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185/212

185 癒され、落ち込み、癒されて

2024. 3. 2

森を彷徨うようにして、トレントを探す宗徳達。しかし、トレントが居ないわけではないのだ。


「こんな頻度で見つかるとか……ないわ〜」


いつも何時間も何日も森を彷徨って、何とか見つけるトレント。それが、宗徳と寿子にかかれば、それほど時間をかけずに見つけることができた。


だが、実があったとしても、どうしても採る気になれなかった。その理由は一つ。


「けど、それ以上に……訳の分からん生命体が多くない!?」

「さっきのタコみたいなの……なに?」

「……宇宙人……」

「「「言わないで!!」」」


瑠偉達は、精神的に追い詰められ始めていた。


「宇宙人……異世界人と同じ……?」

「「「違うと思うっ!」」」


異世界人と変わらない気もするが、違うということにしたい。認めたくない。そんな葛藤して足が重くなる瑠偉達とは別に、宗徳と寿子の足取りは軽い。


「あの宇宙人っぽいやつ、どっから来るんだろうなあ。はっ! 宇宙船探そうぜ!」

「ダメですよ。あと三時間もすれば日が暮れる時間ですからね?」

「いやいや! だって、乗ってたのは喰われちまってるだろ? なら、あるはずだ!」

「それはそうですが……帰りに見つけたらにしてください」

「ちょい遠回りするのは!?」

「仕方ありませんねえ」

「よし! ならさっさと実を見つけて、暗黒竜を捕まえねえとな!」


はしゃぐ宗徳に、寿子は本当に困った人だなあと微笑んでいた。


そんな様子を見た瑠偉達は心が癒されていくのを感じていた。


「ヤバいな……なに? この微笑ましい光景……」

「いや、でも言ってることすげえよ? 宇宙船? 俺も見たいわ」

「ノリちゃんかわいい〜」

「……仲良い……」


そこで、宗徳が分かりやすく喜色を浮かべる。何かを見つけたようだ。目が輝いていた。


「居た! エルダーだ! 実もあるぞっ」


そう言って、宗徳は足元にあった石を蹴り上げ、その木に向かって蹴った。それを叩き落とす枝を確認し、間違いないと確信を得る。


「よく分かるよな……」

「ん? なんか気配が明らかに違うだろ?」

「「「わかりません」」」

「ん」

「マジ? こう、気持ち悪いんだが……」


瑠偉達は、これからもトレントの実を採りに来ることもあるだろう。宗徳は、少しでも役に立つコツの様なものを教えられたらと思っていた。


寿子も同じように思ったのだろう。この気持ち悪さを言葉にしようと口を開く。


「無理やり気配を消している感じもありますよね」

「おう。それもあるな」

「後は……中心? に何かあるような……」

「っ、それだ! アイツら、常に何かを取り込もうとしてんだよ。すげえゆっくり消化? してる感じ」

「「「「っ!!」」」」


まだ距離がある。だから、その気配を覚えることができた。


「なんか分かったかも……」

「分かるかも……」

「あ〜、でも……消化してる感……感じるのキモいね」

「「「うん……」」」


せっかく微笑ましい夫婦の様子を見て癒えた心が、また落ちていくのは止められなかった。








読んでくださりありがとうございます◎

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