宮本さん、再襲来
宮本さんが昼休みに俺を訪ねてきた次の日、俺は教室で弁当を食べるのをやめた。有輝には用事があるからと言って教室を出る。まあ、食堂にでも行こうか。端の方なら目立たないだろうし。
昼休みが終わるころに教室に戻ると、有輝が声をかけてくる。
「お、翔太。今日も宮本さん来てたぞ。翔太は用事でいないっていったら帰っちゃったけど」
「ああ、そうなんだ……」
また今日も来るかもと思って逃げ出したのだが、案の定だったようだ。今日は金曜なので次の学校は月曜になるのだが、月曜日も食堂に行ったほうがいいかな、これは。
「翔太、何か元気なくないか?大丈夫?」
「え、ああ、うん。大丈夫。気にしないで」
「そうか?なんかあったら言えよ?」
言えるわけないな……。有輝と宮本さんの二人と一緒にいると、昔のことを思い出して気分が悪くなるとか、そんなことは。
5,6時間目が終わり、帰宅の時間。準備をしていなかったの、で教科書やノートを鞄に詰める。有輝は今日も部活で、さっさと行ってしまった。まあ、それは都合がいいのだが。
帰る準備をしてドアのほうに目を向ける。……なぜいる?いや、昼休みに一人で教室に来るくらいだから、これくらい予測するべきだったのだろうか。いやいや、俺のところにきたわけじゃないかもしれない。そうだ、少し自意識過剰だったな。
「あ、石川君」
そんなことなかった。なんでか知らんが、宮本さんがめちゃくちゃ嬉しそうにこっちに歩いてくる。
「ねえ、一緒に帰らない?」
は?嫌ですけど。そんな目立つこと。
「ごめん、宮本さん。ちょっと急いでるから」
そう声だけかけて小走りで去る。後ろから「あっ……」という声が聞こえるが、距離を置くと決めたのだ。
学校を出て、家に帰る。はあ、疲れた……。一回落とし物を探すのを手伝ったくらいで、一緒に帰るとか言い出すか?普通。顔は隠してるし、そんなに絡んでくる理由はないはずなんだがなあ。
土日明けて、月曜日。土日で色々と考えていたのだが、特に対策は思い浮かばなかった。まあ、この前みたいに昼は食堂にでも行けばいいだろう。
そんなことを考えながら教室のドアを開ける。……?クラスメイトの様子が変だ。なんかあったのか?まあいいか。とりあえず席に着こう。
「あ、翔太」
「ああ、有輝。おはよう」
「お前、なんか変な噂流れてるぞ」
焦ったような口調で有輝が言う。
「え?」