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魔女の弟子  作者: かじら
魔女の学校 ~転機~
7/28

魔法陣

新章開幕です!

舞台は魔女の弟子から数年後の世界です!

 魔法とは人を幸せにするもの。笑顔にするためのもの。そのために魔法は存在する。

                      『魔法の基礎教科書』より



『先生へ


 大学生になってから一か月経ちました。まだ大学生活に慣れなくていろいろと苦労しています。だけど、友達も何人かは出来たので良かったです。

 先生たちが魔法の存在を思い出させてからは小・中・高・大の運動科目では魔法の授業が組み込まれました。私の大学も魔法の授業が組み込まれて、それだけは成績優秀みたいです。それも先生のおかげです。

 本当はもっとたくさん書きたいんですけど、直接話したいことが山ほどあるのでこれぐらいにしときます。

 ちゃんと魔法の練習もしていますよ!


蒼生(あおい)まつりより』


「うん、近況報告はこんな感じでいいかな」


 私は先生宛に書いた手紙を見て頷く。それからテーブルの上に立っている一羽のカラスの足にその手紙を括り付けた。


「じゃあ、この手紙を先生の所までお願いします」


「カー」


 カラスが一鳴きして飛んで行った。それを見送ってから身支度を整えた私は、まだ大学に行く時間には早すぎたので、テレビをつけた。


「続いてのニュースです。現在世界中から注目を集めている魔法について、国際連合内で各国首相と魔法学園学園長、アルモンド・ルア・レクスによる協議が連日行われています。魔法に関する取り決めについて、両者の意見は並行線のまま続いているようです」


 私はそのニュースを聞いてため息をついた。


「まだ魔法に対する風当たりが強いなー……」


 先生たちは今の人達が魔法を兵器に使わないと信じて、世界中の人々に魔法の存在を思い出させた。今まで魔法という存在を忘れていた人達は、いきなり思い出した魔法に最初こそ騒ぎになったが、時が経つにつれてその騒ぎも落ち着いていった。代わって魔法を使った犯罪を企てる輩が出てきている。しかし、それを予測していた先生たちは迅速な対応を行うことができ、すべて未遂に終わっていた。


 だが、それによって世間の目は変わった。結果が未遂に終わったとしても、魔法が危険なのは変わりないといった批判が、多数出てきたのだ。先生たちもそれを考えてはいたが、いざ目の当たりにすると頭を抱えずにはいられない状況だった。頭を悩ませて必死に考えた結果、妥協案として行われたのが各国と先生たちが共同で管理する魔法学園の設立だった。


 まだ試験運用のため一校しかなく、入学する生徒も本人の意思で入学したいと思う者のみに絞った。学費や寮などは国から出されるため、実質無料だった。それにつられて入学を希望する者は多く、当初予定していた学園の敷地を何倍にもしなければいけなくなった。海の上に建てるだけで莫大な費用がかかるのに、更に敷地拡大となればどれだけの額になるかわからなかった。


 国際連合の人たちが頭を抱えているその時に、先生を筆頭とした魔法使い数十名が名乗りを上げた。魔法使いは国際連合に自分たちで学園を作ると告げ、その翌日には今ある学園を完成させていた。魔法を使って一夜で完成させた学園は、五十階建ての高さをもつ校舎を五つとグラウンドを八つ、そして町などがあった。もう学園という言葉では収まらない広さで、一国家として成り立ってもおかしくはなかった。


「あの学園に一度行ってみたいなー」


 テレビに映る学園を見ながら呟いて、自然と時計に目をやって慌てた。


「もう時間じゃん! 急いで行かなきゃ!」


 テレビを消して戸締りを確認。それから玄関を出て側に立てかけておいた杖にまたがる。そして呪文を紡ぐ。


「【万物に作用する力よ、消え去れ】」


 魔法陣が広がり、自分の体にかかっていた重力が消えた。


「それじゃあ、行ってきまーす!」


 私は大学へ向けて飛んで行った。


 ◇


 魔法学園理事長室では頭を抱える二人の教師がいた。片やこの学園の園長を務める者、片やこの学園の理事長たる魔女だった。


「本当にどうするんですか? 今や学園の生徒も万を超えていますよ。このままでは教師の数が足りずに教育の質が落ち、さらに教師一人の負担が増しますよ」


「……わかっているわ。わたしも今考えているのだけど、学園長は弟子がいますか?」


「まあ、何人かいますが……まさか! 理事長、あなたは……」


「ええ、わたし達魔女の弟子を教師として雇います。ですから、その準備をお願いします」


「わ、わかりました! すぐに受け入れ準備をします」


「お願いね」


 学園長が理事長室を出て行こうとしたところで、理事長室の窓をコツコツと叩く音がした。二人が気になって見るとそこに一羽のカラスがいた。

 カラスの目は青かった。どうやら魔法の催眠効果によって、一時的な使い魔になっているのが見てわかった。


「カラスですか? どうやら誰かの使い魔のようですね」


「ええ、そうみたいね。でも、これは誰の使い魔なのかわかるわ」


 学園長が首をかしげている間に魔女は窓を開けてカラスを招く。

「さて、あの子からの近況報告みたいね」


 魔女は嬉しそうに手紙を読む。


「あの、理事長。その使い魔の主は誰なのでしょうか?」


「この使い魔の主は未熟だけど、開花すれば魔法の歴史が変わるかもしれない、そんな子よ」


「それは大物ですね。ぜひ会ってみたいです」


「ええ、一応あの子も教師として雇いたいのだけど……今は大学生なのよね」


「学生、ですか。それは難しいですね。自分の夢を見つけて進学した矢先に教師として雇われてしまえば、その方の夢を潰してしまいかねないですね」


「だからどうしようか悩んでいるのよね。ダメもとで呼んでみましょうかしら」


 魔女は紙を用意してさっそく文を書き始めた。


 ◇


 大学で午前の講義を終えた私は教室でぐったりしていた。


「大丈夫、まつりちゃん」


春香(はるか)ー、なんでずっと魔法の授業じゃないのー? もう退屈すぎて死にそうだよ~」


「相変わらずまつりちゃんは魔法が好きだね」


 春香が苦笑する。


「うん! だって魔法で人を笑顔にすることが出来るんだよ。人助けだって出来るしいいことずくめ」


「そっかー、私は魔法よりこっちかな」


 そう言って春香は年季の入ったカメラを私に見せた。


「春香は写真を撮るのが好きだよね」


「大切なカメラだし、彼もいれば色んな写真も撮れるからね」


「ああ、そういえば一つ下の子だっけ。その子って魔法を上手に使うんだよね」


「うん、そうだよ。その子と一緒に世界中を巡って写真を撮るのが夢なんだ」


「夢があるっていいね、しかも彼持ちだし」


「いやー、照れちゃうわね」


「はいはい、のろけはありがとうございます」


 私はそっぽ向いて適当に言っていると、今度は春香に質問されてきた。


「そう言うまつりちゃんの夢は何なの?」


「私の夢は……魔法を教える先生かな」


「魔法の先生か。まつりちゃんらしいね。でも、教師になるには難しいって聞くけど大丈夫?」


「うっ……大丈夫じゃない。成績がちょっとだめです……」


 私の表情で察したのか、難しい顔をした。


「魔法以外はちょっと危ない感じだね……。これから、試験が始まるしそれに向けて勉強しよっか」


「お願いします! 春香先生!」


 私は深々と頭を下げた。


 春香は例の彼に連絡してくると言って離れ、私は一人魔法の勉強を始めた。そんな時、一羽のカラスが飛んで来るのが見え、急いで教室の窓を開けて招く。

 周囲の生徒からは興味深い目で見られるが、特に気にせずにカラスが持っていた手紙を開く。すると、中から一枚のチケットが出てきた。何なのか気になり見てみると、そこに書いてあったのは……


「魔法学園への招待状?」


 慌てて同封されていた手紙を読む。そこには先生の丁寧な字で綴られた文があった。


『まつりちゃんへ


 いきなりチケットを贈ったりしてごめんなさい。実は、今わたしがいる魔法学園で一つの問題が起きているの。それでまつりちゃんに伝えたいことがあるので、こちらに来てくれると助かるわ。

 そのチケットを破れば転移魔法陣が起動して、その魔法陣の上に乗ればすぐに転移出来るわよ。まつりちゃんの都合のいい時でいいから来てちょうだい


先生より』


「このチケットを破ればいいんだよね」


 何度か手紙を読み返し確認してから、私はそのチケットを破ろうとした。しかし、その手を誰かが掴んで止めた。見ると、さっき彼に連絡してくると言っていた春香がいた。


「どうしたの、春香?」


「ちょっとまつりちゃんがどこに行こうとしているのか気になって」


「えっと……どうしてどこに行くって思ったの?」


「だってそのチケット、魔力(マナ)を帯びているんだもん」


 その言葉で思い出した。春香はこのクラスでも私の次に魔法の成績が良かった。そして、もう一つは私と違って独学で学び、魔法に造詣が深かった。だから……


「そのチケットの魔力、かなりの量が込められているよね。後はその魔法陣、小さくて見えないかもしれないけど、隠ぺいするときに使う物だね。もしかして、誰にも見つからないように行こうとしたの?」


 そう言われてチケットを改めて見る。すると確かに小さくだが魔法陣が見える。しかし、この魔法陣を見ただけでなぜ隠ぺい魔法と気づいたのだろうか。


「どうして魔法陣を見ただけで隠ぺい魔法って気づいたの?」


「魔法陣にもいくつか種類があるのは知っている?」


「ううん、初耳」


「そっか、なら今から教えてあげる」


「え、でも時間がそろそろ……」


「大丈夫。将来魔法の先生になりたいというまつりちゃんのために、これから特別講義をしてあげるよ」


 春香はノートと杖を取り出し、教室の隅に行く。そして、杖の柄を床に打ち付け構える。木製の音が響くと同時に魔法陣が広がる。それを見たクラスメイトが何事かと思い見てくる。


「春香! こんなところで魔法を使っちゃダメだよ!」


「心配無用! 多分バレないと思うよ」


 どうしたらそんな自信が出てくるのか分からず、聞こうとしたがそれより早く春香が呪文を紡いだ。


「【時間はさらに加速する】」


 初めて聞く呪文に、どういう魔法なのか考えていると魔法陣から透明な膜が出てきて私と春香を包み込んだ。そこで春香が構えを解き一息ついた。


「春香、これって……」


「自分の周囲の空間を加速させる魔法だよ」


「空間を……加速?」


 春香が言った言葉が突拍子もなく理解が追いつかなかった。


「空間を加速させるといっても実感はないよね。でも、周りを見てもらえばわかると思うんだけど、みんな遅くなっているでしょ」


 そう言われてクラスメイトの方を見ると、一見止まっているように見えるがほんの少しずつ動いているのがわかった。


「さて、この魔法も長くは続かないから教えちゃうね」


 春香はそう言うとノートに簡単に魔法陣を四つ書きだした。


「まず魔法陣の種類から教えるね。まず一つ目は円が一つしかない魔法陣、二つ目は二重円の魔法陣、三つ目は一つの円の八方向にひし形が飛び出ている魔法陣、四つ目は一つの円なんだけどくるくると回っている魔法陣の四種類があるの」


 そう言うと次に魔法陣の下にどういうときに使われるか書いてくれた。


「一つ目の魔法陣は基本の四属性の地水火風、そして二つ目の魔法陣は基本四属性の派生と言えばいいかな」


「派生?」


 私が首をかしげると春香は杖を使って手のひらサイズの魔法陣を作り出した。その魔法陣は二つの円があった。


「【氷柱よ】」


 魔法陣からは小さな氷柱が出て来た。


「ねえ、まつりちゃん。氷ってどうやって出来ると思う?」


「え、氷って水が氷点下になると出来るんだよね」


「正解、氷は水から出来る。今言ったように基本属性から形を変えて別の物になる、または単純にその力が強くなったものを扱うのがこの二つ目の魔法陣だよ」


 私は頭の中のメモ帳に必死にメモしながら春香の言葉を聞く。


「この魔法陣は空間と時間に対して使われるの。つまりそのチケットに使われている魔法陣もこの三つ目の魔法陣の分類だよ」


 手元のチケットを見ると、魔法陣の周りにひし形があった。そこで感心していると春香は人差し指を立てて注意してきた。


「でも、時間の魔法を使うときは注意しなきゃいけないことがあるの」


「注意しなきゃいけないこと?」


「そう、使用者が加速すればするほど使用後は体の速度が遅くなるの」


 後に説明してもらったことだが、世界に流れている時間と時間魔法を使った者の時間、その二つがずれた時に起きることで、世界に流れている時間が基準となり、使用者が加速すればする程、使用後は世界との時間が一致するまで使用者の時間は減速し続ける。

 それが今の春香と私に言えること。


「ねえ、じゃあこの魔法の効果が消えたらどれくらいの間遅くなるの?」


「うーん、三分ぐらいかな。まあ、大丈夫だって。昼休みが終わる時間には普通に動けるようになるから」


「そっか、ならよかった。後は四つ目の魔法陣だけだね。それはどういうときに使われるの?」


「これはまつりちゃんもよく使っていると思うよ」


「私もよく使うやつ?」


「うん、ヒントは四つ目の魔法陣は物理法則のときに使う魔法陣です」


「物理法則……。物理は苦手なんだけどなー……あっ! わかった! 空を飛ぶ魔法だ!」


 私の答えに春香は両手で○を作って頷いた。


「正解! 空飛ぶ魔法も重力を操る魔法だよね。他にも慣性の法則とか垂直抗力とかこの世の全ての物理に干渉する魔法がこの四つ目の魔法陣だよ」


「なるほど……大変勉強になりました、春香先生」


「ふふふ、別にいいよ。まつりちゃんの役に立ったならそれで構わないよ。じゃあ、魔法を解くよ。体の速度が低下するけどしばらくすれば治るよ」


「うん、わかった」


 春香が魔法を解くと、言われた通り体の動きが遅くなった。

昼休みが終わった直後に体の減速が終わり、普段通りの動きが出来るようになった。自分の席に戻ろうとしたが、クラスメイトの視線が痛いのに気づく。


『いきなり二人して動かなくなったけどどうしたんだろう』


『その前に春香ちゃんが魔法も使ってたし何かいけないことでもしようとしているのかな』


『いやいや、何かのコントじゃないの?』


『『ゴメン、それはないと思う』』


 色々な声が聞こえて、少し恥ずかしく思った。しかし、春香はというと特に気にしたそぶりを見せずに私の背中を押しながら近くの席に向かった。私を半ば無理矢理座らせてから隣の席に着く。その途端春香の表情が一変した。何か企んでいるような表情を浮かべ、言ってくる。


「さて、まつりちゃん。昼休みが終わったからこれからどこかに行くとかはできないよね」


「う、うん。そうだね……」


「じゃあさ、次に行くタイミングといえば放課後でしょ。私も今日は何もないからずっとそばにいられるよ」


 春香の言葉に私は冷や汗をかいた。いや、それどころか春香が策士にも見えてきた。


「え、エット……ツマリ?」


「今日は逃がさないよ。私も一緒に行きたいからね」


「え、でも写真部は?」


「写真部は基本的に活動が月一回のペースで行われるよ。ちなみに一昨日やったからね」


「彼はどうするの?」


「後で事情を説明しとくし、元々会えるような距離じゃないから大丈夫。次に会えるのは再来週の土曜日だよ」


「えっと、家は……」


「まつりちゃんと同じ寮部屋じゃない。まつりちゃんがどこかへ行くって言ったら気になるじゃん」


「うっ……えっと、えっと……」


 正直もう何もいい案が出てこなかった。たとえ案が出て来たとしても春香にすぐ切り返されそうな気がした。だから……


「わかりました……私の負けです」


「ふっふっふー、わかればいいよ。じゃあ、今日の放課後の寮から行こうね」


「ハーイ」


 ガクッと肩を落としながら下を見る。そしてどこかにいた使い魔のカラスが頭の上に乗り一鳴き。


「アホー」


 クラスのみんなに笑われる結果となった。


 ◇


 放課後、私と春香は大学を出て側にある寮に飛んで向かった。戻る道中普段は落ち着いている春香がそわそわしていて落ち着きがなかった。私にはどうしても気になることがあって、聞かずにはいられなかった。


「ねえねえ、春香」


「どうしたの、まつりちゃん?」


「どうして私が行こうとしている場所に行きたいの?」


「あー、理由は一つだけだよ」


 人差し指を立てて教えてくれた。


「まつりちゃんと一緒にいた方がなんか面白そうなことが起きそうだし、いろんな写真が撮れそうな気がするからだよ!」


「それ、だけ?」


「うん、それだけだけど」


 私は春香の行動理由に理解が追いつかずほんの少しだけ固まった。しかし、春香はそんな私を見て勘違いしたことを言ってくる。


「あれ、お腹痛いの? これからなんか緊張するような場所にでも行くのかな」


 あながち間違ってはいないが今はそんな理由で固まったわけではない。ただ……


「春香が面白そうなことが好きなのがよくわかったよ……」


 しかし、意外にも春香がその言葉を否定してきた。


「違うよ、まつりちゃん。私は最初からこんなんじゃないよ。それこそ高校時代は彼と一緒に色んな所を巡って写真を撮るだけの毎日だったよ。でも、この大学に来てまつりちゃんと会ってから変わったの」


 春香は空を見上げて、懐かしむ口調で教えてくれた。


「魔法を使うまつりちゃんの姿が眩しくて、キラキラと輝いていたんだ。その時思ったの。この子と一緒にいたらもっと色んな写真が撮れるって。それからこの一ヶ月一緒に過ごして本当に色んな写真が撮れた。でもそれだけじゃない。そんな毎日が楽しくてもっと一緒にいたいって」


「春香……」


 私は春香がそんな風に思っていたのは知らなかった。ただ写真を撮るのが好きで、魔法を独学で勉強してまで色んな所を巡って写真を撮りたい。そんな子だと思っていた。


「あ、ごめんね。こんなしみじみとした話を今しなくてもよかったよね」


「ううん、逆に話してくれてありがとう。私も一緒にいて楽しいよ。これからもよろしくね」


「はい、もうこのお話はおしまい! 早く寮に戻って準備するよ」


 春香は照れてそれを隠したいのか速度を上げ始めた。私はそんな春香の頬がわずかに赤く染まっていたのを何も言わずにいた。


 ◇


 寮に着いたらすぐに先生が作ってくれたローブに着替えた。春香も大学で用意されたローブに着替えて、身支度を整える。


「春香の準備は終わった?」


「うん、カメラと杖を持ったし帽子とローブは身につけているから大丈夫」


「なら大丈夫そうだね。私も棒と水晶、杖を持ったから準備万端」


 お互いに準備が出来たのを確認してから私はチケットを取り出した。


「じゃあ行くよ」


「うん」


 チケットを破ると込められた魔力が解放され、魔法陣が広がる。その魔法陣の上に立つと、魔法陣の輝きがさらに増した。数秒目を閉じ、再度開けた時にはそこは見慣れつつあった寮部屋ではなく、見たこともない場所だった。

 高さ百五十メートルはありそうな建物が四隅と真ん中に一つ建っているのが見え、その間をつなぐ透明な通路。さらにその周辺を飛び交う無数の人。全員がローブを着ていた。


「ここって……本当に魔法学園だよ!」


 それが私達が初めて魔法学園に足を踏み入れた瞬間だった。

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