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螺旋のようにのびる山道を馬で越す。重く垂れこめた雲が、峡谷の間に流れようとしていた。 幅が狭い悪路の為に、馬上は大きく揺れた。

 「……しっかり腰を掴んでください。」 

エイフラムに促された真希は、肩から腰に手をうつした。 

「あの、あとどれくらいで到着しますかね?」

 壮一がハゲと呼ばれた男に問うた。 

「まあすぐですよ。しかし、運が良かったですね。ワシらが丁度あのあたりを通過せなんだら危うかったですな。」 

「もしかして、村の煙から?」

 「ああ、そうそう。狼煙かなにかかと思って打って出たんだ。」

 谷間に徐々に暗雲が沈殿する。

 「それ、あの向こう、今は見えづらいが、そろそろ村が見えるんだ。」 

ハゲは後ろの壮一に説明しつつ、駒を進めた。 

「ははぁ、なるほど。」

 道も頂きまで来るとポタリと、雨が降る。 遠雷の閃光が山袖で鳴る。 一行が山道を下降する頃、雨足が早くなった。 

「それ、もうありますよ。あれです。」

 ハゲは指さした方に、丘があり、その深い緑に覆われた内から、建物が見え隠れした。 

「あれは? アジトですか?」 

「……フム、そうだ。」

 丘の根元まできた。

 幾重にも張られた棘の柵を馬脚が巧妙に跨いでゆく。頭上の巨木より生ずる枝たちが、雨粒を払いのける。 

土の蒸れた特有の香りがした。

 「おい、開けてくれ。ワシだ。ワシだ。」

 ハゲは太い鋲の穿たれた鉄門の前で、叫ぶ。 

すると門に設置された物見櫓から人影が揺らめく。

 「おお、帰ったか。」 

重厚な音色で門が緩やかにひらく。 所々の赤錆が妙な古めかしさを連想させた。 「どうぞ。ようこそ我らがアジトへ。」

 ハゲは右腕をピンとのばす。 

「はは、まるで梁山泊ですな。」

 りょうざん? とハゲが疑問を持ちながらも微笑する。 

「普通の村っぽいけど……。」

 真希がエイフラムの背中から呟く。 

一行の後ろ姿が地平線までゆくと門がまた緩やかに閉じた。






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