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第二十八話  最終章:世界が終わる日

微妙に改稿しました。

今夜か翌朝にはまた更新予定。

 とある剣と魔法のファンタジー世界。

 

「急ぐのだ! 『奴』はもう、この王都に向かっておるに違いない!」


 そこには今、まさに破滅への道を歩もうとしている、大陸最大の王国があった。


「奴が、反逆者アルスが来る前に備えを終えなければ、この国は滅びるかも知れんのだぞ!」


 太った王は豪華な玉座にふんぞりかえったまま、つばを飛ばして臣下しんかの者に高圧的な声を放つ。


「は、はっ!」


 それを受けた兵士も顔面を蒼白にしながら、足早に準備をする為に走り去って行った。


「くうっ……!」


 ノロマな兵士に苛立ち、歯軋りをする王。

 玉座からは、扉の向こうで大勢の人間が走り回っている様子がありありと見えていた。


「魔導士は全て集合してくれ! いや、とにかく魔導適正がある兵は全て城の最上階にある『魔導砲』基部へと集合するんだ!」

「戦争でも始まったのかよ!? 魔族が攻めて来たとかさ!」

「馬鹿、それ以上のモンが来るんだよ! お前は見なかったのかよ、あの光! アレでとりで一つが消えちまったんだぞ!」

「そんな訳ねえだろ! 砦っつっても、どこも小せえ国の城ぐらいはあるじゃねーか!」

「城にある大楯おおたては全て王国の外壁上まで運べ! 魔導強化は済ませてある!」

「意味あんのかよ!?」

「無いよりはマシだ!」


 ガシャガシャと音を立てる鎧の音。

 血相を変えて走り回る兵士達、その全てが一人の反逆者に対するそなえを叫んでいた。


「ぐぅぅ……! 何故、何故こんな事になったのだ……!」


 王はその慌ただしい光景を眺めながら、苛立ちを隠さない様子で拳を握る。


 だが、そんな王の元には鎧を着込んだ一人の女性が飛び込んで来た。


「陛下! 国民の退去が済んでいないとは、どういう事ですか!?」


 その鎧装束よろいしょうぞくは他の兵士に比べて明らかに地位が高く、その顔立ちはまだ成人も済ませていないあどけなさがあった。


 しかし十代後半の若さで騎士団を束ねる美少女の顔には理性が宿っている。

 この緊急事態に際して対応を行うべく奔走していたのだろうと言うのは、寒い時期だというのに体温による湯気が立っていた事からも想像がつく。


 その金色の髪はサラサラと肩の鎧に降りかかっていて、見る者の心を見惚れさせる程に美しかった。


「何用だ、アーシア!」

「この王国は戦場になります! 一刻も早く非難させなければ無辜むこの民に被害が出るのは明らかだというのに、貴族達は馬車へ財産を満載して走り去っています! 何故馬車を徴発ちょうはつしなかったのですか!?」


 アーシアと呼ばれた王国の女騎士団長は、険しい顔で王に対して意見を述べる。

 必死の形相で、自らの仕える主に向かって。


「黙れ! 馬車の持ち主が自らの荷物を運んで、何が悪いのだ! 今は王国の一大事、民など気にかけている場合では無いわ!」


「しかし、国民はまだ半分近くがまだ城下に留め置かれて……!」


 王に対して苦言をていするアーシアだったが、その足元には杖が投げつけられ、再び罵声が飛んで来た。


「黙れ黙れ! 貴様、ワシの言葉が聞けぬというのか!」

「……」


 アーシアは王のそんな言葉にこうべを垂れて、言葉を失っていた。


 そしてそれから何も言葉を返す事も無く、スッと立ちあがって凜然りんぜんとした眼差しを向ける。


「陛下、何故あなたは彼を追放したのですか……! あのような仕打ちをされた、あの純朴じゅんぼくなアルスが、この国に対して憎しみを抱いたのは当然の事ではありませんか! あなたが、卑劣な思惑で彼から妹を永遠に失わせてしまったから……!」

「ぐっ、ぐぅ……っ!」


 王はアーシアの苛烈な糾弾に気圧されてしまい、一瞬言葉を詰まらせてしまう。

 だが、正面向かって言われたその言葉に、王は顔を真っ赤にして拳を振り上げていた。


「貴様……! 名門に生まれただけの小娘が、一体誰に対して口を利いておるか! ……今をもって、貴様は騎士団長の任を解く!」

「……っ!」


 その怒りを受け止めた女騎士団長は、そのまま立ち上がって玉座の間から去ってしまった。

 それは忠義と武勲、そして礼節を良しとする彼女に似つかわしく無い行動だ。


「クソ、忌々しい女だ……! ええい、何をしておる! 早く杖を持たぬか、このグズ共! それでも近衛兵か!」


 王はその背中を睨みつけた後、周りに向かって怒りを撒き散らした。

 傍に控えた者は顔面を蒼白にしながら、慌ただしくそれを拾う。


「遅いわ! このゴミが!」


 そして近衛兵がそれを差し出した瞬間、力強く奪われた挙句あげく足蹴あしげにされてしまった。


 うぅっ、と呻く若い近衛兵をかえりみる様子も無い王は忌々しげに立ちあがる。


「勇者はどこへ行ったのだ! まさか逃げ出したのではあるまいな!? 奴こそがこの災厄を呼び込んだ張本人なのだぞ!」

「現在、全力で捜索しております! ですが、崩壊した砦の指揮を取っていたとの情報も……!」

「ぐぅぅぅ〜……っ!」


 他の近衛兵がそう答えた事にも、王は怒りをあらわにしていく。

 そしてドスドスと足音を鳴らして、玉座の間から外に出て行った。


「忌々しい……! ただの人間一人の為に、あんな物まで使わざるを得ぬとは……!」


 足早に廊下を歩き、慌ただしく走り回る者たちを跳ね飛ばすように進んだ王は中庭に出て空を見上げた。

 空は既に太陽が落ちようとしていて、平時であれば美しさすら感じるような夕焼け色に染まっている。


 そして眼前に広がる「大陸で最も巨大な城」の頂上には、大きな影を落とす物体が鎮座していた。

 それは来きたるべき魔族との戦いに備えて建造を急いだ、この世界の人類全てが知りうる中でも最大の兵器だ。


 『魔導砲まどうほう

 この大陸全てを支配するこの国の中でも、最も火力が大きい魔導兵器。

 それを見上げながらも、王は自分の中に不安が込み上げてくるのを抑えられなかった。


 全ては、あの一撃。

 王国の玉座からも確認できる程に強烈な閃光が空に走った、あの時から始まった怒りだった。


「アーシア騎士団長殿を探せ! 恐らく国民が留め置かれている城の入り口におられる筈だ!」

「魔族が攻めて来たんだ……! 間違い無い、魔王が人間達を滅ぼそうとしてやがるんだ!」

「落ち着け! 迎え撃つのは、人間だ! それも一人!」

「おかしいじゃねぇか! だったら、なんでこんな戦争みたいな準備をしなきゃいけねぇんだよ!」


「くっ、くぅ……!」


 周りを緊迫の表情で走り回る兵達の声が王には不愉快で仕方が無い。

 頭の中には、全ての発端である一人の人間が浮かび上がっていた。

 自分が罠にかけた、あの冒険者。

 田舎から出てきたばかりだと聞いていた、あの兄妹の片割れ青年、「アルス」。


 砦から断片的に流れて来た情報によってアルスが妹を殺された復讐に自分を害しようとしている事はわかった。


 だが、直接手を下したであろうドルベとフリオは一体どうなっているのか?

 それを想像するだけでも身震いするような感覚を覚えた。


「重装歩兵は王都の外壁扉に集結せよ! 弓兵は全て外壁に向けて集結! 全ての全力は正面入り口に向けて配置を急げ!」

「おい。そこのお前! 何をしている、戦闘可能な一般兵は全て武器を取れ!」

「攻城兵器も外に向けて配置だ!」


 だが、周りの怒号があまりに耳障りで王はうまく頭が回らない。


 後に城自体が消滅してしまう程の厄災に見舞われた王国。


 これから先に襲来して来るアルスに対して、王は小さな恐怖すら覚え始めていたのだった。

うまく繋がったかな?

物語は最終章に入りました。



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