大人びて見えるが、
そんな彼女もまだまだ育ち盛りな18歳である。
甲冑姿でも、
静かに祭壇前で祈りを捧げいる姿は
見る人が見れば女神そのものであった。
「神よ。あなたはどこまで無慈悲なのですか?」
――――少女は心の中で懺悔する――――
「あなた様に紹介された
この世界にやってきて早くも1年。
再度、お話出来たら日々思っております……
もう一度あなた様と再度お話したく存じ上げます……」
――――少女は心の中で懺悔する、神との再会を求めて――――
「この世界に来て早くも
功績を上げることが出来ました。
迷える人々を助け日々精進しております…。
だから、どうか今一度面会の
チャンスを与えてくれは頂けないでしょうか?」
――――少女は心の中で懺悔する、神との再開を求めて――――
「というか!いつまで沈黙を貫いてるんだ!!!早く出てこいクソ野郎!!!
こっちはずっと待ってるんだぞ!?
こんなの詐欺だ!!!
説明しろ!!!謝罪しろ!!!
神が行って良い行動ではないからな!?
今でも私はお前を憎んでいるぞ!!!
直接合っていいたいことは山ほどあるんだよ!!!
……本当に…ほんとうに…にお願いだから、再度お話したいです……」
――――少女は心の中で懺悔する、神への謝罪を求めて――――
「また、明日も来るからな!お前が出てくるまで何度だって来てやる!!
あった時には、【暴力的発言】してやるからな!?
その時を楽しみにしていろ!!!この野郎!!」
負け犬の遠吠えというのはこのコトを言うのであろう。
その美貌な姿からは、誰もが想像もつかない暴言が炸裂し
虚しい言葉が静寂な教会に響き渡る。
はぁ…はぁ…と息を切らし
本日もいつも通りにご立腹な朝を迎えたのであった。
そう、これが彼女ことアン・エメリー毎朝のルーティンである。
「おはようございます。聖騎士エメリー様。今日も来てくださったんですね、毎日ありがとうございます」
祈り(?)に集中して気が付かなかったであろう。
エメリーが振り向くとそこには見慣れた神父の姿があった。
背丈は低く童顔ではあるけど、
落ち着いた大人の雰囲気が
その地位を表しているのがわかる。
外見が幼すぎて少年に見える
彼の司祭服姿は、馬子にも衣装と言われても
おかしくはないかもぐらい似合わない。
そんな彼でも、
この教会の司教なのだから偉いことには
変わりないのだが、外見のせいで説得力がない。
しかし、見た目に騙されてはダメだ。
司教という立ち位置に地位を置けるぐらい良い歳をしているという、
外見は少年でも中身はおっさんなのだから……。
やばい……!?
思わず声に出ししまったけど
さっきの発言聞かれてしまったか?
どうしようと、
焦る内心を抑えつつお得意のポーカーフェイスで対応する。
「おはようございます、
ボク司教。本日も朝早くからお邪魔して申し訳ない」
「いやいや、いいんだよ。
何せ小さい教会だからね。
早朝は誰もいないし、何よりアディテー様も喜んでいることであろう」
祈るふりをしてそのアディテーとかいう
神に悪口言っていたんですけどもね……。
とも言えず愛想笑いで誤魔化す私。
良かった、この様子だとバレてなさそうだ。
「にしても、“女性”なのに本当に熱心なお方だ。
この街の方々も見習って欲しいと正直思うよ」
彼はそう言っておヘソ辺りに手で逆三角形を作った。
これが、世界共通の挨拶サインらしいけど未だに慣れないのは無理は無い。
「お陰で、私はこの街では少し異端者として扱われているのですけどね」
立ち上がり、少し皮肉を込めて挨拶を交わす。
エメリーの身長が高いのもあり、
子どもと話している母親にしかみえないであろう。
これに加えて大剣と甲冑装備している彼女からは威圧感が出ているが
少しも怯まない彼は
見慣れているからなのであろうか、
肝が据わっているからなのであろうか。
なにより!!!
異端者の皮肉発言は決してこれは彼に対してではない
この世界に対してだ!!!
だって、おかしくないか?教会だぞ?聖域だぞ?
美しいシスターがいて
懺悔室でいろいろ奉仕してくれるのが教会のあり方ではないのか?
いや……この知識は少し偏見があるのかな?
なんせ、この教会は全員男性が管理している。
この教会というより、この世界の教会と言った方が間違いではないかもしれない。
世界認識が神へ奉仕するものは男子とされているのだ。
女性が教会内に来るときと言えば
お祝いの式を上げるときかやましいことを懺悔する以外ほぼない。
言ってしまえば、女性は神に対して無頓着なのである。
なので、毎日のように教会へ来ている私は、
常にやましいことをして懺悔している女としか思われていないのである。
「そんなコトは勝手に言わせておけばいいのです。
僕からすればエメリー様はご立派ですよ。
教会へ来るのは男性のが多いので仕方ないことだとは思うけども。
どうにも、まだ教会は“男性の場所”という意識が強いんだろうね。
その偏見をどうにかするのも我々の使命だと思ってはいるけど、申し訳ないね。
ボクからすると祈りを捧げる行為に性別は関係ないんだけども…」
「“女性”が教会を訪れることは悪くないって思える日がくるのを私も待ち望んでいますよ。」
本当にそう思う…。
最初に訪れた時の精神的ダメージは今も忘れられない。
憧れの教会が……可愛いシスターが拝めると思ったのに……
うぅ……思い出すだけでも涙が出そうである。
少し疲れ果てている表情を悟ったのか少し慌てた様子で少年神父が口を開く
「す、すいません。こんな事を言ってしまって……。
な、何かあれば相談にのりますからね!
頼りにならないかもですが何でも言って下さいね!
えぇっと、この後はお仕事なんですか?」
さっきまでの、大人の雰囲気はどこへやら。
テンパると口調が変わるのは
どうやら本人も気がついていないらしい。
正直、その慌ててる姿は可愛らしいと思う。
こういう属性ってなんて言ったっけ?子犬系?わからん。
わかっていることは、
こいつはおっさんという事実だけ。
もっと、若ければ…とも思ったけど
そんなことは絶対ないであろうと自分に言い聞かせる。
「あぁ、これからお得意様の荷物運びの護衛なんですよ。ギルドで待ち合わせしているんです。」
行きたくないけど……。
いろんな意味で行きたくない……。
うん……本当に行きたくない……。
休みたい……。
けど、休めない…。
ちくしょー……。
素直な心の声である。
「そ、そうなんですね、
やっぱり第一級の傭兵さんとなるとお仕事も大変そうですね……。」
「そんなことないですよ、護衛とか響きはカッコいいかもですけど。
言ってしまえばついてまわるだけですし……。
ここらは魔物達の大人しいのしかいませんから
そうそう襲ってくることはありませんからね。」
そう、仕事そのものは楽なのである。
言ってしまうとそれ以外が大変なワケで……。
「確かに、ここの魔物は大人しいですけど
危ないことも多いんではないですか?
でも、いいなぁ…
次に他の街に行くときはエメリー様にお願いにしようかな
ウチの小さな教会だと流石に許可降りないですかね?依頼資金も足りなさそうだし……」
「いやいや、いつもお世話になっていますし。
その時は指名して頂ければ無償で喜んでお承りしますよ」
建前である。
本当はやりたくない
面倒なコトは極力避けて行きたい。
というより、働きたくないのが本心である。
「ほ、本当ですか?じゃあ、その時はよろしくお願いしますね!」
何をそんなにウキウキしているのだ、おっさんよ。
心の中の少年は抜けきれていないみたいで…。
そんな瞳で見つめられると……見た目は可愛いから反応に困るワケで
「はい、いつでもお待ちしておりますよ。その時はよろしくお願いしますね。
あ、そろそろ時間待ち合わせの時間なのでそろそろ失礼致しますね」
「あ、はい…。わかりました。その、ま、また、明日も来てくれますか?」
なんで上目遣いがこんなに上手いのか?
金融機関のチワワかなにかか?
そして、なんでモジモジしているんだ!?
少しキュンとトキメいている心を落ち着かせるのであった
「えぇ…まぁ、日課なので何事もなければ…」
いかん、何故か直視出来ない。
視線を若干逸らす自分が少し嫌になる
「そうですか!じゃあ、お待ちしておりますね…
あっ、あとこれ良かったらお昼にでも食べて下さい!」
彼が差し出したて来たのは大きなバスケットだった。
中身を確認してみると卵、レタスやトマト。
薄く切られた肉が等がパンに挟まっている。
サンドイッチだ。
作り感が伝わってきて不格好では
あるけどそれもそれで良いものがあり、
どれも美味しそうなのは間違いない。
その他にも、飲料水やら果物なんかも詰まっていた。
そして、驚くのは量である。
ざっと見て4.5人前ぐらいないかい?
アレ?私って大食いキャラだったっけ?
「え?こんなにたくさんいいんですか?」
「はい、実は頂いている野菜の期限が近いのと
エメリー様を想って…じゃなくて、作り過ぎてしまったので…
良かった皆様で召し上がって下さい」
はて?
途中ゴニョゴニョ言っていて何を言っているのか
わからなかったけどありがたく頂戴しておこう。
量に関しては相棒の
あいつが泣いて喜びながら食べてくれるだろう…多分…。
「凄く助かります。隣町で何か欲しいものがあれば買って置きますけど。必要な物とかありますか?」
「いえ、大丈夫ですよ!?
いつも沢山の物資頂いていますし……
何か面白い話あればまた聞かせて下さい!」
そう、私は稼いだお金で必要ない分は寄付に回している。
勘違いしないで欲しいが、
これは教会の為とか他の人の為でもなんでもない自分の為の偽善行為なのだ。
少しでも、あのク○神と面会出来るチャンスを増やす以外のなにもない。
そこで思い付いたのが寄付なだけというだけであった。
幸いなことに勘違いしてくれてるから助かっているけど。
これで本当に会えるチャンスが
増えているのであろうかと正直疑問に思うことはある。
「わかった。じゃあ、面白い話が出来るよう。行ってくるね」
立ち去る前に、彼の軽く頭を軽く撫でて教会を出る。
頭を撫でた時に、神父がはわわ…って言って赤面しながら
少し嬉しそうだったのは気のせいだったと自分に言い聞かせるのであった……。
週1ペースで投稿出来ればと考えております。
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ここまで読んで頂きありがとうございました。