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真希と壮一は男女別の検査官に隅々まで調べパスした。と、次に空港で用いられる機械で何もないと分かれば、足元のベルトコンベアーが流される。 

「あなたは、なにか重度の病気やアレルギーはありませんか?」

  四〇超えた女の検査官が真希の服を軽く探りつつ訊いた。最後の検査まで入念であることに、国家の機密の一端をみた。

 「いえ、特には……あ、んー、やっぱりないです。」

 「そう。」 

靴から頭の頂辺まで女の検査官が眺め、軽く真希に会釈した。

 「では、これからいくつか注意を。まず、この回路石を常に持ってください。これを、はい……。」 

手渡された道路に転がってそうな石を握らされた。 

「回路石? ってなんですか?」

 真希の問を無視して淡々と説明を続ける。

 「それから。護身用に、いくつか持っていてください。このスタンガン、十得ナイフは便利だから入れました。ボウガンもステンレス製で軽いモノを選んだので。携帯食料品も。生理用品とかはキャリーバックにあります。」

 スーツケースに禍々しい物品が詰まっていた。防弾チョッキと現地人の服を装着すると、護身用の品々を隠すように備えた。 

他にわからないことはあります? と検査の女が訊く。 

「えっと……その補給とかって……一週間もたたないで生理用品きれそうとか不安で……。」 

硬い表情をした彼女が、不意に目尻に皺をためて微笑する。

 「ああ、今手渡す腕時計に補給ポイントと、それから日本時間と異世界時間を合わせているので、心配なく。」

 「あっ、はい。」

 我ながら引きこもりの生活から野性的すぎるだろうと心中苦笑いした。

 壮一も、真希に遅れて集合場所の前まできた。 

「父さん忘れたこととかない?」

 軽くアクビした壮一は微笑んで、 

「んなものない。そもそも裸一貫でなくて、国の後ろ盾がある分マシさ。なに心配ないよ。」 真希の肩をポンと叩く。

 では、お二方もう準備は大丈夫ですね? 

と集合場所の検査官が尋ねる。

 二人は顔を見合わせた。

 「……はい。」 

「ええ、大丈夫です。」 

そのすぐあとにコンベアーが動く。 

「ではこれを」 

渡されたばかりの腕時計を装着すると、キャリーバックが二人の足に放り投げられた。 コンベアーが速度を上げていく。薄暗い廊下の壁が流れた。

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