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181 終わってる世界?

2023. 12. 9

宗徳と寿子が扉を出て思うのは同じだ。


「なあ、毎回この世界に来ると思うんだが……この世界、軽く終わってねえか?」

「こう……まさに世界の終焉って感じですよね……」


ピカピカと雷がひっきりなしに発生し、二分に一度はドンッと落ちる。


空は見た事もない色だ。


「真っ暗じゃねえし、太陽っぽいのはあるんだよな? 一度も見えた事ねえけど」

「あるっスよ。多分」

「うん。見た事ないけど、多分」

「雲の向こうは赤いし?」

「……多分……」


赤と黒、灰色の積乱雲が入り乱れているのだ。それがいつも。これでいつも通り。太陽らしき熱や光は感じるが、見たことはない。


「ちょいあったかいのは、その太陽の熱より、地熱だしなあ」

「明らかに溶岩で出来た土地って感じよね……あの山のかしら」

「すげえ急斜面だよな……」

「トンガリすぎて笑える」

「絵に描いたような火山って感じ」

「ん」


大きな山がいくつか見える。それら全てが活火山で、毎日一つはどれかが噴火する。


「この入り口は大丈夫なのよね?」


振り返って確認する。そこにあるのは、ドアではなく、特殊な宙に浮く板。その上には魔法陣が光っている。転移陣だ。宗徳達が着けている腕輪がないと使えない魔法陣だ。


仮に溶岩も通さない結界も張ってある。生物が居たとしてもこの魔法陣に触れることはできない。破壊も出来ない仕様らしい。


「地下は安全だから」


扉が繋がっているのは、魔獣が発生しないという討伐済みの迷宮のボス部屋の扉だった。そこから転移陣で地上に出たのだ。そこは、火山が噴火しようと、雷が落ちようと関係ない地下迷宮なので、扉は安全だ。


「地上は終わってるけどね〜」

「いや、寧ろ地上が出来る前なんじゃね?」

「……魔女達が前、そう言ってた……かも」

「「なるほど!」」


大地が安定する前の惑星(ほし)というわけだ。


「けど、地下の迷宮への移動は、地上を行くしかねえと……」


そうして、歩き出す。目的とする迷宮は少し先だ。地下トンネルがあるわけでもなく、迷宮同士が繋がるわけでもないので、別の迷宮に行くには、それぞれの入り口のある地上を行くしかない。


この惑星には、地下迷宮が無数にあるらしい。


「なあ、前に来た時にも思ったんだが、迷宮の入り口は全部あんな感じの転移陣じゃんか」

「そうですねえ。色が違いますけど」


宗徳達に用意された魔法陣は、薄い青色に光っているが、他のこの世界の魔法陣は、赤くやばそうな色なので、間違えることはない。


「誰が用意した魔法陣なんだ? 魔女さんか?」

「「「さあ?」」」


迷宮への入り口は、全て転移陣なのだ。宗徳の言葉に、首を傾げる三人。だが、瑠偉だけは答えを知っていた。


「……魔女じゃない……迷宮主だって聞いた……かも」

「「「そうなん!?」」」

「……瑠偉しか知らんのか……」

「ルイ君は偉いわねえ」


あまり喋らないが、瑠偉は意外にも情報通だった。


「けど、迷宮主ってのはなんだ?」

「……迷宮自体がそういう生命体? みたいなものだって聞いた……迷宮内の階層を跳べる魔法陣と同じ」

「あっ、そういえばそうか」

「確かに〜。あれと同じかあ」

「俺ら慣れすぎて疑問にも思わんかったわ。ルイ、気にしてたん?」

「……いつだったか……魔女がずっと説明してた……お説教? 愚痴? クレーム……から変化した」

「「「……へえ……」」」

「瑠偉……お前、偉いな」

「多分、我慢強いのね。聞き上手ってことで良いと思うわ」

「……?」


瑠偉が黙って文句も言わず、特に表情も変えることなく聞いているから、魔女達は言いたい放題だったのだろう。


そこから世間話や知識披露に変化していき、その間も変わらず黙って聞いている瑠偉により、止められることなく色々と情報を出していたようだ。


それをきちんと嫌がらずに聞き、覚えた瑠偉もすごい。よしよしと頭を撫でておく宗徳だ。寿子も少し身を屈めてもらって撫でておく。出ていた尻尾は機嫌良く揺れていた。


そうこうしている間に、目的とする迷宮の入り口である転移陣に着いた。


「そんじゃ、行くか」

「「「おー!」」」


転移陣に乗ると、そこは空もある広い大地が広がっていた。だが、それに感動している暇はない。普通にドラゴンが飛んでおり、何体かが向かってきていたのだ。


そして、その一体の色が問題だった。


「「「レインボードラゴン!!」」」

「さすがはあなた」

「……初めて見た……ほんもの……」

「お〜、ルルちゃんの課題が達成できそうだなっ」


最初から引きが強かった。












読んでくださりありがとうございます◎

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