10 「改訂中」
「はぁ、はぁ、おい真希、あの、あの石持ってるか?」
二人は森駆け抜け、村から離れた。
森を抜けると峡谷の底の小川にたどり着いた。
「えっ、はぁ、はぁ、多分……と、あれ? あっ、あった。」
壮一は深刻な顔だった。
「オレもある。この回路石ってのは、多分オレたちの居場所を国が掴むためのGPSであり、この異世界人との会話の翻訳する役割のものだろう。」
壮一が小川の水を手で掬って飲む。
「っぱー、うまい。ああそれでな。なくすなよ。それないと補給はおろかここの連中との会話すらできない。いいな?」
(ふざけんなッ……!)
真希の胸に怒りがこみ上げた。
「ふざけんな! 父さんが勝手にこんなところ連れてきたんだろ? 責任とれよ!」
抱えたキャリーバックを川原の辺りに投げつけた。
「もう……なんでこうなるの……最悪だよ……。」
彼は、ジッと真希を見る。
その顔は申し訳なさそうにしていた。
それが尚更、真希の感情を刺激した。
「なんで? なんで私こんなところに連れてきたの? 答えてよ」
「お前の故郷がここだからだ。」
壮一の低く鋭い声であった。
「えっ?」
彼女は、脳みそが直接殴れたようだった。
「……今はまだなにも言えない。すまないが、今は生き残る為だけに集中してくれ。話はあとだ。」
「――っ、わかった。」
本当は心にモヤが溜まって仕方ない。だが、やはり彼女の本能が父の言を肯定する。
汚れた眼鏡を服の袖で拭くと、頷く。




