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067 お届けにあがりました

2018. 7. 14

宗徳は、地下牢に入れていた騎士達を一度眠らせてから、台車で外に運び出していた。


なぜこんなことになったのかといえば、騎士達が盛大に文句を言ってくれたのだ。うるさ過ぎて、一度キレた宗徳は、素早く牢に入って手刀で黙らせたというわけだ。


哀れな騎士達を運び出す作業を目撃してしまったギルド職員の女性、ウッズは思わず目を疑った。


「えっ……む、ムネノリさん……その……それは一体……」


宗徳が今引いているのは、大型のホームセンターで用意されているような大きな台車だ。そこに、少々はみ出るぐらいのカゴを用意し、その中に眠っている騎士達を詰め込んでいた。


イメージとしては、乳母車だ。


宗徳は、ウッズが言いたいのは、この世界にはなかった台車という物についてだと思った。


「これは台車だ。エレベーターもあるし、バリアフリーだからな。使いやすいぞ」

「いえ……その……人を運んでいるのですか?」


人形のようにカゴに詰め込まれている騎士達を見てウッズは驚いたのだ。まるでそのままゴミに出されてしまうようにも見える。


「おう。コンテナに詰めて、国に送り返してやろうと思ってな」

「……そうですか……手伝いましょうか?」

「いいのか? 助かる。まだ地下牢に十人近くいるからな。この台車だと一回に四人が限度で往復するのが面倒になってきてたところだ。ちょい待ってろ。今すぐ台車をもう一台こしらえるからなっ」

「は、はい……」


返事はしてみたウッズだが、自分がその異様な光景を作る当事者になるということを考えて、かなり表情が引きつっていた。


ウッズは女性だが、しっかり鍛え抜かれた体を持っており、かなり大柄だ。背も宗徳とほどんど変わらない。


色黒で、健康的な肌。元冒険者だという彼女は、結婚を機に引退を考えていたところに、善治からスカウトされてやってきたという経緯の持ち主だった。


因みに夫はギルドの経理担当だ。どちらかといえば気の弱い細身の男性で、夫婦と聞いて少し驚いたのは秘密だった。


「あ、え? 軽い……こんなに簡単に動くのですね」

「いいだろ? 一輪車とリヤカーもいいけど、あれは基本、持ち上げる力がいるからな。けど、台車は押すだけだ。タイヤの部分も多少、左右の動きも出来るようにしてある」


真横に動かすことはできないが、カーブで曲がりやすいようにはしておいた。


「そんでもって、折りたたみ式だからそう場所も取らん。ってことで、帰ってきたらもうあと数台作っておくか。台車用の収納は……机とパイプ椅子が置いてあるところに一緒に入れておくから好きな時に使ってくれ」

「はい。そういえばあの机と椅子はすごいですね。あれもムネノリさんが?」

「まあな。炊き出しの時とか、野外で何かやる時に必要だと思てな。この前の騒動の時に思いついたんだ」


折りたたみ式の長机とパイプ椅子。野外イベントには欠かせないアイテムだ。そのことに気付いた時には、大分人の流れも落ち着いた時だった。


今はそれ用の収納部屋にしまわれている。そこにまだ余裕があったと思い出し、台車も放り込むと決めた。


「さてと、これで最後だな。助かったぜ。そんじゃ、ちょっくら行ってくる」

「はい。お気をつけて。台車は片付けておきます。というか、このまま使ってもよろしいですか?」

「当然だろ。あ、カゴはいらんかもしれんから、それもしまっておいてくれ」

「わかりました。お気をつけて」

「おう。昼前には帰る。徨流、行くぞ」

《グウ》


コンテナに詰めた騎士達を徨流が吊り上げる。そして、真っ直ぐに王都を目指した。


本気の速度ではないので、すぐとはいかないが、かなり早く王宮に到着する。曇りとはいえ、流石に夜とは違うので、徨流が人目につく。それを考慮し、光学迷彩を参考に姿を見えなくしておいた。


これは、先日から頻繁にやり取りしていた美希鷹に案をもらったのだ。


「光の屈折を利用な……現役の学生はさすがだぜ」


美希鷹は、孫娘の律紀とのデートや、放課後の勉強会での出来事を連絡してくれていた。その時に、ふと徨流を怖がる者達にどうすべきかと聞いていたのだ。


「雲を作ってってのもあったな。鷹は魔術にも詳しいから助かる」


そんなこんな、突然昨日に飛び立った場所に降りて、コンテナを見えるようにすると、さすがに見張りの兵達がパニックを起こしていた。


「しまった……」


こういう時は、ちゃんと先触れを出さなくてはならなかったと反省した宗徳だった。



読んでくださりありがとうございます◎



やっぱりここは連絡すべきです。



次回、土曜21日0時です。

よろしくお願いします◎

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