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2020. 5. 16

徨流に乗って宗徳と廉哉は王都よりも内陸の方へと進んでいた。


「レン、良かったな」

「っ……僕は……」


後ろに乗っている廉哉が、飛び出してからずっとぐるぐると考えているのには気付いていた。


「お前のこと。覚えてるってよ。心配してたぞ」

「……」

「まあ、今頃かって感じはするがなあ」

「……」


軽く笑えば、廉哉がふぅと長く息を吐いた。


「すみません。色々考えてしまって……」

「いや、心配すんのは親の務めってなっ。で? ちょっとは心が晴れたか?」

「……どうでしょう……でも、少しだけ……あの頃の僕が救われたように……思いました」


誰も助けてはくれない。大陸中が敵で、逃げ続けた数年前のこと。それは、廉哉の中の一番の傷だった。それが、少しだけ癒えた気がするといったのだ。


「全部許すこたあねえよ。まったく、あいつらときたら、あれだけ言ってようやっと気付くとか、呆けるのが早くなるぞ」

「ふふっ。この世界では寿命が短いんですよ?」

「あ、なら呆けるまで生きてねえんだな。よし、現実を教えるためにも、寿命を延ばさんとなっ」

「ははっ。そんなすぐには無理ですよ〜」


もう落ち込んだ様子も、苦しそうな様子も、悩んでいる様子も感じられない。吹っ切れたようだ。


「さて、そろそろみたいだぞ。さっさと神さまに許してもらって、この大陸を救ってやろうぜ」

「はい」


宗徳が腰に穿いている刀。それに付いている玉が熱を持つのが分かった。そして、宗徳には神の居る場所が不思議と感じられたのだ。


「徨流、あそこの洞窟の前に降りてくれ」

《グルル》


そして、降り立った洞窟の前。その洞窟の入り口を見て戸惑った。


「……なあ……上から見た時は洞窟だと思ったが……違うのか?」

「……いえ……僕が前に来た時は確かに洞窟だったはずです……えっと、洞窟に追い詰めたというのが本当ですけど……」


封印するにしても、狭い場所でなければ無理だと思ったのだという。


「いや、だってよ……これ、立派な扉だぞ?」

「……扉ですね……王城にあるのより立派です」

《くきゅ……》


宗徳と廉哉が降りてから、徨流はすぐに小さくなった。だが、恐らく本来の大きさの徨流でも十分に通り抜けられるだろう。


「巨人でも居るんか?」

「……居ないはずですけど……」


居るように見えるほどの多く立派な扉だった。


「……入るか」

「……大丈夫でしょうか……」

《きゅぅ……》

「ってか、開けられるんか?」

「……」


明らかに人の手で開けられるような重さではないように見える。


「まあ、やってみるか」


今の宗徳ならば、これくらいの扉も腕力でどうにかなるかもしれない。そんな期待をしながら、とりあえず手をかけた。


だが、触れるとすぐに自動ドアのように開いたのだ。


「んあ?」


奥に向かって開いた扉。中は薄暗い明かりの灯る通路になっていた。


「んん? えらく親切な洞窟だなあ」

「……こんなの知りませんけど……」

「あ? 違う場所なのか?」

「いえ……でも……まさか……」

「どうした?」


廉哉が信じられないという表情で中を見つめる。そして、呟いた。


「ダンジョン……?」

「なんだそれ」


コテンと首を傾げるしかできなかった。




読んでくださりありがとうございます◎

また二週空きます。

よろしくお願いします◎

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