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 明け方、都市国家連合遠征軍、通称遠征軍は最後の駅を発した。 

ここから、四万の軍勢を二手に分けて最終的に黒馬の砦で合流する予定とした。このように複雑にしたのには、訳がある。 

それは、森の盗賊の領土を攻撃し、あまつさえ支援をできなくし、黒馬側を圧迫することにその作戦が立案された。

 先遣二万は《穀物庫》の領土で一時駐留し、砦を速攻で包囲することにあった。 遠征軍の総督である遠征軍大将は、隆々とした筋骨の持ち主で、華やかな甲冑を着込んでいる。 

 馬車は揺れ動く。 

「総督、まもなく穀物庫に到着いたします。」 

狼煙を発見した伝令兵がきた。 

「フム、そうか。や、盗賊とたかだか一個の砦にこの軍を動かすとは、なるほど、穀物庫のコルゼという男、面白い。」 

一人心地で、熱いお湯を口にした。

 「兵馬は共に状態は良いため、戦にも差し支えないと思われます。」

 「そうか、ご苦労。」 

伝令兵は頭を下げて、戻った。 

「ふーむ、ふむ。これより先、盗賊なぞ、最早これから眼中に入れられなくなる。今の都市国家が、或いは……。」 

総督の、地図を眺める目が、物憂い色に変わる。








 ようやく、黒馬の砦を司る四門の備えが決まった。 

北の門 第一部隊、グリア。

第四部隊、モグラ。その他、第九部隊。


 総勢三五〇 ここは、他の門より、兵が多い。というのも、この北の門が主戦場になることがわかっているからであった。


 東の門 第二部隊、エイフラム、第六部隊ガルバ。第七部隊。総勢二五〇


 西の門 第三部隊、第五部隊、第八部隊。 総勢二五〇 


最後に、この砦唯一にして、最高の防護に適した部分である。 南の門 第十部隊、皆川壮一。 総勢一〇〇 


これは、この砦始まって以来の人事であったが、壮一は既に戦場レポなどで培った知識や経験を砦の民に見せつけ信頼を勝ち得ており、またこの南がもっとも安全であることが考慮された。

 とはいえ、現場の指揮官は砦の者であるため、壮一は名前だけである。





 その他、中央は援護補給、をこなす非戦闘員が数千。 ここに、真希とナターシャはいる。 

この数刻前、まだ収穫前の農作物などを焼き払った。

 敵の補給になるためそうしたのだが、真希もそれを手伝う折、悲しそうなナターシャの顔をみつけた。 

「なんか、虚しいね。一年間も頑張って作ったのに……」

 真希がなぐさめると、

 「いえ、わたしはいつこうなるか覚悟してました。でも、ううん、きっとみんな生き残ることが大事ですから。」

 と答えた。

 畑が烟りで塗り固められた。 一年間丹精込めてつくった作物をあっさり破棄することに、慙愧の念が絶えないのだろう。 ともかく、戦争である。

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