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第1話ー転移ー

個人的には戦記物が好きなのでとても書きやすいです。

第1章ー神隠し編ー

第1話ー転移ー

ーーーーーーーーーーーーーーーーー


ーーー俺はゲームが好きだった。

ーーー最近の日本人の若者らしく、ただゲームをしてただけのはずだ。

ーーーそれがどうしたらこうなるのか。

ーーー未だに訳が分からない。


ーーーもしも、しいて言えるなら。

ーーー現実は小説よりも奇妙だということか?


ーーーだって、まさか、ゲームで操作していたゲーム内国家ごと"異世界に飛ばされる"なんて。


ーーー奇妙というか。ありえないって言いたくなるだろう?



*********

○【ムーン双列島】○

○【ムーン人民共和皇国】○



ムーン双列島は、2つの細長い列島が平行に並ぶという、不思議な形をしている。


そして、そんな2つの列島を国土とする国家の名前は【ムーン人民共和皇国】。バリバリの帝政国家であった。



*********

○とある部屋○



無駄と言いたくなるほど広い会議室に、白い巨大な丸テーブルが置かれていた。席は4つあり、座っているのも4人の青年であった。



「報告は以上ってところかな?」



のほほんとした笑顔を浮かべる眼鏡をかけた神父服姿の青年【夕霧(ゆうぎり) 玄馬(げんま)】が、情報が映し出されたスクリーンを背にし、話を閉めようとする。



###############

≪名前:夕霧 玄馬≫

≪プレイヤー名:ミスト・ホース≫

###############



「ぶっちゃけ、原因不明で日本に帰る道筋は、一向に見えないってことだろ?」



そんな空気に、スーツ姿にヘッドホンを首にかけている青年【近藤(こんどう) 道三(どうさん)】が切り込む。



###############

≪名前:近藤 道三≫

≪プレイヤー名:村正(むらまさ)

###############



「事実そうだろうな。ここまでの異常事態だし」



そう近藤の言葉に同意するのは身長2m程の巨体を持つ、軍服姿の青年【久島(くしま) 久慈(くじ)】である。



###############

≪名前:久島 久慈≫

≪プレイヤー名:九九(くく)

###############



「ここまでやってとなると、そうだろうな」



そして最後に、右頬に古傷のあるスーツ姿の青年【二井(にい) 明夫(あきお)】が溜息を吐きながら答える。



###############

≪名前:二井 明夫≫

≪プレイヤー名:ニッキー≫

###############



「しかし、今でも信じられないな。"プレイしていたゲームの国家の王として国家ごと異世界転移する"とは、な」



そう言って久島は目の前の机に置かれたコーヒーを飲む。


そう、彼らは久島の言う通り。 平成日本から気付けばゲーム…オンライン国家育成ストラテジーゲーム【世界創世記(ジェネシス)】でプレイしていた国家の王として、その国家ごと異世界に来ていた。


幸いだったのは、この世界に来たのがゲーム内でプレイヤー国家連合【四天連合(してんれんごう)】のメンバー4人だったことだろう。


彼らは協力して対応に当たった。そして気付けば1ヶ月の時が過ぎ去っていた。



「…無念ではあるが、そろそろ覚悟するべきだろうな」



二井の言葉に、3人が苦虫を噛み潰したような表情を浮かべる。それもそうだろう、ここにいる4人共に、元は平成日本に生きていた高校生である。日本が恋しいし、一刻も早く家族の元に帰りたい。だが、それは現状不可能。


ーーーならば、覚悟の時だろう。


それが二井の言葉の意味であった。



「…分かったよ。やるしかないようだしね」



夕霧がはあっとため息を吐き出す。



「だな」「ああ」



久島と近藤も頷く。



「んじゃ、そろそろあの件も進めるとしよう」

「"()()()()"だね」



外交案件とは、簡単に言えば四天連合構成国以外の国との外交。つまるところ、異世界の国家との外交であった。特に彼らの間では、外交案件という場合は国交樹立の交渉を指していた。


いつかは通るべき、通らなければいけない道であった。



「現在調査員に調査させているが、たかが1ヶ月ということもあり、あまり情報収集が進んでないのが現状だ。それも各国別々でだ」



二井が顎をさすりながら報告する。



「情報の共有化は必要だよね。ならこの場である程度共有しようか? 詳しい資料は後日部下同士でやるとして、大まかなことぐらいは把握してるでしょ?」



夕霧が切り出す。



「ああ、まあ異世界の国家は気になるし、な」

「俺は最初からその気だ」

「そうなるよな」



二井夕霧近藤の視線が久島に突き刺さる。



「え?俺から?まあいいけどさ…ええっと、文化レベル的には中世の欧州といったところだな。主な武装は剣や弓矢や槍などのようだ。現状では魔法技術は発見できていないってところか?」



久島が手早く報告を済ませる。



「銀行とかはないみたいだ。調査地域の主食はパンのようだな」



近藤も乗っかるように報告する。



「現状から判断するに、この大陸は"我々に歯が立たない"ってところかな?」



夕霧が現状の情報から大陸のイメージを告げる。



「まだうちの国は列強国には潜入できてないが、誰か潜入したやついるか?つか、どこに潜入している?」



二井が全員に問う。



「うちは【ジスロード国】って軍事国家の小国だな」

「俺んところは【水の国】っていう貿易国家だな。商売しながら調査してる」

「僕は国よりも動植物調査中心だからいくつかの国に潜入してるけど、大国には潜入させてないよ」



久島近藤夕霧の順に、二井の問いに答える。



「ニイニキはどこなん?」

「【ワラキオ王国】って国。大国ではないが元大国らしい」



近藤の問いに二井が答える。



「元大国か…」



近藤がふむと考え込む。



「どちらにしても大国のチカラは確認しておきたいが…」

「それよりも、どう外交を進める? そもそも話を取り合ってくれるかも分からないぞ」



考え込む二井に久島が今後を問う。



「うちはワラキオの方から話を持ってきてる。足がかりには十二分だ」

「流石我らが二井。仕事が早いぜ」

「茶化すな」



二井が久島をたしなめる。



「俺から言えるとすれば、接点のある場所から少しづつやるといいと思うぞ? 俺も潜入させた商隊(調査部隊)に国の人間が客として来店したのが始まりだしな」

「なるほどな。俺らも少し動いてみるか」

「だな」「うん、そうだね」



それぞれが頷く。



「んじゃ、始めるとしますか。俺達の異世界外交を」




*********

******

***



統一リアブロ大陸歴530年。それは【リアブロ大陸】の歴史において大きく歴史を動かすことになった年であった。



ーーー多数の国家が異世界から転移してきたのだ。



どの国も自分の意思ではなかったが、異なる世界からリアブロ大陸のある世界にやってきたのだ。


だが、技術が未発達だったリアブロ大陸の国家では、その存在をすぐに確認することはできなかった。それどころか気付くこともなかった。


それ故に、転移してきた国家達の一部は、商隊に偽装した調査隊を大規模に送り込んだ。


そして、その調査隊はとある国の運命を大きく動かした。


そもそもこの頃の大陸は、全体的に情勢が不安定であった。とある国では内戦が起き、とある国では泥沼の政治闘争が始まり、とある国では隣国と小競り合いが頻発していた。


そして、運命を変えられた国ワラキオ王国も、外交問題を抱えた国であった。


始まりは統一リアブロ大陸歴529年の12月9日。大陸の大国【黒曜(こくよう)帝国】の皇太子の誕生日パーティーにて起きた。



ーーー皇太子が婚約者であるワラキオ王国第一王女との婚約破棄を宣言。さらには「第一王女が学園で、生徒に権力を背景にしたイジメを行なっている」という罪で、第一王女を捕縛し、地下牢へと押し込めた。

ーーーさらには、そのイジメを受けたとされる少女を、皇太子が新たな婚約者とすることを宣言した。少女はただの男爵令嬢であった。



慌てて第一王女直属の護衛の1人がワラキオ王国に帰国。事情を説明した。



ーーーワラキオ王は激昂した。ただでさえ溺愛していた第一王女を泣く泣く大国に嫁がせ、手元から離して学園にまで行かせたというのに、婚約破棄とは何事だ⁉︎と。おまけに投獄など論外である‼︎と。



とはいえ、黒曜帝国に逆らえないのもまた小国たるワラキオ王国の現状であった。


ワラキオ王国はかつては繁栄を誇り、大国たるチカラを保有していた。しかし、【第一次大陸戦争】でそのチカラのほぼ全てを失い、小国と成り果てていた。国防も黒曜帝国の駐屯軍に頼っていたほどである。



ーーーしかし、それが故に元大国の意地があった。



ワラキオ王が激昂する頃。黒曜帝国でも男爵令嬢の虚言が判明し、第一王女の無実が証明された。


これに一番慌てたのは黒曜帝国皇帝その人であった。黒曜帝国にとってワラキオ王国は重要な国であったのだ。


ワラキオ王国は大国だった頃のチカラを失っていたが、その信用と外交網は失われるどころか強化されていた。ワラキオ王国の仲介で解決した問題は山のように存在し、またワラキオ王国が離れれば再発しかねない問題も存在した。さらには国内資源が豊富であり、同盟国というよりは、ほぼ宗主国に近かった黒曜帝国はその資源を格安で仕入れられていた。


つまり、黒曜帝国にとって、ワラキオ王国は無くてはならない存在であった。



ーーーワラキオ王国は王族から平民まで、黒曜帝国を嫌悪した。ワラキオの()()()()()()()()()()である。



ワラキオ王国は軍拡を決意した。さらに、黒曜帝国への輸出に対して高い関税をかけるようになった。


ワラキオ王国にとって、黒曜帝国は既に敵であった。


そして、のちにこの葛藤が大陸外の国とワラキオ王国との接近を後押しすることとなる。


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エンド

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