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第三十三話:城下町と迎撃の魔法、そして城へ

 バサ、バサ……!


 俺は夜の王都の上空を、冷たい空気を切り裂きながら飛ぶ。

 大陸で最も栄えた国である王都の城への距離は遠いと言っても、空から進めば大した時間はかからない。


 目の前に見える城の頂上にはすぐにでも到着すると考えていた俺だったが、眼下に広がる城下町からは民衆が逃げ惑う姿が見えていた。


「キャァァァ!!」

「逃げろ、逃げろぉぉぉ!!」


 明かりが灯された建物の間にある大通り。

 そこでは何の罪も無い一般市民が、上空に現れた俺の姿を見て悲鳴を上げていたのだ。


「……」


 そんな姿を見ていると、俺は自分が王国にとって強大なモンスターと変わらないのだという事を実感するような気分になった。


「!!」


 だが、そこで俺は驚愕の事実に気付いた。


 国民を避難させている一般兵士が一人も居ないのだ。


 その代わりに、逃げ惑う人々を必死に避難させようとしている人間がいる事に気付く。


「逃げ遅れた市民は、周りに女子供、老人がいないかを見ながら合流してくれ! 大丈夫だ、奴の狙いは王城だけだ! 慌てずに王都の外へと逃げてくれ!」


 一体どうやってあの街から戻ってきたのか? 

 それはあの騎士団長のアーシアだった。


 大勢の市民達は俺が今向かっている城の正門から雪崩のように列を作って、戦闘が行われた防壁の正面以外の場所から外に逃げようとしている。


「皆さん、慌てないで! 転んだら命に関わります!」

「慌てないで下さい!」


 よく見れば特徴的なマントを羽織った騎士団の面々らしい者達も避難誘導に参加しており、市民の中にパニックを起こしている者は少ないように見えた。


「……」


 俺は少し驚きながらも、そんなアーシア達を見て更に思う。


 恐らく騎士団は、「俺を迎撃しろ」という命令を無視して避難誘導を行っているのだろう。

 護るべき国民を助けようとする指示を、あの国王は下さなかったのだ。

 

「クッ……!」


 それで俺は、更に国王へ対する憎しみをつのらせていた。

 こんな支配者が国を統べていたのなら、あの勇者フリオが幅を利かせていたのも当然だ。


 そんな体制が結局、俺たち兄妹を永遠に引き裂く事になったのだ。


「……こんな国は、やっぱり一度……!」


 滅ぶべきだ、と漏らしそうになった所で、前方の城からは攻撃が飛んで来た。


ドン、ドン……!


 爆発が俺の体正面に何度も巻き起こる。

 それは俺にとって大したダメージになるような物では無かったが、常人が受ければ間違い無く致命的な威力の魔法攻撃群だった。


「攻撃を休めるな! 我々が研究を続ける為に、あの反逆者を絶対に撃ち落せ!」

「残りの魔力を魔導砲に注ぐ予定だった者は、全てあの目標に攻撃魔法を撃て!」

「魔力が尽きようと構わん、撃ちまくれ!」


 攻撃が飛んできた城の頂上では、魔道士らしい者達が何人も俺に対して魔法を撃ち放っている。


「こいつら、俺は城下町の上にいるんだぞ……!」


 俺は更に自分の中で怒りの感情が膨れ上がるのを感じた。


――――あの魔道士達は、自分たちの攻撃が逸れたり弾かれたりすれば下の建物や民衆に被害が及ぶという事を理解していないのか!?


 いや、知った上での攻撃なのだろう。


 何故なら城の屋上からは、奴らが叫ぶ声が聞こえて来たからだ。


「奴を倒さなければ、我々が魔導兵器研究を行える場所は無くなる! また他国で秘密裏に研究するような毎日に戻ってしまうぞ!」

「下の被害を気にするな! どうせ税を治める為に生きてるような、ただの一般人だ!」

「我々の最高傑作である魔導砲を、よくも破壊してくれたな!」

「撃て、撃て!」


 口々に怒りを吐きながら、俺に対して絶え間なく魔法による攻撃を飛ばしてくる魔道士達。


「……」


 そんな奴らに、俺は「お返し」を食らわせてやる事にした。


ギュィィィィ……!


 右手が光り輝き、夜の上空で強烈な閃光を放つ。


バシュゥゥゥゥン……!


 そして放たれた魔力の奔流は、一直線にまだ距離のある王城の頂上へと向かっていった。


「う、うわぁぁぁ!!!!」


 魔道士達が放っていた魔法攻撃を全て消し飛ばしながらはしる魔力はすぐさま城へと着弾、頂上全てを吹き飛ばすような大きな爆発が巻き起こった。


 先程魔導砲を破壊した時のような、一直線に指向性を持たされた物ではない魔法攻撃。

 それは標的のいる地点に着弾した瞬間、魔道士達が起こす物とは比べ物にならない程の爆発を巻き起こしたのだ。


 轟音と共に吹き飛び、城の上から放り出されて行く魔道士達。


シュタッ……


 更に一直線に加速した俺は、煙の巻き上がるその場所に降り立つ。


「う、うぅ……」

「どうして、何故我々の魔法が通じないのだ……」


 黒焦げになりながらも、頂上から投げ出される事を免れた者達が呻き声を上げていた。


「……」


 だが俺はそんな奴らを一瞥いちべつすると、背中に生えた巨大な翼を元に引っ込める。


 目の前には下へと続く階段。

 国王はどこへ逃げただろうか?


 だが、どこにいようと関係無い。


「ま、待て……。お前の力、人智を超えた強大な力だ……! 是非、研究させてくれ……! そうすれば、今日からお前は人間の頂点に立てるだろう……!」

「……今日は、お前たちの王が滅びを迎える時だ」


ドォン……!


 俺は横からそんな事を言ってくる魔道士に、トドメの魔法を撃って小爆発を起こさせる。


 動く者が誰も居なくなった城の頂上を見渡した俺は、そのまま城の中へと入っていく階段へと勢いよく駆け込んで行ったのだった。


「待っていろよ、国王陛下とやら……!」


 立ちはだかる者達を全てなぎ倒し、最後の仇の薄汚れた王位にケリを付けてやる為に。


 

 


次決着、で少し話を入れてエピローグかな?

10万字行くかなあ。

無駄に話を引き延ばすのは嫌なので、何とか良い感じの話にしたい所。




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― 新着の感想 ―
[気になる点] 最後の「待っていろよ、国王陛下とやら……!」の「国王陛下とやら」って他の呼び方の方が良いかと思います。 仇に敬称は違和感が有るのととやらって会った事の無い人に対する使い回しに思うので違…
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