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暗闇は心を不安にさせる。

やっとあの家から出られた。僕は、自由を手にいれたんだ。……あれ、どうやって生きていくんだろう。

 暗闇の中、幼い顔つきの少年が1人走っていた。しかし、足には靴も靴下といった衣服は何も無く、足の裏は傷つき所々赤い液体が付いていた。

 「はぁっ、はぁっ、はぁっ、……ふぅー。」

 荒れた息遣いは、少年の疲労度を語っていた。休憩しようと少年は、近くに見つけた公園に入り薄汚れたプラスチックのベンチに腰掛けた。

 「……っ。ついに自由を手に入れたんだ。僕は自由だっ。」

 うっすらと目に涙を溜めながら、少年はつぶやいていた。よほど嬉しいのだろう。両手を交差させ、両肩をギュッとつかみ体の震えを抑え込むようにしていた。

 「……だけどこれからどうしよう。行くところもないし、お腹も空いちゃった。でも、お金は持ってないしどうしよう。」

 今後を考えながら少年は、ベンチに横たわり夜の寒さと走った事による疲労で、いつの間にか寝入ってしまった。この公園が、少年の欠片探しが始まりになるとも知らずに……。


 少年が寝入ったこの公園は、有名な公園だった。遊具も充実していて、また遊んでいた子どもは皆ケガをすることなく楽しく遊べる公園として有名だった。そんな名の知れた公園には、沢山の子どもやその親が訪れる。もちろん遊ぶ以外の他意を持った人も……。

 「あらっ、こんなところに子どもがいるわ。どうしたのかしら、とりあえず警察に連絡しましょう。この公園の夜は危ないっていうのに。先月だってちょっと事件も起きたし。……しょうがない、警察が来るまで側にいてあげますか。」

 20代と思われる女性は、少年に膝枕をしながら、警察官が来るまで少年の頬をぷにぷにして女性は顔を綻ばせていた。

 

その日、少年は夢の中で優しかった母の夢を見ていた。

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