002 朕、東ニテ生マレル。
朕が、プシチャク極東の地に生まれたこの身を我が身のものとして感じたのは、この世に生を与えられて3日目のこと。
すぐさま、「朕が従前に生きた地、日本では、生まれたその日の記憶を持ったものがいると三島という作家が述べていた」と、神とか名乗るものは、つまらぬ知識をひけらかしたが、呆けたか神め、と、朕は若さの特権で切り捨てた。
それから、朕とのみ話すことができるらしい、神とギャーギャー言い合ったのは、若さの一時の恥。
3歳の誕生日を迎えた私は、ジト目になって神に言った。
「あのね、私が天使?天子?とかいう設定はだいたい分かったから、もったいぶった話し方を押し付けるのはやめてよね。神もたいがい焦ってるんでしょ。まぁ、家臣のみんなには朕と言っておけばいいんでしょ。まわりの皆さんには、朕と 言っておけば。で、朕は成人した後に世界を救うものになるっていう、設定とかもね。」
「そうだね。天子というのは言い過ぎかもだけれど、周りの人は大事にしてくれるはずだよ。吾は君にしばらくはそのように過ごして欲しい。」
と、神は答えた後、意外なことを続けた。
「吾はもっと君を応援したいのだけれど、ちょっと力が尽きようとしていて。少し、休眠させてもらうよ。」と。
3歳児の朕に宿っていた私は、神がもっとこれからもいろいろなことを教えているものだろうと思っていた。
私は、急に寂しい気分を味わいながら、何やら力も入らなくなってきた。なので、
「じゃぁ、私も、一緒におやすみしてあげるわよ。」
といい、私はしばしの眠りにつくことにした。
それかのら私は、夢の中でまどろみながら、私が朕と呼ばれ、周りの者から崇められている様をたまにみていた。皆、本気で幼女の朕を奉ってくれるらしい。
私がまどろみから覚める時は、決まって、朕が寒気を感じた時なのだった。このプシの地はくそっ寒い。城内の一等地である姫寝室でも、寝ぼけて姫炬燵からでてしまうと、とたんに寒さで振るえてしまうほどに。
※大改訂させてもらいました。