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明日は昨日のおさらい

……明美さんとお出かけなんだって。どこに行くのかな?

「あの、明美さん。どこに行くんですか?」

「んー、おばあちゃんの所かな。」

明美と出かけている知亜は、バスに乗って最寄りの駅に行き、どこに向かうか分からない電車に乗って移動している。車内には、人がほとんどいなかった。どこに行くのか分からない知亜は、不安を払拭するために明美に行き先を聞いていた。

「おばあちゃん、ですか?」

「そっ、おばあちゃん。」

明美は笑顔になりながら、子どものようにそわそわしていた。それほどに会いたい人物なのだろう。

━━次はー、……駅、……駅でございます。お降りの際はー……

「知亜君、ここで降りるわよ。」

「はい。でも、電車って速いですね。それに、なんか眠くなっちゃいます。」

あくびをしながら電車から降りる知亜を見て、明美は微笑んでいた。





駅に着いてから、2人はまたバスに乗った。知亜は、風景が多くのネズミ色から多くの緑色に変わっていく事に驚きながらバスの窓から景色を眺めていた。

「知亜君、この紫色のボタン押してくれる?」

「これですか?」

知亜は、明美に言われた通りボタンを押そうとしたその時、ぴんぽーんという音が聞こえた。

「わわっ、明美さん、なにか鳴りましたよ!……僕のせいですか?」

「ははっ、違う違う。先にボタン押されちゃったか。今のはね、次でバスから降りますっていう事を運転手さんに伝えてるのよ。」

知亜の、何かいけない事をしてしまったという顔を見て、明美は知亜が押そうとしたボタンの役割と音の説明をしてあげた。明美は、色んな事に過剰な反応をする知亜を見て面白い子だと思い、おばあちゃんに会ったらいじめられるだろうなーとほくそ笑んでいた。



「ありがとうございました。」

知亜は、バスに向かって手を振りながらお礼を言っていた。

「それじゃ、行きますか。」

明美は、知亜の手を取り歩き出した。知亜は、今まで見たことも無い景色に感動の声を上げながら楽しそうに歩く。

「明美さん、何で土ばっかりの場所が沢山あるんですか?」

「あれはね、畑っていってお野菜を育てる所なんだよ。」

ええーっ、そんな知亜の声が明美は面白くて仕方がなかった。その後も、知亜は次々とあれはなに、これはなにと聞いてはええーっという声をあげていた。



知亜が何度も驚いているうちに目的地に着いていた。

「はい、到着っ。」

「ここが、おばあちゃんのいる所ですか。」

着いた場所は、どことなく『シロツメクサ』に似た場所であった。共通点は、まず長屋であること。見た目はシロツメクサより新しいのだが、造りは『シロツメクサ』を基礎にしたように似ている。次に植えられている樹木。どうやら、『シロツメクサ』に植えれている物と同じ木が植えられている。その木は、梛≪なぎ≫という木で、葉の形は楕円形を描いている。そして、一番の類似点は……子どもがいるということだ。

「ここはね、私たち『シロツメクサ』の姉妹施設で、『アカツメクサ』っていうところなの。だから、他の子と同じようにここには親のいない子が連れてこられる場所。」

「…………」

知亜は、明美の言葉を聞いて驚いた。知亜は、『シロツメクサ』にいる人達だけが親のいない子どもだと思っていた。しかし、他にも同じ境遇の人がいる事に驚いていた。

「……この世界にはね、こんな施設が沢山あるのよ。それを、覚えていてね、知亜君。」

明美はそう言うと、歩き出した。知亜も、明美に遅れないようについていく。

「静≪しずか≫さーん、明美でーす。」

明美は、施設の玄関に着くと誰かに自分が来た事を伝えていた。

「……あんだい、また来たのかい。あんたも暇人だねー。……って、何を連れてんだい?」

「あははっ、新しく家に来た子を紹介しようと思って。ほら、知亜君、あいさつして。」

明美は、自分の後ろに隠れる知亜の背中を押して前へと送り出す。

「えと、あの……初めまして、高槻知亜です。……おばあちゃん。」

「……あん?誰がおばあちゃんだって?まだそんな歳じゃないよっ!」

物凄い剣幕で怒られた知亜は、ひっと言って涙目のまま明美の後ろに引っ込んでしまった。

「……おい、誰が余計な入れ知恵したんだい?……明美?」

「…っ……ぷぷっ……」

女性は、明美に睨みを利かせてプレッシャーをかける。しかし、明美は動じない。それどころか口を押さえて笑いを堪えていた。

「いっ…いいじゃないですか。ねっ、おばあちゃん?」

明美は挑発するように、おばあちゃんを強調していた。

「……いい度胸じゃないか、明美。ちょっとこっちこいやっ。」

「あぁー、嘘です。調子に乗りました。すいません。」

仲が良いのか悪いのか、2人のそんなやりとりは知亜を放っておいて続いていた。

……おばあちゃんって優しいんじゃないの?本の中のおばあちゃんはみんな優しかったのに。

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